その後、1991年12月にソ連は消滅、ネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、翌年の2月に世界制覇プロジェクトを作成した。それがアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案だ。この草案を作成したのはネオコンの国防次官だったポール・ウィルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。その時の国防長官はネオコンのディック・チェイニーだった。
このドクトリンによると、旧ソ連圏を乗っ取るだけでなくEUや東アジアを潜在的なライバルと認識、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れると同時に、新たなライバルの出現を防ぐともしている。アメリカはドイツやフランスなどヨーロッパ諸国をロシア攻撃に使うだけでなく、同時に破壊している理由もそこにある。
しかし、当初、日本はウォルフォウィッツ・ドクトリンに従おうとしなかった。ネオコンは怒り、1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表している。その前後に衝撃的な事件が引き起こされたのは、おそらく「偶然」なのだろう。
つまり、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。
1980年代とは違い、空母を集結させる軍事的な意味は大きくない。対艦ミサイルの餌食になるだけだ。アメリカが中国と戦争を始めたならば、ロシアも出てくる。空母の意味は目立つことにあり、つまり示威行動に使える反面、目標にもなりやすいということだ。そういえば、アメリカ軍の戦略的、戦術的能力が低いことをウクライナでの戦闘は明らかにしている。
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