みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

千葉サラブレッドセールで

2006年05月16日 | 岩手競馬
 この月曜日、千葉県は船橋競馬場で行われた「千葉サラブレッドセール」に行ってきました。
 朝9時から調教供覧開始という事なので朝の新幹線では間に合わず、さりとて前日入りもできず、という事で夜行バス利用。トイレの後ろの席だったから脚元が狭かったよ・・・。



 この「千葉サラブレッドセール」、1歳馬と2歳馬のセリなんですが、注目はやはり2歳のトレーニングセール。中でもJRA・社台ファーム・ダーレージャパンの三者の上場馬が注目を集めました。

 JRAの4頭は、先のJRAブリーズアップセールに間に合わなかった組とそこで唯一主取りになった馬。ブリーズアップセールでも評価された個体情報の確かさと、ある意味“JRA保証”みたいな安心感が売り。
 社台ファームの10頭は、“社台の育成”もさることながら、やはりフレンチデピュティ、フジキセキ、バチアー等の“社台種牡馬”の仔という点も魅力。
 ダーレージャパンの8頭は血統面+育成面、さらにはこれから大きな勢力になって行くであろう「ダーレー」の勢いに乗る、みたいな所があったでしょう。

 この三者の上場馬がどれだけ注目されていたかは、セリの結果を見れば一目瞭然。今回のセリには53頭の2歳馬が上場され、うち39頭が落札されましたが、JRA・社台ファーム・ダーレージャパンの三者22頭は完売という結果。
 公式に発表された全体の売却率は73.6%でしたが、この三者とその他を分けて考えると100%対54.8%になります。いやはや凄い。

 セリの最高額を取ったのはダーレーの馬でした。添付の画像の上場番号21番、父コマンダーインチーフ・母コーディングGB。血統や馬体の良さもさることながら、調教供覧で出した2F/23.8秒、1F/10.3秒はこの日の一番時計。それも、切れのある動きで無理なく時計を出した、という印象の走りでしたから、これは高くなって当然という雰囲気でした。
 その他、1000万越えの14頭中11頭がJRA・社台・ダーレーのいずれかの上場馬。なんというか、他とは競り上がり方が違ってました。


 
 個人的に一番印象深かったのはやはりJRAでした。会場で配っていた個体情報の資料が、この内容が手厚い。体高・管囲等、馬体の基本データはもちろんの事、体重の変化、既往症の有無、脚元のX線やエコー検査の結果、咽喉部の内視鏡検査の結果、ここ3週の調教データ・・・。これだけはっきり出されたら買う方も安心というもの。
 他の牧場だって同等のデータは集めているだろうし、馬を買った人には伝えられるのでしょうが、JRAの場合、会場に来た人がみな手に入れられる資料として配っているのが違います。
 これでもし、これらJRAの馬に将来なにかの故障が見つかって“実は育成の時に・・・”なんて事になったら、この資料を手にした全員が気づく。買った人だけが気づくのか、直接は関係ない第三者まで気づくのか。その違いは、その覚悟は、非常に大きいと思います。

 それでもって、JRAが“セリで売る”立場になってまだ2年くらいなんですよね。JRAとしてはまだノウハウを積み重ねている段階。それでいて既にこれまでのレベルを超える点が出てきている。なんというか、JRAの組織としての層の厚さ・レベルの高さを感じさせられます。
 これであと何年か経ったら、どうなるんだろう。もちろん他も黙ってはいないと思いますが・・・。



 セリ自体は、全体的には盛り上がっていたのではと思います。JRAのブリーズアップセールが大盛況で、こういうセールはどうしても購買層が重なりますから、“もう買いたい人はみんな買ってしまったのではないか?”という見方をする方もおりましたが、結果、売却率は少し下がりましたが売却総額は昨年の倍以上。トップ3のブランド馬に限らず、他の牧場の馬からも高額馬がポンポンと出たのが好結果につながった感。

 解説をされていたのがあの“世界の合田”さんで、合田節を50頭以上も生で聞けたのも楽しかったなあ。「そこまでいうかあ?」と思うくらい大風呂敷(失礼な言い方でスイマセン・・・)な出だしから、きちんとその馬の個性に繋げてしめる。さすがだなあと思いました。

 ちなみに岩手の山本武司さんも3頭購買されました。2頭を社台、1頭はJRA
の鉄壁の布陣でした。
 個人的には3個ゲットされたであろうスイカの方が気になったりします・・・(注・千葉市場で馬を買うとスイカがもらえる)。ん?何頭買っても1個なんですか?

(上の件、ご本人に確認した所、3個貰ったそうなんですが「送料が高いから置いてきた」との事でした・・・)



 さて、会場をうろうろしていたら意外な方に出会いました。この方!トップの画像にするとすぐばれちゃうからと思ってここまで引っ張りました(^^;)。
 今は千葉の下河辺牧場トレセンにいて「単身赴任だよ~」とのこと。調教供覧で騎乗して、トレードリンクにも引いて出たこの47番の馬、父サッカーボーイ・母サンワッシュUSAは、350万から始まって1060万円(税抜き)で落札されました。「トビがふわっとした着地感で、ちょっと他にない感じなのさ」とおっしゃっていたこの馬がどんな結果を出してくれるか、楽しみにしたいと思います。

 ご本人は「写真は恥ずかしいな~」と言われてましたけど、いいですよね?ね?一応リンクにしておきました(^^;)。お元気そうなのがなにより。

牧場に行ってきました

2006年05月13日 | 岩手競馬
 先日の金曜日、軽種馬協会東北支部が青森の牧場で行っている登録検査に1日だけおじゃましてきました。
 北海道のそれはずいぶん賑やかなようですが、青森はそんな事もなく、っていうか、いざ牧場に行ってみたら「あれ?今日だっけか?」なんて事もあって、まあいたってのんびりしております。

 青森での登録検査は10日から始まって16日まで、1歳馬のいる牧場をすべて回ってチェックをしていきます。全部で45の牧場、195頭。以前はもっと回る牧場数が多かったですが、最近は育成に預けてしまう牧場が増えましたし、生産自体止めてしまった所も少なくないのでこんな数になってます。
 とはいえ、ほぼ全部の牧場を一挙に回れるという機会はめったにないし、ホントは全日程ご一緒させて頂きたいのですが、残念ながらなかなか都合が合わせられない。今回は金曜日が最初にして最後のチャンスになりそうだったので、朝イチの新幹線で下ってFM岩手「勝ちそー」本番直前に戻って来るという強行軍で行って参りました。でもそれだけの価値がある1日でしたよ。軽種馬協会東北支部の皆様、そして牧場の皆様、いつもいつもありがとうございます。


 
 こうして牧場に出かけるようになって5年。現地の姿は変わっていないようでいてかなり変わってきています。規模を縮小したり、サラブレッド生産から手を引いてしまったり。
 世の中の景気が良くなりつつあると言われ、“バブル期に匹敵する景気拡大”なんて威勢のいい言葉も聞かれますが、青森の牧場にはまだまだそういう景気回復の波は届いてこないですね。
 まあ、昔のようにつくれば売れる、なんて時代に戻るわけはないのですが、がんばった所が、がんばったなりの利益を得られないのでは、辞めたくなるのも当たり前かなと思います。
  
 そんな中で明るい話題をつくってくれるのは、やっぱり生産馬が走る事。インパーフェクトみたいな馬が活躍してくれるのが一番の宣伝です。
 インパーフェクトは、以前テシオでも取り上げた事のある青森・荒谷牧場の生産馬。昨年の北海道オータムセールで700万(税抜き)で取引されました。荒谷さんの所もこれからどうするか相当悩まれていたところにこういう馬が出てくれたから、喜びもひとしおのようです。
 ま、まだ認定戦を勝ったばかりですから、これからも無事に走って、そして「青森の荒谷牧場」の名前を全国に知らしめてくれるような活躍をして・・・。あんまりいろいろお願いしちゃいけないか。まだデビューしたばかりの2歳馬なんだし(^^;)。

 インパーフェクトの翌日、同じくホッカイドウ競馬の牝馬の新馬戦を勝ったブリリアントレディという馬も、これも青森・伊藤牧場の生産馬。確かこの馬、当歳の時に牧場で見せていただいた事があると思います。1歳のセリではなかなか売れずに困ったそうですが、そういう馬があっさり新馬を勝ってしまうのだから分かりませんよね。
 インパーフェクトにせよブリリアントレディにせよ、青森にもこうしてダイヤの原石はいっぱいあるということだと思います。こういう馬に、岩手からデビューして全国を目指してほしかったな・・・。

謎の?飛行物体

2006年05月05日 | 岩手競馬
 どうもなかなかここに書きに来れませんなあ。気がつけばサクラ満開。盛岡競馬場初のGW開催も始まりました。

 そのGW開催初日の売上げが2億割れ。イベントで人は一杯いたけれど(盛岡は8600人入った)、他場での発売が全くないとこんなものか、というところ。
 駐車場が満杯になったのは、動物公園の臨時駐車場になっていたせいとか。あれだけ渋滞・満杯になったのは久しぶりに見た気がしたのだけれど。



 さて、今回は先週の水沢でのおはなし。
 今年は向こう正面の桜の開花と競馬開催日がバッチリぶつかってくれて、満開の桜をじっくりと楽しむ事ができました。

 で、サクラとレースの写真を撮ろうと内馬場の公園に入ってうろうろロケハンをしていたんですが、その時の写真を家で眺めていて、ある一枚に奇妙な物体が映っているのを発見しました。

 添付の画像の、真ん中やや左上あたりに注目。なんか楕円形の、光る物体が宙に浮いております。
 最初、レンズに太陽光線が入ったのかなと思いましたが、この時はほぼ太陽を真後ろにしていたのでそれはないはず。
 で、
 ・遠景の山で何かが光った
 ・桜見物の人が何かを投げた
 ・風船が飛んでいた
 ・単純にレンズ内のゴミが写り込んだ
 ・マジでUFO
 とか想像してみたのですが、2分ほど考えて“これって蹄鉄じゃないか!”と、ごくごく当たり前な結論に行きつきました。

 そう思って見れば明らかに形が蹄鉄だし、添付のサイズでは分かりづらいですけど、元画像で拡大してみると側鉄唇(蹄鉄の正面につける鉄唇に加え、側面やや前側につける鉄唇。水沢の装蹄師さんがよく使っています)の影もみえます。これは蹄鉄で間違いないでしょう。

 いやしかし、なんで最初に「蹄鉄だ」という事を考えなかったかというと、落鉄する時って、馬がズボっと砂に脚を突っ込んで、そして蹴り上げる時、砂の中にぽろっと抜け落ちるように外れる物だ、と思っていたんですよ。こんな4、5mも飛び上がるものだとは思ってなかった。でも、後ろ脚を蹴った時に外れたら、確かに後ろにすっ飛んでいくかもしれません。

 これは結構怖いですよね。蹄鉄は小さくて軽いとはいえ、それなりに質量があるから当たれば痛い。人間の顔に当たれば青アザくらいでは済まない気がします。馬の顔面直撃なら痛さに戦意喪失、なんて事もありそう。
 レースを見ていて、変に動いて避けている騎手の姿が見えたら、この時みたいに飛んでくる蹄鉄を避けたのかもしれません・・・。
 あ、“馬上でマトリックスのように蹄鉄を避ける騎手”を想像してしまった。すごいかも。



 レースの写真を撮っていると「落鉄したまま走っている馬」は時々見かけますが、「落鉄した蹄鉄が宙を舞っている」写真はさすがに珍しいかなと思いネタにしてみました。
 ちなみにこのレースは4月29日の6R、画面に映っているのはエフェクト・タマガッツ・タマノジャガー。画面右手の見えないところにはタケデンハヤカゼとマイオウギがいます。
 蹄鉄の形からしてエフェクト以外のどれか、なんですが、タケデンハヤカゼは馬群を離して逃げていましたから、位置的にマイオウギの物の可能性が大きいのでは、と想像しています。



 満開の桜ってのは、ものすごくエネルギーを感じませんか?なんというか、エネルギーが爆発しているような、沸き立つような。
 それでもって本当に艶めかしい。なんだか怪しい生物が手をこまねいているような雰囲気すら感じます。
 『桜の木の下には死体が埋まっている』と書いたのは泉鏡花でしたか。本当にそうなのかも、と思うくらい、満開の桜の花は妖艶です。そんなシーズンも駆け足で去っていきますな。もう少し留まっていてほしい・・・。