日本人イスラム教徒ゆとろぎ日記 ~アナー・イスミー・イスハーク~

2004年に入信したのに、2003年入信だと勘違いしていた、たわけもんのブログです。

ムスリマのベリーダンサーはけしからんのか? ③

2006年01月29日 23時57分32秒 | イスラムライフ
ヒジュラ暦1426年ズー・ル・ヒッジャ(12月)28日 ヤウム・ル・アハドゥ(日曜日)

 仕事、その他で時間があまり取れず、雑駁な文章になる可能性があるが、とにかく書こう。

 昨日の話から直接続くわけではないので、「なぜ急にこういう展開?」と思われるだろうけど、最後の方で全てがつながっていく「予定」である。
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【アッラーの完全性と被造物の不完全性について】

第6章:家畜章〔アル・アンアーム〕第96節 
 彼は、夜明けを打ち開く方であり、また休息のために夜を定め、太陽と月を計算のために置かれる。それが、偉力ならびなく全知であられる方の摂理である。

 アッラーがその気になれば一年間(太陽年)を365日ピッタリにすることだって可能だったはずだ。ところが、実際の一年間は365.2422日である。
 (暦の)計算のために太陽と月を置かれたのなら、365日ピッタリの方が人間にとっては計算しやすかったはずだ。しかし太陽と月ですら完全には作られなかった。

 完全なるアッラーは、あらゆる被造物を完全なものとされなかった。とうてい人間など完全であるはずがない。

 ここで、「不完全な人間が、不完全な人間を諫めたりする権利は無い。ゆえに、ベリーダンスをやめてイスラムの勉強をしろという権利は無い」と開き直るというテもある。でも、そういう安易なことはやめておく。
 では、どういう展開に持って行くか? 

 なぜアッラーは完全なものを作られなかったのかを考えてみたい。

 断っておくが、これはイスラムの教義に新たな解釈を付け加えようとか大それた試みをしようとしているわけではない。ただ、自分がイスラムとどう関わるのかの立脚点をきちんと自覚しておきたいだけだ。
  
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【誤差を縮める努力について】

 アッラーが人間に完全なものを与えなかった理由は、人間に「誤差を縮める努力」をさせるためだと思う。
 「理想と現実」「理論と現実」など、世の中にはさまざまなギャップや誤差というものがある。それを縮めようとするところに進歩が生まれる。

 「現実の一年間の長さ」と「暦としての一年間」を合わすために、人間は長い年月をかけて多大な努力をしてきた。
 現在使われている暦でも100%完全なものはない。しかし完全でなくても人間は実生活の中で暦を便利に使っている。

 ロケットだって、軌道計算の際に完全な数字を出さなくても、微分で限りなく近似値を出して行けば、ある時点で飛ばすことが可能らしい。これも誤差を縮める努力が生み出した成果だ。‎ 

 クルアーンやハディースの解釈も、さまざまな誤差を縮めるために続けれてきた不断の努力なのではないか?

 聖預言者(SAS)を通じてアッラーの意思を直接に知ることができた理想の時代は1400年も前に終わった。
 
 その後は、「不完全な現実」が続き、クルアーンやハディースの解釈によって、「理想と現実」の誤差を縮める努力が連綿と続けられてきた。

 「礼拝は必要ない」とか「断食はやらない方がいい」などとムチャなことを言うムスリムはいない(たぶん)。基本的な部分は時代が変わっても変化しない。

 しかし、細かい点では、時代とともに変わりゆく現実と理想をどうすりあわせていくのかさまざまな解釈が生まれてきた。これもまた誤差を縮める努力。

 そして、イスラムの危機の時代には、「あるべき理想」と「苦難の現実」という誤差がなぜ拡大してしまったのかを考え、その誤差を縮める努力をしてきたのではないのか?

 16世紀のようにイスラム色が世界に強く漂った時代もあれば、19世紀のように列強に対して劣勢になった時代もある。平坦でない道のりの先端に今がある。

 現在、トルコはEUへの加盟を希望し、サウジアラビアにはキリスト教の軍隊が駐留し、エジプトでは古代の神々の偶像が売られている。理想と現実の誤差はずいぶん開いているようだ。
 それらの現象を単純に「イスラムの信仰に照らし合わせてけしからん」と言い切ることは簡単だ。でも単に批判だけでいいのか? 
 歴史の中で、なぜそうなったのかという背景は考えておきたい。
 そして、ベリーダンスが、イスラムを標榜する国家の中で生き残ってきたことも同じ文脈の中で考えてみたいと思う。

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 それにしても、自分の理想とするムスリム像と、現実の自分の誤差はあまりに大きい。それを縮めるための努力はしていきたいと思っている。
 でも…現実はキビシーね。なんだか昨日と同じような終わり方だなあ。


 ここまで読まれた方、昨日以上に面倒くさかったと思います。本当にお疲れ様でした。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白いですね。 (momo)
2006-01-30 01:41:13
「誤差を縮める」っていうキーワードは、何だかしっくりきますね。



理想と現実・・・

現実の中から生まれてきたのが、理想なわけなので、固定された理想ばかり見ていては、意味がないってこともありますよね??



あ、しまった、混乱してきた

何にせよ自分の頭で考えるのはきつい作業ですよね。

自分を直視するだけで疲れますもん。



無理せずに続けて下さいね



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Unknown (Unknown)
2006-01-30 12:46:24
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いつもありがとう (イスハーク「)
2006-02-07 06:22:18
momoさん、いつも読んでくれてありがとうね。

イスラムに限らず、理想と現実のギャップを埋めようとするのが人間なのかもしれません。



問題は理想を持っているかどうかだと思います。



理想が無ければ、現実とのギャップを埋めようにも埋める努力すらできませんから。



ですから、理想を持っているという点で、ムスリム/ムスリマは幸福なのかなとも感じています。
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Unknownさんへ (イスハーク)
2006-02-07 06:22:59
私も好きです(って答えるなよ)。
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