けいた と おちぇの親方日記

わんこと暮らす、のんびり日記

小説「銀漢の賦」(葉室麟著)

2015-01-23 18:00:00 | 書籍(コミック)
「蜩ノ記」に続き、葉室麟さんの「銀漢の賦」を読んだ。
昨年読んだ最後の小説である。



寛政期(江戸時代)、西国・月ヶ瀬藩の話。
郡方・日下部源五と家老・松浦将監は幼なじみであったが、
ある出来事を境に絶縁状態に。
50歳を過ぎ、ふたりの人生が再び交差するというもの。
第14回松本清張賞受賞作。

題名にある銀漢とは、
宋の蘇軾の「中秋月」という漢詩からの引用らしい。

「暮雲収め尽くして清寒溢れ
 銀漢声無く玉盤を転ず
 此の生、此の夜、長くは好からず
 明月、明年、何れの処にて看ん」

(日暮れ方、雲が無くなり、さわやかな涼気が満ち、
 銀河には玉の盆のような名月が音も無くのぼる。
 この楽しい人生、この楽しい夜も永久に続くわけではない。
 この明月を、明年はどこで眺めることだろう。)

また、作中、将監が銀漢のことを次のように説明している。

「銀漢とは天の川のこと。銀は金銀の銀、漢は羅漢の漢。
 天の川は漢詩では天漢、銀漢などの言葉で表される。
 この場合の漢とは、男という意味ではなく、
 漢江、すなわち大河のことだ。」

時代小説や歴史小説には勉強になる話が多く、
年を取ってくると、読む人が増えるというのも頷ける。

「花というものは自然に咲いておって
 綺麗なものだと思いますが、
 やはり葉は切らねばならぬものですか。」

「源五殿は、人は皆、生まれたままで美しい心を
 持っているとお思いですか。人も花も同じです。
 生まれ持ったものは尊いでしょうが、
 それを美しくするためには自ずと切らなければ
 ならないものがあります。
 花は鋏を入れますが、人は勉学や武術で鍛錬して
 自分の心を美しくするのです。」

本作品は今月15日からNHKの木曜時代劇で
風の峠~銀漢の賦」としてドラマ化された。



源吾役に中村雅俊さん、将監役に柴田恭兵さんが扮し、
源吾の一人娘・たつ役に吉田羊さんが出演する。

第1話を観たが、なかなか面白かったので、残り5話も観よう。



昨年読んだ小説は42冊。
読みたい作品はたくさんあったが、あまり読めなかった。
今年はもう少し本を読みたい。

【2014年に読んだ小説】
「徳川家康(第11巻~第21巻)」(山岡荘八)
「砂の王国(上・下巻)」(荻原浩)
「家守綺譚」(梨木香歩)
「僕の生きる道」(橋部敦子)
「虹の岬の喫茶店」(森沢明夫)
「この美しい一日の終わりに」(有吉玉音)
「白ゆき姫殺人事件」(湊かなえ)
「約束の海」(山崎豊子)
「春、戻る」(妹尾まいこ)
「三十光年の星たち(上・下巻)」(宮本輝)
「村上海賊の娘(上・下巻)」(和田竜)
「また会う日まで」(柴崎友香)
「ポニーテール」(重松清)
「翼」(白石一文)
「終わらざる夏(上・下巻)」(浅田次郎)
「逃走」(薬丸岳)
「昨日のカレー、明日のパン」(木皿泉)
「錦繍」(宮本輝)
「舟を編む」(三浦しをん)
「かわいそうだね」(綿矢りさ)
「勝手にふるえてろ」(綿矢りさ)
「マスカレード・ホテル」(東野圭吾)
「マスカレード・イヴ」(東野圭吾)
「蜩ノ記」(葉室 麟)
「小暮荘物語」(三浦しをん)
「花冠の志士 小説久坂玄瑞」(古川薫)
「死命」(薬丸岳)
「銀漢の賦」(葉室 麟)

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