2021年から始まった独立展の伊藤弘之先生の個展「私の視点」が、このたび西宮北口にある甲風ギャラリーで11回目を迎えた。
今回は、世界の三大祭りの一つとされる「ヴェネツィア・カーニバル」をテーマに、カーニバルの集大成として行われている。
ご承知のとおり、ヴェネツィア・カーニバルはイタリアの歴史ある祭りなので宗教的儀式のように思われがちだが、実は、その昔、ヴェネツィアがアクイレイアとの抗争に勝利し、それを祝しサン・マルコ広場に多くの人たちが集まって踊り始めたのがカーニバルの起源とされている。カーニバル期間のヴェネツィア市民は仮面をかぶって異なった階級や異なった性別の衣装を身にまとい、匿名の市民となって自由を満喫するようになった。
それが千年近く経ったいまでも華やかな衣装に仮面をつけて楽しむカーニバルとして続いている。
先日の日曜日、伊藤先生のギャラリートークを拝聴し、その中からちょっとしたこぼれ話を拾ってみた。カーニバルでは衣装や仮面で人の階級や性別を隠し楽しんだといわれているが、その一方では、その昔、ネズミを媒介にペストが流行り、その対策に今でいうマスク替りに仮面を被ったということも言われている。それがカーニバルで仮面を被るということにつながったという説もあるらしい、と。
観る人を魅了する同カーニバルを探れば数々のストーリーが秘められているようだ。
おもしろい話の一つに、先生の絵にもあるようにネコの仮面もカーニバルにはよく登場する。
え、ネコ!幻想的な仮面にネコが、と思ってしまうが、ペストが流行った時に活躍してくれたのがネコだった。そこでネコの仮面が登場したのでは、と想像するだけで楽しくなる。
ネコの仮面も人気があったようだ
文/ 渡邉雄二
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