カタスミ

『コロナと潜水服』奥田英朗著

自分的にはだいたい外れなしである奥田英朗の短編集。
以下ネタバレあり。



















■海の家
妻の不倫が原因で、しばらく海の近くの古民家を借りて
一人暮らしする事になった小説家の浩二。
しかし、一人暮らしのはずが他の誰かの気配が。
どうやら昔この家に住んでいて亡くなってしまった子供タケシ君が
居着いている様子。不思議な二人生活がはじまる。

面白かった。私の好きな幽霊系ではないですか!
しかし不倫した妻が全然反省していないので
もう少し痛い目見せても良かったのではないでしょうか。
唐突に古民家を離れてしまい、タケシ君ともちゃんとお別れしてないので
その辺も含めちょっとモヤッと感が残るお話でした。

■ファイトクラブ
会社の追い出し部屋である危機管理課に配属された武彦。
部屋の片隅にあったボクシング用具一式で暇をつぶしていた所
謎の老人に手ほどきを受け、毎日ボクシングの練習をする事に。

面白かったけど、前話と同様幽霊ネタだったので
ちょっとかぶっちゃった感がありました。
まぁ、後々全話不思議系で統一されていると知るので
そうなればそこまで違和感なかったかも。
何も知らずに読むと、また幽霊?となってしまった^^;

■占い師
野球選手の彼氏を持つ麻衣子。しかしその彼氏は今や時の人となり
あちこちにひっぱりだこ。女子アナとも噂があったりで
不安いっぱいの麻衣子は紹介された占い師に相談に行く。

あの占い師は結局自分だったの?
今回も幽霊のような、そうでもないような。
パラレルワールドの自分なのかいな?
あの彼氏はどのみちあんまりだったし
麻衣子も肩書ばっか気にしてるから
お互い様って事で、自然消滅で良いのではって思う。

■コロナと潜水服
コロナが流行り出し、自分の幼い息子がどうも
コロナウィルスを感知する能力があるようだと気づく康彦。
息子の反応で自分がコロナウィルスに感染している事を知り
潜水服を着て乗り切ろうとする。

コロナってちょっと前なのにもうあんまり覚えてないわw
2週間の待機期間だったっけ?
自分がかかってないからもう当時の記憶もおぼろ気w
人間そんなもんですよなぁ…w
しかし潜水服着たらコロナうつらないっていうのは
なんか違うような気がするw
とりあえず自らが触った所はアルコール消毒しないと
意味なさそうな…^^;
息子はなぜ父ちゃんが出かける時だけ止めなかったんだろうかw

■パンダに乗って
憧れの自動車初代フィアット・パンダを手に入れたい直樹は
中古車を全国探し回り、新潟で販売している店を見つける。
購入の為、東京から新潟まで出かけ、手に入れたパンダに乗って
新潟から東京へ帰ろうとすると、カーナビが見知らぬ方向を指し示す。
それを辿ると、昔このパンダに乗っていた若い男性の
知人に行き当たる事に気づく。

今回この話が一番良かった。てか泣いたw
懐かしいって感情が結構涙腺に来るんですよw
エモいって言うんですか?
亡くなった男性の昔の知人をめぐる、
みんなその男性の事を懐かしんで話す、
思い出される、記憶に残っている、
なんか、切ないというか、悲しいとは違って
哀愁って感じ?う~ん、説明は難しい…
とにかく気持ちをぐわっとわしづかみにされるお話でした。

下ネタの無い奥田英朗の短編はやっぱ最高ですね。
ただしララピポ、おめーはだめだ(笑)
星は4つです。
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