(み)生活

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(美味しん)美味しんぼ全巻一気読み (2014.10.05)・・記事はこちら ※05巻更新※
(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

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ep第28話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-08-08 21:56:52 | ガラスの・・・Fiction
ep第27話←                  →ep第29話
********************
年の瀬12月31日
マヤの姿は意外な所にあった。
「なんだか、不釣り合いな気がするんですけど・・・これ。。」
艶やかな着物に身を包み、ヘアスタイルもシンプルながら
モダンなスタイルにまとめ上げたマヤが、鏡に映る自分の姿を見ながら
つぶやいた。
「ふふ。そんなことないよ、マヤちゃん。よく似合ってる。」
年の瀬のKHNホールは、日本のみならず世界で放送されている
大型音楽番組がこの一年を締めくくるのが恒例になっている。
年末が近づくと音楽関係の話題は同番組の出演予想で
もちきりとなる。
「でもどうして私が・・・・」
『紅天女』は明後日1月2日から上演される
その直前の忙しい時期だが、今年マヤはもっとも活躍が
著しい若手女優のひとりとしてゲスト審査員に選ばれた。
「もうすぐ初日のタイミングで本当に申し訳ないんだけど、
 この番組に呼ばれることはステータスでもあるから。」
『紅天女』のPRのためにも、なんとかマヤにはこの出演を
了承してもらいたかった。
「気にしないで下さい、大原さん。ちょっと楽しみにしていますから。」
心身ともに疲労のピークを迎えているであろう大晦日に、
気を使ってかマヤは笑顔で大原に答えた。
そこへ、
「あ、マヤさん!!!!!お久しぶりです!!!!」
素敵な赤いドレスを身にまとった華やかな人物がマヤのもとに
駆け寄ってきた。
「あいちゃん!!久しぶり―」
夏のドラマで共演した柊あいが、今年のこの番組の司会を務めることに
なっている。
史上最年少での司会抜擢に、大きな注目を浴びている。
4時間超の番組司会で、緊張しているに違いない柊は、
マヤの両手をギュッとにぎって
「マヤさんに会えて、元気もらえました。頑張ります!」
スタッフに促されるまますぐに最終打合せへと去っていった。
「あいちゃん、がんばってるね、すごいな。」
自分より年下の柊の、その華奢な肩にかかる重責、
しかし彼女はしっかりとそれを受け止め、夏に出会ったころより数段
大人っぽく変化を遂げていた。
ちょっぴりしんみりとその後ろ姿を見ている所へ、
「きゃ~~~~~~マヤちゃ~~~~~~ん!」
とびきり騒がしい声を響かせながら、
今年映画『幕を上げる』で共演した現役高校生アイドルグループの
メンバーがマヤに飛びついてきた。
「うぐ。」
そのはちきれんばかりのパワーに圧倒されながらも、
マヤは今年初出場となるそのアイドルグループに
「出場おめでとう!ずっと出たいって言ったもんね。映画のロケ中も。」
といって、ひとしきり大泣きさせてしまった。
「ほんとに、ほんとに、ほんとに夢みたいです!!」
包み隠さず喜怒哀楽を素直に表現する彼女たちに、
マヤは妹のような気持ちを抱くと共に、
先ほどの柊もふくめ、今年一年の自分の活動を改めて振り返り、
こうして年末に再会をすることができたたくさんの仲間たちや
それを支えてくれた周りの関係者への感謝の気持ちが
改めて沸き起こってきた。
「大原さん、私この番組に呼ばれて本当に光栄です。」
紅天女で始まった一年も、もうすぐ終わろうとしている。

**
「よいお年を~~~~~~」
紙ふぶき舞うホールは、番組のフィナーレを迎えていた。
初司会を務めた柊あいは、何とか無事に大役を果たせた安堵からか
美しい涙を流していたし、
映画で共演したアイドルグループは、年齢の関係上最後まで
出演が出来なかったメンバーが控室でモニター鑑賞しているからと
ステージに散らばった紙ふぶきをお土産に集めていた。
他にもこの後すぐに自身のカウントダウンライブへ向かうアーティストや、
別の生放送番組に出演するため他のテレビ局へすぐに移動するゲストなど
かたときもゆっくりする暇のない芸能界ならではの
年の瀬の忙しさに包まれていた。
"あと30分で新年か・・・"
マヤ達が控室に戻る途中で、
スタッフや関係者、出演タレント達と次から次に挨拶を交わしている
真澄の姿を見つけた。
いつものようにパリッとスーツを着こなし、柔和な(作り)笑顔で
長丁場の労をねぎらうその様子は、
やはり周囲と比べても目を引く美しさだ。
「忙しそうですね、速水さん。」
その様子を見ながらぽつりと発したマヤに、
「そうね、この番組には大都のタレントもたくさん出演しているし、
 これきっかけで来年の仕事が大きく左右されるわけだからね、
 毎年毎年大変よ。」
と大原が語った。
「毎年、一年の最後の最後まで本当にお仕事なんですね。」
いつも二言目には、ハードスケジュールを詫びる真澄、
しかしそのおかげでこうして自分は演技の仕事を頂いて、この世界で
生きていける。
「私なんて、ただ座ってみてただけなのにほんとに疲れちゃって・・・・」
初日の直前に入った仕事に、少し疲れを感じていた自分自身を
少し反省するマヤ。
「ねえ大原さん」
控室に戻ったマヤは、衣裳を着替えながら声をかけた。
「速水さんの仕事ってさ、やっぱりその、大変なのよね。」
「え?そりゃそうね、なんといっても社長さんですからね。
 しかも速水社長はどちらかというとなんでもご自身でやられるタイプだから、
 何かとお忙しいと思うわ。どうして?」
「うん・・、なんていうのかな。私、私でなにかお役にたてることというか、
 私、何かできることってあるのかな・・・」
「え?それって」
「なんていうのかな、速水さんあんなに忙しそうなのに、いつも私のことばっかり
 気を使ってくれて、少しの時間でも私にさいてくれたり、でもそれって
 負担にならないかな・・とも思うし。」
もちろん、自分が女優として活躍することが真澄にとってなによりの
喜びであることをマヤも十分認識してる。
わずかの時間でも一緒に過ごせることで数倍ものエネルギーをもらっていることは
マヤがそうであるように真澄もそうであると信じてはいる。
しかしそうはいっても、もっと積極的に自分が真澄のために動けることは
ないのだろうか、
マヤははそう思えてしかたないのだ。
「それに速水さん、一応去年までは・・・その・・・・結婚するはずだったでしょ。
 会社同士の事情はよく分からないけれど、少なくとも奥さんになる人は
 いたかもしれないわけで、そういう人がいたほうが、例えば何か仕事が
 やりやすくなるとかいったことあったりするのかな、とか。。」
「・・・・・マヤちゃんあなた・・・」
速水社長と結婚したいの? と直球で大原に聞かれたマヤは
顔を真っ赤にしながら否定する。
「ちちちちち違いますっ、そんな・・・いやしたくないとかでは・・・・でででも、じゃなくて!」
「冗談よ。要するに、社長に奥様が居れば仕事面でのサポートもしてもらえて
 少しは忙しさも解消できるんじゃないか、でもそれを自分のせいで
 ふいにしてしまったんだったら、なにか代わりに自分がしてあげられることはないか
 そういうことでしょ。」
的確にまとめてくれた大原に、マヤはコクリとうなずき「そうです」と言うしかなかった。
「その辺りは・・・・、ま直接二人で話し合った方がいいんじゃないの?」
そろそろでしょう、という言葉の通り、
それからほどなくしてドアをノックする音共に、真澄が姿を表した。
「間に合ったようだな、マヤ。今年も一年ありがとう。来年も・・・よろしく。」

**
"マヤが若干情緒不安定です(笑)"
との報告を大原経由で聞いた真澄は、何食わぬ顔でマヤを連れ、
さきほどまで生放送が行われていたホールを車で後にした。
時は流れて新年を会場のスタッフたちと迎えたマヤは、
去年お世話になった人々へ真澄と共に挨拶をし、今やっと
二人きりの時間が出来たばかりだ。
「お疲れ様でした。速水さん。」
既に髪もほどいてメイクも落としたマヤはいつものあどけない表情に戻っている。
「マヤこそ、疲れただろう。生放送4時間なんて。」
「はい。でもステージは面白かったし、久しぶりにあいちゃん達とも会えたので
 すごく楽しかったです!」
とつぜんマイク渡されて、感想を聞かれた時はあせっちゃったけど・・・といいながら
マヤは心地よい疲労感に身を任せていた。
「本来なら君と一緒に伊豆でもと思っていたんだが、あいにく明日も仕事でな」
ハンドルを握りながら申し訳ない・・と謝る真澄に、とんでもないと
ブルブル頭を振ってこたえるマヤ。
「私の方こそ、速水さんお忙しいのにわざわざすみません。」
「なんだかずいぶんとよそよそしいな、マヤ。」
確かに先ほど仕事場での真澄の様子を見てから、マヤは少し緊張していた。
普段は何の気なしに「速水さん」などと呼んでいるが、彼は大都芸能社長だ。
「いえ・・。ただ、やっぱり私もう少し気をつかった方がいいのかと思って・・・。」
「気をつかう?」
「はい。速水さんは私の所属事務所の社長さんだし、すごく偉い人でしょう?
 私みたいな子どもっぽい女優が親しくしているのって、なんだか迷惑掛かったりしません?」
なるほどこれがマヤの情緒不安定(笑)の理由か・・・
真澄は表情には分からない程度の笑みを口元に浮かべた。
「君と一緒にいることに関して、迷惑だなどと思ったことは一度もない。
 そう思われていたとは心外だな。」
そんなつもりは・・・・と言いよどみながらマヤはちらりちらりと運転席の方を見る。
「とりあえず・・・俺の事を気遣ってくれるのなら一つお願いしてもいいか?」
「はい?なんですか?」
「俺は今お腹がすいている。どこかで食事をと思っていたのだがあいにくこんな時間では
 ろくな店はあいていない。
 そこでささやかながらホテルの一室に食事を用意してもらっている。
 一人で食べるのも味気ないので、もしよかったらご一緒して頂けますか?
 北島マヤさん」


"はじめてきたかも・・・"
真澄がマヤを連れてきたのは、自身が現在居住地として使用しているホテル。
このホテルは長期滞在に利用されることも多い、
キッチンや洗濯機等も備え付けられている、コンドミニアムタイプのホテルだった。
「白百合荘より・・・広い。」
マヤの感嘆に笑いながら真澄が近づいてくる。
「とりあえず、食事をとろう。」
テーブルの上には、深夜ということもあって軽めのメニューが並べられていた。
「改めまして。新年おめでとう。今年もよろしく、マヤ」
「おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」
シャンパンで乾杯をした後、ひとしきり食事を楽しんだ二人は、
別に用意していたデザートとコーヒーで食後の余韻に浸っていた。
「速水さん・・・・あの、いつまでここに住んでいるんですか?」
細かい事情はよく分からないが、
確か紅天女の試演の頃にはもうホテル住まいを始めていたと聞いている。
「そうだな・・・。」
マヤの質問には答えず、ゆったりとブランデーグラスを揺らす。
「パフェのおじさん・・・いや速水会長寂しくないかしら、速水さんが
いなくて、あんな広いお屋敷・・」
「そうか、マヤはあの家に住んだことがあったな。」
「ええ、あまりに広くてびっくりしました。日本じゃないみたい。」
「俺のパジャマも似合ってたし」
「!?」
マヤの顔を赤くしたり青くしたりして楽しみながらも、真澄は
マヤが決して速水の家を出た理由を問わない優しさを感じていた。
真澄としても、このまま大都芸能の仕事を続けていく、さらに今後
大都グループの業務を引き継ぐとなれば、速水の家に戻ることに
なんら障害はない。
実際それとなく英介からはその話が伝わってきているのだ。
それでも真澄がなお、1年以上もホテル暮らしを続けているのには
今一歩解消しきれない幼い日の心の傷と共に、心の中に秘めた思いがあった。
「・・・・いろいろかかるんじゃないですか?」
物思いにひたっていた頭が、マヤの言葉によって現実に戻る。
「ん?なにが?」
「だから、こんな豪華なホテルにずっと住んでるなんて
 素敵ですけど、お金かかるんじゃないですか?」
ソファーに腰掛ける真澄の長い足に手をかけるように
マヤがぐっと真澄の顔を見つめた。
「ん、まあそれはそれなりに。しかしここはここで何かと便利だよ。
 定期的に掃除はしてくれるし、何より職場が近い。」
「そりゃそうでしょうけど・・・・!」
真澄の答えに納得がいかないというように、マヤが微妙な表情をする。
「そんなことより、マヤ。せっかくだから少し話をしないか。」
そんなマヤの機嫌をとるように、真澄はマヤの髪をなでながら声をかけた。
「マヤ、明日、というか今日の予定は?」
「え・・と、11時から紅天女の稽古です。」
「いよいよだな・・・・」
「はい。」
「どうだ、今年の紅天女は?」
「どうでしょう・・・。舞台自体が久しぶりだから緊張します。でも・・」
しっとりと真澄の肩に頭を預けたマヤの顔は、
迷いのない、まっすぐな光を放っていた。
「楽しみです。また阿古夜になれる、紅天女になれるのが。」
たった1年、しかしその1年でマヤが女優として大きく成長したことが
よく分かる。
女性の20代はこうも劇的に変化するものなのか
今まで数多くの美しい女性を見てきた真澄でさえ
目の前のマヤのその天性の魅力に今更ながら緊張感を覚える。
「今年の目標は?どんな仕事がしたい?」
これは事務所社長としての質問じゃないから気楽に、と言われて
マヤは思案に暮れた。
「ん~、とりあえず今は紅天女を演じきりたいです。それしか考えられない。」
「なるほど・・・。では、今年の冬は紅天女・・・、じゃあその後は?」
「そうですね、去年はドラマとか映画とか経験できたので、
 やっぱり今年は舞台にたくさん立ちたい!」
「ミュージカルとかはどうだ?」
「ええ!!歌は・・・・苦手です・・・」
「ククク、そうか・・・」
苦いお茶を飲んだようなマヤの顔に、真澄の顔から自然に笑みが漏れる
「・・・・来年はないから・・・」
「え?どうしたマヤ」
「来年はきっと、私紅天女のお仕事ないから、だから速水さん、
 来年はドラマでも映画でも、お声がかかるのなら何でも頑張ります。
 だから今年は、今年は出来る限り舞台に立ちたい!」
来年の紅天女・・・・・
「来年の今頃君が何をしているかは、恐らく初日の舞台にかかっている。」
真澄のその言葉の真の意味はマヤにストレートに伝わってくる。
"観にくるんだ・・・亜弓さん・・・・、私の舞台を・・・"
「俺は確信しているよ。だからいつも通りに演じればいい。」
結果は必ずついてくるから・・・そう言ってマヤの肩を優しく抱き寄せた。
「・・・・・ありがとうございます。速水さん。」
しばし甘い雰囲気に身を任せていた二人だったが、
おもむろに真澄が声を発した。
「時にマヤ、さきほどの話だが・・・」
「さきほど?」
「ここのホテル代の件なんだがな、確かに結構かかってるんだよ。」
「でしょ~、やっぱり。」
「でな、俺もやはりそろそろちゃんとした場所に住むべきなんじゃないかと
 考えている。」
「はい。それがいいと思います」
「そうか、マヤもそう思うか」
「はい、やっぱり自宅で生活する方が落ち着きますから」
「よかったよそう言ってくれて。じゃあ、早速引っ越し準備に取り掛かろう。」
「でも引っ越しっていってもこれまで住んでいた所に戻るだけだから
 そんなにかからないですよね、準備。」
「ん?だれが速水の屋敷に戻るといった?」
マヤはようやく真澄がいつもの人をからかういじわるな表情をしていることに
気付いた。
「へ?」
「引っ越すよ、マヤの所に。一緒に暮らそう。」


**
1月2日
大都劇場は色とりどりの花がこれでもかと並べられ、
華やかな正月ムードをさらに盛り上げる。
新生紅天女・初日公演
詰めかけたたくさんの関係者やマスコミの対応も終え、
マヤは一人楽屋で精神統一していた。

脳裏に浮かぶのは、かつて目の当たりにした
一面梅の谷
静謐な空気とわずかの響きがこだまとなって
体の芯を揺らすあの緊張
風火水土
自然に抱かれ、自然を慈しむ乙女
そして、最愛の人

人はなぜ出会い、傷つけあうのか
全ての事象に惜しみない感謝の心を
この世で結ばれぬとも、魂はいつもひとつにーーー

閉じていたまぶたをゆっくりと開いたマヤ
その前の鏡に映るその顔は、既に北島マヤではなかった

**
**

北島マヤの紅天女は、圧倒的な存在感で観客を魅了し、
惜しみない喝采が地鳴りのように響き渡った。
カーテンコールに答えるマヤは堂々としていて、
既に大女優たる風格すら漂わせている。
"成長したな、マヤ 今年も君に恋したようだ"
何度目かのカーテンコールで既に会場はスタンディングオベーションの
渦が熱気をかもしだし、
その中に立つ真澄も熱に浮かされたような興奮を抑えきれない。
劇場に響き渡る感動表現を、入口近くで聞きながら、
真澄はふと先ほどまで自分が座っていた席に目をやる。
その席、そしてその隣の席には先ほどまで・・・


真澄の隣でマヤの紅天女初日舞台を観劇していた
姫川亜弓は、客席に明かりが入る寸前にサングラスをかけ、
総立ちの観客に紛れるように席を離れようとしていた。
「亜弓くん・・」
「速水社長、例の件ですが・・・」
周囲の拍手の渦に紛れるように、真澄の耳元に口をよせた
亜弓は、穏やかな口調で言葉を続けた。
「開演前にお伝えした通り、あの条件がクリアできれば
 私、お受けいたしますわ。」
改めて亜弓の顔に目をやる真澄の瞳には、
サングラスの向こうの自信と覚悟がないまぜになった
亜弓の強い意志が映っていた。
次の瞬間にはもうドア付近にまで移動していた亜弓の後姿を追って、
真澄はロビーへと出た。

「かなり厳しい条件だとは思うが」
真澄の声に振り返った亜弓は、
「ええ。でも彼女もそうして壁を乗り越えて今あの舞台に立っていますわ。」
と言い放った。
その顔はどこか吹っ切れているようでいて、ひとつもあきらめていなかった。
「・・・なるほど、ではほぼ確定ということだな。」
そういう真澄に美しくも気高い微笑を浮かべた亜弓は
「さあ・・・どうでしょう。もう賽は投げられていますから。」
と告げ、マヤに宜しくと言い残して劇場を後にした。
「最高でした。彼女の紅天女。本当にすばらしい・・・・」
私の生涯のライバル、まだそう呼ばせてもらえるのかしら・・・

"亜弓くん、君はどこまでも女優だな"
マヤとはまったく異なる光を放っていながら、しかしだれよりも
マヤと分かりあえる唯一無二の天才女優。
一時は失明の危機に瀕しながらも、紅天女への情熱を捨てなかった
女優魂。
真澄は、悲壮感にも似た覚悟を抱きながらも
女優として輝きを放ち続ける亜弓のその魅力に
改めて打ちのめされた。
ゆっくりと劇場内に戻った真澄は、既に何度目か分からない
カーテンコールの渦の中に再び身を投じた。
舞台の中央には、最上の笑みを浮かべるマヤ。
その視線が自分に気付き、そしてさらに頬を紅潮させながら
極上の笑顔を投げかけ、胸に抱いた大きな紫のバラの花束を
小さく掲げると、そのうちの1輪に小さく口づけした。
そんな舞台上のマヤに、真澄は惜しみない拍手を送り続けた。


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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
エピローグ2年目は、なななんとマヤ&真澄同棲編なのか!?
2年目も大変お忙しくなりそうなマヤさん。
限られた時間で愛を育んで頂けるよう、
エピローグ妄想は全力でサポート致します(笑)
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