日本人イスラム教徒ゆとろぎ日記 ~アナー・イスミー・イスハーク~

2004年に入信したのに、2003年入信だと勘違いしていた、たわけもんのブログです。

ハーフィズへの遠き道のり・8/第101章の訳について

2005年07月14日 06時19分00秒 | 『クルアーン』
ヒジュラ暦1426年ジュマーダー・ッサーニヤ(6月)8日 ヤウム・ル・ハミースィ(木曜日)

 第100章から第114章までの暗記がほぼ終わった。全体量からすれば微々たるものだけど、「3ケタの章が終わった」ということで、気分的にはひとつの区切り。

 それにしても、訳の難しさを感じるのは、第101章だな。

اَلْقَارِعَاةُ


 (アル・カーリア)というタイトルだが、日本で出版されている三つの訳を見ると、タイトル・第1節の訳がだいぶ違っている。
 
 日本ムスリム協会の『日亜対訳 注解 聖クルアーン』だと、「恐れ戦(おのの)く章」だし、井筒俊彦訳の岩波文庫の『コーラン(下)』では「戸を叩く音」、『世界の名著 コーラン』だと「叩く音の章」になっている。

 タイトルについて辞書を引いて確認。『初級パスポート アラビア語辞典』にはさすがに載っていない。

語根は 
ق ر ع
  (QR‘/カ・ラ・ア)かな?


 と「あたり」をつけて、まずは『現代アラビア語小辞典』(池田修・竹田新)を引く。

قَرَعَ


の項に「叩く、打つ、(鐘を)ならす」という訳がついているなあ。

次に『HANS WEHR ARABIC-ENGLISH DICTIONARY』Edited by J M.COWAN』→『ジーニアス英和大辞典』という流れで確認。

قَرَعَ 



knock…「〔戸などを〕トントンとたたく」
    「〈ひざが〉(恐怖で)がたがた震える;〈心臓が〉どきどきする」
beating…「打つ[たたく]こと」「打ち破る」「(罰としてむちで打つ)」

そうか、「叩く」のは確かなようだ。それに「震えるような恐怖」というニュアンスもある。
もう少し読み進めると、

القارعة 

the hour of the Last Judgment 「最後の審判」という訳があっさりと載っていた。
そうか、最後の審判の日の恐ろしい様子を、日本語でどのように表現するかで訳者の方々は苦労されているわけだな。

 日本語と違って、アラビア語って1単語の情報量が多いから、訳すのは本当に大変だと思う。
 それだけに、早くアラビア語で『クルアーン』をすんなり理解できるようになりたいものだ。

【ノート】
『日亜対訳 注解 聖クルアーン』日本ムスリム協会
101 恐れ戦く章〔アル・カーリア〕 マッカ啓示・11節
1.恐れ戦(おのの)く日(最後の審判)
2.恐れ戦く日とは何か。
3.恐れ戦く日が、何であるかをあなたに理解させるものは何か。
4.(それは)人間が飛散する蛾のようになる日。
5.また山々が、梳(す)かれた羊毛のようになる(日である)。
6.それで、かれの秤(はかり)が(善行で)重い者は、
7.幸福で満ち足りて暮らすであろう。
8.だが秤の軽い者は、
9.奈落が、かれの里であろう。
10.それが何であるかを、あなたに理解させるものは何か。
11.(それは)焦熱(地獄)の火。


『コーラン(下)』井筒俊彦訳、岩波書店
101 戸を叩く音 -メッカ啓示、全八節-
1.どんどんと戸を叩く、何事ぞ、戸を叩く。
2.戸を叩く音、そも何事ぞとはなんで知る。
3.人々あたかも飛び散る蛾のごとく散らされる日。
4.山々あたかも毟(むし)られた羊毛のごとく成る日。
5.秤が重く下(さが)った者には いと心地よい生活(くらし)があろう。
6.秤が軽くはねた者には 底なしの穴が母となろう。
7.が、さて、底なしの穴とはそもなんぞやとなんで知る。
8.炎々と燃えさかる火の謂い。


『世界の名著 コーラン』責任編集:藤本勝次、中央公論社
101 叩く音の章 〈メッカ啓示 全11節〉
1.叩く音、
2.叩く音とは何か。
3.叩く音が何であるかを、何が汝(なんじ)に知らせるか。
4.人々が、散らされた蛾のようになり、
5.山々が、むしられた羊毛のようになる日のこと。
6.目方の重い者には、
7.愉悦の生活がある。
8.目方の軽い者は、
9.奈落を母とする。
10.それが何であるかを、何が汝に知らせるか。
11.焦熱の火である。

سورة القارعة 101
بِسْــــــــمِ اللهِ الرَّحْمـَـنِ الرَّحـِيمِ
اَلْقَارِعَةُ 1
مَاالْقَارِعَةُ 2
وَمَآ اَدْرَئكَ مَا الْقَارِعَةُ 3
يَوْمَ يَكُونُ النَّاسُ كَا لْفَرَاشِ الْمَبْثُوثِ 4
َوتَكُونُ الْجِبَالُ كَــالْعِهْنِ الَْمَنفُوشِ 5
فَأَمَّا مَن ثَـقُلَتْ مَوَزِينُهُ, 6
فَهُـوَ فِى عِيشَةٍ رَّاضِيَةُ 7
وَأَمَّا مَن خَـفَّـتْ مَوَزِينُهُ, 8
فَأُمُّهُ,هَاوِيَةٌ 9
وَمَآ أَدْرَ ئكَ مَاهِيَه 10
نَارٌ حَامِيَـةٌ 11

 word2003だと、クルアーン通りの表記で打てない部分があるなあ…。

101 スーラト・ル・カーリア
ビスミ・ッラーヒ・ッラフマーニ・ッラヒーム
1.アル・カーリアトゥ
2.マル・カーリア
3.ワ・マー・アドラーカ・マル・カーリア
4.ヤウマ・ヤクーヌ・ンナース・カルファラーシ・ルマブトゥートゥ
5.ワ・タクーヌ・ルジバール・カルイフニ・ルマンフーシ
6.ファアンマー・マン・タクラトゥ・マワージヌフ、
7.ファフワ・フィー・イーシャティンッ・ラーディヤ
8.ワ・アンマー・マン・ハッファトゥ・マワージヌフ、
9.ファウンムフ、ハーウィヤ
10.ワ・マー・アドラーカ・マー・ヒヤフ
11.ナールン・ハーミヤ

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
第101章 (ファーティマB)
2005-07-14 23:11:03
ブラザー・イスハークさま



アッサラーム アライクム



「イスラーム」で検索したら、このグログを発見しました。はじめまして。ファーティマと言います。

 私もかつて、「101章」のタイトル訳を当時のモスクのイマームの解釈を自分なりにまとめたものを楽天で紹介したことがあります。



インシャーアッラー、また遊びに来ます。



アッラーのご加護と祝福がありますように

ワッサラーム









返信する
驚きました (イスハーク)
2005-07-15 08:25:33
アッサラーム・アライクム。



フルサ・サイーダ、ファーティマBさま。コメントありがとうございます。



 ブログ「満月通信」を拝見しました。古典アラビア語文法・タジュウィード・単語のニュアンスにまで触れて詳しく説明されているので、文意が大変深く理解できます。



 101章の内容が、生き生きと立体的に浮き上がってくるようなライブ感(?)を持つことができました。



 辞書片手に、自分で対訳本を読むのとは理解度が段違いです。



 今後も、学習の参考にさせて頂きますので、よろしくお願いします。



 なお、勝手にブックマークに加えさせて頂きました。

 差し支えなければ、よろしくご了承ください。

 不都合があれば削除いたします。



マア・アッサラーマ
返信する
こちらこそよろしく。 (ファーティマB)
2005-07-15 23:36:54
ブラザー・イスハークさま



ワ アライクムッサラーム ワ ラフマトッラー



リンクの件、こちらこそ光栄です。

私もリンクしてもよろしいでしょうか。



満月通信(楽天)は最近、あまり更新していないので、申し訳ありません。



アラビア語の表記ができるgooにもブログを作りました。アスタグフィルッラーやはり更新が遅いでのすが、こちらでもブラザー・イスハークさんのブログをリンクしても、よろしいでしょうか。



アッラーが我々の知識を増やしてくださり、正しき道を歩めますように。



ワッサラーム

返信する
ホントにいいんですか(笑)? (イスハーク)
2005-07-16 11:11:15
アッサラーム・アライクム・ワ・ラフ・マトゥッラー



ファーティマBさま



ご覧の通り、私のブログはかなり適当なところや、品の無いところもありますが、本当にリンクしていただいて大丈夫ですか?



満月通信を見てからこちらを訪問すると、あきれかえる方も多いのではないかと…。



もし大丈夫なようでしたら、リンクして頂くのは大歓迎です。



gooのブログの方も早速拝見したいと思います。



満月通信の初期の方に載っていた「サッラッラーフ・アライヒ・ワ・サッラム」のマークも復活しますか?

あれ、いいですね。
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