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8月17日(水)

2016年08月27日 12時26分37秒 | 2016年

  8時起床。今日と明日は有給休暇を取った。本当は園田競馬(大阪)と佐賀競馬の”旅打ち”のために休んだのだが、「お金が掛かり過ぎるんじゃ…」という妻の微妙な表情に尻込みし、「だったら1日目に大井競馬で旅費分の3万円を稼いで、次の日に日帰りで佐賀競馬に行くぜ!」と計画変更した。というわけで、今日は大井競馬場へ行く。

  昼過ぎに家を出て、梅屋敷から京急線に乗り、立会川へ。立会川駅周辺は、何とも趣きのある街になっている。特に、坂本龍馬の銅像が立つ北浜川児童公園を通りすぎて数十メートルは、本当に味のある商店街になっていて、思わず足を止めたくなるようなお店が多い。大井競馬で勝って、そのお金でこのあたりのお店に入り浸るというのを一度やってみたい。

  開門時間の少し前に、大井競馬場に到着。今日は、仕事を終えたら妻も合流するとのことだったので、事前に指定席を申し込んでおいた。窓口で指定券と無料入場券を受け取り、入場門へ。平日の昼間から競馬場に来て、更には開門前から並んでいる勤勉な老若男女に混じって、私も開門の時を待つ。

  大井競馬場は、ここ最近大きな変貌を遂げた。いや、正確にいえば、今も大きな変貌を遂げている真っ最中である。古くからあったスタンドが取り壊されて新しいスタンドに建て変わり、小奇麗になっていく。それに伴って古くからあった飲食店や売店がなくなり、よくあるチェーン店やそれに類するお店が増えた。空調やモニター、キャッシュレス馬券購入システムなどの設備が完備された指定席が増え、お金さえ払えば驚くほど快適な環境で競馬を楽しむことができる。その一方で、”お金を賭ける”というあまり褒められたものではない行為を行う場所であるにも関わらず、その背徳感やそこから生じる一種の高揚感を得られるような、あの独特の雰囲気はだいぶ薄まった。私としてはそれが大きな不満であるが、日本の首都にある競馬場としては、このような形も悪くはないのかもしれない。

  古いまま残っている4号スタンドへ向かう。私が取った指定席は、この4号スタンドにある。指定席に座る前に、1階にある幸福堂へ寄り、もつ煮を購入。おじさんに「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、「こんな年寄り撮ってもしょうがないのになー」と言いながらも笑顔を向けてくれた。常連さんたちとは、今日のレースの予想をしたり、この前のあのレースは…なんて話をしている。そして、帰り際には「さあ頑張ってきてねー」と声をかけてくれる。これ、これなんですよ。これがいいんです。この温かさが。ハード面をどんなに磨いても、最後に人を惹きつけるのはそこじゃないんじゃないかなー。

 

  自分の指定席に到着し、もつ煮を頂く。お店の方々の人柄だけでなく、料理の味も抜群である。今の幸福堂では、元々複数のお店で出していた名物が集まってきているので、メニューが本当に充実している。おすすめは、今日食べたもつ煮と、2種類のもつ串である。どっちももつじゃないかと言われると難しいところだが、私がもつを大好きなことを差し引いても、これらの料理ははずさないと思う。ちなみに、指定席のほうはというと、座席そのものは非常に快適なのだが、4号スタンドは第4コーナーから直線に入る付近、つまりはゴール板から最も遠い場所に位置しているので、観戦環境としてはお金を払うに値しないものだった。しかし、この座席を拠点として動きまわるのなら悪くない。

   第1レースのパドックが始まった。予想屋さんたちのブースもパドック横に移動している。確かに、ここならパドックの様子を眺めながら予想を聞くことが出来る。ただ、夏場のパドックは本当に暑い。こんなところをずっとぐるぐる歩いて、馬たちは疲れてしまわないのだろうか。こっちは立っているだけでもつらいのだが。

  第1レースの馬券を購入し、最新のスタンド「G-FRONT」の座席から観戦。無料席で背もたれがついているのは珍しい。何だかんだで、快適なリニューアルがなされているなと感心させられる。視界も良好。ただし、馬券は惨敗。

  第2レースも惨敗。明日の佐賀への旅費確保がどんどん遠のく。

  第3レースのパドックで、ダントツに良さそうな馬を見つける。3番のマックスアチーバー君。馬格は申し分ないし、お尻の張りがあり、ハミを取って頭を下げて歩く姿からはしっかりと気合いが入っている様子も伺える。競馬新聞でも、かなり有力視されている。ということで、彼を中心に馬券を購入。

  一度馬券を買って座席に腰掛けたのだが、レース直前のオッズを見て、迷う。マックスアチーバーは直前4番人気で単勝が6倍台。私としては信じられない人気の低さ。まだ序盤だが、大きく稼ぐにはここが勝負どころなのではないだろうか。どうしよう、どうしよう…と考えている内に購入締切2分前のアナウンスが流れ、無意識に足が馬券売場に向く。単勝1点10,000円。当たれば7万円弱が手に入る。ここで勝負して、負けたら潔く帰ろうと心に決めて、お金を投入した。

  結果は、7頭立ての5着。前半は2番手につけて良い感じだったのだが、最後の直線で力尽きて馬群に沈んでしまった。彼の姿が他の馬たちに遮られて見えなくなっていく場面がスローモーションに見えて、体全体から力が抜けていく感じがした。レース開始から中盤までの高揚感と、結果を悟ってからの脱力感。外れたものの、この感情のジェットコースターは癖になりそうだ。気をつけなければ。

  以降のレースで取り返そう!という悪魔のささやきを振り返って、決めていたとおり今日はもう帰ることにする。指定席代がもったいないが、これ以上損失を増やすわけにはいかない。きちんと損切りをするのもギャンブラーであり続けるための重要な資質である。妻にラインでその旨を伝え、帰途につく。

  梅屋敷商店街を抜けたところにある和菓子屋「藤肥軒」に立ち寄る。三色団子、麸饅頭、ずんだ大福、どら焼きを購入する。ここの和菓子は美味しい。帰宅して、さっそく頂く。やっぱり美味しい。優しい甘みが敗北感を癒やしてくれる。ただ、せっかくの和菓子をこんな精神状態で食べてしまうことへの罪悪感も少しある。

  会社から帰ってきた妻に今日の顛末を報告したら、思い切り呆れた顔をしていた。そして、明日の佐賀競馬への遠征もなくなった。


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