たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

二兎社公演 「書く女」 (滋賀・びわ湖ホール)

2006-11-04 10:06:37 | 舞台・演劇
前回公演の「歌わせたい男たち」で、遅まきながら非常にハマってしまった永井愛プロデュース劇団二兎社の最新作は、最初の女流職業作家である樋口一葉の生涯を描く。

もともと二兎社の作品に定評があるのか、「純情きらり」効果なのかどうかは分かりませんが、びわ湖ホールは完売御礼。しかも年齢層がビックリするほど高い!

僕には「たけくらべ」「にごりえ」を書いた女性、井上ひさしが演劇やエッセイの題材にするほど傾倒した作家、五千円札のモデル・・ぐらいの知識しかなかったですが、面白く観られました。

もちろんそれは、一葉を演じた寺島しのぶの好演に尽きますが、自分を卑下していた文学少女が職業作家として生きる決意をするまでの一幕と、生き急ぐように一心不乱に書きまくり、評論家と意見を戦わす二幕とでは作品のトーンも演じ方も違うんですよね。見事に演じ分けた音羽屋に喝采、桃水役を変わらず演じた筒井道隆さんも見事。繰り返される桃水のセリフが最後に活かされてました。

それでも、独特の間合いとテンポがあるので、一幕はちょっと眠かったかな(過密スケジュールで観に来たお前に言われたくないだろうが)どんどんまい進していく二幕の方が好みだった。

戦意高揚させる小説を書く者がもてはやされるなどの戦時中における作家の位置付け、女性作家への風当たりは今も変わらないのだろうな。永井さんが女性を主人公に「自己表現する女」を描きつづけるのは、未だに時代は変わらないからなのだろう。

一葉が見聞きしたことがそのまま作品に反映されているのが面白い。舞台でもその面白さが強調されてますが、彼女の作品が好きだったり、彼女を取り巻く人々を知っていると余計に面白いんだろうな。これなら先にもっと勉強しておけばよかった。彼女の作品を読みたくなりました。

カーテンコールではスタンディングオベーションが出るほどの盛り上がり。カテコをするごとに客席から筒井さんにプレゼント(しのぶさんの分も)が渡されるのだけど、律儀に受け取りに行ってる動作が面白くて、ああ、本当にいい人なんだな~と微笑ましくなった。


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