試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

新京成8000形モハ8035[8518F] 京成千葉線直通仕様 動力ユニット整備(急加減速改善,モーターストッパー追設)

2017-08-29 21:43:04 | 京成線
効率化。

動力ユニット整備のためマイクロエース製新京成8000形8518F京成千葉線直通仕様(8518F)が入場した。
京成線グループの動力ユニット整備は新京成形式に移行している。
都合4編成の在籍であり8518Fが再出場した時点で折り返しを迎える。


新京成8000形8518F 京成千葉線直通仕様。
8518F:8518-8036-8035-8034-8033-8517。

8518Fは8502F復活旧塗装色京成千葉線直通仕様(8502F)と同時にリリースされた。
導入に迷いがあった8502Fより先に回着しており新京成形式の初登場を飾っている。
8000形非動力車で生じる車体沈下は8518F回着整備時に判明した。
既に金属ワッシャー式車体高嵩上を施しモハ8035との差は無くなっている。


モハ8035 京成千葉線直通仕様(8518F)。

8518Fは界磁チョッパ制御車仕様のため2006年12月~2010年10月とプロトタイプ期間は短い。
8000形の京成千葉線直通化改造及びVVVF制御機器更新施工では細かな変更が繰り返された。
初期に出場した8518Fは側扉部にも帯が入る京成千葉線直通仕様編成のオリジナルスタイルと言えよう。
車体は現行色化される2017年4月までCIマーク貼付以外目立った変更が無かったのは特筆される。


入工中のモハ8035。

モハ8035は回着時から急加減速が激しく扱いが難しかった。
急加速,急停止を防げず経年の割には走行距離を稼いでいない。
過去の動力ユニット整備では解消される機会が多くモハ8035にも期待を寄せた。
動力ユニットを分解し最初に確認したのはモーターストッパーの有無である。
既に整備を終えたモハ8003(8502F)の例があり追設を要するものと考えていた。


モーターストッパーの無い動力ユニット。

予想通りモハ8035にもモーターストッパーは装着されていなかった。
まだ部品取用動力ユニットを確保しておらず予備用動力ユニットから一時転用するしかない。
止むを得ずモーターカバーが供出済だったKS-121付動力ユニットから捻出した。
現時点では京成3000系列の増備予定は無くKS-121台車枠そのものは維持出来る。
万が一の場合には台車枠の交換で対処したい。
モーター軸受へ注油を行い端子を押さえながらモーターストッパーを取り付けた。


追設したモーターストッパー。

18m級動力ユニットから転用したモーターストッパーは灰色成形品だった。
モハ8003のモーターストッパーは20m級動力ユニット用を装着したため黒色成形品である。
両者とも外観は同一に見え単に成形色の違いだけだと思われる。
装着感はモハ8003,モハ8035とも変わらず不都合は無いだろう。


台枠から撤去直後のFS-329S3動力台車。

モハ8035ではFS-329S3動力台車の整備を先行させた。
動力ユニット整備は動力台車の清掃,整備が作業時間の多くを占める。
今回は作業効率の比較を込め整備順を変更している。
取り外したFS-329S3動力台車はモハ8003のFS-329S2動力台車と変わらない状態だった。
純正グリスは固形化が進み茶色の塊が至る所に存在していた。


ギアボックス内側を覆う劣化した純正グリス。

純正グリスがここまで固形化が進行すると除去が楽になるのはモハ8003の通りである。
3ギアは松戸寄,千葉中央寄共にクリーナープールへ直行させた。
クリーナー浸けも純正グリス除去を行わないまま投入し比較要素を持たせた。
爪楊枝でギアボックス内部の純正グリスを掻き出しクリーナーで拭き上げている。
茶褐色を帯びていた3ギアは全て純正グリスが溶解していた。
仕上げは歯ブラシで磨くだけで済み清掃時間の短縮に繋がっている。


清掃を終えたギアボックス一式。

ただモハ8035の純正グリスは固形化が激しかったため通用した手法かもしれない。
クリーナープール直行は今後も試行し純正グリスの状態に左右されないか確かめる。
その結果次第では標準工程になるだろう。
取り敢えず固形化した純正グリスが付着したギアに対応出来る事が判っただけでも大きい。


発生品を加工した動軸ギア用クリーナープール。

これまで動軸ギアの清掃は手作業に頼ってきた。
車輪を引き抜くと元の軌間に戻せる自信が無く分解せずに清掃出来る方法を探っていた。
今回初登場したのは動軸ギア用クリーナープールである。
マイクロエース製DT21動力台車用ギアボックスを転用しマイクロエース製軸受機構を逆手に取った。
大ギアが収まる箇所をプラ板で塞ぎ各孔をゴム系接着剤で埋めただけのいんちき品である。
怪しいクリーナープールだが早速モハ8035での試用に至った。


クリーナー清掃中の動軸ギア。

クリーナーを動軸ギアが1/3程度浸る程度に注入する。
後は軸受に動軸ギアを嵌め込み少しずつ回転させ純正グリスが溶けるのを待った。
その結果予想より早く純正グリスが消え去っている。
いんちき細工品ながらクリーナーの漏れも無くなかなかの手応えを得られた。
但し目視でグリス溶解具合を確認するには灰色成形品を起用した方が良いと思う。


純正グリスが除去されたロアフレーム一式。

動軸ギア用クリーナープールは今後の純正グリス除去に大きく貢献するかもしれない。
最終的に動軸ギアの仕上げも歯ブラシのみで終えられた。
課題は3ギアのクリーナープール直行と同じく純正グリス劣化度合いに対応出来るかである。
マイクロエース製動力ユニットの整備はまだ続くため都度状況を確認したい。


磨き終えたスパイラルギア一式。

FS-329S3動力台車を組立てスパイラルギア周りの清掃に移った。
調子に乗り金属製のスパイラルギアもクリーナーに浸けた。
やはり手作業よりも作業が捗る。
ギア谷の純正グリス除去が不要となり輝きを取り戻す時間も短縮されている。
仕上げも歯ブラシで終了しプラスチック製ギアと同じ答を得た。
結果的にギア系統の清掃は全て歯ブラシのみで仕上げられている。
入場時間短縮の切っ掛けになると有り難い。


整備を終えた動力ユニット。

工程上導電板磨きが最後に廻った。
分解時に状況確認を済ませておりどう措置するべきかを掴めていた。
導電板はモハ8003に近く油脂付着が目立った。
モハ8003では施工箇所を区分したがモハ8035はアルコールで入念に脱脂を行った。
そのためラプロス#4000による研磨作業は一度で終えている。
動力ユニットを組立て踏面清掃を施し全工程が終了した。

モハ8035は入場前の扱い難さが消え低速からスムーズに加速する様に改まった。
減速時も電流量に比例し停止する。
今後8518Fの走行機会は増加に転じるだろう。
加えてクリーナーの更なる有効活用へ道が開けた。
特に動軸ギア清掃が容易になった効果は大きい。
体裁の悪い動軸ギア用クリーナープールだが今後の戦力になると期待している。

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