マイケルソン・モーレーの実験についてはこちら。
ういき 長さの収縮 : https://archive.fo/iuLEO
『有名な実験の否定的な結果であり、長さの収縮を導入する必要が出たマイケルソン・モーリーの実験(後にKennedy–Thorndike実験)。
特殊相対性理論においては次のような説明になる。
その静止系において干渉計は相対性原理にしたがい静止しているとみなすことができるため、光の伝播時間は全方向で同じである。
干渉計が動いている系では横方向のビームは動かない系に対してより長い対角線の経路を通らなくてはならず、移動時間は長くなるが、縦方向のビームは順方向と逆方向でそれぞれ時間L/(c-v)とL/(c+v)をとるため、遅延する要因はさらに長くなる。
それにより縦方向では否定的な実験結果に従い、両方の移動時間を等しくするために干渉計を収縮させることになる。
こうすることで2つの経路での光速は一定となり、干渉計の垂直なアームに沿った往復伝播時間はその運動と向きに依存しない。』
コトバでの説明は以上であって、これは英文のういきからの引用である模様です。
まあそれはそれでいいのですが、マイケルソン・モーリーの実験は地球がエーテルの海の中を移動している状況を光を用いて検出しようとしたものでした。(注1)
それでエーテルの流れが検出できない理由をローレンツさんが「縦方向の干渉計の腕が短縮したせいだ」と「とってつけた説明:アドホックな説明」をしたのでした。(注2)
それで今回、マイケルソン・モーリーの否定的な実験結果からどうやってローレンツ短縮が有効に働くのか、あるいはローレンツさんがローレンツ短縮仮説を提言できたのか調べようとしました。
しかしながらネット検索で出てくるローレンツ短縮の説明はローレンツ変換を前提としたものばかりであって、それでは話が逆、ローレンツ変換からローレンツ短縮が出てくるのは当然であるように見えます。
そうではなくて、マイケルソン・モーリーの否定的な実験結果から取ってつけた説明にせよローレンツ短縮が出てくる、それを計算で追いかけたかったのです。
しかしながら、その様な資料を見つける事はできませんでした。
それで自分で計算を始めたのですが、これがうまく行きません。
上記のういきの記事では「横方向に飛んだ光の帰ってくるまでの時間は縦方向(進行方向)に飛んだ光の帰ってくるまでの時間より短くなるはずだ」という事までは言及されていますが、計算詳細は不明です。
そうしてまた(注1)で示した川を横切る、あるいは流れの方向に移動するボートの例では横方向の計算方法が十分ではなく、概算になっています。
まあそういう訳で図を書いて計算するのですが、これがうまく行かないのでした。
どうしてうまく行かないのか、そうしてどうやればうまくいくのか、これはパズルレベルの問題なのですが、ひとつ皆さんもローレンツさんになったつもりで考えてみていただきたいと思います。
注1:マイケルソン・モーリーの実験 : https://archive.fo/ENUqB
でてくる計算は川の流れとボートの例です。
『この風向きの変化は、干渉縞の移動として検出されるはずである。
これは、川を行く船の例で考えることができよう。船はスクリューにより時速50 kmの速さを得ることができ、川は時速5 kmで流れているとする。
このとき、川を横切るように10 kmの距離を往復するならば、少し下流に流されることを気にしなければ、0.4時間で帰ってくることができる。
しかし、上流から下流10 kmの地点までを往復するならば、行きは0.182時間、帰りは0.222時間要するので、合計で0.404時間かかる。
同様に考えて、エーテルの風に対し垂直に進む光線に比べ、平行に進む光線は、往復に僅かばかり長い時間を要する。
すなわち、エーテルの風向きによって干渉縞が移動するのである。
実験は、エーテルの流れが太陽から見て止まっていると仮定し、地球の運動により引き起こされる干渉縞の移動の測定を目的として行われた。』
・・・と説明されていますが、この計算例では光に適用できません。
注2:アドホックな説明は時に本質を射抜いていますので有効な場合があります。
たとえばプランクさんによるプランク定数の導入など。
ちなみにローレンツ短縮は正式には「ローレンツ・フィッツジェラルド収縮仮説」となる様です。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/lMwpC