この前、書きたかったトピックを並べておいたと思うのだけども、
今回はその中の一つを抜粋して書きます。
トピックは英国のコメディについて。
特にKが今はまってたまに見ている「Little Britain」というコメディの紹介です。
このコメディは笑いもさることながら、
英国という国を考える上でとても興味深いコメディです。
が、その前にちょいと説明しておきたいことがあります。
それは英国について多くの人がもっている「紳士の国」というイメージについて。
英国は「紳士の国」だと言うとき、それは二重の意味にとれます。
一つ目は、上品で礼儀正しい人々が暮らす国。
おそらく、これは多くの人が持っているイメージではないでしょうか。
しかし、意外と紳士の持つもう一つの意味については知られていないように思います。
それはつまり、上流階級の国という意味です。
紳士すなわちジェントルマンのそもそものルーツは、
昔、貴族とジェントリ(郷紳)で構成された上流階級(一部の中流階級も含む)にあるといってよいでしょう。
彼らは絶対王政時代に力をつけ、17世紀には王権を倒す形で市民革命を起こしました。
ただし、英国の市民革命(清教徒革命や名誉革命)は
下流階級による流血革命であるフランス革命や
独立戦争後に「自由」が保証されたアメリカとは決定的に異なる部分があります。
それは、中流階級以上のジェントルマンが起こした革命だということ。
言葉を換えれば、こうした人々の利益になるような革命だったということです。
さらに、英国はドイツやイタリアなどとも異なり、
敗戦による国内の大規模な改編に直面することがありませんでした。
したがって、英国の階級は若干の解体を経つつも大筋は現在まで維持されてきたのです。
言いかえれば、英国社会には非常に強くジェントルマン意識が残りました。
それが二つ目の「紳士の国」、「ジェントルマンの国」の意味だろうと思います。
ちょっと前置が長くなりましたね。
けどこれらを踏まえた上でコメディ「Little Britain」を見るととても面白い。
このコメディは英国に住む人々を英国独特の嘲笑と自虐をもって描いたものです。
例えば、インド人に「あんたの英語理解できないよ」といったり、
「中国人は醤油の臭いがする」といったり
「黒人の作ったケーキは食えない」などのエスノセントリズム的表現が多々登場します。
社会保障を食い倒す老人などの階級価値観も現れます。
とりわけ目を引くのが性的な表現で、ゲイを扱ったものが多く、その激しさはKも軽く引くほどです。
おそらくこれらは人種・民族・貧富・ジェンダーなどの点で
ジェントルマンの価値観を反映しているものじゃないかと思います。
(もちろん意図は英国人を嘲笑したもので、上記を正当化するものではないけど、
逆にいえば、こうした英国人が典型として存在するということ。)
もちろん、英国が人種・民族差別撤廃の点で積極的役割を果たしてきたことは
過小評価すべきじゃないと思う。
けどおそらく、こうした自由化や差別撤廃と英国の伝統的なジェントルマン意識との間で
一種の摩擦が起こっているじゃないだろうかと思う。
だから'in law'の範囲内でジェントルマン意識を反映した差別的行為が行われる。
このコメディは英国特有の事情を映し出しているようで興味深い。
いつか書くかもしれないけど、こうした構造は他の国には見られないものです。
ちなみにこの種のコメディは(少なくともKの知っている限りでは)アメリカにはありません。
アメリカのコメディはイギリスのブラックジョークと違って、
もっと分かりやすく(悪く言えば浅く)、誰もが楽しめるように作られています。
個人的には、アメリカのコメディは単純に笑えて好きなのですが、
(アメリカンジョークって日本語で聴くとただの寒いギャグなのに、
英語で聴くとなぜか笑える)
それは人それぞれの好みでしょう。
今回はその中の一つを抜粋して書きます。
トピックは英国のコメディについて。
特にKが今はまってたまに見ている「Little Britain」というコメディの紹介です。
このコメディは笑いもさることながら、
英国という国を考える上でとても興味深いコメディです。
が、その前にちょいと説明しておきたいことがあります。
それは英国について多くの人がもっている「紳士の国」というイメージについて。
英国は「紳士の国」だと言うとき、それは二重の意味にとれます。
一つ目は、上品で礼儀正しい人々が暮らす国。
おそらく、これは多くの人が持っているイメージではないでしょうか。
しかし、意外と紳士の持つもう一つの意味については知られていないように思います。
それはつまり、上流階級の国という意味です。
紳士すなわちジェントルマンのそもそものルーツは、
昔、貴族とジェントリ(郷紳)で構成された上流階級(一部の中流階級も含む)にあるといってよいでしょう。
彼らは絶対王政時代に力をつけ、17世紀には王権を倒す形で市民革命を起こしました。
ただし、英国の市民革命(清教徒革命や名誉革命)は
下流階級による流血革命であるフランス革命や
独立戦争後に「自由」が保証されたアメリカとは決定的に異なる部分があります。
それは、中流階級以上のジェントルマンが起こした革命だということ。
言葉を換えれば、こうした人々の利益になるような革命だったということです。
さらに、英国はドイツやイタリアなどとも異なり、
敗戦による国内の大規模な改編に直面することがありませんでした。
したがって、英国の階級は若干の解体を経つつも大筋は現在まで維持されてきたのです。
言いかえれば、英国社会には非常に強くジェントルマン意識が残りました。
それが二つ目の「紳士の国」、「ジェントルマンの国」の意味だろうと思います。
ちょっと前置が長くなりましたね。
けどこれらを踏まえた上でコメディ「Little Britain」を見るととても面白い。
このコメディは英国に住む人々を英国独特の嘲笑と自虐をもって描いたものです。
例えば、インド人に「あんたの英語理解できないよ」といったり、
「中国人は醤油の臭いがする」といったり
「黒人の作ったケーキは食えない」などのエスノセントリズム的表現が多々登場します。
社会保障を食い倒す老人などの階級価値観も現れます。
とりわけ目を引くのが性的な表現で、ゲイを扱ったものが多く、その激しさはKも軽く引くほどです。
おそらくこれらは人種・民族・貧富・ジェンダーなどの点で
ジェントルマンの価値観を反映しているものじゃないかと思います。
(もちろん意図は英国人を嘲笑したもので、上記を正当化するものではないけど、
逆にいえば、こうした英国人が典型として存在するということ。)
もちろん、英国が人種・民族差別撤廃の点で積極的役割を果たしてきたことは
過小評価すべきじゃないと思う。
けどおそらく、こうした自由化や差別撤廃と英国の伝統的なジェントルマン意識との間で
一種の摩擦が起こっているじゃないだろうかと思う。
だから'in law'の範囲内でジェントルマン意識を反映した差別的行為が行われる。
このコメディは英国特有の事情を映し出しているようで興味深い。
いつか書くかもしれないけど、こうした構造は他の国には見られないものです。
ちなみにこの種のコメディは(少なくともKの知っている限りでは)アメリカにはありません。
アメリカのコメディはイギリスのブラックジョークと違って、
もっと分かりやすく(悪く言えば浅く)、誰もが楽しめるように作られています。
個人的には、アメリカのコメディは単純に笑えて好きなのですが、
(アメリカンジョークって日本語で聴くとただの寒いギャグなのに、
英語で聴くとなぜか笑える)
それは人それぞれの好みでしょう。