試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ102-368[ラシ335F-3] 動力ユニット整備 (TOMIX製凸形動力ユニット経年対策施工) ※グリーンマックス製

2017-09-15 21:26:21 | 国鉄/JR103系
変則ユニット。

JR103系ラシ335F-3のうちグリーンマックス製車両の金属ワッシャー式車体高嵩上を進めている。
本来はモハ103-215+モハ102-370を入場させるつもりだった。
しかしモハ102-368(動力車)の入場へ急遽変更している。


JR103系モハ102-368(ラシ335F-3)。

モハ103-213+モハ102-368はTR-200床板を使用せず竣工させた。
KATO製モハ103形用床板を装着するモハ103-213は1エンド側車体沈下が生じていない。
3号車がKATO製一般形サハ103-144であり車体高差解消が望めないため入場対象から外している。
グリーンマックス製モハ102形で唯一の動力車であるモハ102-368には再用品のTOMIX製旧動力ユニットを起用した。
TOMIX製旧製品モハ102-716(青緑1号)を電装解除した際に動力ユニットが余剰になった。
再び使用出来る状態に整備し終え転用先を探っていたところモハ102-368の製作と重なった。
独自に嵌合爪を設けTOMIX製旧動力ユニットを搭載し竣工している。
KATO製床板とTOMIX製旧動力ユニットが組むモハユニットは他に存在せず異端車になっている。


入工中のモハ102-368。

耐久性のあるTOMIX製旧動力ユニットだがさすがに寄る年波には勝てないと思われた。
再用時に集電スプリング交換等最低限の整備を行い駆動出来るまでに復旧させた。
モハ102-368竣工後も順調に稼働を続けてきたが25年以上前の動力ユニットである。
ラシ335F-3入場に合わせ本格的な整備を施す。
TOMIX製旧動力ユニットは今となっては懐かしいウォームギア式動力伝達機構を持つ。
そのためKATO製現行動力ユニット,マイクロエース製動力ユニットとは全く手順が異なる。
但し構造は単純で摺動抵抗軽減を重点に置いた。


ウォームギアボックス取付部にグリスの塊が残る台枠。

台枠そのものは非常に良好な状態だった。
ダイキャストの劣化も感じられずまだ使用に耐えられると思う。
唯一目に付いたのはウォームギアボックス取付部の劣化したグリスだった。
これはウォームギアボックスから流出したものと考えられる。
固形化が進んでおり除去は容易に終えられた。


弥次郎兵衛の様なモーター一式。

モーター一式はウォームギアへのグリス付着が夥しかった。
この部品が動力伝達の主軸である。
ウォームギアボックスとの接触面積が大きいため入念にグリスを塗布したのだろう。
現状はただ抵抗を増やすだけの物質に変化しており全て除去する。
先ずモーター軸受へ注油を行った。
これだけ経年が高ければ注油の効果は高いと思われる。


グリス除去中のウォームギアボックス (千葉寄,中野寄)。

ウォームギアボックスの清掃はかなり厄介だった。
箱状のまま作業しなければならない。
動力を伝達する開口部は爪楊枝で大まかにグリスを取り除いた。
問題はウォームギアが貫通する内部である。
ガーゼを紙縒状に纏めウォームギアボックスを往復させた。
一度では綺麗にならず何回もやり直しガーゼが汚れない状態まで持ち込んでいる。
その後開口部を含めクリーナーを浸した極細綿棒で仕上げた。


クリーナープールを使用したウォームギア清掃。

ウォームギアは位置偏位を嫌いモーターに装着したままで清掃する。
しかし弥次郎兵衛の様な形状と大量に残る劣化したグリスのせいでなかなか作業が進まない。
クリーナープール使用は決めていたが少なくともグリス除去だけは行いたかった。
コイルスプリングの溝にガーゼを沿わせながら固形化したグリスの除去を進めている。
小部品用のクリーナープールしか手元になくプラスチック製車両ケースを転用した。
ウォームギアは片側ずつクリーナーに浸けウォームギア内部のグリス溶解を待っている。
やや怪しい箇所が残ったものの清掃前よりは格段に状態は上がったと思う。


ロアフレームを撤去したDT33動力台車(千葉寄)。

DT33動力台車は過去にTNカプラーSP対応化を行っており基本構造は掴めていた。
ロアフレームは車体中央寄のスナップを外し側梁を軽く広げると簡単に外れる。
但しカプラー側の嵌合爪は2脚で挟み込む仕様のため負荷が掛かり易く注意が必要だろう。
分解したDT33動力台車は埃が各ギアへ付着していた。
中野寄は小ギア軸部までに巻き込まれ千葉寄は大ギアが白んでいる有り様である。


経年を物語る大ギアの埃(中野寄)。

小ギアは落とし込み式の一方で大ギアはセンターピン固定式が用いられている。
動軸ギアを含め歯ブラシで清掃を行った。
油脂が無いに等しく清掃自体は捗った。
なお大ギアは回転が良くセンターピンの引き抜きは行っていない。
同時に集電板をラプロス#8000で研磨した。
高経年とは感じさせない酸化度合いでラプロスの番手を落とさず輝きを取り戻せた。


整備を終えたDT33動力台車。

最後にユニットカバーの導電板を軽く拭き上げた。
劣化らしい箇所は殆ど伺えず通電系統の不具合は生じ難いと思う。
真鍮はモーター端子と接触する部分に限られており物理的に酸化を招かない構成だった。
その真鍮部品も研磨を要する程ではない。
時間を要すると考えていた導電板研磨は瞬く間に終了している。


導電板が輝くユニットカバー。

津川洋行製ホイールクリーナーでの踏面清掃を終え動力ユニット整備は順調に終えた。
最後に待ち構えていたのはプラ板で製作した嵌合爪の修正である。
車体側は流し込み接着剤で溶着させたため不都合は生じない。
問題は動力ユニット側に追設した嵌合爪だった。
整備を考慮し嵌合爪はゴム系接着剤で台枠に接着していた。
既にユニットカバー撤去時には剥がれてしまい再設置が必要になっている。


嵌合爪を再設置した動力ユニット。

台枠への嵌合爪設置は間違いだった。
同様の方法では再度面倒を招きかねずユニットカバー側へ取付位置を変更した。
当初は流し込み接着剤での溶着を図ったがプラスチックの材質が合わない模様で全く固着しない。
余り用いたくなかったが瞬間接着剤での固定に切り替えた。
設置箇所は従来と同じく台枠上部を基準にしている。


モハ103-213+モハ102-368 (ラシ335F-3:KATO製床板装着車+TOMIX製旧動力ユニット搭載車)。

動力ユニット側の嵌合爪再設置を行ったためモハ103-213と車体高の比較を行った。
結果は良好で両車とも雨樋位置のずれは見られない。
車体高確認を終えモハ102-368が竣工した。
整備後の動力ユニットは入場前と余り変化が感じられず独特の駆動音を奏でる。
ウォームギアボックス内にタミヤ製グリスを薄く塗布したが騒音の元は別にある可能性が高いと思う。

奇しくもモハ102-368の最終工程は車体高確認だった。
ただグリーンマックス製車体+TOMIX製旧動力ユニットを持つ車両はモハ102-368の1両である。
よって今後嵌合に悩まされる機会は無いと言える。
久し振りにTOMIX製旧動力ユニットの分解整備を行ったが思い出せた箇所も多かった。
TOMIX製旧動力ユニット搭載車はある程度の勢力を形成している。
今のところ不具合の兆しが伺える車両は存在しないが一通り入場させた方が無難だろう。

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