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風街せんちめんたる通り

ゆるやかな優しさで僕らの憧れを演出した
ときどき素敵な 風

☆ Heart Of Gold ken's-side

2010-12-19 | 訳詞
Heart of Gold (KEN)

俺は生きていきたい。
いたずらに齢を重ねただけかもしれないが、
役に立つものがあるなら、やってもいい。
うまく言えないが、
大人を上手に振る舞うことはできなかった。
無垢な心持ちで地平を目指したい。
やわらかく光沢のある、心の鉱脈を探し続けて。
俺は歩きながら、やがて老いていく。


都会でも暮らした。田舎も知っている。
さえぎるものがなく、幼さと若さが通用した。
海のような悲しみは、失ってはじめて沁みわたり、
時は決して解決などしてくれない。
言葉に救われ、美しい台詞を心にしまい、
真っすぐな気持ちで水平を見つめたい。
枯れることのない、心の水脈を探し求めて。
俺はさまよい続け、そして老いていく。



☆ティアーズインヘブン

2009-05-23 | 訳詞
ここにいると僕はダメになる
ここでは僕は僕でいられない
僕は強くなる 強くなってここから抜け出すんだ
だって ここにいると僕は自分を見失ってしまうから
    
何故なんだろう
ここにいると僕は苦しみや悲しみを避けてしまう
自分を追い詰めるより誰かのせいにしてしまう
わかってるんだ
それじゃダメだって 自分だってそんなこと望んでやしないって
何故なんだろう
ここにいると僕はそうしてしまう そうなってしまう
     
僕がここを出て行けば
悲しませ 嘆かせ 淋しくさせ 笑顔を無くさせ
期待を裏切り 幸せを壊してしまうのは知っている
だから僕は今までここを出て行けなかった
だから僕は今日まで苛立ちとここにいた

あの角を曲がったら
僕は張り裂けるような胸の痛みを感じるのだろう
恩知らす 裏切り 非情 罪深さ そういったことへの悔恨
     
だけど 僕は出て行く
このドアの向こうに僕が僕として生きていく場所がある
僕が生きることから逃げて涙を流さなくともいい場所がある
    
だから 行く
僕はここを出て行く
         
        Tears in Heaven/Eric-Clapton





☆アローンアゲイン

2009-05-23 | 訳詞
たいして思い悩んでたわけじゃない
ただ ほら 
深刻な顔とか素振りとか そういうのに酔う時期ってある
正義とか愛とか そんな物差しで世界を見て
不幸や貧困に立ち向かおうとした
      
悪いことじゃない
でも、この戦いは母さんを含んだ世の中の否定
母さんを悲しませ母さんを捨てることになってしまった
      
一人になった
だけど これでいいんだ
そうつぶやいて自分に言い聞かせた
       
僕は無邪気で陽気に生きてきた
自分に都合のいいことしか見てこなかった 聞いてこなかった
気楽なものさ 人生を遊んでいたんだ
      
一人になって わかった
現実は 生きるということは 単純じゃない
僕の正義や愛はズタズタにされ冷たい風に吹き飛んで行った
僕はスッカリ打ちひしがれ叩きのめされた
そして
あろうことか 神を疑うようにさえなった
神が存在するのなら
こんなに必要としている人間がいるのに なぜ何もしないのだ
僕はすっかり疑うようになった
そして
一人になった
いっそう深く一人になった
まるで当たり前のように
また 一人になった
      
壊れた心 荒んだ心 凍った心 苦しむ心
世の中は そんな心がいっぱいだ
そして
心たちは 救われも癒されもせずに放っておかれている
どうしたらいい
どうすればいい
      
振り返るといろんなことを思い出す
嘆き悲しんだ記憶
父さんが死んだ時の記憶
あの時僕は涙を拭おうとも隠そうともしなかった
       
65才になった今 思うんだ
神は母さんを癒しただろうか
母さんは安息の時を過ごしただろうか
きっと母さんは信じられなかったし理解できなかった
あれほど愛しあれほど期待した息子が去った理由を

あの日から 僕が母さんを捨てた日から
母さんの心はボロボロのままだったことだろう
僕という生きがいを失い
心の在処としての言葉さえ失い
そして 逝ってしまった
       
母さんを失った日から僕は
泣き続けている
毎日毎日 来る日も来る日も
泣き続けている
      
一人になった
本当に一人になった
誰もいない
父さんも 神も そして 母さんさえも
僕は一人になった
運命のように 一人になった
      
           Alone Again/Gilbert O'sulivan





☆ミスターボージャングル

2009-05-21 | 訳詞
知り合いのパブで歌ってきたんだ
まばらな拍手 気儘なおしゃべり 無粋な嬌声
そんな中で僕は人生や愛や女の子のことを思う歌を歌った
これっぽっちのチップがその見返りさ
僕の思いなど世の中は知っちゃいない
僕の心の値段がこのチップ
  
食べるより飲んで気分をまぎらわせたかった
なけなしのチップを握って酒場に入った
見つけたんだそこで 女神のような女の子
  
思いきって話しかけた
ウイスキーを舐めながらありったけの面白い話をしてやった
けれど女神は退屈そうに上の空
最後の手段 僕は椅子に立ち上がってギターを弾いた
精一杯おどけて体を振って足を踏み鳴らした
   
最悪だった
女神は怒って帰ってしまうし店主は僕を警察に突き出した
おかげでその晩は留置所に一泊さ
  
ボージャングルにはそこで出会った
ニューオーリンズの牢屋の中だ
彼は人生の大先輩でタップダンスの芸人だった
牢屋の中でボージャングルは僕を元気づけようと踊ってくれた
軽やかにタップを踏み高く跳んでは舞い降りる
ダブダブのズボンとおどけた仕草に大笑いさ
看守までも大喝采
ボージャングルは白髪頭を恭しく下げてお辞儀をしたもんだ
  
夜が更けて
ボージャングルは擦り切れた靴で僕の隣りに座り話してくれた
犬と一緒に旅して回った15年の日々
あの町この町の祭りを回り踊り続けた日々
犬と一緒に笑ったことや泣いたこと
腹を空かせて抱き合いながら眠った田舎道
ボージャングルは訥々と遠くを見ながら話してくれた
  
愛犬が死んだ日のことは忘れはしない
庇を貸してくれた農家の納屋に横たわり苦しそうに息をした
ボージャングルがのぞきこみ背中を撫でると尾を振って
優しい瞳で悲しげにボージャングルを見つめてた
  
20年経っても忘れない あの時のことは忘れない
ボージャングルは一人になった
それでも破れたシャツ着て旅をした ダブダブズボンで歩き続けた
祭りの町の道端で大喝采を浴びるためステップ踏んで高く跳ぶ
  
ボージャングル
ボージャングル
もっと聞きたいアンタの話 人生のことや女のことも
ピシッと踵を打ち鳴らしキメたポーズで泣き顔の
アンタの話を聞かせて欲しい






☆ボクサー

2007-06-13 | 訳詞
生き方 なんて言える程のことをしてきたと思わない
人生 なんて気恥ずかしくて口にする勇気もないし
      
僕は貧しく年端も行かない子供だったけれど
世の中の嘘っぱちには気づいていた
最初は不思議だったし冗談だと考えていたのだけれど
どうやらそれが世の中の姿らしいと感づいてしまった
     
その日から僕は何かちがうものを探し始めたんだ
それは形も重さも色合いも分からない
ただ ちがうもの であることしか分からない
僕はちがう町やちがう風景やちがう人をたくさん見た
何か ちがうもの に出会うために
     
とても深く愛し合ったのに別れた
とても強く抱き締めたのに離れた
慰めきれない癒しきれないことが僕の存在なのだと知った
      
あれ以来
目の前にあることに夢中になって時を送ってきた
永久にサンドバッグを叩き続けるボクサーのようだった
僕の拳は痛みを受け入れてなお激しく打ち続けた
拳を腕を体を心を突き上げてくるものは何の炎なのだ
     
炎が静かになった時
拳が人を傷つけなくなった時
僕は生きて来たことを受け入れるのだろう
今この地に居ることが
生きて来たことなのだと受け入れるのだろう

生き方 なんて言える程のことをしてきたと思わない
人生 なんて気恥ずかしくて口にする勇気もないし

       
       
        The Boxer/P.Simon


☆アメリカ

2007-04-05 | 訳詞
その頃僕らは楽天的な浪費家だった
時間もお金も、若さや将来、そして人生さえも
有り余る輝きと使い捨てていた
一箱のシガレットと気に入りのガムをポケットに入れて
恐いもの知らずだった
    
隣にいつもいる君は自然で当然だった
どこにでも出かけたしどこでも一緒だった
感じてたものや考えてたことが僕らは同じなんだ
きっとそうだと疑わなかったから
僕らは時間よりも長くいるのだと信じていた
     
いつもふざけあっていたさ
  まったく僕らの周りはスパイだらけだぜ…
  気をつけて!あの男のタイピンはカメラよ…
なんてね
     
でも
君が眠っていたり雑誌に夢中になっている時
不安を感じた
いや、それは君に対してじゃなく
それは何か正体の知れない
とても深い闇の中からわいてくるようなものだった
そんな時
僕は風景を、窓越しの風景を見ていた
  広大な草原にのぼる月
  摩天楼の隙間できらめく星
      
僕らを乗せたタイムバスには停留所がない
ただ、どこまでも走り続けるだけだ
どこに向かっているのか
なぜ僕がこのバスに乗ったのか
そんなことを考えさせないみたいに
それはとても大事なことなのに
ひたすら走り続けた

いつも楽天的な浪費家だったくせに
バスに乗った自分を意識した時は
君が隣の席からいなくなるんじゃないかって
とてつもないサミシサさに襲われてしまった
        
          America/Simon&Garfunkle


☆ハートオブゴールド

2007-04-03 | 訳詞
よく歩き回ったものさ
何かを探してとか求めてとか
そういったハッキリしたものがあったわけじゃない
あの角の向こうにあるもの
この通りの行き着く先
そういったボンヤリしたものに誘われていた
     
やりきれない退屈
おちつかない鬱屈
はてしのない窮屈
     
歩くことが生きることのようにヒールをすりへらした
生活や仕事や生真面目や自堕落や
そんなものたちが入り交じった雑踏と閑寂
     
ありきたりに追い求めていたのかな

        Neil Young/Heart of Gold


☆ウェルカムバック

2007-03-14 | 訳詞
やぁ 帰ってきたんだね
サングラスをしてないから、まさか君だとは思わなかった
   
あの頃の君はここを出て行くことばかり考えていたさ
つまらない町、嫌な奴等、それを嘲笑いながら
君は自分が何者であるのか知りたがっていた
綿シャツとジーンズ、そして色の濃いサングラス
夢というよりは不満と不安だったんじゃないのか
ともかく、君はここを出ていった
    
まぁ座れよ
あの頃みたいにタバコは吸わないけど同じ香りの珈琲がある
懐かしいだろう、結構お気に入りだったじゃないか
こうしてテーブルをはさんで向かい合ってると時間が戻ったみたいだ
    
ここも変わったぜ
君が疎んじ嗤ったモノはすっかり無くなっちまった
気付いたかい
すっかり無くなっちまったんだ
   
実際、君が戻ってくるなんて驚きだった
どこか遠くでうまくやってると思ってたからね
ここは人も風景も変わった
けれど、あの頃と同じ夢が残っている
そう、君が忌み嫌ったモノだ
世界中が別の方を向いたっていうのに
変わらぬ夢をここは残している
     
一体どういうわけなんだい
戻ってくるなんて誰も思っていなかったぜ
もしかすると
この町の君があまりに君でありすぎたから
君は出て行ったのじゃないのか
そんな風に思えてきたよ
     
     
            John Sebastian/Welcome Back