2017年3月22日(水)
柄にもなくコース責任者を拝命したのは能力によるものではなく、年次順の巡り合わせに過ぎない。幸い大過なく2年の任期を終えるかと思われた矢先の3月上旬、とんでもない事態が起きて対応に追われる毎日が続いている。今日も今日とて朝から会議なのに、りんかい線が例によって微妙に遅れ一瞬ヒヤリとさせられた。おかしかったのが構内/車内放送である。
「埼京線が渋谷駅におきましてお客さまの迷惑行為により遅延しましたため」
これが第一報。どんな客がどんな迷惑をしでかしたかと、怒りを帯びた妄想が動く。ところが次の放送では、
「埼京線が渋谷駅におきましてお客さま対応を行いましたため」
ほほう、言葉を変えましたね。さらに三転して、
「渋谷駅の車内トラブルのため」
そして最後に、
「渋谷駅で車内点検を行いました関係で」
ふうん?である。どれが本当なのかしらん。第一報が生の事実で順次脚色されたと思えば普通だが、最初が誤報でよく確かめたら事実は違っていたという可能性もある。一つ確かなのは、この件への「客」の関与を薄める方向で言い換えが繰り返されていることだ。何を意味するのでしょうね、これは?
車内放送の考現学とでもいったものを、誰かやってみないかなと思う。既に誰かやっているのかもしれないが、これはなかなか面白いジャンルになるはずだ。地域比較も面白く、時間に連れての推移も興味深いだろう。そこから得られた知見が、たとえば放送大学のような組織での情報発信に相当役立つのではないかと思われるが、そこまで行かないとしても、たとえば
「ドアが閉まります、御注意ください」と言ってから、なかなか閉まらないのが東京山手線。
「ドア、閉めます」と言った途端にほんとに閉めるのが大阪環状線。
そんなステレオタイプをリストアップするだけでも楽しそうだ。幸い京葉線への乗り継ぎには支障なく、長い会議の一日が始まった。そこで行われているのが迷惑処理かトラブル対応か、はたまたある種の点検なのかは判然としない。それを決定するのに必要な情報が決定的に不足し、憶測するしかないのである。変転する車内放送から起きた事実を推測するようなものだ。
ふと見れば、国会レベルでも似たようなことが起きているらしい。それがいちばん困るのである。
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