英国に留学していた時のことだ。
友達に「なぜ日本人は留学しないの?」と問われたことがある。
もっともな疑問だ。
Kの留学中、中国人やインド人は多かったが日本人の留学生はほとんど見かけなかったからだ。
単純な人口では中国やインドの方が多いが、
留学することができるほどの富裕層はまだまだ日本人の方が多い。
それなのに何故いないのか。
その時Kはこう答えたことを覚えている。
「日本人は別に留学しなくてもやっていけるんだよ。」
もちろん文化の差や家庭的・言語的要因など他にも理由はあるだろうが、
「留学しなくても大丈夫」という安心感が一番大きいのではないだろうか。
そして友達はいった。
「いいね。日本人はうらやましいよ。」
もちろん彼は皮肉で言ったわけではないが、少し複雑な気持ちになったのを覚えている。
***
なぜ日本人は留学しなくてもやっていけるのか。
その答えは1億2千万を有する巨大な成熟市場にある。
この数字は世界の人口比では50分の1にも満たない。
それでも、(特に昔)日本市場は大きな意味を持っていた。
なぜなら、かつては企業がターゲットとする市場は、
一定の経済力のある中間層以上に限られていたからである。
そのため、北米、ヨーロッパ、そして日本を中心とする一部のアジアが有力市場であり、
その他の地域の人々は資本主義の論理から大方排除されていた。
だから1億2千万の市場は相対的に非常に大きな意味を持っていた。
そしてこの市場の中であらゆる日本企業が成長した。
一部の大企業を除けば海外進出をする必要も差し迫ってはなかった。
(あるとしても海外は労働力の供給のためにあり、最終消費地はあくまで日本であった。)
だから、供給と需要を基本的に日本市場で回すことによって
日本企業と日本経済は発展することができた。
このような状況は、しばしば「ガラパゴス諸島」とか「パラダイス鎖国」
と揶揄されてきた。
しかし、今、少なくともこれからに関しては、それは幻想である。
日本市場は相対的にどんどん小さくなる。
新興市場が大きくなるからだ。
新興市場に迫る資本主義のうねりは、新中間層と呼ばれる人たちだけでなく、
BOP(ピラミッドの底辺)に属する人たちも飲み込もうとしている。
そして、こうした拡大するグローバル市場で勝てる企業が、今後競争力をつけることになる。
日本企業とて、この流れに逆らうことはできない。
そうなったらどうなるか。
日本企業が未来の競争に勝てるかどうかはまだ不透明である。
しかし、勝とうが負けようが、グローバル競争で勝てる人材が必要となるのは間違いない。
言い換えれば、そうした人材に市場価値がつき、そうでない人材との格差ができる。
日本人という国籍によって豊かさを謳歌できる時代はもう来ない。
***
だからその時、Kは複雑な気持ちになった。
自分も日本人だから、仲間がこれからも豊かな生活をしていてほしいという気持ちはある。
でも日本人はこんな大事な時代に内向きになりすぎだ。
どこをみても、「何か分からないけどチャレンジしてみよう」って
気概のある人をほとんどみかけない。
これには一抹以上の不安を覚えてしまう。
・・・
さて、なんとかならないものだろうか。
友達に「なぜ日本人は留学しないの?」と問われたことがある。
もっともな疑問だ。
Kの留学中、中国人やインド人は多かったが日本人の留学生はほとんど見かけなかったからだ。
単純な人口では中国やインドの方が多いが、
留学することができるほどの富裕層はまだまだ日本人の方が多い。
それなのに何故いないのか。
その時Kはこう答えたことを覚えている。
「日本人は別に留学しなくてもやっていけるんだよ。」
もちろん文化の差や家庭的・言語的要因など他にも理由はあるだろうが、
「留学しなくても大丈夫」という安心感が一番大きいのではないだろうか。
そして友達はいった。
「いいね。日本人はうらやましいよ。」
もちろん彼は皮肉で言ったわけではないが、少し複雑な気持ちになったのを覚えている。
***
なぜ日本人は留学しなくてもやっていけるのか。
その答えは1億2千万を有する巨大な成熟市場にある。
この数字は世界の人口比では50分の1にも満たない。
それでも、(特に昔)日本市場は大きな意味を持っていた。
なぜなら、かつては企業がターゲットとする市場は、
一定の経済力のある中間層以上に限られていたからである。
そのため、北米、ヨーロッパ、そして日本を中心とする一部のアジアが有力市場であり、
その他の地域の人々は資本主義の論理から大方排除されていた。
だから1億2千万の市場は相対的に非常に大きな意味を持っていた。
そしてこの市場の中であらゆる日本企業が成長した。
一部の大企業を除けば海外進出をする必要も差し迫ってはなかった。
(あるとしても海外は労働力の供給のためにあり、最終消費地はあくまで日本であった。)
だから、供給と需要を基本的に日本市場で回すことによって
日本企業と日本経済は発展することができた。
このような状況は、しばしば「ガラパゴス諸島」とか「パラダイス鎖国」
と揶揄されてきた。
しかし、今、少なくともこれからに関しては、それは幻想である。
日本市場は相対的にどんどん小さくなる。
新興市場が大きくなるからだ。
新興市場に迫る資本主義のうねりは、新中間層と呼ばれる人たちだけでなく、
BOP(ピラミッドの底辺)に属する人たちも飲み込もうとしている。
そして、こうした拡大するグローバル市場で勝てる企業が、今後競争力をつけることになる。
日本企業とて、この流れに逆らうことはできない。
そうなったらどうなるか。
日本企業が未来の競争に勝てるかどうかはまだ不透明である。
しかし、勝とうが負けようが、グローバル競争で勝てる人材が必要となるのは間違いない。
言い換えれば、そうした人材に市場価値がつき、そうでない人材との格差ができる。
日本人という国籍によって豊かさを謳歌できる時代はもう来ない。
***
だからその時、Kは複雑な気持ちになった。
自分も日本人だから、仲間がこれからも豊かな生活をしていてほしいという気持ちはある。
でも日本人はこんな大事な時代に内向きになりすぎだ。
どこをみても、「何か分からないけどチャレンジしてみよう」って
気概のある人をほとんどみかけない。
これには一抹以上の不安を覚えてしまう。
・・・
さて、なんとかならないものだろうか。