みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

iTune+MusicStoreに思う ネット投票のインターフェイス

2006年01月23日 | 岩手競馬
 最近アップルのiTune+MusicStoreに手を出してみました。
 iPod持ちでは無いけれど、ストアの中に聞いてみたい曲があったので、とりあえず一番少額のMusicCardを買ってみる、という形で参加。値段が結構高いとか、曲の種類がありそうでないとか、まあ始めに思っていたほどでない部分も結構あったのですが、なんだかんだと70年代~80年代なつかしポップス系をダウンロードしつつ、iTune+MusicStoreのインターフェイスにふと感じるものがありました。



 日頃I-PATやD-NETのネット投票を使っている分には特に不便を感じていなかったけれど、iTune+MusicStoreを見た後になると「ああ、手軽にはなったけど、昔と変わってないんだな」という気がしてきたんです。

 開催場を選んで、レース番号を選んで、賭式を選んで、組み合わせの種類を選んで、買い目を打ち込んで、金額を打ち込んで、最後に改めて総額を打ち込んで、何度も何度も確認を経てようやく購入確定。
 自分以外に確認する人のないネット投票だからこそ、何度も「これでいいんですか?いいんですね?」と念を押されるのでしょうし、ネット経由の購入という事自体に対する信用というか安心というか、“どっかでおかしくなってるかもしれない”という不安感みたいなものがまだまだ根強いから、ステップバイステップの作業で安心感を補強している意味もあるでしょう。

 そしてやはり、ネット投票はマークカードのシミュレートだ、って事がこういうフローになる大きな理由なんだろうな、と思います。馬券を買う人ならまずマークカードの書き方は知っているだろうし、となればそれと同じ流れにしておけば分かりやすいだろう、という事。
 もちろんそれは正しいアプローチだと思います。実際、マークカードの様式は細かい差はあれJRA・地方問わずほぼ同じ。馬券を買う際の“共通語”な訳ですから、ネット投票でもそれに沿っておけば、細かい説明が無くてもだいたい分かってもらえる、と考えていいはず。

 でも、逆にそうしてシミュレートすることによって、特にネット投票というものからみた場合、制限・制約が大きくなってきているのではないか?もっと違うインターフェイスがあってもいいんじゃないか?iTune+MusicStoreを見て、そんな事を思ったのです。



 もともと電話投票・在宅投票は「いかに競馬場で馬券を買うのと同じ状況を作るか」という発想から始まっていて、そして普及当初は通信環境も今とは比べものにならないくらい貧弱でしたから(私がPATに当選した頃は9600bpsのアナログモデムで通信してましたよ)、文字(数字)中心のインターフェイスはちょうど都合が良かったし、機能的に必要十分でもありました。

 しかし今ではいろいろ条件が良くなっているわけで、必ずしもマークカードのシミュレートでなく、必ずしも文字中心でなくてもいいのではないかと思うのです。
 iTune+MusicStoreのように、ワンクリックでシームレスに情報欄と購入欄を行き来できる、文字情報や映像情報の間も自由に行き来できていいんじゃないか。ネットにつながっている利点・パソコンや携帯の性能が上がっている利点をもっと取り入れていいのではないか、と。

 馬番を間違えずに打ち込む、という作業も、けっこう神経を使いませんか?
 マークカードにせよネット投票のインターフェイスにせよ、レースに関する様々なデータは購入者が別に持っているだろう、という前提があって、購入者は自分なりに情報を読み解いて、かつそれを馬番や枠番から必要に応じた数字に置き換えて記入する、という作業をしなくてはなりません。で、買ったつもりの馬番が一個ずれているとか、レースがずれているとかという悲劇が、しばしば起きてしまう、と。
 これなんかも、直接馬柱から馬名を選んでいく、買い目欄にも馬名が表示されるという操作ができないものかと、ネット投票ならそういうのもアリなのではないかと思うのです。



 iTune+MusicStoreで面白いなと思ったのがiMix機能。こういうのがネット投票の中にあってもいいのでは。
 例えば某月某月の水沢競馬予想“iMix”を、参加者がそれぞれの予想法や思い入れで選んだ買い目一覧を作って共有する。レース後はレビューが付いて、面白い予想者は固定ファンが付く、なんて事になればコミュニティが生まれる。当然、参加者の掲示した買い目は、それをクリックすれば同じものを買えるように。
 「ダウンロードトップ10ソング」じゃないけれど、「最近5分間に売れた買い目トップ10」表示機能とか、どうかなあ。そこまでやるとトラフィックが多くなりすぎるか・・・。



 JRAの場合、パソコン普及前から「データ予想」という分野が発達していたし、JRA自体も早くから「JRA-VAN」というデータベースを構築していた事もあって、パソコンが普及するのと同時に予想ソフトも充実していきました。そしてそういう予想ソフトが、予想支援なり購入支援なりのフロントエンドを代行していた面があります。
 地方競馬の場合はなかなかそういうソフトが出てこないんですけども、だからという事ではないですが、“楽しみつつ購入してもらう”“何度もリピートしてもらう”インターフェイス作りは、他との差別化の意味でもとても大事だと思うんですよね。

 もう一つは、全国各地に散らばる地方競馬ファンをつないでいくとしたら、やっぱり「馬券を買う楽しさによるつながり」なのではないかと。連携しようとか結束させようとかという意味ではないですよ。いろいろな条件下にある全国の競馬ファンがつながりを持てるとしたら、やっぱり一番の基本である「馬券を買う・当てる」楽しみの部分なのではないか。「iTune+MusicStore」型のインターフェイスって、そういうネットコミュニティ的な役割も持てるのではないだろうか。

 セキュリティやらプライバシーやらいろいろ難しい事はありますが、ネット投票に関する部分のインターフェイスを、いつまでも昔のままにしておく手はないのではないでしょうか。
 私個人のイメージは「iTune+MusicStore」であり、ネットショッピング的な造りです。ギャンブルである事を強調して敷居を高くする事はないと思っています。