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新型コロナワクチンに3つの「泣きどころ」 大阪で人への試験始まる 開発の最前線

2020年07月11日 11時15分05秒 | 医学と生物学の研究のこと
 
新型コロナワクチンに3つの「泣きどころ」 大阪で人への試験始まる 開発の最前線
 
外出自粛の要請が解かれたものの、連日のように新規コロナウイルス感染症の報告が止まない。「イベントはいつ開けるか」「再び休業停止の要請もあるのだろうか」「いつになればマスクを外せるのか」。多くの人から疑問や不安の声が聞こえてくる。  
 
蔓延(まんえん)の終息点が見えづらい中、流行に終止符を打つ切り札として待望されているのが感染予防のためのワクチンだ。世界保健機関(WHO)の統計によると、6月29日の段階では、世界で人への試験が進むワクチンは17種類、人への投与する前の段階のワクチンは132種類となっている。ウイルス制圧に向けたワクチンプロジェクトは世界に広がっており、選抜が進んでいくことになる。  
 
 
日本でも大阪大学発ベンチャーのアンジェスを中心とした国産ワクチンの開発が本格化している。大阪府の吉村洋文知事は6月17日の記者会見で「世界でも競争が進む中で、大阪の医学レベルの高さを生かして、ワクチンの治験を開始する」と述べた。アンジェスは4月、大阪府や大阪市、大阪大学と協定を締結。タカラバイオ、フューチャー、ファンペップ、塩野義製薬グループという企業連携も進め、6月30日からは大阪市立大学医学部付属病院で第1段階の人を対象とした臨床試験を始めた。日本では、こうした国産ワクチンのほか、英国アストラゼネカが同国オックスフォード大学と開発を進めるワクチンを日本国内に供給する方向で、同社が日本政府との協議を開始したとこの6月に発表している。
 
米国立衛生研究所が臨床試験を始めた、新型コロナウイルスのワクチン投与を受ける女性=3月、ワシントン州シアトル(AP=共同)
 
 筆者は獣医師資格を持つ立場から、動物界のコロナワクチンの知見を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の制圧につながる情報発信を続けている。最新研究に目を通しているが、徐々に新型コロナワクチンの課題も明確になってきている。ここで見えてきた「3つの泣きどころ」を指摘しつつ、ワクチンによる流行終息への道筋を考察していこうと思う。(ステラ・メディックス代表取締役、編集者、獣医師=星良孝)  ▽世界で進むワクチン開発  
 
 
ワクチン開発は中国や欧米で先行している。先頭集団の一角を占める中国の研究グループは、この5月に著名医学誌『Lancet』で人を対象にした初めての成果を発表。中国の研究グループは、第1段階の試験として108人を対象にワクチン候補を投与し、安全性を中心に確かめている。結論として、ワクチン投与は安全で、ウイルス排除につながる抗体が増えたという報告だった。発熱やけん怠感、頭痛といった副作用と見られる症状についてはそれぞれ4~5割の人で確認。一般的なインフルエンザなどのワクチンよりも体の反応は強く出るのかもしれない。ただ、重い副作用はなかった。中国のグループは既に次の段階の試験を進めている。
 
 
 
欧米の同様に先行する研究グループも第1段階の試験により安全性を認めたことを報告し始めた。欧州では前述の英国オックスフォード大学のグループが1000人規模の人々にワクチン候補を接種して安全性を確認、1万人規模を対象にした次の段階に進むことを5月に発表している。米国モデルナ社のグループも第1段階の試験で155人を対象に検証して安
 
 
これらワクチンが世に出ると、新型コロナ感染症の流行に終止符が打てるのか。中国のグループによる試験の報告に対して、カナダの専門家のグループは5月に『Lancet』で第三者の立場からコメントを寄せ、「抗体の上昇が認められているが継続的に抗体の上昇は続くのか」「ウイルスから身を守る効果があるのか」とこれからの懸念点を挙げた。この中でいくつかの指摘をしているが、ワクチン自体の安全性は大前提として保証する必要があるとして、複数の研究に目を通していくと、このほかにもワクチンには「3つの泣きどころ」とも言える、注意すべきポイントがあるのではないかと考えられる。
大阪府庁でワクチン治験について説明する吉村洋文知事=6月
 
 ▽「理想的ワクチン」へはまだ遠い  一つは、ワクチンにより引き出される「免疫反応のターゲットの問題」だ。現在、世界で進められているワクチンによってできる免疫反応は、「いが栗」のような球形をした新型コロナウイルスの「トゲ」を狙ったものが多くなっている。このトゲは「スパイク(とげ)タンパク質(Sタンパク質)」というウイルスのいわば部品になる。多くのワクチンはこのトゲを狙った免疫反応を引き出すように作られている。 
 
 一方で、新型ウイルスの持つ部品はほかにも「Nタンパク質」「Mタンパク質」などさまざまな種類がある。免疫反応は必ずしもSタンパク質に対して作用しなければいけないとは限らないわけだ。試すべきターゲットはほかにもあることからすると、Sタンパク質への免疫反応がうまくいかない場合に次に当たるべき「プランB」の検証が十分ではないと考えられる。 
 
 もう一つ、盲点ともいえるのは「運び屋の問題」だ。ワクチンは免疫反応を引き出すために病原体の一部を接種して免疫反応を作る薬剤だ。その病原体の一部を体内へと送り込む運び屋には複数の選択肢がある。
 
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