杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 は、自身の能力(ギフト)であるヘブンズドアを発動し
大郷楠宝子 - 内田理央 の頭の中にある本を読んでいた。
彼女と当時付き合っていた庭師のアルバイト釜房郡平 - 渡辺大知 が離れの二階で言い争っていた頃
本宅では、楠宝子の父親 大郷宝生 - 井上肇 のところに 高窓修一 - 中島歩 が挨拶に来ていた。
父親が楠宝子を離れから呼ぶので、座敷で待っているように伝えようとしたところ
修一は楠宝子のいる離れに行ったことがないので、自分で呼びに行きたいと言い出す。
その頃、離れでは
廊下にいて帰ろうとしない郡平。
早くしないと、今日は修一が訪ねてくる日である。
昨日買って彼女が行けていた百合は、来客があるために飾っていたのだった。
楠宝子は部屋で郡平が放り投げた封筒を持って、廊下にいる郡平に話しかける。
本当は私だってアナタと・・・、でも家を守るためには。
廊下にいる郡平に封筒を渡そうと、彼の所へ戻る。
動かない郡平に楠宝子が触れると、後ろにあったゴルフバックと一緒に郡平が倒れ込む。
え、どうやって?と思うだろうが、郡平はゴルフクラブが頭に当たり、血を流していたのだ。
(彼女の本の中では、その時まで華やかだった色彩が失われ、モノクロになっている。)
最初は郡平がふざけていると思ったのだが、身体からは血液がどんどん流れている。
彼の心臓が動いておらず、呼吸もしていないことを確かめた楠宝子。
間違いなく彼女に落ち度のない事故であるのだが、この状況だけをみれば・・・。
これって、私が殴った(殺した)みたいじゃないのっ!
混乱する楠宝子。
救急車を呼ぼうとも考えたが、もし死んでいたら・・・。呼ぶのは救急車ではなく、警察の方?
ピンポーン
すると、玄関で呼び鈴の鳴る音がした。
父親と修一が玄関の外に来ており、離れに上がって来たいというのだ。
居留守を使おうとしたが、修一がカーテン越しに影が見えたと言い、再び玄関の扉を叩き呼び鈴を鳴らし始める。
合鍵を持って来ようとした父親たちに、堪らず楠宝子が返事をする。
横たわる郡平をまたいて飛び越え、着物も髪も乱れたまま二階の階段上から玄関に向かって返事をする。
お父様っ!
なんだ楠宝子、いたのか。
ごめんなさい、ちょっと片付け物をしてたからっ!
修一くんが見えてるんだ、こっちに入ってもいいだろっ!
修一さんがっ、まぁ嬉しい。
楠宝子は返事をしながらも、どこに郡平の遺体を隠し、どこに父親たちを案内するかを考えて離れの屋敷の中を走り回る。
でも、今ちょっと手が離せなくて・・・。終わったらすぐ向かいますから、本宅で待っていただいて。
確かに、嘘はついていない。急いで郡平の身体から流れた血を拭き取っている。
そうか、じゃあなるべく早くな。
そう言って父親は離れから去って行く。
隠そう、隠すしかない。
焦りながらも、郡平の遺体を隠す選択をした楠宝子。
彼の遺体の脚を持って廊下を引きずろうとしたが、重さに倒れ込む。
すると、もう亡くなって心臓が動いていない筈なのに、血液がどんどんと彼の身体から流れ出ていることに楠宝子は気づく。
もしかしたら、まだ生きているのではと一瞬思ったのだが、血液が流れ出ているだけで彼は間違いなく死んでるのだ。
それにしても、人間は死んだ後もこのように出血するのかと驚いた。
とにかくこの血液を拭き取らなければと家じゅうのタオルを持ってくるが、血だまりに足を取られ廊下で転んでしまう。
つまづいたまま懸命に廊下の血を拭く。
なぜかわからないが、まるで血液が流れ出たことが理由のように郡平の身体は水分が抜け、しわしわになっていく。
なんなの、なんなのコレ。なんなのよぉ。
ドン、ドン、ドンッ!
すると、父親と一緒に本宅に戻っていた筈の修一の声が聞こえてきた。
楠宝子さん、待っててくれって言われたのに、ゴメン。
でもいい機会だから、2人だけで話がしたくてね。
彼は本宅には戻らず、そこにいたのだ。
お父様から、合鍵を貸してもらった。
入ってもいいかな。
ダメよ、絶対に入っちゃダメっ!
今着替え中なの、だから待ってて!
家の中で、何か血を止められるものを探し回る楠宝子。
楠宝子が本当に一人なのか、他に好きな男がいて、そこに一緒にいるのでは?
そんなことを言い出す修一。(まぁまぁ当たってます。)
合鍵までもらってみっともないけど、どうしても確かめたいし君と話したい。
だから開けるよ、いいよね。
離れの屋敷の中で楠宝子は裁縫の道具箱を取り出し、郡平の傷口を詫びながら縫っている。
郡平ゴメンナサイ、でも悪いのはアナタよ。
ワタシは悪くない。
しかし、それを遮るかのように郡平の血液が噴き出してくる。
驚いて声をあげてしまった楠宝子。
その声に心配した修一。鍵を開けようとして、鍵穴とあっていないことに気づく。
先日、母親が離れに入って来ようとしたため、郡平と付き合っていたことがバレるのを心配した楠宝子がカギを交換したのだ。
安心したのも束の間、修一は扉のガラスを割って鍵を開けようと壊し始める。
楠宝子は、畳表のような茶会用のゴザを広げそこに郡平の遺体を乗せ、シーツを被せて巻くように包んだ。
とうとう修一が玄関で靴を脱ぎ、楠宝子の名前を呼んで上がり込む
二階に駆け上がってみると・・・。
楠宝子が着物に割烹着姿で、廊下の箪笥の扉を拭いていた。
え、今の悲鳴は・・・。
ゴメンナサイ、虫がいたからぁ。
修一に背を向けたまま、優しい声で答える楠宝子。
(でも、頭の上・・・つか、箪笥の上にはあのゴザがあります。)
修一さん、私に他に好きな人がいるだなんて、本当にそう思っているんですかぁ。
いえ、すまない。(照)
本宅で待ってるよ。
彼女は修一の方を見ずに会話を続けた、いや見ることはできなかったのだ。
なぜなら、
ゴザから数滴ずつ流れていた、郡平の血液を口で受け止めて飲んでいたのだから。
お願い止まって、郡平。ワタシを許して・・・。
彼女の祈りにも似た気持ちだった。
彼女の本を読んで驚愕する露伴
なんだ、これは。
この郡平という男は一体。
楠宝子の本に書かれた内容に、驚きながらも先を読み進める露伴。
事件の日の夜中、楠宝子は郡平の遺体を山に埋めることにしたようだ。
血液の抜け続ける郡平の身体は軽くなっており、無理をしなければそれほど出血しないため
彼女一人でも始末できると判断したらしい。
離れの廊下で郡平の身体を引きずっているとき、うっかり百合を飾った花瓶が倒れてしまう。
驚いたことに、倒した花瓶の水が郡平にかかると、シワだらけの郡平は吸水して姿が戻るのだ。
寝てるみたい、綺麗。アナタの顔好きだった。
嫌いで別れ話をしたわけではない、憐憫の情さえあったのだ。
先ほどまで山に遺棄しようとした遺体へ、口づけをする楠宝子に露伴は驚く。
集会所の二階から駆け降りた露伴。
何かを確かめようとするつもりだ。
一階には、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ が小学生から凄い情報が取れたと言う。
この子は、櫂(かい) - 吉田奏佑 くんって言うんですけど、なんと山でぇ~。
分かった、そっちは君に任せる。
そう言い残して、露伴は集会所を駆け出して行くのだった。