組み込まれたエンジニア

我輩は石である。名前はまだ無い。

Linuxカーネル解読室

2007-05-21 13:34:53 | 読書感想
久々にLinux本を購入

Linuxカーネル2.6解読室

2.6でも、マイナーバージョンごとに細かく構成が変わっているLinuxであるが、この本は2.6.15というバージョンをターゲットとしている。

カーネルメーリングリストを追いかける時間が取れなくなって久しいが、目新しいところで、LinuxのページングがAMD64アーキテクチャ向けに4段マッピングに変更されたということだ。SuSEがポーティングしたときに、3段マッピングを無理やり使って、しかも、論理空間が512GBしかないという中途半端さを嘆いたのだが、4段マッピングを標準カーネルでサポートすれば、論理空間の不自由さはなくなる。

この本、はじめから順序良くじっくりと読むのにお奨めだ。初心者向けに丁寧に書かれている印象がある。(若干、説明が微妙なところもあるが・・)

ソースを普段から扱っている人が、トピックスを拾い読みするなら、

詳解 Linuxカーネル 第3版

の方が適しているような気がする。要するに使い分ければいい。

いずれにせよ、かなり分厚い本なので、持ち運びに不便なのが問題といえば問題か(笑)


下流志向

2007-02-27 15:48:33 | 読書感想
学びからの逃走という言葉にピンと来て購入


下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/31
  • メディア: 単行本



が、実際は逃走などというよりも、「学びの拒否」に全力を挙げる若者の増加をいくつかの出典より、示している。

下層階級に固定された国民層により、反-学校神話が確立されつつあることが、学力低下(拒否)の実態だろうという話。

無知であることに不安を覚えず、やるべきことをやらない理由を全力を挙げて探すことで下流転落へ走ることを「かっこいい」と思うという若者の気持ちは、正直理解できないが、そう説明されると納得行く行動パターンを持つ者は多いかも。

プログラミングで飯が食えるか!?

2007-02-16 15:59:39 | 読書感想
タイトルに惹かれて買った本である。


プログラミングでメシが食えるか!?―成功するプログラマーの技術と仕事術

プログラミングでメシが食えるか!?―成功するプログラマーの技術と仕事術

  • 作者: 小俣 光之
  • 出版社/メーカー: 秀和システム
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本



プログラマーとSE、両者の葛藤は結構あるが、プログラマの立場で、書かれたプログラマ生活HOWTO本といえよう。

日本の大手はプログラムを作れない人間をSEとして大量に雇っているので、プログラムはオフショアでということが多いが、現実には、仕様を決めたらさっさとプロトタイプを完成させたほうが効率がよいに決まっている。

ウォーターフォールがあまり機能していないのは昔も今も同じだが、SEになるにしても、プログラムもきっちり作れるSEと業務しかしらないSEでは、出来上がるシステム自体も違うだろうな。

といっても、著者はネットワークプログラムが専業に近く、かなり分野が偏っているのが、プログラマとして成功できている原因の一つでもあるか?

あまり堅い本ではないので、専門ではない人も、一通り目を通してみると、プログラマの世界が垣間見れるかも?

How the Microprocessor Works

2006-07-03 08:34:24 | 読書感想
アメリカのプロセッサ設計のMLで紹介されていた、アマゾンで、Grant Mcfarland (著)の

Microprocessor Design: A Practical Guide from Design Planning to Manufacturing (Professional Engineering S.)


を買ったが、この本の検索時に新刊本(予約受付中)の下記の本を見つけた。
こちらも、USの説明を見る限り魅力的だ。(日本のアマゾンでは洋書の説明がつかないケースが多いので、本を探すときにはまずUSで探し、同じ本が日本で入手できないかを検索するのだ。送料を考えると、日本で売っていれば、そのほうが安いことが多い)



Jon M. Stokes :How the Microprocessor Works: A Practical Introduction to Microprocessors And Computer Architecture


ジャンルを読書感想としたが、どちらも、まだ未到着なので、購入報告みたいなものだな(笑)

C言語のパーサーを読む

2006-06-23 07:54:45 | 読書感想
昨日、駒込まで、往復5時間も電車に乗っていたので、その間に、先日のC言語パーサーを読んだ。

かなり面白い構造をしていて、特に演算優先順位の扱いなど、こういった書き方は中々思い浮かばない。

惜しいことに、左辺値と右辺値の切り分けはパーサーではやっていないので、左辺値になれない記述が左辺に来たときに弾くコードは別途作成要である。

単純な
foo();
のような呼び出しが、どのように処理されるか、パッと書かれておらず、ずっとシンタックスを追いかけていかないと分からない構造である。このほうがコンパクトに書けるのかな?

パーサー自体が小さいので、まずは簡単なCPUのアセンブラを出力する小さなコンパイラを作ることから始めると、構造が理解しやすいかもしれない。

技術空洞

2006-05-25 15:08:12 | 読書感想
出張時に、新大阪駅で買った本である。

技術空洞 Lost Technical Capabilities 技術空洞 Lost Technical Capabilities宮崎 琢磨 (2006/04/21)光文社この商品の詳細を見る


VAIO企画に携わった著者がSonyの中から見て、いかにSonyが崩壊して行ったかを克明に記している。

この本を読むと、α7digitalの技術者達があの会社でうまく生きていけるか心配になる・・・

作る人間が愛情をそそがないモノには人は感動しない。当たり前のことが日本の企業の中から失われつつあるようで恐ろしい。もう少し穏やか(というのは、マネージャーが隠すだけの賢さがあったというだけ)だが、彼と似たような経験は私も前の職場で感じたものだ・・

ただ、このシリーズ、主要な単語をわざわざ英訳してちりばめているのだが、読みにくいだけだから、この習慣は止めたほうがいい

Joel on Software

2006-05-11 17:02:41 | 読書感想
たとえば、C/C++言語の文字列設計がいかにダメなのか?
最初のエッセーから多分ハードの動きを知らないソフト「だけ」エンジニアには思いも付かないような読んでいて嬉しくなる話題に引き込まれる。

実際の現場を経験した人間しか分からない機知に富んだ話題が満載である。お勧め。



働く過剰-大人のための若者読本

2006-02-02 21:13:08 | 読書感想
帯の「即戦力という幻想」という言葉に引かれて、購入し読んだ。
第一部の話は中々面白いかもと思っていたが、第二部になったら飽きてきて、後はひたすら惰性で読み続けることになった。
この本もそうだが、社会学者の本はどうも根拠を明示せず、大事な部分で勝手な思い込みのような文言を平気で使うのに違和感がある。こうだと断言するなら根拠を示せよと理系の人間は考えるのである。

働く過剰-大人のための若者読本


初めて学ぶソフトウェアメトリクス

2006-01-31 11:43:10 | 読書感想
ほとんど読み終わっていて、付録を残していた本をようやく読み終えた。

初めて学ぶソフトウェアメトリクス


英文タイトルは Five Core Metricsであり、主要なメトリクスを計測し、その数値の間の関連を用いてソフトウェアプロジェクトを管理しようという本である。

最後、出張時に持ち歩けないほど体調を落としていたので、読み終えるのに時間がかかったが、全体に読みやすく、内容も平易である。

プロジェクト管理を志す人は一度は目を通してもいいかもしれない。

SEのフシギな生態

2006-01-09 09:36:18 | 読書感想
幻冬社アウトロー文庫のきたみりゅうじのSEのフシギな生態・失敗談から学ぶ成功のための30カ条

を読んだ。
面白い本は一気に読めてしまうが、この本もそういった一冊。
ありがちな仕事上の失敗を楽しいマンガとともに収録している。自分の失敗から学ぶのはコストが高いが失敗談を他山の石としてしっかり学ぶのは駆け出しエンジニアに限らず必要なことだと思う。
長丁場のデスマーチを終えて、久々に自宅に帰った時に、留守番電話に入っていた彼女からのメッセージ・・・ああ無情と思わず天を仰ぐ彼の姿が想像できてしまう。

それはともかく、この本は特にソフトウェア技術者を目指す学生に読んで欲しい。
(で、ここで困ったチャン達のようにならないように、十分学んで欲しい 笑)

ただ、この本でもSECなどの啓蒙活動もそうだけれど、利益の出る上流工程に注力するように啓発しているけれど、上流工程をきちんとこなすのは、下流工程の技術力と実現するシステムの業務知識が伴って初めて実現できることを忘れがちである。(業務知識の件はこの本にも書かれていた)

ハード屋からSEに転向させられた友人からの年賀はがきに苦労している様子が書かれていたが、キャリアをリセットするような人事を平気でやっていたら、生産性が上がるはずもない。日本の会社は生産性について、無頓着すぎるよな。

生産性を気にするマイクロソフトの仕事の様子は、少し前に紹介した私がマイクロソフトで学んだこと
に書かれているので、この本とあわせて日米の仕事の進め方の違いを堪能するのも面白いかもしれない。

ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を

2006-01-07 08:01:19 | 読書感想
正月の休み気分も終わり、通常の生活に戻っている。
先日の帰り、電気屋に寄ったついでに、少し遠回りして本屋に行き、

ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を

を買った。



この本は、ヴィレッジ・ヴァンガードというちょっと変わった本屋の社長が創業から店舗拡大のころにかけて雑誌に連載した記事をまとめた単行本の文庫版である。
文庫版の番外編には数店の店長たちがそれぞれの思いを書いているのも面白い。

本屋の話であるが、小さな会社のスタートアップとして参考になるところも多いかもしれない。

普通の人を相手の商売は、自分たちの趣味の世界に同調する人を相手にできるので面白いかもしれないなぁ。と、あまりにも狭いマーケットの世界にいるとちょっとうらやましい。が、努力もせずにうらやんでも仕方ない(笑)

妹が2枚持っていた、プレステのゲーム「チョコボの不思議なダンジョン」を1枚もらって帰り、少し試してみようとしたが、ダンジョンに入る前からつまずいて先に進まない。やっぱり、ゲームは向いていないらしい(笑)

私がマイクロソフトで学んだこと

2006-01-01 07:56:40 | 読書感想
正月である。
年末に冷蔵庫の食料が枯渇し(白菜だけはあったが・・)、買い物したら余らせるのは目に見えていたので、いつもより早く実家に帰ってきた。
実家に帰ったらインターネット環境は自宅ほど自由ではない(常時接続だけれど、ケーブルが届く範囲<2階>でしかPCが使えない)ので、先日買った

私がマイクロソフトで学んだこと

を読んでいた。作者のジェリー・ビックは90年にマイクロソフトに入社し、この本の翻訳が出版されたのが97年である。その間に、本に書かれているようにマネージャを含む数々の仕事をこなすというのは、日本の会社では考えられないスピード感である。拘束時間だけやたらと長い日本の会社と違って、ワーカホリック的に働いていても、本当に身のある仕事をこなしていることが良く分かる。

マイクロソフトが嫌いな人間は数多くいる(私も彼らの製品は大嫌いだ 笑)が、こういったスピード感あるれる職場環境は刺激的で楽しいに違いない。

私の場合、社会に出て10年は最初の会社で夢中で仕事をこなし、次の10年は職場を替えて、全く違う分野で仕事をしてきた。次の10年でどんなことをするのかをもう一度振り返る必要があるとしばらく前から考えているが、こういったスピード感に乗った気持ちの高揚を味わいたいものだ。

未熟者の天下

2005-12-09 08:16:53 | 読書感想
青春新書の「未熟者の天下」を読んだ。副タイトルに「大人はどこに消えた?」とある未熟者には魅惑的なタイトルがついた社会学者の本である。
右翼化したり左翼化せずに、大人は無翼であるべきで、無翼のタイプとして
・リバタリアン
・リベラル
・コミュニタリアン
という3つのうち、社会と共生するにふさわしいのはコミュニタリアン(共産主義ではない)であるというのは至極まっとうな結論であるが、筆者自身がリバタリアンであったと述懐しているように、現実にコミュニタリアンとして生きるのは、「大人」にならないと難しい。
「大人」がいるのではなく、「大人の振る舞い」ができる個人のことを「大人」というのは未熟者の一人としてとても共感できた。

プログラミング作法

2005-12-09 00:33:11 | 読書感想
カーニハン、パイクの
プログラミング作法
を読んだ。
コーディングスタイルやテスト手法について、意味づけを与えながら解説しているので、丁寧に読む気のある人にはお勧めである。
Cだけでなく、C++やJavaについても言及していて、中にはPerlやAWKで同じプログラムを実験的に作って、性能やコードの評価をしている項目もあり、興味深く読める。

ただ、C言語すらちゃんと読み書きできない人には、少し難しいかもしれない。

意味はともかく、習うべき基準だけ示して欲しい向きには、SEC BOOKSの「組込みソフトウェア開発における品質向上の勧め」のような本が向いているかも。

読書記録

2005-12-04 09:44:01 | 読書感想
このところ、東京での会議が多いので、行ったり来たりに本を読む時間が結構取れる。この1~2週間で4冊の本を読んでいる。あんまり重い本(重量も中身も)を混んだ電車で読む気にはならないので、どれも軽く読めるものばかり。


ITプロジェクトマネージャのためのコーチング入門


この本は、タイトルのIT-PMに惹かれたのであるが、ITなんて本文には全然といっていいほど出てこなく、普通のコーチングの本だった(笑)。それでも、運動選手のコーチングなどではなく、ビジネスにおけるコーチングだから、色々な応用が利くものではある。HOW TO本の域を出ていないので、一度読んだらもう読み返す必要はなさそう。


崖っぷち弱小大学物語


この本に出ているような大学はたくさんあるだろうけれど、著者が研究畑一筋の人間であり、本書全体の基調の中に、どうしても価値観の基準が凝り固まっているような印象を受けた。それでも、この本は、これから新入社員を受け入れる立場の社会人にも読んで欲しいし、子供がまさに進学という親も読むべきかもしれない。「弱小大学」だけでなく、日本の大学が全体的に本書のような状況に陥りつつあるというのが正直なところだろうから。



自動車が危ない


製品開発にかかわったエンジニアならどの分野でも「自動車だけが特別ではない」という意識があると思う。リコールの制度がある分野はマスコミも注目し社会的に認知されるのであるが、この制度のない製品や同じ製品でもリコール対象にならない不具合など、新しいものを開発する以上、開発対象が複雑になるにつれ何かしらトラブルは生じてくるものである。
この本で面白かったのは、アメリカの調査会社のブランドごとの品質評価結果である。日本のマスコミは概して日本車の品質が高く、アメリカ車の品質が低いという神話を宣伝しているが、メーカー別の統計では確かにトヨタ・ホンダが1,2位を占めているが、ブランド別に統計しなおすと、レスサスは確かに1位であるが、トヨタ、ホンダブランド車はアメリカ車よりも下にあるのだ。マスコミの日本車賛美の記事にエンジニア自身が踊らされないように気をつける必要がある。GM、FORDの大きな問題は設計品質が悪いことではなく、UAWが強力すぎてコストダウンできない点にあるような気がしてならない。多分、彼らはChapter11を発動して一度労働者を解雇してしまったほうが、立ち直れるだろう。



なぜ、「頑張っている人」ほど、うまくいかないのか?


これもHOW TO本である。メンタル・バンク・コンセプトという手法で潜在意識の改善をしようというものである。プラス思考ではうまく行かず、この手法ならOKというのもなんだか・・・なのであるが、毎晩、寝る前にやったことの記録をつけるというのは、それだけでも十分効果がありそうな手法ではある。
この本の方法を薦めているのではなく、自分がその日のうちにやったことの整理をし、一覧することで、「気づき」を誘発することができるので、狙う効果は全然違うけれど、役に立ちそうだ。
枕元にノートをおき、手書きで書くという手法もお手軽だし、いいかもしれない。

アマゾンで次に読む本も数冊仕込んでいるので、まだまだ読書は続く。
(長い電車の時間を睡眠にあてるべきか、読書にあてるべきかは悩みどころ 笑)