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3月17日(日)

2013年03月22日 22時07分10秒 | 2013年

  6時起床。シャワーを浴びて身支度を整えてから、ホテルで朝食。朝からフォーが出てくるあたりがベトナムっぽい。


明け方は、さすがにバイクの波はない。

  7時半にホテルまでガイドさんが迎えに来てくださり、クチトンネル&メコンデルタのプライベートツアーに出掛ける。今回は、「TNK&APTトラベルジャパン」という会社のツアーで、プライベートツアーだと、日本語の話せるガイドさん、運転手さん、車を独り占めに出来る。赤の他人と一緒に過ごさなくて済むし、何よりマイペースに観光出来るのが良い。結論だけ先に言っておくと、プライベートツアーにして本当に良かったと思う。

  ホーチミンを出発し、まずはクチトンネルへ向かう。所要時間は約1時間半。結構な長距離ドライブだが、ガイドさんからベトナムに関する色々な話を聞けるので、時間の流れはとても早く感じられる。

  クチトンネルは、フランスとの戦争時に作り始め、アメリカとの戦争(向こうでは「ベトナム戦争」のことを「アメリカとの戦争」と言う)の際により拡張された地下トンネルで、ただ身を隠すだけでなく、不自由なく日常生活を送ることが出来るほど発達したものだった。このおかげで、枯葉剤や爆撃にも屈することなく、ゲリラ戦を仕掛けて米軍を撃破することが出来たと言っても過言ではない。当時は、兵士とそれ以外という境界はなく、農民や女性、子どもたちも戦闘に参加していた。昼間は敵と戦い、夜は田畑を耕して食糧確保に励むという厳しい生活の中でも、彼らは音楽やダンスなど、娯楽の時間を大切に過ごしていたらしい。実際に歩いてみると、どこにトンネルの入口や空気穴があり、罠が仕掛けられているのか全くわからない。こんな中を歩かなければならないなんて、米軍の兵士たちはめちゃくちゃ怖かっただろう。当時の米軍の指揮官が言ったという、「ベトコンゲリラはどこにも見えないが、どこにでもいる」という言葉が、その恐怖をよく言い表していると思う。


ここでいつどこから襲われるかわからないなんて、逆に一歩踏み入れた米軍の勇気にあっぱれ。

  まずは、映像で戦争当時の解説を見る。日本語版が用意されているので、非常にわかりやすい。当然ながら、内容はベトナム側から見た戦争なので、米軍はまさに「鬼畜米兵」として描かれている。私もスタンス的にはベトナム寄りなので違和感はなかったし、むしろその徹底した姿勢に心地良ささえおぼえたが、この映像をアメリカ人が見たら、一体どういう感想を抱くのだろうか。


当時は、こんな質素な道具でトンネルを掘ったらしい。恐るべき精神力だ。

  続いて、実際にトンネルを見て回る。当時使われていた落とし穴があったり、実際にトンネルの入口に隠れることが出来たり、観光地化はされているものの、当時の様子がそのまま残っていて面白い。詳細は下記に大量に羅列した写真に譲るが、ベトナムの人々の自分たちの強みを徹底的に活かした戦略が随所で見られて、心底感心させられた。今後何かあっても、彼らを敵に回すのは避けたほうがいいだろう。

落とし穴に落ちたが最後、体中が穴だらけになる。


こうやって地面に隠れて、敵がやってくるのを待つ。


所々にこういう空気穴が開いている。


当時のベトナムの人々の様子。


当時米軍が使っていた戦車が、そのまま残っている。


鉄砲の弾の跡。


いろいろなバージョンの落とし穴がある。


米軍の不発弾から火薬を取りだし、自分たちの武器として使っていたらしい。


実際の爆弾。


こっちは地雷。


当時は、米軍の遺した車のタイヤで草履を作っていた。


結構履き心地も良さそうだ。


実際にトンネルに入ることが出来る。


写真では伝わらないが、中はめちゃくちゃ狭く、体格の大きい欧米人は通れない(私でギリギリ)。


地上の生活空間はこんな感じになっていたらしい。

  最後に、当時の主食だったタロイモと、竹のお茶を頂く。タロイモはパサパサしたサツマイモという感じで、結構美味しい。竹のお茶も、思ったよりも味がしっかりと出ていた。

  クチトンネルを後にし、今度はメコン川へ。所要時間は2時間。暑い中を観光した後ということもあって、思い切り爆睡する。

  メコン川到着の前に、昼食。結構大きなレストランで、所定のコースを食べる。色々な料理が出て来たが、中でも風船餅が最も印象的で美味しかった。真ん丸い殻を切ると、中にお餅が入っていて、ほのかな甘さがあって最高なのだ。この味は、一体どうやって出しているのだろう。また、周辺の名物だという象耳魚も出てきて、見た目こそ気持ち悪かったが、見た目に似合わず味はあっさりしていて美味しかった。


絶品、風船餅。


象耳魚


象耳魚は、生春巻きに入れて食べる。


これも美味しい。


バインセオ(ベトナム風お好み焼き)と、揚げたほうの春巻き。


飲み物は、一番訳のわからないジュースを注文した。見た目通り、甘酸っぱい。


豚肉の串焼き。


メコン川流域の街(ミトー)風のフォー。


案外普通の炒飯。


メコン川流域は、フルーツが豊富に獲れる。

  車に乗ってメコン川を渡り、フルーツの試食へ。様々なフルーツを食べながら、目の前で地域の民謡を聞くことが出来る。私が日本人だということで、最後には「幸せなら手を叩こう」を歌ってくださり、ちょっと嬉しかった。海外でこういう歓迎の仕方をされると、結構グッとくる。

メコン川を渡る。


ココナッツの皮は、燃料として使われるそうだ。


右下のパパイヤと、真ん中上のベトナム風柿が印象的だった。

  ここからが、ここの観光のメイン。メコンデルタ(メコン川の支流)を、手漕ぎ舟でゆっくりと進む。リアルジャングルクルーズだ。周囲を木々に囲まれ、聞こえるのは鳥の鳴き声のみという環境の中を、舟がゆっくりと進んでいく。あまりにのんびりとしていて、世俗的なことがどうでもよく思えてくる。出来ることなら、何度か往復したかった。

  舟の着いた先は、蜂蜜とココナッツの工場。蜂の巣を持たせてもらったり、作り立てのココナッツキャンディーを試食させてもらう。せっかくなので、ここでお土産にキャンディーとココナッツ石鹸を購入した。また、何故か大蛇を首に巻いてもらうこともでき、とても重たかったが、とても可愛いかった。


燃料にココナッツの皮が使われている。


キャンディーを1個1個手で包装しているのが衝撃だった。


蜂蜜ドリンク。お湯で割って、最後にライム(?)を絞ってから飲む。


あまりに美味しくて、3杯もおかわりしてしまった。


かなり人間に慣れているのでおとなしく、キスしても大丈夫。

  今度はさっきより少し大きな船に乗り、メコン川本流へ出る。学校の地理で習った、あのメコン川に今自分がいると思うと、何だか感動する。大きな川だとは習ったが、まさかここまでとは。ほとんど海みたいだ。

  これにてツアーは終了となり、また2時間掛けてホーチミンへ戻る。帰りの車の中では、再び爆睡。

  ツアー終了後、「犬肉料理を食べてみたい」という私の希望を聞いて、ガイドさんが個人的に案内してくださることになる。彼のバイクの後ろにノーヘルでまたがり、公安の目を気にしながら走る。着いたお店は、完全に地元の人たち用の犬肉専門店。ここで、ガイドさんの友人(彼はガイドさん以上に日本語が上手だ)も合流し、3人で宴会。念願の犬肉は思ったよりもあっさりしていて食べやすかったが、調味料として出て来た魚醤らしきものの臭いが半端ではなく、それを付けて食べると体中が臭うような気がした。また、蜂の焼酎も飲んでみたが、アルコール度数40度と強く、1杯でフラフラになった。


ベトナムは暑いので、ビールにも氷を入れて飲む。


お米のせんべいと、犬肉をくるむ葉っぱたち。


まずは、蒸した(煮た?)犬肉。これで犬肉デビュー。


半端なく臭い魚醤。これに付けて食べる。


普通の塩でも食べる。


こんな感じで食べる。


犬肉のスープで煮込んだ筍。美味。


焼いた犬肉。臭みはなく、あっさりした豚肉といった感じだろうか。


がっつり蜂が入っている。

  結局、2時間ほど宴会を楽しむ。お2人とも本当に気さくで楽しい方で、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごすことが出来た。しかも、結局ご馳走になってしまった。私からお願いしたのだから私が払わなければならないのに、本当にありがとうございました。お2人のおかげで、今日は最高の1日になりました。必ずまた来ますので、その時はまた宴会しましょうね。


ガイドのコンさん(右)、友人のロンさん(左)と一緒に。本当にお世話になりました。

  一旦ホテルの部屋へ戻り、酔いが冷めるまで少し休憩してから、再度夜のホーチミンへ繰り出す。バイクの波には随分慣れ、ちょっと人気のない道にも思い切って突入することが出来るようになった。

  ホーチミンで一番高いビルの展望台「サイゴンスカイデッキ」に上り、市内の夜景を眺める。上から眺めると、ホーチミンがまるで大都会のように見える。こんなに綺麗だとは予想していなかったので、何度も立ち止まってため息をついてしまった。

  スカイデッキの根元(1階)にあるカフェに入り、ベトナムコーヒーを飲みながら休憩。聞いていたとおり、甘い。ミルク入りを選んだこともあるのだろうが、コーヒーというよりは、コーヒー牛乳に近い。

  「地球の歩き方」に載っていたチェー(ベトナム風あんみつ)のお店「チェー・ソイ111」で、チェーを食べる(飲む)。ちょっと強引な言い方になってしまうが、杏仁豆腐の濃いやつを飲んでいるような感じで、個人的には大好きだ。

  昨日の失敗を踏まえ、ガイドのコンさんに教えってもらった”普通の”マッサージ屋に入る。ボディマッサージが60分20万ドン(800円)という安さで、今度は安心して気持ち良くマッサージを満喫することが出来た。これで、1勝1敗である。

  コンビニで買い物をしてからホテルへ戻り、現地のお菓子タイム。着色料をこれでもかと使ったアイスが案外美味しくて驚いたが、全体的なクオリティはやはり高くない。


ホーチミンには、結構な数のサークルKがある。

  シャワーを浴び、日付が変わる前に就寝。今日は、本当に充実した1日だった。コンさんと運転手さん、ロンさんに感謝である。