(み)生活

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ep第34話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2016-04-22 15:54:07 | ガラスの・・・Fiction
ep第33話←                  →ep第35話
********************
「楽しみで楽しみで、しかたありません。」
ロビーで顔を合わせたマヤは早くも興奮を抑えきれないといった様子でいた。
いよいよ亜弓の主演映画上映日である。
亜弓とは、レッドカーペット上で会って以来、マヤの映画を観てくれたかどうかも定かではない。
「どんな映画なんだろう。きっと亜弓さん、素敵なんだろうな」
劇場へと向かうハイヤーの中で、マヤは読めもしない言語で書かれたパンフレットを
食い入るように何度も見返していた。
「そんなに集中して見たら、酔ってしまうよ。」
一足先に境は帰国したため、フランスに残っているのはマヤと是永、
それに途中合流となった真澄だけだった。
マヤのマネージャー大原も、真澄と入れ替わりに日本へ帰っている。
「監督は、フランス語は分かりますか?」
「そうだね、昔留学していたから日常会話くらいは・・・
 あと映画だと英語字幕が付いているからなんとか追えているけどね」
「そうなんですね。この、亜弓さんの映画のタイトルってどういう意味なんですか?」
「ええと、直訳すると”彼女だけが知らない彼女の内面性”って感じかなー、
 多分この彼女ってのが姫川亜弓だと思うけど」
「そうか・・・亜弓さん主役ですもんね。」
久しぶりに見る亜弓の演技、マヤの心は踊り、
その日午前中の映画にはあまり集中できないくらいだった。
そしていよいよその時、
亜弓の映画の始まりを知らせるブザーが響く。

数時間後ーーーー

映画はとっくに終わっていた。
いやむしろ騒音と言ってもおかしくないほどの歓声と熱気が
充満し、じっとしてはいられないほどの興奮に包まれていた。
ただひとり、北島マヤの座席以外は。

"分からない分からないけどとにかく止まらない・・・"

マヤの顔は硬直し、まるで人形のように身じろぎもしない、
ただ流れ落ちる涙の雫が、
これが生身の人間であることを唯一証明するかのように
きらめいていた。

スクリーンの中の亜弓は、今までに見たことがないほど
美しく、そしてはかなかった。
『彼女』の中にある3つの人格といってもいい感情を
表情一つで見事に演じ分け、声色さえも変わる。
台詞の一つひとつが流れる調べのように心地よく、
それが切なさを倍増させる。
"すごい、亜弓さん本当にすごい・・・・"
まさに新境地を切り開いたといってもいい亜弓渾身の演技に
魅了されたマヤは気付けばすぐそばに亜弓が立っている事に
気付かなかった。
「マヤ、どうだった?」
ふいに話しかけられたマヤは、つい先ほどまでスクリーンの中にいた
切ないほど美しい女性と亜弓との境目があいまいになっていた。
「あ、えと・・えーーと、あ、亜弓さん、本当に素晴らしい作品でした・・・
 私、感動というか興奮というか、とにかくどう説明していいか分からないけど・・・・」
顔から汗を吹き出しつつ必死で感想を伝えようとするマヤを
にっこりとほほ笑んで見つめる亜弓は、おもむろにマヤを抱きしめた。
「この作品が、私からあなたへの答えよ。」
耳元で亜弓のささやくような声がこだまする。


「ハイ!マヤ、今日もやってくれるんでしょ?」
「あ、エレンさんこんばんは・・・・。あ、あの・・・・
 ごめんなさい、今日はちょっと難しくて・・・」
「あら、それは残念。あなたの演技とても楽しみにしてたのに」
この滞在ですっかり仲良くなったホテルの女性従業員に、
今日の映画の再現をせがまれた時、マヤはそういって
断ることしかできなかった。
"さっきの亜弓さんの言葉、いったいどういう意味なんだろう"
私からあなたへの答え・・・・確かに亜弓はそう言った。
マヤに対して亜弓が保留にしていることはただ一つ、そう
紅天女を受けるかどうか・・・
今回の映画と紅天女がどう結び付くのか、マヤには見当もつかなかった。
"速水さんなら、知っているかしら・・”
そう思っても真澄は他でもない、亜弓の映画関係者とのミーティングで
今晩は不在だ。
マヤは亜弓の映画を観た興奮もないまぜになって
その夜なかなか寝付く事ができなかった。
目を閉じれば、亜弓の映画のセリフが思い出される。
そしてそのたびに、隣にいて欲しい人を思い出す・・・・。

**
「お疲れではないですか?」
何となく眠れずにホテルのバーに来ていた是永は、
長身から落とされた低く響く声に振り向いた。
「あ、速水社長。いや、あっという間で疲れる暇もない。
 むしろ緊張感で眠れないくらいですよ。」
こちらいいですか、と是永の横の席に腰掛けた真澄は、
ウェイターにバーボンを頼むと改めて是永の方を見た。
「今日の姫川亜弓の映画には正直参りました。」
是永は笑顔を浮かべつつ頭をかいた。
「もちろん彼女の実力は理解していたつもりですがね、
 想像以上の作品でした。」
「今回の作品に関しては、所属事務所とはいえほとんどノータッチ
 でしたからね。なんとも複雑な心境です。」
今回姫川亜弓は、あくまでフランス映画枠で参加しており、映画製作に関して、
大都芸能とは直接の関係性はない。
映画の出演は、あくまで休業期間中に行っており、
特例という形で本件に関して日本側に一切の事前情報は流されていなかった。
「とはいっても、休業中の姫川亜弓が国際映画祭で華麗にカムバック、
 さすがやり手の大都芸能社長だけあって売り方を分かっていらっしゃる」
通常なら皮肉とも取れる言い回しだが、是永の柔和な物腰がそう思わせない。
「いえ、全ては亜弓君のセルフプロデュース力がなせる技ですよ。」
聞けば、今回のヒロイン役オーディションは無名有名問わず広く一般から
募集されたとのこと。
姫川亜弓も、日本でのキャリアを封印し、一からオーディションを勝ち抜いて
主役の座を射止めたのだという。
所属事務所を介さずに仕事を取ることは芸能界最大のタブー、
出演が決まるや否や真澄のもとに亜弓は父である姫川監督と共に
じきじきに交渉に訪れた。
「速水社長は、女優に対しても厳しく接すると聞いていましたが、
 マヤちゃんや、姫川亜弓への対応を見ていると、必ずしもそうではない気がしてきますね。」
是永の言葉に、真澄も小さく鼻で笑う。
「是永監督、私は女優に厳しいわけではありません。女優を商品としてしか見ていないだけです。」
売れる商品だと思えば、誰でも大事にするでしょう・・・と冷たく放つ真澄の顔は
言葉のきつさとは裏腹の優しさがアンバランスだ。
「そうでしたそうでした、速水社長はそういう方でした」
わざとおどけるように両手を上げ、笑う是永だったが、おもむろにフランス語を口ずさんだ。

"私の体の中から、あなたの痕跡が消えることが耐えられない・・・"
"私はただ、あなたを待つことしかできない、愛してると伝えることもできず・・・"
"あなたの幸せの隣に私が必要でないことは分かっています・・・"

「・・・・・亜弓君の映画のセリフですね」
「ええ。」
口元にわずかな微笑を残したまま、氷の溶ける音に耳を傾ける真澄の横で、
是永は静かに語った。
「マヤちゃんがね、涙を流したシーンです。」
「・・・・・」
「マヤちゃん、フランス語全然わからないのに、このシーンで静かに泣いていました。」
まるで意味を理解しているかのように・・・・
「そうですか・・。」
表情を変えない真澄の心の中は相変わらず見えない。
しかしの見えなさが、逆に真澄の本心を雄弁に語るようで、
是永はそれ以上なにも言わずにグラスを傾けた。

長いようで短かったフランス国際映画祭も終わりを迎え、
いよいよコンペティション部門の発表を残すのみとなった。


**
授賞式はさながらダンスパーティーのような華やかさで、
マヤはいまさらながらの緊張感と戦っていた。
「あら、マヤ!元気?」
「マヤ、今日は本当に楽しみだね!」
「今度僕の作品に出てくれないか、マヤ」
毎日のように劇場に入りびたりありとあらゆる映画を観続け、
全てのシーンを覚えて再現していた小さな黒髪の東洋人女優は、
気が付けば映画祭の誰もが知る有名人となっていた。
次から次へと話しかけられ、しどろもどろで手と足が一緒に出そうになる。
そんなマヤを、今日はずっと隣で真澄がエスコートしていた。
「マヤ、俺のいない間にどんな手段で顔を売ったんだ・・・」
先ほどからひっきりなしにマヤに声をかけてくる人の多さに、
さすがの真澄も驚きを隠せない。
「いえ・・・、私は何も・・・」
赤くなって縮こまるばかりだ。
「とにもかくにもこれが本当に最後の最後だ、せっかくだから楽しみなさい」
そう言って優しく微笑んだ。

授賞式はまずスタッフ部門やショート―ムービー部門から発表が続いていた。
そして徐々に緊張感が高まる中、いよいよ主要部門の発表の時が来た。

最高助演男優賞
最高助演女優賞

マヤの名は呼ばれなかった。
「残念だったな、マヤ」
「いえ、私が個人で受賞できるなんて思っていませんでしたから。」
今回世界各国の映画を観続けたマヤは、自分の実力がまだまだであることを
痛感した。
映画と舞台の違い、分かっていた事だけれどマヤには勉強になる事ばかりで、
もっとこうやれたはずだという思いがどんどん膨らんでいく日々でもあった。
「今回は、だな。」
真澄の言葉に、ぴくりっと反応したマヤだったが、自信ありげに挑発気味の真澄に
「・・・・ええ、今回は、です。」
と返した。
「でも速水さん、私一つ確信があるんです。」
そう言ってマヤは真澄を、そしてその横の是永を順番に見つめ、力強く言った。
「境さん以上の男優さんは、いませんでした。」

その時、場内の照明が落とされ、最高主演男優賞のコールと共に、
NAGISA SAKAIの名が響いた。
「よし、よし、よし!!!」
スポットライトを受けるマヤ達のテーブル。
いつもはおっとりとした是永が、テーブルの下で何度もガッツポーズをしていた。
「いこう、マヤちゃんも。」
日本に帰っている境の代わりに、是永とマヤは受賞トロフィーを受け取った。
「境、見てるか。お前が獲ったんだぞ」
カメラに向かって話す是永、その声はわずかに震えていた。

「まずは1冠目、おめでとうございます」
席に戻った是永とマヤを真澄が祝い、次の部門発表を待つ。
「次は・・・」
プレゼンターが紹介され照明が落とされ、再び会場が独特の緊張感に
包まれる。

そしてーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

最高主演女優賞・姫川亜弓名が響き渡った。
歓声とどよめきが会場を包み込む。
コールされて壇上に上がる亜弓はいつにも増して輝いていて、
その背中はマヤと同じ年とは思えない自信に満ち溢れていた。
"やっぱり亜弓さん・・・すごいわ"
絶えることなく拍手を送り続けるマヤの顔からも笑顔がはじける。
「やったな」
「・・・はい!やっぱり亜弓さんです。亜弓さんです。」
むしろ受賞した人間以上に喜んでいるようにも見えるマヤが
無邪気に喜ぶ様を見ながら、真澄自身も人知れず長い息を吐いた。
マヤと同じ年の若き女優
幼いころからサラブレッドとしてもてはやされながらも
決しておごることなく、常に自分と戦い続けた孤高の天才
演劇にすべてを捧げてきた彼女を襲った不慮の事故
マヤとの戦いに敗れ失意の底から這いあがって再び今
誰よりも輝く舞台へ戻ってきた彼女のこれまでを思うと、
真澄も言葉にならない思いが湧き上がる。

「この賞を、紅天女に捧げます」
受賞者スピーチを流暢なフランス語でおこなっていた亜弓の
最後の言葉に、一瞬会場がどよめく。
「・・・・・?」

クレナイテンニョ・・・・
恐らくその会場にいる者はほとんど誰も知らないであろうその言葉
そして誰よりも思い入れのある人物はフランス語が理解できない。
「速水さん、亜弓さん今なんて言いました?」
なんか紅天女って聞こえたような・・・というマヤにうまく説明する
言葉が見つからないまま、当の亜弓がスピーチを終えて壇上から降りてきた。
そしておもむろにマヤ達のテーブルに近づくと
「マヤ、これをあなたに」
と、受け取ったトロフィーをマヤに差し出した。
「え・・・?ど、どういうことですか、亜弓さん・・・」
理解できない亜弓の行動に、ただ戸惑うばかりのマヤ
そんなマヤににこやかな微笑を浮かべた亜弓はしっかりとした口調で答えた。
「私、あなたの申し出を受けるわ。そしてもう一度、あなたに追いついてみせる」
それまで、これを預かっていて・・ともう一度マヤにトロフィーを差し出す。
「これは、私が紅天女に再び挑戦するための権利証。
 あなたが認める紅天女を演じることができたら、その時に返して下さる?」



「亜弓くんは俺に一つ条件を出してきた。」
各賞の発表が終わり、残すは作品賞ただ一つとなったタイミングで
会場は小休止がとられていた。
亜弓が最高主演女優賞を獲ったという興奮と、
そのトロフィーをいきなり預けられた戸惑いに
マヤはどう対処していいか分からず固まっていた。
「条件・・・?」
「ああ。」
紅天女を演じる為に、亜弓はこのフランス国際映画祭での
主演女優賞を必須条件としていた。
すなわち、受賞出来なけば紅天女は引き受けないと。
「どうして・・・・そんな・・・」
「真意は俺にも分からない。ただ亜弓くんは、自分が紅天女を演じるに足る
 女優であるかどうかを、この賞に賭けたのだろう」
主演女優賞も獲れないのに、紅天女などもってのほかだ・・・と
「そんな、国際映画祭の主演女優賞ですよ!簡単に取れるはずが」
「だからこそ!彼女はその高い高い条件をあえて自分に課したんだ、それほど・・・」
彼女にとっての紅天女が特別な存在であるということーーーー
「亜弓さん・・・」
先ほど自分に託された亜弓のトロフィーの重みが今更ながら
マヤの胸に響く。

そして、いよいよ最高作品賞が発表される時が来た。
観客がかたずをのんでその作品名を待っている。
世界各地の映画制作者、役者、プロモーターがそれぞれに思いを込めて作った
全ての作品の中で、
今年のフランス国際映画祭 最強作品賞は

『微風のかたち』が受賞した。


**
「疲れたろう?マヤ」
時計の針はとっくに深夜をさし、先ほどまでの喧噪を越え、
ようやく静けさを取り戻しつつあった。
最高賞に日本人及び日本の作品が名を連ねた今回の映画祭、
授賞式後の記者会見や個別インタビューなど
休む暇もなく対応し、マヤは目もまわる忙しさだった。
「いえ、うれしい忙しさは苦になりません」
早くも明日には日本へ戻らなければならない。
ゆっくり感動に浸る暇もないまま、マヤは荷物をまとめていた。
「帰国してからの方が、忙しくなるかもしれないな。」
少なくとも空港には多数のマスコミ関係者が待ち構えているに違いない。
「これ、本当に私が持っていていいんでしょうか・・・・」
私物をほぼトランクに詰め終えたマヤは、机の上に置いていた
亜弓の受賞トロフィーに目をやった。
「あれだけはっきりと、発表したからな。」
授賞式後の記者会見で亜弓は改めて、
自分が次の紅天女を演じること、そのためにはこの賞が必要だったことを
宣言した。
紅天女を知っている日本のマスコミはもちろんのこと、
国際映画祭の受賞をかけてまで挑んだという日本の舞台作品に
フランスの記者たちも興味深々にその作品の事を問い、
記者会見は大幅に予定時間をオーバーした。
質問は当然、紅天女上演権を保有するマヤにも向けられ、
時に厳しい質問も受けながらマヤはとりあえず真澄に言われた通り、
「細かい事は帰国してから改めて報告します」
と繰り返すしかなかった。

「私、身勝手なお願いをしたのでしょうか・・・」
もし自分が亜弓に紅天女のオファーをしなければ、こんなに亜弓を
追い詰めることはなかったのではないか。
失明という不安と戦い、回復したとはいえまだ本調子ではない亜弓に
マヤはあまりに重い責任を負わせ、追い詰めていたのではないかと
今更ながら思う。
「しかし結果亜弓くんは見事にそのハードルを超えたじゃないか」
「でもっ、亜弓さんならわざわざそんな条件を付けなくても十分に素晴らしい
 紅天女が演じられるはず!それなのにそんな風に追い込んでいたのなら・・・」
「彼女が、彼女の中で折り合いをつけるために必要だったんじゃないか?」
たとえどんなに素晴らしい演技をしたとしても、試演でマヤに敗れたという
事実に変わりはない。
それならばせめて、自分が紅天女を演じるに足る女優であるという証を何か一つでも
「それにこれは、君のファインプレーだぞ」
マヤが亜弓に紅天女を頼んだことで、
消えかけていた亜弓の中の女優魂に再び火が灯り、
そしてその結果あれほどの素晴らしい作品を目にすることができたのだから。
「マヤは、亜弓くんのあの映画が好きか?」
真澄のその問いかけに、マヤは即答で「大好きです」と答えた。
「あんなにきれいで悲しくて、心が揺さぶられる作品、めったにないです」
映画の事を思い出しているのだろう、うっとりと憂いを込めた目になるマヤを見ていると、
ふと昨日の是永の言葉を思い出す。

"私の体の中から、あなたの痕跡が消えることが耐えられない・・・"
"私はただ、あなたを待つことしかできない、愛してると伝えることもできず・・・"
"あなたの幸せの隣に私が必要でないことは分かっています・・・"

「あ、それ亜弓さんの映画のセリフですね。」
一体どういう意味なんですか?と聞くマヤに、本当に言葉が分からないまま感じていたのだと
痛感する。
「マヤ、君が一番好きなシーンはどこだ?」
小さなマヤの体をすっぽりと包み込みながら、真澄が尋ねた。
「・・・・えっとですね。」
その情景を思い出している様子のマヤだったが、
ゆっくりと真澄の方に体を向け、うるんだ目で真澄を見つめた。

"あなたがいなくても、私の中にあなたがいる だから
 あなたのなかにも わたしがいるって 分かってる"

ーーーわたしが別の誰かになっても、わたしのことを見つけだして---

真澄はゆっくりとマヤの頬に手をあて優しくなでると、
マヤはゆっくりとこちらの世界に戻ってきた。
「速水さん、このセリフなんて言ってるんですか・・・??」

マヤの質問に微笑みながら、真澄は無言のまま
優しく、しかししっかりとその体を抱きしめた。
「言葉なんて、関係ないさ・・・」


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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
やっと、やっと、やっと、やっと
フランス編が終わりました。
日本に帰れる~~~~ぅ!
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