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鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その4 メタンハイドレートの掘削は  

2011-05-27 | 2011年2月~の記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その4 メタンハイドレートの掘削は   

                   鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

  

4) メタンハイドレートの掘削は


{従来のエネルギー資源の掘削法} 

固体の石炭:固体を掘り出す。液体の石油:液体が湧き出る、液体を汲み出す。気体の天然ガス:気体が噴き出す、気体を吸い出す。固体のメタンハイドレート:固体を気体(メタン)と液体(水分子)に分離し、気体として地上に取り出す。石炭、石油、天然ガスの従来のエネルギー資源との大きな違いがここにある。

 

 

{ハイドレートからのメタン回収法}  

 「加熱法(温水圧入)」、「加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」、「分解促進剤注入法」、「ゲスト分子置換法」などが考えられてきた。温度を上げれば、体積の増える方向の水とメタンの分離に向かう。圧力を解放すれば、同じく体積の増える方向に向かう。加熱法は、際限なく加熱し続ける必要が出てくる。また、メタンハイドレートの形成を阻害する分解促進剤(インヒビター)を、例えばメタノールや塩を注入すれば、メタンの分離は可能だが、促進剤注入のコストが問題になる。また、炭酸ガスをゲスト分子として、メタンを炭酸ガスと置換した混合ハイドレートにすれば、CO2固定が可能であり、環境配慮として意味のある技術になる可能性は高いと思われる。

  

{減圧法によるメタン回収} 

日本のMH21開発計画では減圧法が採用されている。ハイドレート堆積層に水平抗を堀り、発生する水を汲み上げて圧力を低下させ、これにより発生するメタンを吸い上げる。この分解は吸熱反応であり、周囲の温度を低下させる方向に動く。しかし堆積層の周囲の地熱により溶解が進み、圧力低下を持続させる。問題は減圧効果の範囲と持続時間にある。生産性障害になるのは、氷の生成であり、自己保存性が裏目になる。温水圧入や抗井加熱などの加熱法との併用が試みられている。出砂も問題であり、海底や地上に大量の堆積粒子汚泥を取り出すことになる。

 

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー 

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

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