散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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コメント御礼 ~ まだお目にかからない稲田先生へ

2016-04-14 19:30:49 | 日記

2016年4月14日(木)

・コメントが届いた記事: 訃報: 斉藤仁、陳舜臣、少し戻って丸田俊彦

・コメントが届いた記事のURL: http://blog.goo.ne.jp/ishimarium/e/6ba750d5f51f01729442c7f6be227bfa

・コメントを書いた人: 稲田

・タイトル: どおりで。

・コメント:

 丸田先生のことが気になって検索したら、先生のブログにたどりつきました。私は緩和医療に身をおく内科医です。丸田先生の著書「痛みの心理学」を読んでファンになり是非ご本人にお会いしたいと思って、生まれ故郷の須坂市で講演されると聞きつけて参加したことを思い出します。本にサインを頂きながら、先生にご相談させていただける機会はあるのかとずうずうしく質問した際に、オブザーバーになっているからその病院にでもこれば、というようなお話でしたがかなわず。ちょうどホスピス医になったばかりのころでした。メイヨクリニックで教授されていたのに、帰国後の日本での活動は学会での講演ぐらいしか拝聴する機会ぐらいしかなく残念に思っていましたが、、、もうお亡くなりになっていたとは本当に驚きました。どうりであまり活動がなかったのだとわかりました。

 サインしていだいたあの本は宝物になりました。

 今はがん性疼痛中心の診療から、慢性疼痛が主になってきました。愛情希薄なアスペルガー夫に愛を求めるカサンドラ症候群でhighly sensitive personの妻の構造を、前にいた精神科医に分析していただき、これまで見てきた彼女の行動が理解できました。夫婦や家族、友人関係などお互いに振動しあう精神構造に興味をもっています。今後は精神科の学会(さしあたっては浜松の精神病理)にも参加しようと考えています。

 お礼をしようと書き出しましたが、長くなりました。丸田先生の情報ありがとうございました。

 またたくさんにブログを発表してください。

***

稲田先生:

 コメントありがとうございます。

 私自身が丸田先生を知ったのも講演会の席でした。医者になって間もない頃、当時働いていた福島県郡山市で丸田先生の講演会が開かれ、先輩精神科医に連れられて出かけたのです。境界性パーソナリティを中心としたパーソナリティ障害についてのお話で、スポンサーの配慮でしょう、来聴者に『痛みの心理学』が配布されました。私も先生のようにサインをいただいておくのでした。パーソナリティに関してこれほど歯切れ良くまとまった本は、成田善弘先生のものを別にすればあまりないように思います。

 帰国なさった丸田先生とは、狩野先生など慶応グループの研究会などで何度かお目にかかりましたが、私自身が精神分析に対する興味(というより精神分析家に対する親近感)を失って遠ざかっている間に、訃報に接した次第でした。

 フロイトを引き合いに出すまでもなく、痛みと対象喪失は精神分析および精神医学の根源的なテーマです。その意味で稲田先生の足どりや日頃の御活動ぶりに大いに関心をそそられます。

 私は怠け者であまり学会には出ませんが、機会がありましたらぜひお目にかかっていろいろ御教示をいただきたく存じます。どうぞお元気でお過ごしください。

 取り急ぎ御礼まで

石丸 拝