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お久しぶりです。ネタバレあります。

「ばしゃ馬さんとビッグマウス」

2013-11-18 19:54:04 | 映画感想
(2013年11月17日 小牧コロナシネマワールド 2013年・日 ヴィスタ 119分)

学生時代から脚本家を夢見て、ばしゃ馬のようにがんばり続けるも、一向に芽の出る気配のない馬淵みち代。彼女はある日、友人のマツモトキヨコを誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、自信過剰でビッグマウスな自称・もうすぐ天才脚本家の年下男、天童義美と出会う。


「机のなかみ」で一目ぼれしてしまった、吉田恵輔監督の新作。
あの「さんかく」から3年ぶりの新作なんですねえ。でも、この先すぐ2本も待機しているという売れっ子ぶり。

今回はどうなんだろう、「さんかく」での不幸の連続、そこから生まれる同情とはまた違う、不幸と同情が生まれるんですよね。
他人からするとカッコイイ、でも実は痛い脚本家の世界。
自分の抱いた夢、その成功の位置が物凄く高いところにあるのがポイントで、自分が相当努力したとしても、ちょっとセンスのいい人にすぐ追い抜かれてしまうイメージがあります。

ちょっと痛い女性脚本家の卵をばしゃ馬さんと呼ぶのも絶妙だが、相手のビッグマウスは始まってすらいないんですよね。
彼女に触発されて、これまで全く書かなかった男の子がホンを書き始めるところ、どん底まで落ちた二人がやっと書きたいものを見つけて一心不乱に書いていくところは物凄い高揚感。普通の映画ならここで成功するんだろうなあ…というわずかな望みを抱きつつ観る。

これまでと同じく皮肉たっぷりのビターな作品ですが、ほんの少しだけ救いがあるのがいい。
天童が脚本家を目指すきっかけを話すと、自分もその原点を思い出したのか訳もなく泣いてしまうところ。
別れ際に自分に好意を抱いてくれてる人がいるんだと知る、ささやかな幸福感。


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