たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

「トゥモロー・ワールド」 未来とは、希望とは、

2006-11-22 23:41:18 | 映画感想
(2006年11月22日 MOVIX三好 2006年・米 ヴィスタ SRD 109分)

子供が誕生しなくなった近未来の地球を舞台に、人類の未来を左右する一人の少女を巡る攻防に巻き込まれた主人公の運命をスリリングに描く。監督は「天国の口、終りの楽園。」のアルフォンソ・キュアロン。主演はクライヴ・オーウェン。

いやはやこれは素晴らしい作品。
全く予告を観ずに臨んだお陰で、変な先入観を持たずに観られました。

目いっぱいお金も労力も注ぎ込まれている大作ですが、日劇よりも日比谷シャンテでかけてほしいと思うほど作家性の強い作品。なので、アクションSFを期待した人は裏切られ、アクションSFかと思ってパスした人は損するのではないかと思って心配します。

ジャンルとしては最近では「Vフォー・ヴェンデッタ」「アイランド」などの、基本的な人権を抑圧するという社会を描くディストピアSF。そこらじゅうに漂う終末感と、ほのかな希望の描き方が半端なくすごい。人間よりも猫や犬が圧倒的に魅力的に見えるのも終末だからなのか?

特に素晴らしかったのは、前半の車内での12分のワンカットと、後半の市街戦での8分間のワンカット。このふたつの長回しにはただただ圧倒。前半の車内のシーンは、どこにどんな風にカメラを取り付けたのか分からなかったし、後半の場面ではレンズに付いた血の使い方に感心。

どちらも多くの人間と爆薬を使用した場面なので、相当なリハを重ねたんだろうなと苦労が偲ばれると同時に、この作品への意気込みを感じます。このシーンだけでも入場料は安いもんです。

未来を失った近未来の絶望感と、反戦ムード最高潮の70年代特有の終末感とシンクロするように、音楽も70年代ロックをフィーチャー。マイケル・ケインのヒッピー姿、ピンク・フロイド「アニマルズ」のアルバムジャケットの完璧な再現など、ロック映画としての側面もありました。他にも隠しネタがありそうだな。

ただ、もう一度観ろと言われると辛い。それぐらいグッタリ来ます。
だから明日は映画を観ません。


最新の画像もっと見る