今日は5月1日。八十八夜である。立春から起算し88日目をさす。
煎茶を楽しんだ者には、夏を目の前に茶摘みが始まり新茶を楽しめる季節として馴染んでいる。
茶の生産地の有名どころである鹿児島、静岡、京都などでは一斉に茶摘みがはじまる。
随時刈り取られ、その地の銘柄として全国に出荷されていく。
お茶の産地ではないが、こんなところにも茶畑がある。
ご存じの方も多いかもしれないが、京都・建仁寺の境内に本格的な茶畑が存在する。
そこには「榮西襌師茶徳顕彰碑銘」の石碑があり、その冒頭に “茶は養生の仙薬、延齢の妙薬なり” という、
建仁寺開祖の栄西禅師の言葉が彫られている。
この時期に参拝すると必ず茶畑をのぞく。
4月中旬に差し掛かった頃だったので、陽射しを避けるためまだ筵が被さっていた。
時期がくれば僧侶によって随時茶摘みが行われ、
外部には出ないものの京都市下京区産の「建仁寺茶」として飲まれているようだ。
茶の始まりは、栄西禅師が中国から茶の種を持ち帰り栽培をはじめ、
それを日本全国に奨励したことから普及したといわれている。
そして禅寺には喫茶の法として広がったようだ。
禅語として「喫茶去(きっさこ)」が生まれ、意味は、”お茶でも飲んで、去れ” ということになる。
厳しい言葉であったようだが、いまでは「どうぞお茶でも飲んで行ってください」という優しい言葉に、
解釈されるようになった。
茶畑は見ての通り(写真)、陽を浴び成長した茶木に葉をつけ青々と繁っていた。
栄西禅師の禅精神がこういう形で受け継がれ、価値ある生きた文化財として今に伝承されている。
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