みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

陶文峰騎手 マカオで騎乗開始/他

2006年01月31日 | 岩手競馬
 先週からマカオに遠征している陶文峰騎手ですが、30日のナイター開催でさっそく3鞍の騎乗がありました。その結果は4着・除外・14着。

 マカオデビューはどんなレースだったか、現地の陶騎手によれば、まず4着になった第4Rは、「とにかくペースが速くて、自分の馬のハミがかからなかったんです。ようやくかかって伸び始めて、内に突っ込んでゴールしてみたら4着、という感じでした」とのこと。
 除外になった7Rは「ゲートで膠着しちゃったんです。ゲートボーイの人もワアワア叫んでたけど全然出なくて、結局出たのは他の馬が3コーナーにさしかかった頃でした。それでもとにかく走り出してゴールまで行って・・・。除外になっていたけど呼び出しがかかるわけで無し、なんにも言われなくてとまどいましたね」
 14着になった10Rは、「ゲートに行くまで馬が全然いう事を聞かなかったんです。枠にもなかなか入らないし、それで“終了”でした」

 陶騎手にとって初の海外実戦だったわけですが、電話で話す限り、「いろいろ分からない事が多くて」という割には楽しそうな声でしたね。分からないなりに何とかしてやろうとフル回転している。そんな印象でした。
 マカオの芝は状態が悪くて大変。はやくダートのレースに出たいです、とも言っておりました。次回2月4日の開催は芝、その次の7日の開催がダートですね。はたして。

 マカオ競馬の出馬表や結果はマカオジョッキークラブのHPで見る事ができます。出馬表はリンクボタン一番左の「盃寶預告」から「排位及分析」「排位表」とたどれば直近3開催分が見られます。
 結果は、「盃寶預告」からたどった次の、左から6個目のボタン「寶果派彩」です。ここにレース後の短評や成績表がありますし、レース映像も見られますので、ぜひ陶騎手の姿を探してみて下さい。

 ちなみに先の7R、陶騎手の馬は出遅れすぎて、映像に出てきません(^^;)。14頭立てなのに13頭のレースに・・・。
 あと4Rの映像を見ていて思ったんですが、勝った騎手は競り合っていた内の馬ばっかり見て、ずいぶん派手にガッツポーズをしながらゴールをしてましたが、離れた外から追い込んだ馬がかなり迫ってたんですよねえ。結果は1/2馬身でしたけど勢いは完全に上回っていた。勝ったから良かったけど・・・。



 話変わって国内遠征組。佐賀に高松騎手と山本兄弟が行っております。次の開催から騎乗し始めるんではないかと思います。こちらも楽しみですね。
 
 若手騎手の九州遠征は“招待”ではなくて、普通に調教もやれば厩舎作業もするという形です。住まいも厩舎なんだとか。
 昨年行った騎手の話によれば、とにかく調教する頭数が多くてたいへん、なんだそうですが(坂口騎手は「1レースのハロー掛け寸前まで調教しました」と言ってました(^^;))、やっぱり違う空気を吸ってくるのはそれなりに楽しくもあるようで、今年も行きたいという希望が多かったそうです。休催期間が短くなった分、厩舎の事情等が出てきて、実際行けたのは3名だけになりましたが、それだけ少数精鋭ということで、頑張ってほしいですね。



 若手騎手と言えば、例年高知で行われている「新人王争覇戦」。今年は今のところ、あるのかないのかすら公式な発表がない状態ですが、地全協サイドに問い合わせたところ、どうやら開催される模様とのこと。年齢条件かなにか、少し例年と変更がありそうなのを調整中だということでした。

 ただ、今度は岩手競馬サイドに聞いてみたところ、全くそういう情報入ってないとの事でして、まあ3月下旬の事だから2月半ばくらいに動き出しても何とかなるでしょうけど、岩手としては行きたそうな若手が3人九州に行っていたりするし、早く正式に発表していただければな、と思います。

iTune+MusicStoreに思う ネット投票のインターフェイス

2006年01月23日 | 岩手競馬
 最近アップルのiTune+MusicStoreに手を出してみました。
 iPod持ちでは無いけれど、ストアの中に聞いてみたい曲があったので、とりあえず一番少額のMusicCardを買ってみる、という形で参加。値段が結構高いとか、曲の種類がありそうでないとか、まあ始めに思っていたほどでない部分も結構あったのですが、なんだかんだと70年代~80年代なつかしポップス系をダウンロードしつつ、iTune+MusicStoreのインターフェイスにふと感じるものがありました。



 日頃I-PATやD-NETのネット投票を使っている分には特に不便を感じていなかったけれど、iTune+MusicStoreを見た後になると「ああ、手軽にはなったけど、昔と変わってないんだな」という気がしてきたんです。

 開催場を選んで、レース番号を選んで、賭式を選んで、組み合わせの種類を選んで、買い目を打ち込んで、金額を打ち込んで、最後に改めて総額を打ち込んで、何度も何度も確認を経てようやく購入確定。
 自分以外に確認する人のないネット投票だからこそ、何度も「これでいいんですか?いいんですね?」と念を押されるのでしょうし、ネット経由の購入という事自体に対する信用というか安心というか、“どっかでおかしくなってるかもしれない”という不安感みたいなものがまだまだ根強いから、ステップバイステップの作業で安心感を補強している意味もあるでしょう。

 そしてやはり、ネット投票はマークカードのシミュレートだ、って事がこういうフローになる大きな理由なんだろうな、と思います。馬券を買う人ならまずマークカードの書き方は知っているだろうし、となればそれと同じ流れにしておけば分かりやすいだろう、という事。
 もちろんそれは正しいアプローチだと思います。実際、マークカードの様式は細かい差はあれJRA・地方問わずほぼ同じ。馬券を買う際の“共通語”な訳ですから、ネット投票でもそれに沿っておけば、細かい説明が無くてもだいたい分かってもらえる、と考えていいはず。

 でも、逆にそうしてシミュレートすることによって、特にネット投票というものからみた場合、制限・制約が大きくなってきているのではないか?もっと違うインターフェイスがあってもいいんじゃないか?iTune+MusicStoreを見て、そんな事を思ったのです。



 もともと電話投票・在宅投票は「いかに競馬場で馬券を買うのと同じ状況を作るか」という発想から始まっていて、そして普及当初は通信環境も今とは比べものにならないくらい貧弱でしたから(私がPATに当選した頃は9600bpsのアナログモデムで通信してましたよ)、文字(数字)中心のインターフェイスはちょうど都合が良かったし、機能的に必要十分でもありました。

 しかし今ではいろいろ条件が良くなっているわけで、必ずしもマークカードのシミュレートでなく、必ずしも文字中心でなくてもいいのではないかと思うのです。
 iTune+MusicStoreのように、ワンクリックでシームレスに情報欄と購入欄を行き来できる、文字情報や映像情報の間も自由に行き来できていいんじゃないか。ネットにつながっている利点・パソコンや携帯の性能が上がっている利点をもっと取り入れていいのではないか、と。

 馬番を間違えずに打ち込む、という作業も、けっこう神経を使いませんか?
 マークカードにせよネット投票のインターフェイスにせよ、レースに関する様々なデータは購入者が別に持っているだろう、という前提があって、購入者は自分なりに情報を読み解いて、かつそれを馬番や枠番から必要に応じた数字に置き換えて記入する、という作業をしなくてはなりません。で、買ったつもりの馬番が一個ずれているとか、レースがずれているとかという悲劇が、しばしば起きてしまう、と。
 これなんかも、直接馬柱から馬名を選んでいく、買い目欄にも馬名が表示されるという操作ができないものかと、ネット投票ならそういうのもアリなのではないかと思うのです。



 iTune+MusicStoreで面白いなと思ったのがiMix機能。こういうのがネット投票の中にあってもいいのでは。
 例えば某月某月の水沢競馬予想“iMix”を、参加者がそれぞれの予想法や思い入れで選んだ買い目一覧を作って共有する。レース後はレビューが付いて、面白い予想者は固定ファンが付く、なんて事になればコミュニティが生まれる。当然、参加者の掲示した買い目は、それをクリックすれば同じものを買えるように。
 「ダウンロードトップ10ソング」じゃないけれど、「最近5分間に売れた買い目トップ10」表示機能とか、どうかなあ。そこまでやるとトラフィックが多くなりすぎるか・・・。



 JRAの場合、パソコン普及前から「データ予想」という分野が発達していたし、JRA自体も早くから「JRA-VAN」というデータベースを構築していた事もあって、パソコンが普及するのと同時に予想ソフトも充実していきました。そしてそういう予想ソフトが、予想支援なり購入支援なりのフロントエンドを代行していた面があります。
 地方競馬の場合はなかなかそういうソフトが出てこないんですけども、だからという事ではないですが、“楽しみつつ購入してもらう”“何度もリピートしてもらう”インターフェイス作りは、他との差別化の意味でもとても大事だと思うんですよね。

 もう一つは、全国各地に散らばる地方競馬ファンをつないでいくとしたら、やっぱり「馬券を買う楽しさによるつながり」なのではないかと。連携しようとか結束させようとかという意味ではないですよ。いろいろな条件下にある全国の競馬ファンがつながりを持てるとしたら、やっぱり一番の基本である「馬券を買う・当てる」楽しみの部分なのではないか。「iTune+MusicStore」型のインターフェイスって、そういうネットコミュニティ的な役割も持てるのではないだろうか。

 セキュリティやらプライバシーやらいろいろ難しい事はありますが、ネット投票に関する部分のインターフェイスを、いつまでも昔のままにしておく手はないのではないでしょうか。
 私個人のイメージは「iTune+MusicStore」であり、ネットショッピング的な造りです。ギャンブルである事を強調して敷居を高くする事はないと思っています。

特別開催の前半が終わりました

2006年01月16日 | 岩手競馬
1月14日/約1億4600万。
1月15日/約2億530万。
1月16日/約1億6000万。

 「施設改修特別競馬」前半3日間の結果です。ほとんど他場発売が無かった割によく売れたなという気がしますね。特別開催やりますよ、とバンバンCMが流れたし、スポーツ紙の宅配分に出馬表の折り込みを入れたりして告知を頑張った効果もあるでしょう。気温が上がって暖かかったのもラッキーでした。

 次は3月後半の開催になります。この特別開催のための能検があるかもしれないということで、厩舎間係者や騎手の皆さんは2月下旬には現場に戻れるよう心づもりをしつつ、短い冬休みに入りました。
 この間九州に武者修行に出たり(高松亮騎手とか)、マカオ遠征を狙ったり(陶文峰騎手です)、はたまた目の手術(これは板垣吉則騎手)をしたりと皆さん飛びまわる模様。テシオの取材ができるかどうか、騎手の皆さんをつかまえられるかどうか、非常に心配ではあります。いずれ例年になくバタバタした冬季休催期間になりそうです。



 さて、この3日間に大記録が2つ生まれました。
 まず一つめは14日に達成された「騎手年間最多勝記録更新」。
 これまでの記録は菅原勲騎手が2001年に達成した年間204勝でしたが、これを小林騎手が5年ぶりに更新。この日の4Rで205勝の新記録を達成すると、16日までにさらに勝ち星を加え、212勝にまで記録を伸ばしています。
 いっそ220勝いけるかどうか?しかし小林騎手は、こういうとご本人に怒られるかもしれませんが、休み明けは調子の出ないタイプの方だけに(^^;)、間隔が開いてしまうのが問題かもしれません。川崎の佐々木竹見カップで上手く調子を戻して頂ければ・・・。

 もう一つは、新記録ではありませんが、「調教師年間勝利数」で村上昌幸厩舎が80勝の大台に乗せました。16日の10R、マイニングプレスでの勝利がちょうど80勝目。テキに「久しぶりだと思うから調べといてくれよ」と言われてひもといてみると、これまでの最多勝記録は1970年・小西善一郎師の113勝(!)。2位が小西善一郎師・佐々木豊師の91勝、3位が小西善一郎師・村上初男師の82勝とのこと。
 81勝と80勝で何人いらっしゃるかまでは調べ切れませんでしたが、残りの開催日を考慮すれば82勝を超えて単独3位に上がるのもそう難しくない感じがします。

 そして、調教師リーディングが80勝を超える争いになったのは本当に久しぶりの事。村上昌幸厩舎と伊藤和厩舎のデッドヒートがここまでの闘いにさせたのかと思うと・・・。
 村上昌厩舎と伊藤厩舎って、水沢の厩舎地区の中で並んでいるんですよね。そう思うと余計に凄まじいものを想像してしまいます・・・。



 さて、以前ここで書いた3連勝馬券の導入ですが、どうも4月からになりそうです。3月の開催後に2週間空けて、ここでシステムを入れ替える模様。これはちょっと残念だなあ。

 当然その時はマークカードも入れ替わるでしょう。私はJRAと同じ様式にしてフォーメーションや多点ボックスを買えるようにしてほしいと思うのですが、どうでしょう?

 で、と。
 3月の開催、日程がちょっと動くかもしれません。めざとい方はいったん消えた3月分日程の(予定)の文字が、この3日間の出馬表で再び復活したのに気づいておられるでしょう。さて、どうなるか・・・。

遠藤陸夫厩舎ラストラン ・・・の少し前

2006年01月13日 | 岩手競馬
 12月31日、9レースの出走をもって遠藤陸夫調教師が引退されました。そのレースが遠藤厩舎の2頭、タイカンホープとタイキインフェルノのワン・ツーで決まって、これ以上ないほどの見事な幕切れとなったのは皆さんのご存じの通り。今回はそのレースのちょっと前のお話しです。



 その9レースをもって遠藤厩舎の最終出走となる、ということで、レースの前に厩舎におじゃましてみました。ラストランを厩舎から見送ろう、と思ったのですが、行ってみて驚いたのが、厩舎にはもうこの2頭と、担当の厩務員さんだけしか残っていなかったんですね。
 馬房はすでに空っぽ、厩舎の道具類も片付けられていて、それはもうさっぱりしたものでした。

 聞けば、2頭ともレースに出た後そのまま新しい所属厩舎に移動する予定で、2頭が使った道具類も、馬が出た後にもう一人残っていた厩務員さんが持って出るという事で、2頭が出発した後の厩舎の建物は本当に空っぽになるんですね。

 この2頭のどちらかが勝ったとしても、もうここには出迎えてくれる人はいない。馬と人が帰ってきて喜びの声を聞かせてくれる事もない。そう思うとちょっと寂しい気がしました。



 遠藤陸夫調教師は始め速歩のジョッキーとしてデビュー、後に平地競走の免許も取られましたが、30代半ばで早くも調教師に転身。それが1971年の事ですから、35年にわたって調教師として活躍されてきた事になります。
 最近の活躍馬はタイキインフェルノ、シャンハイジャパン、ロイヤルハーバー、ユウユウサンボーイ。「岩手競馬の一番いい時代に活躍馬を手がける事ができたのは幸運でしたね」と遠藤師が言うのはロイヤルハーバーかユウユウサンボーイのことでしょうか。

 傍目に見る遠陸先生はすっかりいいおじいちゃんで、失礼ながら“かわいい”という印象すら受けるのですが、実はというかやはりというか、けっこう頑固者でもあったそうです。
 それがよく現れていたな、と思うのが騎手の起用の仕方でした。
 厩舎が複数頭数をレースに出す時、いい馬の方を他の厩舎の騎手に乗ってもらい、所属の騎手はどちらかといえば勝ち目の薄そうな方に乗る、という事が、不文律ではないですけどよく行われます。
 それが他厩舎の騎手の手をわずらわせるお礼、みたいな意味あいなのですが、遠陸厩舎の場合、いい馬の勝負は必ず所属の草地騎手。草地騎手がまだ若かった頃はそうでもなかったですが、最近は必ずと言っていいほどそうでした。
 ここ一番は草地。勝たせたい時は草地。自分の所のエースで勝ってこそ・・・という信念のようなものを、師は持たれていたようです。



 今でも残念に思うのはシャンハイジャパンですね。全日本2歳優駿に出る事ができていればかなりいい勝負ができたのではないか。あまつさえ勝ったのではないか。今でもそう思います。

 あのちっちゃいおじいちゃんがG1の表彰台に立つ。もちろん、その馬を勝利に導いたのは草地騎手。そんなシーンを見てみたかったなあ。

カーム、牧場に安着しました

2006年01月12日 | 岩手競馬
 今日1月12日、カームが水沢競馬場から繋養先である青森県・山内牧場に移動しました。

 今日は長旅をしたことでもあり、到着してすぐうまやに入れて休息となりましたので、その合間に少しだけ立ち姿を撮らせて頂きました。無事着きましたよ、千葉さん。



 今のカームはまだレースを使って間もないだけに、競走馬同様の体つきですが、これから体重を増やしつつ種牡馬としての体力をつけていく予定とのこと。
 牧場の方は「サンデーの仔だし、今はおとなしいけど本当は気が荒いんでねえの?」と気を遣っておりましたが、そこは“カーム”と名が付いたほどだから大丈夫でしょう。むしろ気をつけるべきは芦毛の牝馬では。芦毛の牝馬がくれば種畜検査もきっと一発合格・・・(^^;)。

 しかし、カームが馬運車から降りると早速、周りの他の馬たちがいなないて挨拶を・・・いや、威嚇だろうな・・・してきました。かなり遠くの放牧場からとか、全くカームの姿が見えないであろううまやの中からでもいななくのだから、感心します。



 これからのカームはまず、種牡馬登録と種畜検査をパスしなければなりません。種牡馬としての各種手続きが終わるのは2月中程~終わり頃。それで晴れて「種牡馬カーム」が誕生、ということになります。 

桐花賞 南郷がんばった!!

2006年01月07日 | 岩手競馬
 新年も明けて、すっかり明け切ってしまって何日も経つんですが、いましばらく旧年ネタにおつきあい下さいませ・・・。



 3歳馬マツリダパレスが勝った桐花賞。久々に南郷騎手らしさが爆発したレースでしたね。
 最内枠からすっと先行集団に付け、前に2頭行かせながら3番手の位置をキープ。すんなり流れている時はおとなしく流れに乗り、ごちゃつきそうな時には押して出てその位置から引きませんでした。途中、関本浩司騎手のゲンパチコジーンがスローペースに耐えかねてか一気に動き、マツリダパレスのさらに内に突っ込もうとした時も、南郷家全騎手は頑固なまでに競り合ってついにその位置を譲らず、ポジション争いに敗れたゲンパチコジーンは後退していきます。
 気がついてみれば4コーナー、とうとうそこまで3番手を守りきった時点で、マツリダパレスと南郷騎手の作戦は8割方達成されていた事でしょう。後はいつ、前を行くカームの内に飛び込んでいくか?しかしそれも、カームがコースの中程に出ていったことであっけなく成就されました。

 南郷騎手が最内にこだわった訳はというと、本人いわく「コースの両端が高くて真ん中が低い。だからコースの中程には水が浮いているけど、両側には比較的乾いた、走りやすいコースがある。絶対にそこを譲りたくなかった」なのだそうです。そう思うと、前日の特別戦を全く同じような乗り方で勝ったのも桐花賞の伏線になっていましたね。

 このレース、マツリダパレスがトニージェントを振り切った瞬間には強烈な印象を受けたのですが、4コーナーで、南郷騎手がじっと内が開くタイミングを待っていた、そして開いた瞬間勇躍飛び込んでいった、その瞬間も忘れられません。

 南郷騎手は重特だとピンチヒッター的な騎乗機会しかなくて、自厩舎の馬でもなかなか連続して乗れないのですが、たまにこういう大レースに乗っても、平場と同じようにしれっと豪快なレースをしてしまうところが彼の凄いところだと思います。
 もちろん、馬にそれだけの力があったからこそ勝てたのですが、何と言っても光っていたのは南郷騎手の騎乗ぶり。今回は彼に対して「凄いよ!!」と言ってあげたいですね。

 と、こんな事を書いている今日、トウケイニセイ記念の枠順が出まして、マツリダパレスは小林騎手に乗り替わりとなりました。いや、南郷騎手はこういう事にもめげず、またあっと驚く騎乗を見せてくれるに違いありません。きっとそうに違いない。



 さて、桐花賞で4着に入ったカームですが、予定通りこのレースを最後に引退することになりました。今後は青森県八戸市にある山内牧場で種牡馬として繋養されることになっています。
 種牡馬としての条件は「産駒誕生後・10万円」と聞きました。馬主さんにはけっこう厳しい条件ですが、それでも是非カームの子供を見たい、という事でこういう条件になりました。
 種牡馬として数多くのライバルと戦っていくには、確かに成績面では少々もの足りませんけども、血統面や馬体では決して引けを取らない馬ですし、なんとかいい仔を出して、長く種牡馬として暮らしていってほしいです。

 カームにとって“青森で種牡馬入り”は都落ちのような印象を受けられるかもしれませんが、その点は、少なくとも生産者から望まれて青森に留まる、ということを書いておきたいです。
 まだこれから検査等が必要で、その所要時間からすると3月ごろに間に合わせるのがギリギリという感じですが、種付け頭数は一桁という事はなくてうまくすれば20頭近く集まるのではないかと思います。

 カームが青森に出発するのは1月12日の予定。早ければお昼頃にも厩舎を後にして、その日のうちに牧場入りすることになるでしょう。テシオでもカームの種牡馬入りを追いかけていきたいと思っています。