トラカリコン!

「虎・借り・コン!」。虎の威を借りた狐。虎の威を借りて吠える狐が私…。虎が何であるかは、本人にもわからない。

コメントをお願いいたします。

矢部宏治著「日本人はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読んだ方からの、憲法改正についてのコメントをお待ちしています。 コメント受付用記事 のアドレス http://blog.goo.ne.jp/kanra-toriko/e/a08c500525a4ba2e568012c53edbaa6f

発言録ー7月17日「モーニングバード」に佐藤議員出演(徴兵制)(3)

2015-07-20 23:53:30 | 政治や経済
安保法制は、これまで政治ネタはあまり扱わなかった女性週刊誌などでも特集されている。そういう号は売上も高い。女性が強い関心を持っているようだ。番組の街頭インタビューがいくつか映され、それをまとめた気になる点のランク表がある。その第1位が徴兵制のこと。
以下、細部の再現はあきらめた・漢字も句読点も改行もカッコ付けはわかりやすさをモットーに勝手にやった。会話を文字で正確に記録するのは無理でした(たとえ全てを文字化してもかえってわかりにくいし)。
面と向き合った同士の会話での発言は、言葉そのものだけではなく、語尾の高低・表情・間合いなどで意味(例えば疑問文なのかどうか)を伝えるものなんだな、と改めて。オフラインで実際に会っている同士でなければ、ツイッターなどで会話するのは別物、と思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
羽鳥「佐藤さん、シンプルにこの質問(第1位 子どもや孫が戦争に行かされる? 「徴兵制になったりしない?」)に対するお答えいかがでしょう」

佐藤「徴兵制にはなりません」

羽鳥「絶対にならないですか」

佐藤「こういう疑問っていうのは、おそらく、戦争法案とかね、レッテル貼りのようなネーミングから心配になっている人が多いと思うんです。やっぱり、今回、戦争を抑止するための法案というふうに我々は位置付けています。
まず、徴兵制にならない理由その1は、憲法上、憲法第13条あるいは18条で個人の自由の権利あるいは苦役からの自由っていうのが認められておりますので。政府はこれまでも、徴兵制は認められないというふうに明言をしています。
2つめの理由。現場からの感覚として、現代戦において素人が徴兵で来ても、使えないです。穴を掘って、こう、鉄砲を撃つような時代じゃありませんから。自衛隊の主力は、高校生あるいは大学生の若者。彼らが一人前になるまで最低10年はかかります。戦闘機とかあるいは戦車・護衛艦というものを駆使する戦いですから、素人が、こう来て、厳しい訓練をやりますから、志願制で意志が強くなければ、そもそも訓練についていけません。で、今、主要先進国の中でも、徴兵制をとっている国はありませんし。実際自衛隊の募集はどうなんだ、ということを聞かれますけど。現時点においては、みんな、その、募集の頑張り、あるいは協力の効果もあって、倍率が結構高い中で、隊員を選んでおりますので」

羽鳥「自衛隊員は減っていないんですか」

佐藤「減っていません。定員は法律で決まってますし、で、また、予算上もしっかりとってますんで。しかし、それよりも多くの募集が、実際志願があって、試験というものを経て選んでいるという状態です。徴兵制は、憲法上も現場の必要性からも、これは絶対にありません」

羽鳥「ここで佐藤さんにお伺いして、”徴兵制どうなんですか” ”なるかもしれません” というお答えは絶対ない、とは思うんですけど」

吉永「憲法上っていうふうにおっしゃるけども。これは現行憲法においては保障されていますが。その先に、すでに”憲法を改正しよう”という動きがある、ということで言えば。私達は今おっしゃっていることに対して、”憲法守ります”っていうのがあればこれはいいけれども、そうじゃない、と。これはとてもその言葉に信頼が持てない、っていうのがひとつあります。
それから、やはり。”意志が強い”っていう、それから、”素人はだめ”。だけど、これって今までもね、いざとなった時に、一般の本当に普通の生活をしてきた人達を招集してきたという。いつ、ほんとに、あの」

羽鳥「過去ですね」

吉永「過去ね。過去そういう時代がありました。そういうことを考えると、意志は作られる。短期間で軍国少年・軍国少女を作った歴史もありますから。そういう形って、いろんな国民感情に訴えれば、そういうことも可能になってくる。逆にむしろ今ハイテクになっておりますので、それはやりやすいっていうこともあるのではないか、と私は思う。それが、”おそらくなりません”と言われても、それはとてもその安全な支えにはなってない」 

羽鳥「いかがですか」

佐藤「憲法ね、憲法改正する、多くの政党が憲法改正とかあるいは加憲とか、いろんな言い方をしています。それには衆議院参議院の2/3の同意がなければ、国民投票にかけれないっていうシステムになってます。実際、我々の我々自民党の憲法草案でも、徴兵制は認めておりませんし。で、さらにその後、国民投票で国民に審判を問うわけです。今の国民の感覚から言っても、自由とか権利を尊重する現憲法下でずっと教育を受けてた方々です。これを徴兵制ということについて、おそらく国民が同意を得るってことは限りませんし。
さらに、今の現代戦においては性能が高性能化、アップしている、という話があります。実際はシステムで動きますから。単品で動くわけではないので、非常にこれ難しいんです」

羽鳥「シンプルな話に戻すと、女性の方々は、”とにかく大丈夫なのか”っていうことだと思うんです」

佐藤「絶対大丈夫です」

羽鳥「佐藤さん、イラクPKOでサマワに行かれた、と。非戦闘地帯ですよね。危険じゃなかったですか」

佐藤「完全にね、治安が安定しているわけではありません。当然いろんなことが起きます」

羽鳥「そうですよね。不測の事態も起きますよね」

佐藤「それはもう、絶対起きないっていうことは」

羽鳥「ないですよね」

佐藤「だから自衛隊が行くんです。全然治安が安定していれば、民間の方が行って人道復興支援やればいいんです。ただし、治安がまだ十分安定はしていない、でもやっぱりそういう支援のニーズがある、ということで。各国は、そういう安全を守れる能力しかも支援の能力もある、自分で食事やお風呂自己完結型の組織っていうのは、他の国では軍隊。日本では、それは当面の先遣的な役割として、自衛隊が行って人道支援をやった」

玉川「ちょっと僕いいですか」

羽鳥「はい」

玉川「もう1回、ちょっと徴兵制に戻したいんですけども。
”憲法がね、今後変わるかもしれない”っていうふうに吉永さんおっしゃったけれども。憲法解釈を変更するっていうふうなことの問題が、今の段階でもあるわけですよね。今まで、政府は”集団的自衛権は行使できない”っていう憲法解釈を、ずっと自民党政権続けてきて。それを一内閣で変えたわけですよね。だから、今、自民党が”憲法解釈上徴兵制はできない”って言っても、それは、ある内閣、今じゃないですよ、将来の内閣が、”いや、できますよ”というふうに言った瞬間に変わってしまうってことを、みんな、恐れている。不安なんです。今まで”できない”って言ったことが、”できる”に変わったんだから。”じゃあ、徴兵制だって同じでしょ”って話ですよ」

佐藤「あのね、今回の集団的自衛権の解釈変更っていうのは、あくまでも目的が自衛なんです。国連憲章で認められているような集団的自衛権、これフルスペックです。今回は他の国を守るためのそういう形で、今回は自衛、日本を守るための限定的な集団的自衛権は、今までの憲法の整合性から言っても、”これは認められる”っていうのが我々の解釈。
比べてですね、今回の徴兵制に関しては。まさに憲法18条、これを普通に読めばですね、いくら解釈を、今までの答弁ありますよ、これ、今までの答弁とこの関係とどんなに整合性を取っても、これを徴兵制っていう解釈は無理です」

玉川「同じですよ。憲法学者が言ってるのは同じことです」

佐藤「玉川さん。できるって言うんだったら、今までの国会答弁と今回、どういうふうに解釈したらこれが認められるか、っていうことを示さないと。これはやっぱり、不公平だと思う。我々は、今までの憲法の解釈と今回の整合性を説明していますよね。憲法18条ありますよね、苦役からの自由。これについてこれまでの過去も、いろんな答弁がある。それと比べて、”徴兵制をこれが解釈変更でできる”っていう、その論理がなければできない。だから絶対できない」

玉川「例えば、石破大臣だって”徴兵っていうのは苦役ではない”っておっしゃっている」

佐藤「それは」

玉川「そういう大臣が、今、現職でいるじゃないですか」

佐藤「彼が言ったのは、ヨーロッパの国。ドイツは昔徴兵制度をとっていたり、スイスは徴兵制とっているんです、今も。そういう時にその人達に対して、そういうことについてそれを、徴兵制をね、苦役と言っていいのか、という話。憲法の解釈の話とは違うんです」

玉川「ハイテク化の問題を」

佐藤「あの解釈でね、それでどう考えてもあの玉川さん、そう言うんだったら、自分なりの論理を展開しないと。それ、やっぱりおかしい」

玉川「これからやりますよ、論理の展開は」

佐藤「今までの18条の今の国会答弁、ありますよね」

玉川「じゃあ聞いてくださいよ、ちょっと。論理展開しますから。他にもね。
ハイテク化の話がありましたよね。つまり、軍隊がハイテク化されてる中で、そんな徴兵で入ってきたような素人のような、扱えない、と。だけども、例えば韓国はハイテク化してないんですか。ハイテク化してますよね。だけど徴兵あるじゃないですか。つまり、ハイテク化ということだけで、徴兵を否定する理由にはならない」

羽鳥「そこはどうなんです」

佐藤「韓国の場合は、まだ北朝鮮と、こう、向き合っていう形で。まさにまだ戦争終わってないです。朝鮮戦争終わっておらずに休戦なんです。だから、今でも休戦状態のまま、北と南がにらみ合ったまま、真ん中に国連軍が展開しているんです。朝鮮半島、現実問題として。そういう中で、我々はそういうハイテクで使う分野と、まさに向き合ってる中で、まさに陸軍の昔ながらの 陸対陸という部分もあるんです。日本の場合は海に囲まれてますから。で、今の我々の陸上自衛隊のシステムをご覧になったら、わかると思います。韓国のシステムとはぜんぜん違います。我々は島国ですから」

玉川「私が言っているのは、ハイテクていうことだけを理由にして”徴兵制に行われない”ってことは論理的に言えない、って話をしてるんです」

佐藤「だから、ハイテクだけでなくて現代戦において、まさに素人がちょっと来てね、そのそれでその、鉄砲撃つのちょっと習ったくらいで、実際に日本の防衛」

長島「それはね、よくわかったんですけども。今、話を聞いていると、憲法18条も出てきちゃって。ちょっとまた難しくなってきてるんですよ、専門家同士のお話だから。
視聴者、僕も含めてなんですけど、要するに”9条と集団的自衛権が相反するもの”って認識として僕らにあって。解釈ですよね。憲法の違憲か合憲かも、まだ結論が出てないうちに話があって。要するに、国民の皆さんって”時期尚早じゃないか”っていうことは、あると思うんですよ。お母さん方がこれだけ真剣に聞いているってことは、”自分の息子達がもしかしたら戦争に行くんじゃないか”と。”そんなことはさせないよ”ってことの表われだと思うんですよ。
僕は1つ聞きたいんですけど。さっき佐藤さんがおっしゃったように、今回のことが、法案通ったことによって抑止力を高めるってことが、1つあるって思うんですけど。ただね、戦争に支援する後方支援する・バックアップする、となると。”戦争に巻き込まれるリスクはじゃあどうなるんだ”ってことが、僕は聞きたいんですよ。普通、ケンカをやってて、AとBがケンカしてて。”じゃあ、Aに、俺、加担するよ”ってやれば。Bからやられる確率は、絶対あるわけですよ。ケンカしてたら。個人レベルの話ですけど」

玉川「Bだけじゃないんですよ。BがCと集団的自衛権を結んでいれば、Cからも攻撃される可能性がある」

長島「”実際にこれが通ったことによって、どうなるんだ”ってことの論議が、全くされてないのに。この問題が起きちゃってるから、我々国民はあわてふためくわけですよ。そこはどうですか」

佐藤「私の息子も自衛官です。私も非常に慎重な立場で、当然、政治が1番大事なことは、自衛隊の方々が自衛のための戦争をしなくてもよい国際環境を、外交努力、作る。これが一番だと思う。一方で、いざっていう時に備えて抑止力、対処的な観点から備えをやらなきゃならない。これはわかると思う。備えっていう時に、日本の防衛っていう目的の備えと国際社会の平和安全に協力する備えって別なんです。そこは、分けて考えないと」

長島「それはね、僕もわかるんです」

佐藤「そこでまず。日本を取り巻く環境も変わって、日本も備えないといけないんです。例えばこれ、何かわかります(パネル写真を掲げて)? これが、まさに東シナ海の中間線と言われる九州から200キロの所に、こんな馬鹿でかいヘリポート付きの物がですね、これは、実は前は4つだったんです。ところが、今、もう、十何個できてるんです。この1年間に倍増しているんです。日本の目の前ですよ。尖閣には、中国の大陸にも近い所に、ヘリポートがいっぱいできてる。加えて」

羽鳥「今日は、お母さん方の疑問ていうことがあるんで」

長嶋「(佐藤議員に)それは僕もわかる。わかりました」

佐藤「そういうふうに備える時に。今までね、日本は自分だけで対応するのと、”羽鳥さんと私がお互いに平時からグレーゾーン・有事まで、お互いに守り合う”っていう形をとってるのと、どっちが相手にとって嫌か。誰が考えても、守り合う方が嫌でしょ」

長嶋「今回のことはね、安倍さんが、結局オバマに公約みたいなことしてきちゃって、4月に。”じゃあアメリカも防衛費がなかなか出ないから、日本もそこらへんは頑張ってくださいよ”って、言われてるような気がするんですよ」

佐藤「まったく(違う)」

長島「トータルで見ると僕はそう見えるんです」

佐藤「ガイドライン含めて、我々の方から」

長島「経緯を見るとそう思っちゃうんですよ」

佐藤「我々の方から、今回、特に日本をめぐる周辺環境変わったので。昔のガイドライン、これは非常に使い勝手が悪いんです。例えば、朝鮮半島と日本の間に東シナ海ありますよね。そこでアメリカのイージス艦が、仮に、日本を守るために警戒してるとします。それに日本が給油をしようと思っても、今の法律だとそこまで行けない。1回ね、ミサイル警戒をやめて日本に帰ってくる。穴が空いちゃうじゃないですか」

玉川「あまりにも専門的すぎます」

吉永「今までね」

羽鳥「(佐藤議員を制して)待ちましょう」

吉永「今までね、”結局、そういう議論わからないよ”って言ってた。でもだんだん詰まってきた時に、本当にこれは女性の感覚として、命を産み育てる者として、”これは本当に生命財産を守るのか。それとも逆に危機にさらすのか”ということ、”国と国の防衛と個人の生活がどういうふうに関わってくるのか”っていうことに、初めて関心を持った人、これは議論を見ながら”やばいな”と思ったから」

佐藤「ミサイルひとつとっても、我々の生活に影響してるんです」

羽鳥「どうなんですか。自衛隊の人って危険が高まるんですか」

佐藤「そんなことないです」

羽鳥「なんでそう」

吉永「いやそれ違う」

佐藤「今回の法案見てもらえばわかります。私も現場にいた人間ですから。今までの活動をちょっと増やすくらいのレベルなんです、実際は」

羽鳥「ちょっと増やすってことは、危険高まるってこと」

佐藤「新たな任務が増えるだけです」

玉川「新たな任務が増えたら、高まるじゃないですか」

佐藤「新たな任務が増えたら、新たなリスクは生まれます。だけど、大事なことは、リスクがね、高まるか下がるかっていうのは。”全体として抑止が上がれば下がる”って見方があります。大事なことは、”個々のケースで自衛隊がどこで何をやるか”ってことを議論しないと。千差万別なんです」

羽鳥「でもどこで何をやるかは、”そんなこと言えないよ。そんなこと言ってるリーダーいないよ”って」

長嶋「たまちゃんの質問が聞きたいんだ」

赤江「あのですね。佐藤さんのお話を伺って。今までも日本って決して無防備だったわけではなくて、日米同盟も結んでたわけですよね。今おっしゃっているような自民党の考えで進んだ場合、中国が今作っているようなガス田とかそういうのは、これからもう作られなくなる、抑え込めるようになるんでしょうか」

佐藤「まさにそこ、抑止力なんです。今ね、作った物をすぐ簡単に止める、なくすってことはわかりませんよ。新たな建設を止めるっていう効果は、間違いなくある」

赤江「間違いなくある?」

玉川「止まるんですか」

佐藤「あとはミサイルね、ミサイルについても」

玉川「いや、佐藤さん。止まるんですか、って赤江さんの質問に答えてください」

羽鳥「こういう建設は止まるんですか」

佐藤「今回、法案、我々が平時からグレーゾーンまで実際日米がしっかり守り合っている態勢を示す、こういう情報(パネル)をしっかり公開して。中国にね、こう申し入れる。これ、外交です。外交の裏付けとしてこういう情報をしっかり公開して、止めないといけない」

赤江「止めなきゃいけないのはわかるんですけど。止まるんですか」

佐藤「私はこれは止める効果が大だ、と思う」

吉永「でも、今だって日米体制はあるわけですから。安保体制はあるわけですから」

佐藤「隙間があるから、そこを今埋めようって、今回は。日本国民の命を守るために隙間が出てきましたね。むこうがね、そのままあればいいんですよ。”どんどんこの数年で変わってきているっていう時に、ほんとに国民の命を守らなくていいですか” っていう話があるんです。民主党も維新の党も、”状況が厳しくなったね”、ていうことは認識してるんです。だったら、この隙間を埋めないといけない。隙間があるんです。民主党も、法案を出す準備をしてきたんです。出しませんでしたけど。維新の党は出しました。隙間があるんです。そこをやっぱ埋めようっていうのは、自民党も民主党も維新の党も、みんな同じなんです」

羽鳥「はい玉川さん」

玉川「これね、結局、これ、”アメリカとの約束とのために、中国の脅威を使って煽ってる” っていう側面はありませんか」

佐藤「ありません。それでね、そんなアメリカとの約束じゃなくて」

玉川「それはもう、ギリシャの戦争の時代からデマゴークから、ずっとそうですよ」

佐藤「日本国民の国民の命と暮らしを守るために、自民党だけじゃないんですよ、民主党も維新の党も、みんな ”この隙間を埋めよう” ってことで。法案の準備、民主党もしましたし。維新の党は法案も出したんです」

玉川「だって集団的自衛権認めてないでしょう、維新の党は」

佐藤「維新の党は、集団的自衛権って言わないってだけで。やってることはおんなじだけど、これは集団とも個別とも言わないでやってる」

吉永「”隙間を埋める” っていうときに、”隙間を埋める” って、皆さん方は上から目線で見てますけど。隙間を埋めるのは人間なんですよ。そうすると、その人間っていうのは結局、徴兵っていう言葉は1つのあれですけど、そうじゃなくていろんな人が行かなくちゃいけない。そこを埋める側の立場の発想がこっちだ、と思って」

羽鳥「街のお母さんたちの素朴な疑問でも、これだけ話があるってことになかなか。それこそ、ここの溝が埋まんないじゃないかっていう」

長島「ちょっともう一つだけいいですか」

羽鳥「あ、もう時間がちょっとないんで」

長嶋「あ、そう」

羽鳥「佐藤さんがこの後国会に行かなきゃその時間がある、っていうことで。本当はもっといろいろとお話をしたいんですけれども」

長島「またぜひ。こういう論議がもっと必要なんです。時期尚早なのは間違いないです」

赤江「それがちょっと理解が深まってないんですよね」

佐藤「”日本を取り巻く環境がどれだけ変わったのか” っていうことを、我々もっとね、説明しないと。出発点が違っているんです」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


参加者(敬称略)
・ 佐藤 ・・・ 佐藤正久参院議員。イラク派遣で「ひげの隊長」として有名になった。
・ 羽鳥 ・・・ アナウンサー。
・ 吉永 ・・・ 評論家。ライター。
・ 玉川 ・・・ 木曜日の「そもそも総研」の担当者。
・ 長嶋 ・・・ 長嶋一茂氏。
・ 赤江(たまちゃん) ・・・ アナウンサー。

自分なりに整理ー7月17日「モーニングバード」に佐藤議員出演(徴兵制)(2)

2015-07-20 23:53:11 | 政治や経済
(3)の記事に載せたやりとりを見ながら、自分の考えを整理する。

安保法制は、これから参議院で審議される(のか? 私は、憲法に違反した法案は「無効」や「瑕疵」という言葉で終わらせるのが筋だと思っている。与党などが「対案を出せ」と言っているが。不法行為の提案への対案とは、何なのだろうか)。そこ(委員会)にはたぶんこの佐藤議員もいるだろう。事前に佐藤議員の言い分を知っておきたい。
また。佐藤議員といえば、ネットで公開されたアニメで安保法制を説明するキャラクターとして登場した人だ。だが、それは徴兵制について答える寸前で終わっているそうだ(第2弾に続くの?)。この点でも、今回の説明は興味深かった。

結論から言うと、こんな説明しか得られないなら参院での論議は無駄だ、と思った。佐藤議員の受け答え方法は、安倍首相とほぼ同じだ。以下、敬称略で失礼します。


<1. 吉永・玉川は、解釈改憲のせいで与党を信頼できなくなっている。佐藤にはそれを前提にした反論ができていない。>

集団的自衛権の行使を砂川判決を根拠に、解釈改憲で認めた。安保法制案そのものへの賛否はともかく、この経過を容認する人(特に法律家)は、本来、国や政治や社会にあまり興味がないのだと思う。なぜなら、判決文の文脈を無視した引用で正当化しているし、また、アメリカの指示を仰いだ判決だった(アメリカの公文書に明記されているのに、日本政府は認めていない)ので、純粋に法的な意味では存在意義があまりないのではないか(また、この判例を最優先している間は日本の主権はない、と言える)。
なのに、「今までの憲法の整合性から言っても、”これは認められる”っていうのが我々の解釈」(佐藤)と言ってしまう政府。「憲法18条ありますよね、苦役からの自由。これについてこれまでの過去も、いろんな答弁がある。それと比べて、”徴兵制をこれが解釈変更でできる”っていう、その論理がなければできない。だから絶対できない」(佐藤)と宣言されてもねえ・・・。
「今まで、政府は”集団的自衛権は行使できない”っていう憲法解釈を、ずっと自民党政権続けてきて。それを一内閣で変えたわけですよね。だから、今、自民党が”憲法解釈上徴兵制はできない”って言っても、それは、ある内閣、今じゃないですよ、将来の内閣が、”いや、できますよ”というふうに言った瞬間に変わってしまうってことを、みんな、恐れている。不安なんです。今まで”できない”って言ったことが、”できる”に変わったんだから。”じゃあ、徴兵制だって同じでしょ”って話ですよ」(玉川)を覆すことはできない。
それどころか。与党の顧問弁護士であるかのような西名誉教授(今回の安保法制を合憲と判定している)いわく、現行憲法下でも徴兵制は合憲であるとのこと(「NEWS23」だったかな?)。


<2.「徴兵制はハイテク化に適していない」という説>

この説は、佐藤の他にも有名無名匿名の人々が言っている。私は、6月(?)に当時思いつくだけの理由と共に、それでも徴兵制導入のメリットはある、と書いた(詳しい人間ではないので参考になるとは思えないが)。番組では、玉川が韓国軍(ハイテク化しているし徴兵制がある)を根拠に、「ハイテクていうことだけを理由にして”徴兵制に行われない”ってことは論理的に言えない」と述べた。

佐藤は答える。
i) 韓国軍は、国連軍を挟んで北朝鮮と対峙している所で「陸軍の昔ながらの陸対陸という部分もあるんです」。番組内の佐藤の発言内容からだけで考えれば、徴兵された兵士が、「穴を掘って、こう、鉄砲を撃つような時代の」ように「北朝鮮と、こう、向き合っていう形で」いるわけだ。
ii) 日本(佐藤は島国であることを盛んに言っていた)の自衛隊のようにハイテク化された部分に従事しているのは、韓国軍においては志願兵・・・ということ?

あいにく、この件は長嶋発言があったために途中で終わってしまった。

徴兵に対する訓練期間の短縮化なんて、その気になれば学校で予備の教育を導入しておけば済むような気もする。ナチスドイツでは、ヒトラー・ユーゲント達が歩兵・パイロットになるのに役に立ちそうな「遊び」「趣味」をやっていた、と読んだ記憶があるのだが(彼らは戦争末期に戦場に駆り出された)。
また。アメリカだったかなあ・・・? 何ヶ月か前に、ネット上で、四肢麻痺らしき人が頭につけた電極(?)を通して無人戦闘機(無人爆撃機だったかも)を操縦した、という記事を見かけた。真偽は知らない。が、いつか必ず実現する技術だと思う。


<3.「徴兵は苦役」と思わない社会の予感について>

「今の国民の感覚から言っても、自由とか権利を尊重する現憲法下でずっと教育を受けてた方々です。これを徴兵制ということについて、おそらく国民が同意を得るってことは限りませんし。」と言う佐藤は元自衛官。「自由とか権利を尊重する現憲法下でずっと教育を受けてた」世代である佐藤は、自衛隊に入ろうとする人としない人の違いは何と考えているのだろうか。興味深い。
佐藤自身は、意志を強く持ち続け・「システムで動きますから。単品で動くわけではないので、非常にこれ難しい」(佐藤)ハイテク化に対応してきた人だということになる。ここで、若者を自衛隊に体験入隊させて鍛える制度を口にした(現実味が出てきた昨今は、ほとんど聞かれなくなった構想)人達の感覚を思い出してみる。職業に貴賎はない、と言われるが。私は、自衛官を1つの理想像とする人達はわりといるような気がしている。
これに、「意志は作られる。短期間で軍国少年・軍国少女を作った歴史もありますから。そういう形って、いろんな国民感情に訴えれば、そういうことも可能になってくる」(吉永)を、自民党の憲法改正案や第2次安倍政権の教育政策と合わせて考えれば、いろいろ勘ぐりたくなるけどな・・・。
「ドイツは昔徴兵制度をとっていたり、スイスは徴兵制とっているんです、今も。そういう時にその人達に対して、そういうことについてそれを、徴兵制をね、苦役と言っていいのか」(佐藤による石破発言の説明)という価値観(目標?)についても、政府は国民にきっちり問いかけるべき。なし崩しはいけない(だけどやりそうな安倍政権)。


<4. ケンカへの加勢経験から、長嶋が集団的自衛権を危惧する>

「普通、ケンカをやってて、AとBがケンカしてて。”じゃあ、Aに、俺、加担するよ”ってやれば。Bからやられる確率は、絶対あるわけですよ。ケンカしてたら。個人レベルの話ですけど」(長嶋)。このような地に足のついた発想での質問に、玉川が「Bだけじゃないんですよ。BがCと集団的自衛権を結んでいれば、Cからも攻撃される可能性がある」と補足。「”実際にこれが通ったことによって、どうなるんだ”ってことの論議が、全くされてないのに。この問題が起きちゃってるから、我々国民はあわてふためくわけですよ。そこはどうですか」(長嶋)。
政治家や「安全保障の専門家」はこの点を鼻で笑う感じで受け流す。しかし、彼らが根拠にする抑止力に効果があるのは、「敵」がこちらに似た価値観などを持つ場合に限られるのではないか? 「抑止力」を呪文にするのはそろそろ時代遅れになっているような気が私はします。
呪文といえば、「私の息子も自衛官です」(佐藤)も役に立たない言葉だ。


<5. 日本を取り巻く環境の変化としての東シナ海>

「結局、これ、”アメリカとの約束とのために、中国の脅威を使って煽ってる” っていう側面はありませんか」(玉川)と思ってしまうのは、私が米ソ冷戦時代に生まれ育ったからだろう。当時、安倍晋三氏が政権を握っていたら、21世紀の日本はものすごく悲惨な状況になっていただろうな。・・・これは根拠薄弱な想像だが。
しかし。佐藤が東シナ海を強調すればするほど、冷めてしまう。それなら東シナ海に対応する、よりコンパクトな法案で充分なのではないか。さらに、去年の解釈改憲閣議決定の時から安倍首相が言い続けてきたのは、ホルムズ海峡。遠近が極端。
佐藤は、危機を裏付けるために、「隙間があるんです。そこをやっぱ埋めようっていうのは、自民党も民主党も維新の党も、みんな同じなんです」と2つの野党をあげた。しかし、民主党党内はその点で分かれていることを思えば、まさに「政治」だなあ、と。また、「維新の党は、集団的自衛権って言わないってだけで。やってることはおんなじだけど、これは集団とも個別とも言わないでやってる」(佐藤)って・・・。小林教授(維新案を「リーガル・チェック」した)は何なんだ。
それにしても、中国に関する情報って少ないなあ。いや、外国に関する情報はみんなあまりにも少ないかも。政府や関係者、数少ない研究者(多くは政府に近い)ばかりのような気がする。こういう状態であれこれ考えるのって不毛じゃないかなあ。

「”日本を取り巻く環境がどれだけ変わったのか” っていうことを、我々もっとね、説明しないと。出発点が違っているんです」(佐藤)。
日本には「危険」が他にもある。30年以上少子化は問題視されてきたが、大臣席が作られたものの効果はない(もう、廃止してもいいんじゃないでしょうか)。といって、出産数を増やすことへの代替案(移民の受け入れなど)もおろそかにされたままだ。安保については「切れ目のない」が延々と言われるが、原発事故については避難計画さえろくにないまま、原発再稼働だ。好きなこと・得意なことばかりに頑張られてもなあ・・・。
たぶん、いつの時代でも、真面目に働いている人なら、自分の専門分野に関わる危機を熱く語れる。佐藤議員も、前職が例えば医師だったら、バンデミック・臓器移植・救急医療などに対応すべく駆けずり回っていたのではないか。


<6.「自衛隊員のリスクは高まるか?」問題>

「新たな任務が増えたら、新たなリスクは生まれます。だけど、大事なことは、リスクがね、高まるか下がるかっていうのは。”全体として抑止が上がれば下がる”って見方があります」(佐藤)

これは、安倍政権が示す新たなリスク論の一例なのだ。
安保関係だけではない。ハイリスク・ハイリターン運用する年金資金を増やす判断でも使われている。

年金資金の運用をリスクを高めるのは確かだが、年金資金の枯渇というリスクは下がる。全体としてリスクを下げることになるのだ。
・・・というのが、担当官僚だか担当議員だかの説明だった(他ならぬ「そもそも総研」で知った)。

どうです? これ。
安倍政権オリジナルなのか、外国や金融業界などで流行している理論なのか。そろそろ、この理論に名前がついてもいい頃。

結局は、これまで細かく管理されてきた件を、どんぶり勘定に入れる話ではないか。「全体として」「総合的に」というのは、効果や責任を曖昧にする、物事を複雑化し曖昧にし先送りするやり方だ。
政府にとってひたすら有利な理論だと思う。

自衛隊員のリスクに戻って考える。「抑止論」を肯定する立場で(私は違うけど)。
自衛隊全体を1つの生命体と考えれば、全体として下がる。この安保法制の結果、リスクが高くなる自衛隊員はトカゲで言えば尻尾、自衛隊全体がトカゲってことだよね?

強い意志を持って仕事に臨むのは自衛官だけ?ー7月17日「モーニングバード」に佐藤議員出演(徴兵制)(1)

2015-07-20 23:52:54 | 政治や経済
出演後、佐藤議員は番組についてツイートしていた。読んだけど、ほんと、噛み合わないわけだ。

テレビ朝日の情報系番組・報道系番組は、第2次安倍政権成立後はどんどん脱報道化している。理由は、安倍政権の統制か(直接と間接がある)、政治ネタでは視聴率がとれない時代になったせいか。私にはわからないが、後者がよく言われる。だが。この番組に関しては、「報道ステーション」での古賀茂明氏の一件の後、明らかにいっそう政治から離れたようだった。
そういう番組がついに安保法制への危惧・疑問を佐藤議員と論争した。嬉しかったが心配もしている。NHK上層部の人事に始まり、安倍政権・与党とマスコミの間には、本当にいろいろあったからだ(なんと、「週間ポスト」までもです)。

佐藤議員にとっては、朝の民放番組で説明する(ネットで公開されたアニメ並みの説明か)だけの気楽な仕事だったのかもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【テレビ朝日モーニングバード、報道番組ではなく討論ワイドショーみたいでした】
玉川さんは社員?評論家?不明だが、徴兵制に前向きなのか、徴兵制にかなり拘っていた。憲法上も無理だし実際に自衛隊の現場にいた私が必要性ないと言っているのに。テレビ朝日は徴兵制に前向きなのか?疑問を感じた。
731件のリツイート 214件のお気に入り
佐藤正久 ‏@SatoMasahisa
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「徴兵制に前向きなのか、徴兵制にかなり拘っていた。憲法上も無理だし実際に自衛隊の現場にいた私が必要性ないと言っているのに。テレビ朝日は徴兵制に前向きなのか?疑問を感じた。」というのが本気での認識ならば。私は、佐藤議員の理解力も洞察力もかなり低い、と思う。
国会議員ってあれでいいのか。間違っても国の防衛に関わってもらいたくない。自衛隊にも不信感を持った。田母神氏はごく稀な例だ、と思いたかったのに・・・。

「検敵」なしに赴いたようだ。玉川氏は複数の自民党議員にもインタビューしてきた人だ。
佐藤議員はそんなふうに緊張感なしに出演したのかもしれないが。番組の方は、かなり覚悟を決めていただろう。
自衛官は命がけだ、と思っているかもしれない。でも、番組側も必死にやってる。番組関係者や自分や家族や局に何らかの被害生じるかもしれない。どうなの? 仕事において、「正しいことではあるが、これをやったらクビになるかもしれない」と悩む経験は珍しいものなのか? 
そりゃあ、命を失うのは怖いけど。人によっては、死ぬことより仕事を失うことの方が耐えられないのではないか(昭和の発想ですかねえ)。日本人の自殺者の数はまだまだ多いことだし。
自衛官にとっては、他の仕事(警官や海保官や消防官は除く?)は、強い意志も真剣さもずっと少ない、覚悟はいらない仕事なのだろうか。



ついでに。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【集団的自衛権、フルサイズと限定的は違う】
法案の集団的自衛権は、自衛隊が米国まで行って米軍を守る為のものではなく、そのまま放置をしたら日本を守れない場合限定のもの。巻き込まれるのではなく、国家国民を守る為に限定し主体的に動くもの。長嶋一茂氏はフルサイズと勘違いしていたのかも?
12件のリツイート 5件のお気に入り
佐藤正久 ‏@SatoMasahisa
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


番組でのやりとりを見ればわかるように、佐藤議員は長嶋氏の発言もよくわかっていない。また、衆院での論議も頭に入っていないようだ。
私はしみじみ思うのだが。安保法制に対する国民の理解が進んでいない」は間違っている。正しくは、「安保法制の曖昧さが、国民にはわかっている」だ。そして、もしかすると、佐藤議員は、自衛隊の派遣地域は東シナ海に限定するものだと勘違いしているのかも?
「米国まで行く」と「そのまま放置」という極端な択一しか示せないの? 「国家国民を守る為に限定」が果たして「限定」に収まるかどうかも疑わしい(このことについては講演を聞いてきたので後日メモしておく予定)。「フルサイズと限定的は違う」とか「主体的に動く」とか、甘い。本当に真剣に考えているのか?
どうしても、「福島第一原発に津波が到達するとは考えもしなかった」的な、とっても狭く想定するので「想定外」ゾーンが大きくて、ことが起きたら「そんなことがあるとは思いもしなかった」と反応して終わる人のように思ってしまう。
イラク派遣を経験した自衛官の自殺の話でも思ったが。自分が参加した任務での部下達のその後に対して、国会議員になる前にもっと詳しくなっているものではないか? 派遣されなかった自衛官より多かろうが少なかろうが、気になるもんだと思うわ。

つるの剣士は間違っている/この安保法制では、賛成も中立も間違っている

2015-07-20 23:52:36 | 政治や経済
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つるの剛士 ‏@takeshi_tsuruno 7月15日

(´3`)oO(「反対反対」ばかりで「賛成」の意見や声も聞きたいなぁって報道やニュース観ていていつも思う。
賛成派だって反対派だって平和への想い、戦争反対の想いは同じ。
大切なコトたからこそ若い子達だって感情的、短絡的な意見にならないために色んなこと公平に一緒に考えたいよね。☆)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



<1. つるの剛士は間違っている>

自信を持って断言する。「間違っている」と。

「賛成意見も聞きたい」なら。
まずは安倍首相など、政府が言っていることを聞けばいい。本人達はこの案に対する賛成意見しか言わないのだから。ちなみに、反対意見の人も政府が何を言っているかを聞いて考えている。
物足りなければ、NHK(19時と21時のニュースがお薦め)・フジテレビ(「報道2001」がお薦め)・日本テレビ(「ミヤネ屋」と「ウェークアップ」がお薦め、かな?)。
新聞なら、産経新聞>読売新聞の順で濃い賛成意見が読める。安倍首相が安保法制について語ったような雑誌もある。「Will」「SAPIO」「正論」かな? 私はよく知らないが。
「反対意見ばかりだな」と思えば、ただチャンネルを変えるだけでいいのに。



<2. この安保法制では、賛成も中立も間違っている>

これも、自信を持って断言する。「賛成も中立も間違っている」と。

法案の中身についてなら、賛成する人・中立な人がいるのは妥当だ。だが、法案を成立させる手続きに致命的な瑕疵があるのだから、それを容認するのは間違っている。
「正義」や「価値観の違い」の話ではない。民主主義や法を無効にして政治が行われることは、違法行為だ。主観的な要素はなく、ただ、違法であるという客観的な事実を前にしているのだから、他の意見があるはずがない。「違法行為はやめろ」、それだけだ。
適法に法案を成立させる手続きが進んでいるなら、法案の中身についてやっと議論できる。賛成・反対・中立、どの意見も存在し得る。だから、新国立競技場のように、まずは白紙に。それから順々にやり直すのだ。
このまま法案を成立させて良い、と言う人は。日本に民主主義・法治国家であることを止めさせるのだから、間違っている。



<3. 安倍政権は民主主義を殺しつつある>

衆院の委員会の強行採決の少し前のようだが、民主党の長妻議員・寺田議員が安倍首相とやりとりした(18日の「報道特集」で見た)。安倍首相は民主主義や憲法を形式美か何かと思っているのではないか? そんな人が選挙で選ばれ、あげくに首相になってしまうというのが日本のだめなところ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
a. 長妻議員「日本という国は、情報を制限して空気さえ作り上げれば、一気に非常に極端な方向に動く。そして、その政治家自身もそのナショナリズムをコントロールできなくなって、国があらぬ方向に行ってしまった。70年前の戦争の反省です」
b. 安倍首相「まさに今の日本の国民がですね、指導者がいいかげんなことを言えば、烏合の衆のようにそちらに従っていく、それは、長妻さん、国民に対して失礼ではありませんか。私は国民の皆様の判断・叡智を信頼しているんです」
c. 寺田議員「先ほど総理が言われました、国民の皆さんは烏合の衆ではない・国民の皆さんには正確な判断力があるんだ、というようなことをおっしゃった。私もそう思います。国民の皆さんは的確な判断力をお持ちだから、今回の法案に関して、多くの方々が反対だ・違憲だ・よくわからない・こんな中で採決は困る・・・言われてるじゃないですか」
d. 安倍首相「国民の、まさに、声に耳を傾けながら、同時に、同時にですね。国民の命と、そして幸せな生活を守り抜いていくという責任も、私達は持っている。この責任を国民の皆様から負託されているわけでありまして」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この続きでは、寺田議員が、「今、国民の皆さんは反対反対と言われてるけど、後から私達は正しいとわかってくれる」という首相の姿勢を批判する。興味深いが、今回は置いといて。

民主主義や法治国家の根には、人間への不信がある。リヴァイアサンとか。そういうのは、安倍首相の世代は高校卒業までに習わなかったのだろうか。だが、政治家であり法学部出身なのだから、どこかで習ったことだと思うの。
長妻議員の発言(a.)は、別に自虐的ではない。先進国では、自国の歴史として現代社会のあり方として、前提とされている。人間には欠点がある(そしてそういう欠点も込みで受け入れるのが深いところ)。そういう人間同士、どうやって協力して社会を形成していくか。民主主義・立憲主義・法治国家という仕組みは、そのために編み出された道具なのだ。ましてや、政治家。それも首相。それがこんな薄っぺらな「お客様は神様です」という明らかな建前を振りかざして通用すると本気で思っている? それなら、安倍首相には、大人として決定的な欠陥がある(「そうだ!」と元気良く応じる自民党議員の人達も同様)。
さらに、寺田議員の発言(c.)であっさり切り返されたのに、平然と矛盾した返答をするのだから、どうかしている。この人には「筋を通す」という矜持はないのか? 自分の独自ルールを万能扱いしたまま還暦を過ぎるという人生は、珍しいな。それが許される育ちだったんだろうな。

そう。民主主義や憲法は伊達じゃない。また、人間に自然に備わっているものでもなさそうだ。
でも、それらを使ってこの国を運営していくと決めたなら、守り通すしかない。それを放棄したからルワンダの虐殺が起きた。また、それを供えようとしない例えば北朝鮮のような国の現状は、ご免だというのが普通の日本人の感覚だろう。
日本は、民主主義であること・法治国家であることを選んだのだから。それを支持するなら、安倍政権には不支持であるのが筋というもの。筋を通してほしい。

民主主義や法治主義は、楽ではない

2015-07-20 23:52:18 | 政治や経済
「比叡の光」(偶然に見た)で安泰寺のネルケ無方住職が語っていた。修行生活・日常生活の全てをほぼ人力で大量にこなす。考えてはだめ、自我を消し去って暮らす。寺という共同体のために。「無我」? 
僧侶の修行には全く及ばないが、職場の研修での経験がある。グラウンドに集合して、「これから、宿舎に行って自分の荷物を整理してベッドメイクして着替えてここに戻って整列すること。間に合わなかった班は全員がやり直し。時間は今から15分!」というような。今いる所から宿舎までは上り坂で、歩けば5分。当然、往復を走ってもぎりぎりだろう、みたいな。「無理だ」とか時間配分とかを考える余裕はなく、とにかく言われるまま、相手の意向に沿うしかない。慣れると、まあまあ快適なのだ。自分の頭で考えるのは面倒くさいし、必死にやれば到達できる程度の現実的な目標の達成を繰り返す。しかも、連帯責任。共同体意識がほのかに芽生えるの・・・(まあ、曹洞宗の僧侶には、結局は、解脱とか何か独力でやり遂げなければならない段階が待っているのだろう)。
「日本は農耕民族だから。狩猟民族とは違う」ってこういうことか。こんなに根深い違いだとは思わなかった。
民主主義や法治国家といったものは、そういう心地よい共同体に同化しているはずの人に、自我・自分なりの考えを意識させる。利害や考えは必ずしも他人と一致しない、という厳しい現実。こうして考えてみると、めんどくさいなあ、と心から思う。何も考えず、共同体の中に沈み込んで入られたら楽かも。
しかし。やっぱり人間は別々のものだ。「共同体」って、実際に経験してみれば、かなり窮屈なんだろうな、とも想像できるし。

「イスラーム国の衝撃」のことを思い出している。著者である池内恵准教授が、西洋社会を信頼する一方、イスラム教徒には宗教改革せよ、と書いていた。それだけでなく、イスラム国帰りのテロリストについて、西欧諸国は心配ないが日本はしっかり対策を、と。私からすればアンバランスなくらいに差をつけていた。
あれはこれか、と思うようになった。
確かに、日本は西洋社会とは違う。現状で、骨身にしみた。油断すると、現在のように、民主主義や法治国家であることを保つ努力を放棄してしまうのだから(・・・というようなことを考えていたので。池内准教授も委員を務めた、湯川氏と後藤氏の事件の政府の検証委員会の報告書が、21世紀の民主主義国の物とはとても思えなかったことに驚いたものだ。「こんな報告書は中世暗黒時代のレベルだ! 名誉にかけて認めない!」と辞表を叩きつけてほしかった。現実には、委員会でにこやかに談笑する池内准教授の映像が流れたのであった。私は池内准教授の著作を理解していないのだろう)。