K巨匠のいかんともなるブログ

K巨匠:英国から帰国後、さらに扱いづらくなった者の総称。
また常に紳士的ぶりつつも、現実には必ずしもその限りではない。

経済政策を見る視点

2010-03-02 00:54:52 | 日本情勢
経済政策というのはよく耳にする言葉であるが、
その範疇にはあらゆる種類の政策を含むために全容を把握しにくい。
そこで、この記事では経済政策(特に日本の経済政策)を見るためのKなりの視点を整理したい。
尚、中央銀行による金融政策はここでは扱わない。


経済政策とは何でどうあるべきか。
これについて、Kは三つの視点から見るようにしている。


第一に、財政健全化の視点。
これは直接的には経済政策といえないかもしれないが、
経済と強い関連をもつことを勘案すればこの視点は重要である。

財政健全化とは、①歳入を増やし、②歳出を削ることである。
歳入増加に関して、例えば消費税が重要である。
消費税はその他の税よりも安定的収入が得られる反面、
民主主義社会においては国民の支持を得にくい。
なので、選挙の度に低い消費税を公約した政党が当選し、
財政健全化への道が遠のくという「消費税の罠」に陥る可能性も否定できない。
現在の政府も消費税を少なくとも四年間は上げないことを公言しているので、
今後その他の税による歳入増加の議論がなされるだろう。

また歳出を削るという側面も重要だ。
特に昨今では公務員が目の敵にされているので、
公務員制度改革や独法改革などが歳出削減の中心となっている。
これは消費税などとは異なり国民の賛同が得やすい反面、
その削減量には上限があり、また削減対象を間違えると国力低下を招きかねない。


二つ目の視点は、景気対策である。
このことを指して経済政策と呼ぶ場合も多い。
(中央銀行ではなく)政府の行う景気対策は、支出と規制に関するものに分けられる。
政府が支出を行うことによる景気対策は、公共工事から子供手当まで多様である。
この点について考えるべきは乗数効果が見込まれるかということ。
つまり、政府の支出に対して何倍もの景気浮揚の効果があるかということ。
例えば、子供手当はほとんどその効果はないと思う。
一方、最近若干議題に上がっている法人税の減税は効果的だろう。

次に規制を緩和すること。
規制とは政府の重要な役割の一つで、人々の行動をある一定の方向に導くことである。
それが経済政策の一環となるのは、
ある種の規制が企業の競争力を阻害している可能性があるからである。
逆にいえば、緩和すれば競争力を高められる規制もある。
小泉政権の反省からか現政権ではあまり議論に上がっていないようだが、
規制改革は非常に重要な経済対策となりうる。
また前者と違って支出も伴わないので、今後間違いなく議論となるだろう。


第三に、分配の視点である。
分配はそれ自体では景気対策とならないことが多いが、
社会を経済的な側面から安定させるという意味では経済政策の一環と考えてよいだろう。
特に重要なのは、経済的なセーフティネットの議論である。
規制緩和を続けて競争社会を目指せば、格差を広げてしまう恐れがあるからだ。
(もうすでに格差社会かどうかはさておき。。)
例えば、デンマークのような国は、厚いセーフティネットと共に強力な競争政策を行っている。
それを日本が目指せばよいという単純なことを言うつもりはない。
ただし、誰が経済政策の利益を享受するのかということを考えるためには、
経済的な分配政策も、経済全体のパイを拡げる景気対策と同様に注視する必要がある。


この三つの視点の強弱と組み合わせ如何で、経済政策の特徴は大体説明できるように思う。

以上、雑観。

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