うさぎとかえるの里

鳥獣戯画をこよなく愛する自分の日本文化や日常に関する想いをつづります。

幕末後。

2010-11-27 23:04:54 | 読書
「明治無頼伝」中村彰彦著


藤田五郎こと、もと新選組三番隊組長、斉藤一の戊辰戦争後のお話です。
会津まで転戦してきた新選組斉藤一は、ここで北を目指す土方歳三と袂を分かちます。

京都守護職かつ会津藩主である松平容保の保護を受けていた新選組、その恩義に報いるため、斉藤は会津に残り、会津で降伏をすることになります。

戊辰戦争後、貧しく悲惨な生活を強いられる旧会津藩の民と生活し、そこで会津藩士の娘時尾さんと結婚するのですが、やはり明治になったからと全てが平和に進むわけではなく、やはり旧幕時代の確執や、戊辰戦争での恨みは根深いもの…。

征韓論で下野した旧薩摩や不平士族の乱が九州で起こると、新政府は警察機構に旧会津藩の者も取り込んでその鎮圧に乗り出しますが、それって幕末の薩摩対会津、しかも完賊逆転でもあるわけです。

鎮圧部隊の会津出身は、まさに辛酸を舐め屈辱に耐えた過去の意趣返し…。暗い幕末の時代がまだ続いている気がします…。

中村さんの幕末本はすでに何冊も読んでいますが、かなり資料を読み込み、また登場人物にしても実際の肖像写真のイメージで描写されるので、なかなかリアリティがあるのです。

斉藤一、初めて写真を見たときは圧倒されましたもの(^^;)

まさにあのイメージです。

あとがきで中村さんが「明治十年までは幕末」とおっしゃっていますが、どちらが正義かなんてありはしなかったし、勝ち負けには恨みもつきまとい、簡単に人を殺していた世の中、そう簡単には近代化できないものと思いました。

まさにここでも勝者の歴史が作られ、過去の藤原氏の世が脳裏によぎる私…

なかなかこの視点の本には出会えないので、貸してくれたY氏に感謝です。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アンテナ。 | トップ | ケーキ。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事