安心・安全ナビ:北海道で広がったエキノコックス症。どんな病気なの。
◆北海道で広がったエキノコックス症。どんな病気なの。
◇キツネ介し人にも感染 旅行同伴の犬、本州に持ち帰った例も
◇人→人、豚→人にはうつらず
エキノコックスは寄生虫の一種。発育に応じ虫卵、幼虫、成虫の3段階があり、成虫はキタキツネの小腸に寄生する。キツネのフンで排出された虫卵を野ネズミが口にして感染、体内で幼虫となる。このネズミを捕食したキツネが感染する、というサイクルが成立し北海道内で拡大した。
それに伴い野ネズミと同じ役割の「中間宿主(しゅくしゅ)」に人や豚が、キツネと同じ「終宿主(しゅうしゅくしゅ)」に犬や猫が加わった。
●自覚症状に時間
北海道大大学院獣医学研究科の奥祐三郎准教授(寄生虫学)によると、人から人、豚から人へは感染しない。人への感染はキツネや犬が排出した虫卵を山菜や沢水などを介し口にした場合だ。幼虫が主に肝臓で包虫組織を作って増殖、5年から十数年の潜伏期を経て発症する。他の臓器や脳、骨などに転移し、黄疸(おうだん)、発熱などの症状が出て肝機能障害を起こす。根治には外科手術で感染部位を切除するしかない。だが膨満感などの自覚症状が出るまで時間がかかるため発見が遅れることが多い。
北大病院手術部の佐藤直樹・診療教授がかつて診察した女性は、スカートのホックがとまらないほど腹部が膨れあがっていた。包虫組織が肝臓で大きくなり、腸の表面にも転移していて手遅れだったのだ。佐藤医師は「症状が出始めた時は既に危険。がんに似ている」と説明する。
厚生労働省によると、99~07年のエキノコックス症の発症者は全国で157人、うち19人が死亡している。年20人前後の発症者の多くは道民で、本州での発症者も出身者や旅行者など北海道に何らかの関係があるとみられる。
●サイクル確立?
こうした中、北海道以外でもペットの犬や家畜の豚への感染が発覚した。北海道旅行に同伴した犬が、野ネズミを食べるなどしてエキノコックスを持ち帰ったとみられる。埼玉県では05年、感染した野良犬が見つかった。
道内だけだったはずのエキノコックスの寄生サイクルが、本州でも確立したのか?
奥准教授は「本州で犬から見つかったのは、旅行など北海道と何らかの接点のあったペットが捨てられたからではないか。寄生サイクルが確立したとは思えない」と本州定着には疑問を呈する。
北海道での拡大は、20世紀になって毛皮とネズミ駆除を目的に外国から移入されたキツネが原因とされる。酪農学園大環境システム学部の神谷正男教授(環境動物学)は「北海道と同タイプのエキノコックスが世界的に広がりつつある。犬がネズミを捕食するなど本州でも拡大する条件は整っており、楽観はできない」と警告する。
●虫卵に注意
潜伏期間が長く、感染に気付きにくいエキノコックス症。過剰に神経質になる必要はないが、虫卵が生活に入り込まないように最低限の感染対策は必要だ。ペットの感染が不安な場合には動物病院で検査も受けられる。
道立衛生研究所衛生動物科の八木欣平科長は「いたずらに大騒ぎする必要はないが、軽く見てもいけない。(心当たりがある人は)早期発見のため検診を受けるべきだ」と呼び掛けている。【立山清也】
==============
■感染予防のための主な注意点
▽外から帰ったら手を洗う
▽山菜や野山の果実はよく洗うか、熱を加えて食べる
▽沢水などの生水は飲まないようにする
▽生ゴミなどはキツネのエサにならないよう放置しない
▽キツネを餌付けしたり、触ったりしない
▽犬が野ネズミを捕食しないよう放し飼いにしない
毎日新聞 2008年12月3日 東京朝刊
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北海道では沢の水などは誰も飲みません。
エキノコックスは南下しているとの噂ですが・・?
◆北海道で広がったエキノコックス症。どんな病気なの。
◇キツネ介し人にも感染 旅行同伴の犬、本州に持ち帰った例も
◇人→人、豚→人にはうつらず
エキノコックスは寄生虫の一種。発育に応じ虫卵、幼虫、成虫の3段階があり、成虫はキタキツネの小腸に寄生する。キツネのフンで排出された虫卵を野ネズミが口にして感染、体内で幼虫となる。このネズミを捕食したキツネが感染する、というサイクルが成立し北海道内で拡大した。
それに伴い野ネズミと同じ役割の「中間宿主(しゅくしゅ)」に人や豚が、キツネと同じ「終宿主(しゅうしゅくしゅ)」に犬や猫が加わった。
●自覚症状に時間
北海道大大学院獣医学研究科の奥祐三郎准教授(寄生虫学)によると、人から人、豚から人へは感染しない。人への感染はキツネや犬が排出した虫卵を山菜や沢水などを介し口にした場合だ。幼虫が主に肝臓で包虫組織を作って増殖、5年から十数年の潜伏期を経て発症する。他の臓器や脳、骨などに転移し、黄疸(おうだん)、発熱などの症状が出て肝機能障害を起こす。根治には外科手術で感染部位を切除するしかない。だが膨満感などの自覚症状が出るまで時間がかかるため発見が遅れることが多い。
北大病院手術部の佐藤直樹・診療教授がかつて診察した女性は、スカートのホックがとまらないほど腹部が膨れあがっていた。包虫組織が肝臓で大きくなり、腸の表面にも転移していて手遅れだったのだ。佐藤医師は「症状が出始めた時は既に危険。がんに似ている」と説明する。
厚生労働省によると、99~07年のエキノコックス症の発症者は全国で157人、うち19人が死亡している。年20人前後の発症者の多くは道民で、本州での発症者も出身者や旅行者など北海道に何らかの関係があるとみられる。
●サイクル確立?
こうした中、北海道以外でもペットの犬や家畜の豚への感染が発覚した。北海道旅行に同伴した犬が、野ネズミを食べるなどしてエキノコックスを持ち帰ったとみられる。埼玉県では05年、感染した野良犬が見つかった。
道内だけだったはずのエキノコックスの寄生サイクルが、本州でも確立したのか?
奥准教授は「本州で犬から見つかったのは、旅行など北海道と何らかの接点のあったペットが捨てられたからではないか。寄生サイクルが確立したとは思えない」と本州定着には疑問を呈する。
北海道での拡大は、20世紀になって毛皮とネズミ駆除を目的に外国から移入されたキツネが原因とされる。酪農学園大環境システム学部の神谷正男教授(環境動物学)は「北海道と同タイプのエキノコックスが世界的に広がりつつある。犬がネズミを捕食するなど本州でも拡大する条件は整っており、楽観はできない」と警告する。
●虫卵に注意
潜伏期間が長く、感染に気付きにくいエキノコックス症。過剰に神経質になる必要はないが、虫卵が生活に入り込まないように最低限の感染対策は必要だ。ペットの感染が不安な場合には動物病院で検査も受けられる。
道立衛生研究所衛生動物科の八木欣平科長は「いたずらに大騒ぎする必要はないが、軽く見てもいけない。(心当たりがある人は)早期発見のため検診を受けるべきだ」と呼び掛けている。【立山清也】
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■感染予防のための主な注意点
▽外から帰ったら手を洗う
▽山菜や野山の果実はよく洗うか、熱を加えて食べる
▽沢水などの生水は飲まないようにする
▽生ゴミなどはキツネのエサにならないよう放置しない
▽キツネを餌付けしたり、触ったりしない
▽犬が野ネズミを捕食しないよう放し飼いにしない
毎日新聞 2008年12月3日 東京朝刊
安心・安全ナビ:北海道で広がったエキノコックス症。どんな病気なの。 - 毎日jp(毎日新聞)
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北海道では沢の水などは誰も飲みません。
エキノコックスは南下しているとの噂ですが・・?