『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』(中田亨)に載っていたある算数問題と、それに対する3つの解法例。
ヒューマンエラーを防ぐ知恵 ミスはなくなるか (朝日文庫) | |
中田亨 | |
朝日新聞出版 |
問題:105-7=?
【手続き主義的な教え方】
引かれる数の一の位が、引く数より小さい。そこで十の位から10を借りることにする。十の位は0なので、百の位から90と10を借りる。90はそのまま残す。10は一の位の5と足して15にする。そして15-7を計算して、一の位は8だとわかった。残しておいた90と足して、答えは98。
【難しいことを避けるやり方】
ぱっと見て、簡単には引き算できない。とりあえず簡単な範囲だけをすます。一の位の5を精算してみよう。すると問題は100-2=?となる。ここまでくれば、あとは簡単。100より2小さいのは98。だから答えは98。
【電卓の動作方法】
1000を法とする。7の補数は993である。105に993を足して1098、法の1000を除去して98が答え。
(P.216~217)
一般的な解き方は、もちろん最初の「手続き主義的な考え方」。3番目が少しわかりにくいかもしれないので、筆者の補足を引用する。
電卓は「引き算を全廃する」という革命的発想でつくられています。みなさんが電卓に引き算をさせているつもりでも、電卓が実際にやっていることは、”補数の足し算と、その前後のちょっとした手間”の作業です。(P.218)
知らなかった。
が、この際そのことは置いておく。
この例にかぎらず、ひとつの正解にたどり着くプロセスが一種類しかないということは、まずあり得ない。それなのに人は、自分が教わったり会得したりして採用している方法を唯一無二のものとして勘違いしがちである。
~ いや、不特定多数の”人”という呼称を使うのはひきょうだな。ここは明確に”わたし”という一人称を使おう ~
もとい。それなのにわたしは、自分が教わったり会得したりして採用している方法を唯一無二のものとして勘違いしがちである。
今さら他の方法を考えるのは面倒くさい、ということもあろう。だが、百歩譲ってそれは良しとするとして、他人が提示した方法が自分が採用している方法と別のものだったとき、頭ごなしに否定する態度をとるべきではない。
「ほほ~、そんなアプローチもあるのネ」
でき得れば、そんな余裕をかましてみたいものだ。
そのうえで、どちらが良い方法なのかを示すことができれば、なんてことを思う。
もちろん、生の現場では、そんな悠長で回りくどいことをしている場合ではないことも多い。
しかし、少なくとも基本的な心の持ちようと姿勢はそうであったほうがいい。何より、若い人が相手だったときは、断然そっちのほうがいい。そちらのほうが、「正しいオジさん」的には圧倒的に正しい。
なんてことを思いつつ、『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』を読了。
結局、内容はよく頭に入らなかったが(これはわたしの頭の構造と近ごろのわたしが置かれている状況のせいなんでしょうね、たぶん)、最後の最後、『学びとヒューマンエラー』という章でビビっと来たので、上記紹介しておくことにした。
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