『運命の人』 『ふたつの嘘 沖縄密約』西山太吉記者と外務省女性事務官の機密漏洩事件

2012-01-30 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

関連;沖縄密約』西山太吉・澤地久枝・「嘘をつく国家はいつか、滅びるものです」/小沢一郎氏裁判
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〈来栖の独白2012/01/30 Sun.〉
 本木雅弘さんのファンなので、日曜夜にはTBS『運命の人』を見る。また、諸永裕司著『ふたつの嘘 沖縄密約 1972-2010』を読んでいる。
 『ふたつの嘘』は、西山太吉氏の苦悩もさることながら、夫人啓子さんの苦しみが胸に迫る。『ふたつの嘘』によれば、H事務官は卑怯であると私の眼には映る。彼女の「卑怯」が、啓子さんを一層苦しめている。40年ほどにも及ぶ険しい人生。私などには耐えられないだろう。啓子さんも、幾度も死を考えた。
 密約を結び、そのことを隠した国(佐藤内閣)が第一の加害者であり、密約を男女のスキャンダルに化けさせて隠ぺいした検察(「密かに情を通じ」と佐藤道夫検事は起訴状に書いた)、エンタメにして報道したメディア。それぞれの罪は重い。
 その体質は依然変わっていない。民主党元代表小沢一郎氏を葬ろうとする三権であるが、メディアは遂に夫婦のスキャンダルとして報道した。「それが読者への責任である」という。噴飯ものである。
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J-CASTニュース2012/1/26 18:54
離婚はなさそうだが「家を出た?小沢夫人」
さて、その野田総理に対抗する党内最大派閥を率いる小沢一郎にも、困った事態が起きていると報じている。全国紙政治部デスクが、政府高官がこう漏らしたというのだ。
「小沢は奥さんと不仲で別居しているらしい。今年に入ってから離婚したようだ」
この情報は内閣情報調査室もキャッチしているそうである。
小沢の妻・和子は中堅ゼネコン「福田組」の4代目社長の長女で、妹は竹下登元総理の弟・亘の妻である。彼女は福田組の株、深沢の自宅やマンションなどを所有する資産家でもある。かつて和子は小沢をパパと呼び、小沢に尽くしてきた。だが、小沢には結婚しようと思った女性がいた。老舗料亭「満ん賀ん」の若女将である。その彼女とはいまも付き合いが続いているといわれ、「陸山会」の政治資金規正法違反事件も相俟って、決定的破局になったというのだ。
これが事実だったら、小沢にとって致命傷になりかねない。なぜなら、小沢は資産の相当な部分を和子名義にしてあるからだ。これには小沢の資産隠しだという批判があるが、和子と離婚となれば、そうした隠し資産が明るみに出てしまうからだ。
小沢も絶体絶命か。小沢をずっと追いかけてきたライターの松田賢弥に真偽を聞いてみた。彼の答えは「離婚はノー」だった。「満ん賀ん」の元若女将とはいまでも続いているが、それは和子も知っているし、そのこともあって家庭内別居状態が続いている。和子と息子たちの財産は確保してあるので、いまさら離婚することは考えられない。小沢の地元へも行ってきたが、後援会の人間は和子がだいぶ顔を出していないことは事実だが、離婚については「聞いていない」と否定したそうである。さて、いまのところこの記事の真偽は?である。新潮はぜひ後追い取材を続け、さらなる裏付けを記事にしてほしいと思う。それが読者への責任である。
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『ふたつの嘘 沖縄密約 1972-2010』

   
p14~
 夏の夕暮れ前、玄関から続く暗い廊下に一瞬、光が差し込み、蝉時雨がなだれ込む。続いて、新聞受けがコトンと音を立てた。
 もう、そんな時間なのか。西山啓子(ひろこ)(74歳)は台所を離れると、新聞受けを開いた。毎日新聞の2009年7月26日付夕刊を手にテーブルに戻ると、一面から順に記事を追う。最後のページをめくり、社会面に目を落としたときだった。
 「あっ」
 下段の片隅にある顔写真に目が留まり、声にならない叫びが胸のうちで消えた。そこにあったのは、まぎれもなくあの人の名前だった。
 〈佐藤道夫さん 76歳(さとう・みちお=元札幌高検検事長、元参院議員)15日、死去〉
 啓子は自分でも驚くほど落ち着いていた。2009年7月16日付の毎日新聞夕刊。短い訃報を読み進めていくと、やはり、そのくだりはあった。
 〈東京地検時代の72年に外務省機密漏えい事件を担当、「ひそかに情を通じ」と書いた起訴状が議論を呼んだ〉
 もう40近く前のこととはいえ、忘れることはない。
 1972年3月、当時の社会党議員が国会で、沖縄返還をめぐる密約があったのではないか、と政府に迫った。振りかざした右手には、密約の証拠となる外務省の機密電信文の写しが握られていた。
 政府はかたくなに否定した。
 まもなく、電信文に押されていた決裁印から漏洩元が判明する。毎日新聞政治部の記者だった夫が外務省の助成事務官から入手し、社会党議員に渡したのだった。夫と電信文を渡した女性事務官は国家機密を漏らすことに手を染めたとして、国家公務員法違反の疑いで逮捕された。(~p15)
p80~
 しかし、啓子に父の代わりはできない。両親の不仲を感じ取っているであろうこどもたちに、なにをしてあげられるというのだろう。
 不思議なことに、夫のいない空間にはどこか歯の抜けたようなさびしさが漂っていた。 なぜだかふいに、居間の片隅で背中を丸めていた夫の後ろ姿が甦る。続いて、精も根も尽き果てたかのような、うつろな目。眉の間に刻まれた二本の皺。そして無精ひげ。あんなにも変わってしまうものなのか。
 裏切られたのはまぎれもなく自分なのに、啓子はその痛みよりも、遠く離れた夫のことが気がかりだった。同情と憤り、虚しさと哀しさが入り混じりながら、放っておくことができない。このまま命を絶つのではないかと心配になる。気持ちは離れているにもかかわらず、このまま終わってしまっていいのか、との思いも消えない。別れを考えながらも、断ちがたい思いに揺れていた。
 ある日、啓子のもとに北九州の義母から電話が入った。
 「薬を持っているようだけど、大丈夫かしら」
 夫がどこからか睡眠薬を大量に手に入れたというのだ。しかし、どうすることもできない。死なないでほしい。ただ、祈るしかなかった。
 でも、夫は死を選ばなかった。
 死んだら負けたことになる。嘘をついた政府から、ほらみたことかと見下される。そう思って踏みとどまったのだと、あとで知った。
 啓子もまた、死を思うようになる。
 ある日、気がゆるんで疲れが出たのか、まぶたが重くなった。畳に横になると、すうっと誘い込まれるように眠ってしまった。そんな日が続いた。(略)
 頭では、命を絶つことなどできないとわかっていた。そうしようと思っていたわけでもない。ただ、疲れはてていた。夫は東京から逃げ出したが、啓子にはこどもを置いて逃げる場所はない。
 ああ、楽になりたい。なにもかも投げだしたい。
 そんな思いが一瞬よぎったのだった。
 それでも、なんとか生きていかなければならない。(~p82)
p100~
 夫が「天職」と自負していた新聞記者の職を追われたのは42歳のときだった。
 当時、その名前は社内外に知られていた。
 たとえば、第2次池田内閣時代に、ふたつの大きな特ダネをものにしている。
p101~
 啓子は結局、北九州に居を移すことにした。生ける屍のようになってしまった夫とともに暮らす道を選んだのだ。バブル経済がはじける直前のことだった。
「このまま別れたら、主人は文字どおり、だめになる。国からも、社会からも、新聞社からも捨てられ、そのうえ私が捨てたらと思うと・・・。踏ん切りがつかなくなってしまったのです。普通なら愛想を尽かしてもおかしくないんでしょうけど、なぜでしょうね」
 地の果てというイメージを抱いていた夫の故郷には、どこか荒んだ香りが漂っていた。
 〈略〉
 夫は、早世した義父が興し、親族が経営する青果会社で働いていた。毎日新聞を辞めたあと、拾ってもらうようにして仕事についたのだった。
 市場の朝は早く、午前4時には出かけていく。夕食に戻るまで、どこで何をしているのか、啓子にはわからない。
 九州一円で開かれる産地会議に足を運び、生産者や荷受業者を前に頭を下げる。それまで自民党の実力者や閣僚たちと侃々諤々の議論を重ね、堂々と批判する記事も書いてきた夫にとって、自分を空にしなければ、とてもできないことだったろう。それまで身を置いてきたのとは、まったく異なる世界だった。
 そしてギャンブルにのめり込んだ。狂った、と言ってもいい。
 仕事の合間を縫って競艇場に通いつめ、世間の目から逃れるように群衆にまぎれると、水しぶきを上げて競い合うボートを眺めた。
p102~
 啓子の前で、その妹は言った。
「よく兄と一緒に暮らせるわね。私ならとっくに別れてるわ」
 匙を投げてもおかしくない。いや、匙を投げるほうが自然かもしれない。
 実際、離婚するしかないと思い定めて、知り合いの弁護士のもとへ相談に行ったのも1度や2度ではなかった。そのたびに、別れるというのは大変なことですよ、と諭された。たしかに、啓子は職に就いたことがなく、ずっと夫の稼ぎで暮らしてきた。それだけに、自分で働いて稼ぐ自信があるわけではなかった。
「いつでも帰ってこい」
 父はそう言ってくれていたが、実家に迷惑はかけたくなかった。それに、母の辞書に離婚という二文字は存在していないようだった。
p105~
「心の底のどこかに、これではあまりにもかわいそうすぎるという気持ちがあったことも確かでした。最後までしっかり生きてほしい。このままで終わってほしくない、と」
 別れを選択しなかったのではない。一緒にいることを選択したのでもない。どちらも選択できなかった。選択できないまま日々に押し流されてきた、というほうが近いのかもしれない。

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検察を支配する「悪魔」 意図的なリークによって、有罪にできなくとも世論に断罪させようとする
検察を支配する「悪魔」 大衆迎合メディアが検察の暴走を許す---田原
 マスコミを踊らすなんて、検察にとっては朝飯前なんですよね。
 最近の事件で言えば、堀江貴文の事件。堀江は拘置所に入っているにもかかわらず、マスコミには堀江の情報が次々と出てきた。あれは検察がリークしたとしか考えられない。
 最近はとくに意図的なリークによって世論を煽り、有罪にできなくとも、世論に断罪させて社会的責任を取らせようとする傾向が強くなったように思う。
 情報操作によって世論を喚起した事件として思い出すのは、沖縄返還協定を巡って1972年に毎日新聞政治部記者、西山太吉と外務省の女性事務官が逮捕された外務省機密漏洩事件です。
 西山記者が逮捕されたとき、「言論の弾圧だ」「知る権利の侵害だ」という非難が国民の間で上がった。
 そこで、検察は起訴状に「西山は蓮見(女性事務官)とひそかに情を通じこれを利用し」という文言を盛り込み、批判をかわそうとした。この文言を入れたのは、のちに民主党の参議院議員になる佐藤道夫。
 検察のこの目論見はまんまと成功、西山記者と女性事務官の不倫関係が表に出て、ふたりの関係に好奇の目が注がれ、西山記者は女を利用して国家機密を盗んだ悪い奴にされてしまった。
 本来、あの事件は知る権利、報道の自由といった問題を徹底的に争う、いい機会だったのに、検察が起訴状に通常は触れることを避ける情状面をあえて入れて、男女問題にすり替えたために、世間の目が逸らされたわけです。
 西山擁護を掲げ、あくまでも言論の自由のために戦うと決意していた毎日新聞には、西山記者の取材のやり方に抗議の電話が殺到、毎日新聞の不買運動も起きた。そのため、毎日は腰砕けになって、反論もできなかった。
 さらに特筆すべきは、検察の情報操作によって、実はもっと大きな不正が覆い隠されたという事実です。『月刊現代』(2006年10月号)に掲載された、元外務省北米局長の吉野文六と鈴木宗男事件で連座した佐藤優の対談に次のような話が出てくる。吉野は西山事件が起きたときの、すなわち沖縄返還があったときの北米局長です。
 その吉野によると、西山記者によって、沖縄返還にともない、日本が400万ドルの土地の復元費用を肩代わりするという密約が漏れて、それがクローズアップされたけれど、これは政府がアメリカと結んだ密約のごく一部にしか過ぎず、実際には沖縄協定では、その80倍の3億2000万ドルを日本がアメリカ側に支払うという密約があったというのです。
 このカネは国際法上、日本に支払い義務がない。つまり、沖縄返還の真実とは、日本がアメリカに巨額のカネを払って沖縄を買い取ったに過ぎないということになる。
 こうした重大な事実が、西山事件によって隠蔽されてしまった。考えようによっては、西山事件は、検察が、佐藤栄作政権の手先となってアメリカとの密約を隠蔽した事件だったとも受けとれるんです。
 西山事件のようにワイドショー的なスキャンダルをクローズアップして事件の本質を覆い隠す手法を、最近とみに検察は使う。
 鈴木宗男がいい例でしょう。鈴木がどのような容疑で逮捕されたのか、街を歩く人に聞いてもほとんどがわかっていない。あの北方領土の「ムネオハウス」でやられたのだとみんな、思いこんで
いるんですよ。しかし、実は北海道の「やまりん」という企業に関係する斡旋収賄罪。しかも、このカネは、ちゃんと政治資金報告書に記載されているものだった。
 興味本位のスキャンダルは流しても、事の本質については取り上げようとしないメディアも悪い。いや、大衆迎合のメディアこそ、検察に暴走を許している張本人だといえるかもしれませんね。
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沖縄返還密約を題材にした山崎豊子氏のドラマ『運命の人』(TBS系)に、「名誉を傷つけられた」 
 読売会長、TBSドラマにブチ切れ!オレは“たかり記者”じゃない
 ZAKZAK 2012.02.07
 読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長(85)が週刊誌に怒りの手記を寄せた。・・・・  
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秘密保全法案 政府の情報隠ぺい体質/国家秘密法案にもなかった警察官僚の影/一般市民も重罰の恐れ  

                  

「隠蔽だらけの民主党が進める秘密保全法(反情報公開推進法)を許してはならない」西山太吉氏が警告


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