てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

准教授・高槻彰良の推察 2話(後編)

2021年09月11日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

こちらは、准教授・高槻彰良の推察 第2話(後編)になります。

翌日の研究室


姉の琴子が昨日の学食での出来事を、「お騒がせしました。」と詫びている。

高槻:お聞きしたいことがあります。あなたが見た人形は、どのようなものでした?
琴子:どのようなって、藁でできた人形ですけど。
生方:(藁人形を持ってくる。)こういうものですか?
琴子:これです。
高槻:これは昨日の藁人形です。貴女が見たものも、こんな風に針だけが刺さっていたんですか?
琴子:はい。
高槻は、ボードに向かい歩き出し、生方は「そうですかぁ~」と藁人形を持ち上げる。

琴子:よく触れますね。
生方:怖がる必要はないんです。これは呪いの人形じゃなくて、「藁でできた単なる人形」ですから。
琴子:へっ?
高槻が、どうみてもヒトデにしか見えない絵に、杭のようなものを刺した図をボードに書き込んでいる。

高槻:藁人形とは、こういうものです。(ドヤ)
尚哉:先生、絵じゃない方が判りやすいです。
高槻:そぉ?
尚哉:はい。
高槻:あ~、藁人形で人を呪うことを「丑の刻参り」と言います。丑三つ時、つまり午前2時から2時半の間に白装束で頭に三本のろうそくを刺し、神社の御神木に呪う相手に見立てた藁人形を打ち付ける。つまり、かなり厳密に作法が決められたものなんです。その作法の一つに、「使うものは五寸釘である」というものがある。

生方:これです。一寸は約3センチですから、長さ15センチの釘です。
高槻:つまり、針じゃ丑の刻参りにならない。それに藁人形が落ちていたという木の周りをまわりましたが、藁人形が打たれた痕も残っていませんでした。この藁人形を作った人物の目的は、呪いをかけることではなく、驚かしおびえさせることだと思います。
琴子:でも。
高槻:ところで琴子さんは、今年でおいくつですか?
尚哉:(え、それ聴く?)
琴子:今年で24ですけど。

キャンパスのベンチ

尚哉がスクラップ記事のような紙を持って、座っている高槻に駆け寄ってくる。どうやら図書館にあった、姉琴子の選手時代の記事のようだ。

高槻:彩音さんがもらっていたメダルと同じだね。
尚哉:へっ?
どうやら、以前尚哉がスマホで見せた彩音の画像と比べているようだ。精神の宮殿よろしく、頭の中のページをめくっている。琴子の年齢から、その当時の大学新聞の記事を探しているらしい。尚哉は、生方が言っていた「彰良先生は、一度見たものは忘れないの。」という言葉を思い出し

尚哉:先生は、一度みたものは忘れなっいて本当なんですか。
高槻:全部記憶をしていて、録画を再生するみたいに記憶をたどれるんだ。「超記憶症候群」とか「瞬間記憶能力」っていうのかな。
尚哉:生まれつきですか?
高槻:12歳から。
尚哉:へぇ~。
高槻:違う。(ふっっとみつけたらしくだから初めてなんだよ。ちょっと確認したいことができたから、先に行くね。19時頃。この前の佐々倉古書店。
と、尚哉を残してベンチを一人去っていってしまった。

19時、佐々倉古書店と書かれた暖簾をくぐって、尚哉がやってくる。
店主の女性が「あぁ、聞いているわよ。」と、高槻から聞いている様子。

ここで、最後まで書いたブログのデータが飛びました。これぞ怪異!(ゴーナキ)

二階にあがると、強面のサングラスの男が本をバックに入れて万引きをしている様子をみてしまい。尚哉は慌ててしたに降りてきます。花江に「警察を呼んだ方がいい」という尚哉。
降りてきた男が「警察?呼んだか?俺は警視庁の刑事だ。」といい
店主は「それで私の息子。」と言った。
高槻がやってきて、強面の男「健司」が高槻の幼なじみであることを尚哉は知る。

健司が「視聴草」と書かれた古書を、高槻に渡す。
自分の考えていたとおりの状況だったらしく
残念だけど、そう簡単に本物の怪異とは出会えないみたいだ。と人差し指を鼻に充てる高槻。

今日の用事はこれまでで、店主花江のオイシイ手料理をみんなで食べようと高槻が言い出す。
花江が尚哉をお手伝いに指名し、二人は奥のキッチンに向かう。
健司は、高槻に
あいつなのか、ついに見つけたってことか、あいつはどんな経験をした。
と尋ねるが、高槻はそれは本人の口から健司に言うまで、自分からは言えない「いくら健ちゃんでもね。」と答えるだけだ。

翌日、研究室に彩音と琴子の姉妹が来ている

高槻:琴子さんも優秀な選手だったんですね。貴女は初めてここに来た時、大変緊張していて(研究室なんて初めてで緊張してしまって、と言っていた。)高校時代の恩師に話を聞いたところ、琴子さんは大学進学で競技を続けることを希望していたが、家庭の事情でそれを断念し就職した。青和大学にスポーツ奨学金制度ができたのは翌年のことで、あと一年遅ければあなたは大学に進学できていたかもしれない。

琴子:今日は呪いの話なんですよね。
高槻:この視聴草(みききぐさ)という本は、元は江戸時代に書かれていた本で、その中には「奇病」という話がある。薬屋に奉公していた14歳の梅は、身体のあちこちが痛いといい、痛いところをさすってやるとそこには針の先端が飛び出していた。(高槻はボードに歩みだし「怪異」「現象」「解釈」と書き始める。)いくら治療しても効果がないため、梅は実家に帰され、家に戻ると病気は出なかったという。母親はこれを「イタチの仕業かも」と答えたそうだ。怪異というのは、現象と解釈で成り立っている。身体から針が出てくるという現象を、当時の人々は「イタチのせい」と解釈したわけだ。これは江戸時代の解釈で、僕たちは現代人として解釈をしなければならない、梅の身体は、奉公先では治療の効果が見られなかったのに、実家ではそうならなかった。通常はいじめか虐待を考えられるが、でも僕はもうひとつ別の可能性があると考えた。梅が自分で自分の身体を刺していた可能性。家に帰りたかった少女は、自分で自分の身体を刺していたのではないかな。

というものだ。高槻は彩音にどう思うか尋ねる。

彩音:どう思うって。
高槻:梅の気持ち、わかるんじゃないかな。
彩音:わかりません。
尚哉が苦痛に顔を背けている。高槻は、藁人形も針も彩音が自分でやったことではないかというのだ。

琴子:彩音がそんなことする理由がありません。
理由は梅と同じで、逃げ出すためだと言う高槻。

琴子:何から逃げるんですか。念願の大学進学ができて、自分の才能を存分に伸ばせる環境にいるんですよ。
高槻:そう、そのうえ夢を諦めたお姉さんが、必死で自分を支えてくれている。なのにどうも調子が出ない。人は説明のつかない事態を恐れる、だから彩音さんは解釈を無理に作り出した。「自分が呪われているからだ」って。チームメイトが話していましたよ。琴子さんが彩音さんの練習につきっきりで、誰かが彩音さんのシューズに針を入れることは無理だって。だとすれば針を入れられる人間は、二人に絞られる。彩音さんか琴子さん。二回目に藁人形が出てきたとき、そこに琴子さんはいなかった。もうこれ以上、言う必要はないね。チームメイトが「彩音さんが本気を出せていない」と言っていたよ、プレッシャーで集中できなくなっているんじゃないかな。

琴子:そうなの。どうしてそんなに自分を追い込むの。
彩音:お姉ちゃんが、自分を犠牲にしてるから。自分が恵まれているのは分かってます。でも、チームメイトにはもっと恵まれている人もいて、新しいシューズも買えて、そんな人と戦う自信ない。最初にタオルに針が紛れ込んでたとき、そのあと思うように記録が出なくても、お姉ちゃんそのとき「さっきあんなことがあったもんねぇ。」って言ってくれて、すっごく楽だった。
琴子:あたしは、自分が犠牲になってるなんて思ってないよ。

高槻:そうだろうか。あなたは僕が「藁人形は呪いではない」と言ったとき、不満がある様子だった。なぜなのか、私がここまでしてるのに彩音の不調は呪いくらいしか考えられない。そう思っていたから。
あなたもまた、解釈を求めていたんです。

琴子:そう、かもしれません。ごめんね。
彩音:お姉ちゃん。ごめん。
涙ぐみ手を取り合う二人。

彩音:お姉ちゃんにはこれからも応援して欲しいの。
琴子:もちろん、ずっと応援するよ。
尚哉は二人の声の歪みに、この二人ないわーと苦しみ。高槻はそれを見ている。

天神様の境内を歩く高槻と尚哉。

高槻:二人の最後に言った言葉が嘘だったってわけだ。

尚哉が残念そうに、それは嘘だったことを伝えると「それは良かった。」と高槻が言った。どうしてかを尋ねる尚哉。

高槻:二人はこれからもお姉ちゃんに応援して欲しい、ずっと応援するっていったよね。その言葉が歪んだのは、彩音さんはお姉さんの重圧を跳ね返す決意ができたし、琴子さんは妹に干渉しないって決めたってことだと思う。

少なくとも僕はそう解釈する。と、高槻は言った。

高槻:ここは菅原道真をお祀りする天神様だ。天神様では「鷽替えの神事」という行事をやるんだけど、知ってる?
菅原道真が蜂に襲われたとき、この鷽(うそ)という名の鳥が飛んで助けたことが由来していて、この鳥の名前:うそ と嘘本当のウソが、同じ音だから生まれた神事だ。前の年にあった嫌なことは、全部うそだったことにして、新しい年はいい年になることを願うとても前向きな行事だよ。
現象と解釈だ。うそという現象にも、いろいろな解釈が成り立つ。いつも失望する必要なないよ。

高槻はそういって、境内を歩き出すのだった。

ここで、データが合計三回飛びました。

高槻:改めて、僕の助手をしてくれないかな。嘘が判るからじゃないよ。今回みたいなことをして欲しい。
尚哉:俺なにかしました?
高槻:僕は怪異のことになると興奮して、常識が判らなくなってしまうんだ。そんなとき止めてくれたじゃない。あと、ものすごく方向音痴だから、これからは道案内もお願いしたい。
尚哉:俺でいいんですか?
高槻:深町君がいいんだよ。
尚哉:それなら。
良かったと嬉しそうに歩き出す高槻。
この少年みたいに喜ぶ人が、俺を探し当てたのかもしれない。俺の方が引き寄せられたのかもしれない。そう考える尚哉だった。

鳥居にさしかかるころ、カラスが枝から飛び立っていき、驚いた高槻が頭を抱えてしゃがみこんだ。

先生、大丈夫ですか。

尚哉が近寄ると、「鳥が苦手なんだ。」という高槻の両眼は、一瞬だけ色が青く変わっていた。
立ち上がり、そのまま境内から去って去っていく高槻たちを、木陰から男がタブレットで撮影している。

(尚哉の声)

どちらにしても、この人が怪異を探す理由を僕が知るのは、もう少したってからのことだった。

 

第2話はここまで
ワシ、もつだろうか。この1本作るのに11時間かかりました。

いや、データ飛びすぎでしょうがっ!

第2話

黒木(高槻の父の秘書) - 夙川アトム(第4話)

山崎綾音(青和大学陸上部の新入生) - 山田杏奈

山崎琴子(綾音の姉) - 金澤美穂

細木まりな(青和大学陸上部員・1年生) - 喜多乃愛

夏目春(青和大学陸上部員・1年生) - 三浦理奈

相沢香織(青和大学陸上部・マネージャー) - 石川萌香


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