京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

ほととぎす、高らかに鳴かん

2011-06-01 | インポート

 今年の大河ドラマ「江」、この主人公はいうまでもなくお江。

 お江は、戦国時代という混沌とした世に翻弄された女性である。

 

 お江は父に戦国武将の浅井長政、母にお市の方を持つ。

 浅井長政は、北近江、現在の滋賀県北部を本拠地とした大名で、お市の方は、織田信長の妹である。

 二人はこの時代にありがちな政略結婚で、両家は同盟を結んだ。

 しかし、最終的には、長政は信長と対立し、ついには、浅井家は滅ぼされてしまう。

 その際、お市の方と三人の娘の命は助けられた、というのは、有名な話。

 三人の娘の末娘が、お江であるというのも、改めていうまでもない。

 さて、三人の娘の長姉は、茶々といった。

 この茶々は、後に豊臣秀吉の側室となり、淀君とよばれるようになる。

 これも語れば今更の話である。

 お江当人はというと、3度の結婚を経験する。

 この経歴だけでも、彼女が混乱の戦国時代をさまよい続けたことが分かる。

 さて、お江の3度目、最後の結婚相手は、徳川秀忠。

 江戸幕府を開いた徳川家康の息子にして、第2代の将軍である。

 後、お江の生んだ子が、第3代将軍、徳川家光となる。

 

 と、まあ、簡単にお江の経歴を見てみる。

 すると分かるのが、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人と血縁関係であることである。

 戦国末期の3大武将の全員と血縁関係にあったというのは、稀有な存在ではないだろうか。

 大河ドラマも、そういうところに注目したのであろう。

 

 ところで、お江に関する史跡は、京都にはほとんど残っていない。

 しかし、前述の三大武将に関しては、多くの史跡が残っている。

 徳川家康は、この中では京都に最も縁が薄いかもしれない。

 それでも、縁の深い史跡はそれなりにある。

 京都の居所として造営した二条城は、世界遺産登録されている。

 南禅寺の塔頭である金地院を現在の地に移した崇伝は家康のブレーンだった。

 洛北にある、紅葉の庭が見事な圓光寺は、家康の創建といわれている。

 一方、豊臣秀吉は、京都に多くの史跡が残っている。

 まず、京都の邸宅として、聚楽第を建てた。

 聚楽第そのものは壊されたが、その遺構といわれるものが西本願寺などに残されている。

 方広寺は、「君臣豊楽 国家安康」の銘のある梵鐘で有名だ。

 その他、北野の大茶会、醍醐の花見など、所縁の名所は挙げだせばキリがない。

 そして織田信長だ。

 織田信長の史跡は多くない。

 が、3人の中でも京都という土地がより特別な存在なのは、やはり信長だ。

 何しろ、この京都の地で最後を迎えたのだから。

 本能寺の変、として知られるこの事件の起きたのは、当たり前だが、本能寺。

 今、御池通と寺町通の交差点の東南角辺りにある。

 が、事件当時も、ここにあったわけではない。

 かつては四条堀川の北東辺りにあった。

 今はその跡を示す石碑が建つのみである。

 上京区にある阿弥陀寺には信長の墓がある。

 ちなみにここには有名な森蘭丸の墓もある。

 北区にある、船岡山には、信長を祭神とする建勲神社がある。

 凡そ信長の死にまつわる史跡ばかりか。

 

 お江から話は離れたが、彼女との関わりを思いながら、この三大武将の史跡を巡ってみるのも良いのでは。

 ところで、明日6月2日は、本能寺の変が起きた日である。

 429年前、京都の地で、信長は命を落とした。

 阿弥陀寺でも信長忌が行われるという。

”あいらんど”


6月の情報版

2011-06-01 | インポート

今月もいろいろな行事が市内あちこちで行われ、賑わいを見せることでしょう。
震災復興を祈念しての各行事に京都の人たちや訪れる人々が心をこめての行事となるでしょうね。
第18回 京都五花街合同 伝統芸能特別公演 ~都の賑い~
「祇園甲部・宮川町・上七軒・先斗町・祇園東」と五つの花街が集う、京都ならではの恒例の合同公演です。
五つの花街は、春の「都をどり」「京おどり」「北野をどり」、五月の「鴨川をどり」、秋の「祇園をどり」を催して、京の町に季節の彩りを添え、《粋》と《雅》を誇っています。
合同公演では、五つの花街から選ばれた芸舞妓の秀逸な舞踊で舞台が演出され、毎年大変な人気を集めています。なかでも、合同演目の「舞妓の賑い」は五花街の舞妓20人が勢揃い、それぞれの流派で同じ曲を舞うこの公演でしか見られない出し物です
6月18日(土)・19日(日) 14時~16時30分
料 金  一階席 9,000円、二階席 5,000円(全席指定・予約制)
【京都会館】左京区岡崎 市バス5・100「京都会館美術館前」
お問い合わせ・お申し込み:京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)
TEL 075(561)3901 FAX 075(561)3860

第62回 京都薪能
初夏の風物詩として親しまれている京都薪能。5月の葵祭と7月の祇園祭 に挟まれ6月の京の見応えのある催事は、昭和25年に京都市と京都能楽会の共催で始まりました。東山に夕闇が迫り篝火がたかれ始めると、平安神宮の朱塗りの社殿がライトアップされ、特設の能舞台がくっきりと現れ、荘厳な雰囲気が辺りを包みます。観世・金剛・大蔵の各流派のすぐれた演者の競演は能・狂言と続き、観客を幽玄の世界に誘います。
6月2日(木)・3日(金) 開演17時30分(16時30分開場
? 料 金 前売券 3,000円
      当日券 4,000円
【平安神宮】左京区岡崎西天王町 市バス5・100「京都会館美術館前」
お問い合わせ:京都薪能事務局 TEL 075(761)5251

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水無月(みなづき)で忘れてはならないものに 夏越祓(なごしのはらい)の行事があります。
1月~6月の半年間の罪の汚れを祓い、残り半年を無事に送れるよう神に祈る、奈良時代から行われている行事。
 大きな「茅の輪」をくぐると厄除・悪疫退散になると伝えられ、京の多くの神社で行われます。
北野天満宮では25日、楼門に茅で作った直径5mの大茅の輪が掲げられる、京都最大の輪です。(9時~)
新聞やTVでご覧になった方も多いと思います。
他には上賀茂神社、吉田神社、地主神社、建勲神社、貴船神社、車折神社、野々宮神社、白峯神社、城南宮などが知られています。
皆さんもこの機会にいろいろな体験をしてみてはいかがでしょうか?
残りの半年皆様にもよいことがありますように。
                                               修