ヒジュラ暦1427年ジュマーダー・ル・ウーラー(5月)10日 ヤウム・ル・スラーサーィ(火曜日) |
某大手出版社で発行する本を執筆することになりました(共著)。
特殊な分野の本なので一般の書店には流通しません。初版10万部の予定だそうです。
実は5年前にも同じ仕事をしたことがあります。今回はその全面改訂版の執筆です。
そのときは、その本の関係者K氏と偶然知り合い、軽い気持ちで引き受けたらエライ目に遭いました。
労力の大きさと責任の重さのわりに、異常に報酬が安く、おそらく時給に換算したら100円にもならないでしょう。
この5年間で50万部から100万部発行しているので、普通の本の印税だったら結構な収入があるはずです。印税生活…う~ん、なんという羨ましい響きでしょう。しかし印税などとはまったく縁が無い世界です。
それにしても「だいたい50万部から100万部」というのは、アバウトにもほどがあります。大出版社とはいえ、この本への熱意は低いようです。
そんなわけで、「もう二度とこんな仕事やるもんか!」と堅く心に決めていたのですが、いったいどういう偶然なのか、今年4月にK氏が上司として赴任してきてしまいました。
K氏は満面の笑みを浮かべて「全面改訂版を出版することになったけど、だ~れも引き受け手がいないから君頼むよ」と声をかけてきました。
本来の業務とは関係がありませんし、5年前の苦い思い出があるので、私は強い決意のもと、にっこり笑って「絶対イヤです。お断りします」と申し上げました。
するとK氏はこうおっしゃいました。
「おお、ありがとう、これで執筆者がまず一人決まったぞ。あと二人は欲しいな。誰か知らないかな?」
この上司は、人の話を聞かないことにかけては同僚の間でも定評があります。全く悪意が無く、どちらかというと「いい人」だけに困りものです。
とりあえず5年前の同志たちに声をかけてみましたが、燃え尽きて仕事やめちゃった人だの、過労&ノイローゼ気味になってしまった人だの、みなボロボロです。いまのところ、ようやく一人だけ引き受けてくれました。
執筆資格(?)のある人は、100人以上はいるはずですし、その中には明らかに私より適任の方も数多くいるのですが、みなさん引き受けてくれません。執筆の実態が知れ渡っているようです。
「困ったな、こりゃ」と思いながら、クルアーンを読んでいたら冒頭の節が目に入りました。
このような状況になってしまったら、いつまでも悩んでも仕方ありません。
自分の勉強にもなりますし、もしかしたら今回はいいことがあるかもしれません。困難を楽しむ気持ちが大切なのでしょう。