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お久しぶりです。ネタバレあります。

問題と解答例 「クラッシュ」

2006-02-18 20:07:21 | 映画感想
(2006年2月18日 ゴールド劇場にて シネスコ SRD)

【ネタバレを含みます】

クリスマス間近のロサンゼルスで人種も職業も異なる人間たちが交錯そして連鎖していく人間ドラマ。

昨年の賞レースを総ナメした「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家ポール・ハギスの初監督作品ですが、今作も堂々6部門ノミネート!見事な群像劇でありました。

こういう形の映画はたくさん作られてきたのですが、その中で特にアルトマン、P・T・アンダーソンらの作品がが秀でていたのは脚本演出の巧さだけでなく、そこにはちゃんと人間が描かれていたから。

ポール・ハギスのこの作品も例外ではなく、たった2日間で10人以上の人々が衝突し合い交錯するドラマを巧くまとめ上げただけでなく、誰の心にも響きしばらく残るような良作に仕上げていました。様々な人種の住む地域の人ではない日本人でも彼らが他人と触れ合うことの苦しみや難しさが分かる映画になっていると思う。

ある特定の人たちには悪の顔を見せる人々が、違う人にはいい人の顔を見せる。また、今まで正義を貫いてきた人も些細な事で変わってしまう。そんな嘘のない人間像。劇中のセリフにもあるように「人間は面白い」と思わせます。

こういう作品は俳優の脚本に対する理解と力量が試されるだけに、一つ間違えると全然違う解釈になってしまうだけに演じるのは大変だったと思いますが、みんな素晴らしいと思いました。時には思いっきりイヤらしく、時には思いっきり正義感のあるマット・ディロンが特に良かった。

エピソードでは娘の透明マントの話が秀逸で一番泣かされてしまった。そこで起こった「奇跡」の真相は意外と簡単なものなのだけど、そんな簡単で単純なことで積年の憎しみが消えてしまうということはきっとあるのだと思う。

差別や偏見が人々の今後に影響を与え合うという重いテーマの作品なのですが、こういうことをちゃんと問題にしているのはもちろん、その解決の糸口までちゃんと示してくれる。ただし、それが簡単ではないこともちゃんと示しているんですけどね。

オープニングのナレーションが印象的でした。

ロスでは触れ合いは皆無
人々は金属やガラスの後ろに隠れている
みんな触れ合いたいのさ
衝突し合い、何かを実感したいんだ

もうひとつ面白かったフレーズ。

「無知でアリーナが一杯だ」

ところでPTAの「マグノリア」を観た後はすぐにエイミー・マンのアルバムを探しに走ったのだが、今回はバード・ヨークとステレオフォニックスのアルバムを探そうかと思っているのであった。


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