みちのくレースのおたのしみ

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遠藤陸夫厩舎ラストラン ・・・の少し前

2006年01月13日 | 岩手競馬
 12月31日、9レースの出走をもって遠藤陸夫調教師が引退されました。そのレースが遠藤厩舎の2頭、タイカンホープとタイキインフェルノのワン・ツーで決まって、これ以上ないほどの見事な幕切れとなったのは皆さんのご存じの通り。今回はそのレースのちょっと前のお話しです。



 その9レースをもって遠藤厩舎の最終出走となる、ということで、レースの前に厩舎におじゃましてみました。ラストランを厩舎から見送ろう、と思ったのですが、行ってみて驚いたのが、厩舎にはもうこの2頭と、担当の厩務員さんだけしか残っていなかったんですね。
 馬房はすでに空っぽ、厩舎の道具類も片付けられていて、それはもうさっぱりしたものでした。

 聞けば、2頭ともレースに出た後そのまま新しい所属厩舎に移動する予定で、2頭が使った道具類も、馬が出た後にもう一人残っていた厩務員さんが持って出るという事で、2頭が出発した後の厩舎の建物は本当に空っぽになるんですね。

 この2頭のどちらかが勝ったとしても、もうここには出迎えてくれる人はいない。馬と人が帰ってきて喜びの声を聞かせてくれる事もない。そう思うとちょっと寂しい気がしました。



 遠藤陸夫調教師は始め速歩のジョッキーとしてデビュー、後に平地競走の免許も取られましたが、30代半ばで早くも調教師に転身。それが1971年の事ですから、35年にわたって調教師として活躍されてきた事になります。
 最近の活躍馬はタイキインフェルノ、シャンハイジャパン、ロイヤルハーバー、ユウユウサンボーイ。「岩手競馬の一番いい時代に活躍馬を手がける事ができたのは幸運でしたね」と遠藤師が言うのはロイヤルハーバーかユウユウサンボーイのことでしょうか。

 傍目に見る遠陸先生はすっかりいいおじいちゃんで、失礼ながら“かわいい”という印象すら受けるのですが、実はというかやはりというか、けっこう頑固者でもあったそうです。
 それがよく現れていたな、と思うのが騎手の起用の仕方でした。
 厩舎が複数頭数をレースに出す時、いい馬の方を他の厩舎の騎手に乗ってもらい、所属の騎手はどちらかといえば勝ち目の薄そうな方に乗る、という事が、不文律ではないですけどよく行われます。
 それが他厩舎の騎手の手をわずらわせるお礼、みたいな意味あいなのですが、遠陸厩舎の場合、いい馬の勝負は必ず所属の草地騎手。草地騎手がまだ若かった頃はそうでもなかったですが、最近は必ずと言っていいほどそうでした。
 ここ一番は草地。勝たせたい時は草地。自分の所のエースで勝ってこそ・・・という信念のようなものを、師は持たれていたようです。



 今でも残念に思うのはシャンハイジャパンですね。全日本2歳優駿に出る事ができていればかなりいい勝負ができたのではないか。あまつさえ勝ったのではないか。今でもそう思います。

 あのちっちゃいおじいちゃんがG1の表彰台に立つ。もちろん、その馬を勝利に導いたのは草地騎手。そんなシーンを見てみたかったなあ。

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