BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

日経BP社の記事が、日本の経営者に与える影響について

2005年07月22日 16時20分46秒 | マスコミと報道内容
ここ最近、1年くらいかな、日経BP社の一部の記事を読んで、よく疑問を感じています。バイオテクやMedWaveなどでは時々最新の情報も頂いているんですが、BSE問題などではミスリードがどうも気になります。まずはこの記事をお読みください。

「日経BP社全社統一キャンペーン」
「安全・安心・セキュリティー 安全には答えが必要だ」
「SAFETY JAPAN2005」

大前研一:愚民政策が生んだ「ウソばかりの“国産”食品」
1頭のBSE感染牛で“完全閉鎖” 消費者には情報と選択肢を与えよ
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/a/03/ 
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/a/03/02.html
http://www.nikkeibp.co.jp/info/webad/jpn/doc/sj2005.pdf
上記で、BSEの安全性について大前氏の文章を紹介されてますが、「安全には、答えが必要だ」の「答え」がどうもおかしい・・・日経BPさん、しっかり内容を検証してくださいよ。消費者もそうだけど、企業がミスリードされたら、経営にも影響がでるから大変ですよね。

Speak Easyさんがまとめてくださった、上記記事に関する重要な問題点指摘を、まずお読みください。

■大前研一氏に退場を勧告する
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/28045319.html
それと、笹山さんの掲示板にあった真名さんの含蓄のある言葉を転載させていただきます。
日本の経営者必見

===============
日経BP社の雑誌はけっこう高いです。 
企業経営者の立場から見ますと,初歩的な間違いが垂れ流されているというだけで、日経BP社がもたらす情報を警戒するべきです。
意見は偏向していてもかまわないと思うんです。 企業経営者に必要なのは事実です。 個人的意見ではありません。
事実把握を根っから間違うと危険です。 大前氏はそこに触れた。 日経BP社に対する経営者の信用がなくなるでしょう? 大前氏に退場を勧告したのは、日経BP社のためなんです(笑)。

===============
その他、内容についてですが、
>私も現地に行くと、岩塩を振りかけて赤身の肉をよく食べるのだが、実は日本には輸入できない。口蹄疫(こうていえき:※)があるためだ。
口蹄疫は加熱すれば輸入できる、だから中国からも肉は輸入できています。

>一体、誰が儲けているのか。
大前氏の言われる、これは私も感じてます。タンなんかも買い占めている人間がいて品薄→高騰?いうのをどこかの新聞が書いていたし。

ちなみに文中の松坂牛→松阪牛が正しいです。
問題は次のフレーズ。
>「松坂牛」や「近江牛」も、すべて但馬牛を1週間それぞれの地で餌を与えれば、「松坂牛」や「近江牛」に“仕上げ加工”できる。
輸入生体牛は6ヶ月間飼育で国産表示になりますけども、これは???

婦人時報というサイトにはこうあります。
> 松阪肉牛協会では、松阪牛を次のようにきちんと定義しています。(1)但馬牛系の黒毛和種の雌(2)松阪地域の生産農家で五〇〇日以上育成(3)日本食肉格付協会の品質検査の結果がA5かB5ランクのもの。この定義に該当する肉のみが「松阪牛」と表示できるのです。ところが、「松阪和牛」と、そっくりの名をつけて消費者の誤認を誘おうという表示が横行しているのです。
>しかしJAS法では「一番長く飼育された土地」を原産地として表示すればよいと定義づけています。

http://www.chifuren.gr.jp/tokyo/kikanshi/ki-0302/030215.htm

㈱三重県松阪食肉公社
http://www.mie-msk.co.jp/
さて、どれがホント?

ところでですが、大前氏曰く、
>「消費者には情報と選択肢を与えよ」 
BSE、vCJDの次なるリスクは、「公衆衛生」問題にシフトしています。
これは「選択」できるものではありません。ぜひ情報としてお読みください。日経BPさんも情報として報道くださいね!

英国:BSE(狂牛病)被害者は本当に150人だけ?盲腸推計3800人と、二次感染防止通知6000人
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0

========================
さて、次の記事

ジンギスカンブームの先駆者、成功の秘訣とブームの今後を語る(前編)
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/387265
畜産品の単品特化での成功を煽るような記事を掲載されてますけれど、新型の人獣共通感染症が台頭する時代、そして羊にもBSEが感染するのではないかという心配もある時代に、こうした煽り記事は、レストラン経営者に対してどうかと思います。

雑誌がジャーナリズムなら、レストランの長期的な経営安定と、食の安全(管理がきちんとされている産地にこだわるとか)を追究する記事で読者をリードすべきではないかと思います。もし羊に何か問題が起こったら、レストラン経営やその社員はどうなるんですか?この方は成功したかも知れないけど、単品特化は経営の危機管理上のリスクもあるんだということを同時に伝えないとまた同じことの繰り返し。今の苦境は、こういう無責任なマスコミの姿勢にも責任の一端があるかと私は感じています。

米牛肉輸入再開求め集会 外食産業の業界団体
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/07/2005072101004321.htm

>ジンギスカンでよく使われる羊の生ラムは、鮮度管理が非常に難しい。日本に輸入される羊肉は、まず一度、北海道に集まります。そこから全国各地に配送される。加工も北海道が先端です。

禁止されていたアイルランド産羊肉も、検疫で間違って道に入ってましたよね。
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/285.html
山羊と羊は大丈夫?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/74f2ca6cac5042c698e01d7bda2de1af
食の安全や産地、育て方にこだわることは、経営の危機管理上、生き残るためには必須の時代だと思います。日本の経営者さん、がんばってください。

============

ついでに、検索途中で見つけた日経BPのサイトより。日経BPさん、記事の事実確認、頼みますよ~
http://www.google.com/search?q=cache:DfrJvIeDW7EJ:nikkeibp.jp/style/bizinno/risk/article20040427.shtml+%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6%E3%80%80%E7%A4%BE%E9%95%B7%E3%80%80%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%80%80%E7%B1%B3%E5%9B%BD&hl=ja
>日本でBSEが発生したときに米国側は、日本から米国向けに輸出するものについて全頭検査を義務付けた。にもかかわらず、逆の立場になると「全頭検査はしない」という横暴に出ている。

↓この記事に関する、笹山さんのご指摘

これは、以前、アメリカで最初にBSeが発生したときに、「アメリカのBSE発生と今後の課題」http://www.sasayama.or.jp/opinion/S_33.htmに「日本とアメリカとのBSE対応は、イコール・フッティング(競争条件平等化)であるべき」として書いたのですが、
「2002 年1月発表のGAOの報告では、BSE発生国から輸入の生体牛のモニターの必要性に付いて強調し、この中で、特に一昨年の日本でのBSE発生時の、日本より輸入の生体牛のモニターに付いてふれ、日本からの生体牛の輸入は、1993年から1999年にかけて、242頭が輸入され、USDAは、そのうちの214頭の居場所を突き止め、28頭については、なお居場所確認中とのことで、この居場所を確認できた214頭のうち、24頭はすでにと畜され、また40頭は輸出されていたので、残りの150頭に付いてモニターをはじめた。」
ということをさしているのではないでしょうか。
日本からの牛肉や生体牛のアメリカへの輸出は、このとき以降途絶えているのですから、「全頭検査を条件」ということは、あたりませんね。



米国食肉輸出連合向けに販促費供出を決定とか。&毎日新聞社説

2005年06月28日 11時01分53秒 | マスコミと報道内容
■■米国の対策は「祈り」と消費者団体がUSDAを批判

米で2頭目のBSE感染牛、出生証明の実施を要請=CSPI「USDAの対策は祈り」と批判
http://www.jc-press.com/kaigai/200506/062702.htm
CSPI Reaction to New Mad Cow Confirmation and Administration's "Faith-Based Mad Cow Policy"
http://cspinet.org/new/200506241.html
http://www.cspinet.org/
ちなみに、おまじないの形はこれだそうです。これって日本でいうエ○○チョに似ているような?(写真)
http://www.cmbdg.com/blog/content/wp-content/i/fingerscrossed.gif

■米国食肉輸出連合向けに販促費供出を決定

結構な金額の販促費ですね。
詳細邦訳は、まずはこちらをお読みください。↓
アメリカ農務省の狂牛病対策(未対策)最新事情(暗いニュースリンク)
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/06/post_83dd.html
Such connections to industry impede the department's duty to police it, said Representative Rosa L. DeLauro, a Connecticut Democrat on the House Appropriations Committee. (On Tuesday, the department announced $140 million in grants to advertise American food overseas, including $12 million to the U.S. Meat Export Federation.)
http://www.nytimes.com/2005/06/26/national/26beef.html?pagewanted=2

さて、その費用はどこの広告業界、マスコミさんがgetされますでしょうかねぇ
報道の行方が興味津々です。

■BSE(米国牛輸入問題と2頭目)に関する毎日新聞の社説

読売新聞の社説はもう論外(記者さんお気の毒)なのですが、
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/5a09792b2ed183075997f40b417a6658
毎日新聞には結構期待していたんですよ。正確な記事も最近多いし、でも、新聞の顔である社説ご担当者までには情報が行ってないみたいです。 思うんですが、社説って、一番詳しい、第一線の記者がその担当の分野を書くわけにはいかないのかしら?

まずは社説をご覧ください。
毎日新聞 社説:米国BSE リスク評価に日米協力を
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050628k0000m070150000c.html
もうちょっと危機管理感覚を持ってもらいたいですね。日本農業新聞を読みましょう、とお伝えしたいところ。

いくつか抜粋。。
>これで米国産牛肉の危険度が高まったわけではない。
EUのGBR評価や国際調査団の報告、USDA自体の高汚染の報告を読んだらこのような「表現」は言葉遊びというか、「ものはいいよう」。 ええ、確かに「危険度は高まらない」かも知れませんがね、「もともとの危険度がどれだけあるか」が不明なんですよ。

ご参考:
米国北部に高度のBSE暴露リスク、米国農務省報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05050901.htm
その他まとめリンクをご参照
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/5a09792b2ed183075997f40b417a6658

>日本の消費者の安全は確保されている。
メキシコ、中国のリスク評価は?
ご参考:
EUによる評価(メキシコと米国のリスクは一緒)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04082501.htm

>輸入されるはずのない高齢牛とされる。国内安全基準の見直し作業には影響がないと考えられる

いつ感染したかもわからないのに、月齢区切りの非科学、誤った考えに嵌りすぎですね。過去の報道マジックの罠でしょうか(笑。農業新聞の山内委員の談話と議事録を読んでいただきたいですね。

ご参考:
2005年1月21日 プリオン調査委員会傍聴記 その1 「20ヶ月齢記載は削除しろ」と委員
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/231654948ea4804c86cc0fd488153063
6/26日本農業新聞(虹屋さんWebご紹介)
山内一也さんの発言
「私も参加した昨年7月の日米専門部会の報告で、日本側は精度の高いウエスタンブロット法を使わない米国の検査体制への疑問を指摘した。検査体制の不備が裏付けられた以上、それを織り込んで米国の汚染状況を審議する必要がある。
 米国は、飼料を規制した1997年以前に生まれた牛と強調しているが、生後すぐに感染して8年も経てば、どの検査でも強い陽性反応を示すのが普通で、免疫組織化学法で陰性になるのは不自然。最近感染した可能性もある。汚染状況の評価は、科学的なデータが公表されなければ議論もできない。」


農業新聞に登場したサファー助教授の談話には以下のような話も。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05062701.htm
「若い牛は、脳以外のところで、病原体が増えることがわかっている。ただ、病源体がどこで、どれくらい増えるのかのデータがない。若い牛の各部位におけるデータが十分明らかになって、初めて科学的な判断が可能になる。今のところ、若い牛のデータは(十分調べられないままに)文字通り食べられてしまっている」

>検査方法を改善する柔軟さには敬意を表したい。
飼料管理を改善しない非柔軟さには?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/f42e656eda417ecf8f5c40075665c76b
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/462f08e8cc6a6919618c3b8acbedde00
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/75a1947dbfa842f53eaa2d03873403c4
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb

>米国の新しい検査方法を再評価しなければならない
生体牛検査と伊藤ハムの高感度安価検査も早急な評価の必要が。技術革新への対応は答申に入ってたんですから
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/e8e6ba03556f6bf1ad75cb8e6f408aeb
評価案より
「BSE 及びプリオン病に関しては科学的に不明確な点が多く、利用できるデータも少ないため、リスク評価に有用な研究を一層推進する必要がある。また、リスク評価の基本となる科学的知見に関して、今後新しいデータ、技術革新等が得られた場合に評価の見直しを行う必要があると考える。」
http://www.fsc.go.jp/bse_hyouka_kekka_170609.pdf

>日本では当初、わずかなリスクの存在も認められなかった
・・・BSE対策のことをちゃんと勉強してない人が書いているわけですね。背割りの改善時期や、舌扁桃や背根神経節(脊髄と同リスク)がどうなってるか調査して報道してほしいものです。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/c518ed690fc549eb31152db3ff1c91c6
http://www.jccu.coop/news/syoku/syo_050127_01.htm
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/3d3b6cf53841634add25ca31f08cfccd
というか、背根神経節がと畜場で除去できてないから流通の現場に頼っている、というニュースを配信されたのは毎日新聞さんなんですが。(背根神経節=脊髄と同程度のリスク)

============
新聞の社説は問題をよくご存じでない方も書くのだ、ということが最近よくわかりました。報道の「プロフェッショナル」なのですから、もうちょっと頑張っていただきたいものです。でないとね、公衆衛生の重要な問題なのに、自己の選択だとかいう学者さんとかがまた出てきていい加減、いやんなっちゃう。それに表示義務のない食品とか加工品も沢山あるし、どうやって選択できるのですかい

最後に日本農業新聞の論説をご紹介。
BSE2例目/米国の動向 見極めを
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0506/26.html

しかし、BSE対策の要は飼料管理といいたいところですが、発生頭数によっては、英国などは「膨大な数の牛の淘汰」を行って対策したわけで。鳥インフルエンザで処分される鶏のこともそうだけれど、祈りたい気持ちです。

==========================================
社説:
米国BSE リスク評価に日米協力を
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050628k0000m070150000c.html
 米国で2頭目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された。これで米国産牛肉の危険度が高まったわけではない。しかし、米国の検査方法に対する信頼は低下した。米国は日本と同様のウエスタンブロット法を導入するという。検査方法の改善は歓迎だが、新たな検査方法の追加で日本の食品安全委員会のリスク評価作業にも追加作業が必要になろう。米国には、日本の食品安全委員会への協力を重ねて要請したい。

 現在の米国の検査方法やBSE対策では、2頭目、3頭目の感染牛が発生することは十分に予想されていた。もっと早く、もっとたくさんの感染牛が確認されても不思議ではなかった。

 その意味では、2頭目の感染牛が確認されても、米国産牛肉は輸入再開できるほど安全が確認されていないという状況に変化はない。日本は、米国産牛肉は国内と同等の安全が確保されていないとして輸入を禁止している。日本の消費者の安全は確保されている。

 日本の食品安全委員会は5月に、20カ月以下の若い牛をBSEの検査対象から外すように答申し、厚生労働省と農水省が国内安全基準の見直し作業中だ。

 これと並行して厚労省、農水省は食品安全委員会に、米国・カナダ産牛肉の輸入再開の条件を諮問した。諮問を受けた食品安全委員会がリスク評価作業中に、米国産と見られる2頭目のBSEが確認された。従来の米国の、感染牛はカナダ産で米国は清浄国という主張は崩れたが、2頭目の感染牛は見直し中の国内基準に照らしても輸入されるはずのない高齢牛とされる。国内安全基準の見直し作業には影響がないと考えられる。

 米国は、「免疫組織化学検査」一本という米国の検査方法で安全は確保できると主張してきた。日本はウエスタンブロット法も併用するよう求めてきた。2頭目の感染牛の確認で、米国はウエスタンブロット法の併用を発表した。

 米国の手法では国際的な水準での信頼を確保できないと認識した時に、検査方法を改善する柔軟さには敬意を表したい。

 しかし、いつから、どのように検査方法を改善するのかは、まだ明らかでない。リスク評価の対象となる検査方法そのものが改善されるのだから、日本の食品安全委員会も米国の新しい検査方法を再評価しなければならない。米国は食品安全委員会に十分な情報を提供してほしい。

 米国産牛肉の輸入再開問題を通じて、「科学的」という言葉の日米の違いが明らかになった。米国では一定のリスクを当然とし、統計的に十分な低さに管理されていれば科学的に安全とした。日本では当初、わずかなリスクの存在も認められなかった。

 日本の国内安全基準の見直しで日本はリスクの存在を認め、2頭目の感染牛の確認で米国は国際的な水準の信頼確保に理解を示した。米国産牛肉輸入再開の前提は日本の消費者の安全確保である。「科学的」なリスク評価に、日米はもっと協力してほしい。

毎日新聞 2005年6月28日 2時06分

[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」 by読売新聞社説

2005年05月27日 10時47分48秒 | マスコミと報道内容
ここはありがたいことに新聞記者さんも読んでくださっているのですが、社説って、新聞の顔ですよね?社説を読めばその新聞のレベルがわかる、と申しますよね?

読売新聞を読んでいたら、唸らせる社説がございましたので、その検証とともに米国牛の問題点の総ざらえをしてみることにしました。

■5月27日付・読売社説(1)[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/23358833.html
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050526ig90.htm

「米国の対応策は、日本が牛肉の輸入再開を認めるのに必要な条件をほぼ満たしている。食品安全委員会は迅速に結論を出すべきだ。」

Let's study
→米国北部に高度のBSE暴露リスク、米国農務省報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05050901.htm
アメリカ牛は本当に安全か? その2 鶏糞に糖蜜をかけた飼料とは?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/462f08e8cc6a6919618c3b8acbedde00
昨年2月の食安委の議事録「1993年から米国はBSEに汚染されている」という報告
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/75a1947dbfa842f53eaa2d03873403c4
BSE最新と過去のニュース & アメリカ牛は本当に安全か?(EUによる米国評価)
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb


「食品委は今月初め、日本が続けてきた全頭検査を見直し、20か月齢以下の牛の検査を免除しても問題はない、と結論付けた。検査で確認された最も若い感染牛が、21か月齢だったためだ。」

Let's study
→ 【もう絶句】行政による「科学」のねじまげ始まる。米国牛輸入問題:意見交換会に参加
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/2364c0b9046c5e63aed236944b9a9e33
これマジですか?―ペテンに走る食品安全行政
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/200505/210205.php
2005年1月21日 プリオン調査委員会傍聴記 その1 「20ヶ月齢記載は削除しろ」と委員
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/231654948ea4804c86cc0fd488153063


「検査なしでも構わないとする20か月齢以下の牛を確認する手法については、肉質による判定で十分可能、との認識で日米当局が一致している。」

Let's study
→『米国式格付けと月齢とを結びつける問題点をめぐって、高橋議員は「米国ではさまざまな交配種があり、肉質も違うのにアメリカが示したサンプルのデータが、どの牛の種類でも成り立つのか」と質問。牛の月齢判別に関する検討会座長の沖谷明紘日本獣医畜産大学教授は、年間約三千五百万頭という「全部の母集団を完全に反映しているとはいえない。それは不可能だ」と答えました。』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-21/02_02_0.html

→米国産牛肉には「米政府が提案中の肉の色による月齢確認は、精度に問題が残る」「米国は食肉処理法が日本と違い、危険部位の一部のせきずいが肉に付着しやすい可能性がある」などの指摘がある。(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/news/20050527k0000m020083000c.html
→【もう絶句】行政による「科学」のねじまげ始まる。米国牛輸入問題:意見交換会に参加
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/2364c0b9046c5e63aed236944b9a9e33


「米国は、日本に輸出する牛肉から、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位を日本同様、すべて除去することを約束した。」

Let's study
→約束だけなら誰でもできる。
農水省:「BSEに感染した牛は、骨を取り除いても食肉処理の過程で肉が汚染される可能性がある」
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/0a2e4459558beb8d921eb79753e6c8fa
BSE最新と過去のニュース & アメリカ牛は本当に安全か?(EUによる米国評価)
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb
アメリカの食肉処理の現場で内部告発が続いている
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/89c21679c9a1a74908daa94270800649
「アメリカの検査方法に不備」の件
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/7034c7f696e9e525713f729103c2d7ec
タイソン・フーズ社の安全な職場・安全な食品に関する事実
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/namerica/usnews/20040720local556fact
ローカル556から農水省への申し入れ
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/namerica/usnews/20040720local556doc
「厚労・農水省 米・加のBSE対策調査結果を発表 安全性評価の資料にはなり得ない」
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05052001.htm
なお、危険部位が付着・混入しているかどうかを消費者でも確認できるキットが販売されてます。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/2364c0b9046c5e63aed236944b9a9e33


「家畜に関する国際基準を決める国際獣疫事務局(OIE)は、骨を取り除いた牛肉について、無条件で輸出入を認めることを、週内に決める見通しだ。」

Let's study
同日の「読売新聞」の記事から。OIEの条件について
<1>BSEへの感染や感染のおそれのある牛は除く
<2>危険部位への接触防止措置を取る――などの条件を付けること」

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050526i216.htm


残念ながら、お勉強不足の方がBSEに関する社説を書かれておられるようです。読売の他の記者さんのためにも、ぜひ、新聞をたくさん読んで、勉強されて、偏向のない、正確な社説を書いてください。よろしくお願いいたします。


==================================
追伸:読売新聞の社説ご担当者は過去の自社報道をお忘れになられたのでしょうか、
また、読売さんが配信していない重要報道もありますので、ぜひ他紙も読んでくださいまし。

米のBSE疑惑牛、4分の3未検査…米農務省明らかに(読売新聞,2004/07/14)
「牛肉の安全 全頭検査しかない」 異常プリオン発見者 (読売新聞 2004/02/13)
BSEの異常プリオン、特定危険部位以外から初検出 (読売新聞 2004/11/2/)
8日の専門家会合では、「特定危険部位以外でも、BSEの原因となる異常プリオンが検出されるケースもある」など、異論が相次いだ。(読売新聞2005年4月9日)
BSE起こす異常プリオン、肝臓などにも蓄積(読売新聞05/1/21)
米で初のBSE牛、肉骨粉に加工し危うくアジアへ (読売新聞04年10月21日)
米BSE牛は「へたり牛」でなかった?…関係者ら証言(読売新聞20040218)
米、全頭検査せず BSE対応に甘さ、体制の見直しが必要(読売新聞2003年12月24日)
米BSE対策不十分 農水省調査報告 肉骨粉検査に漏れ (読売新聞20040119)
米のBSE専門委「新たな感染例発見の公算が大きい」(読売新聞20040205)
米からBSE危険部位など35トン輸入、新たに判明(読売新聞2004年1月28日)
原料に牛背骨を使用?米国から健康食品573tも(読売新聞2004/1/20)
歩行困難牛も食用可 米、BSE対策の緩和検討(読売新聞2005年4月16日)
食肉牛の全頭検査、国際基準ではない…外相が指摘(読売新聞20050322)
カナダ産牛の輸入再開に待った…米連邦地裁 ─ (読売新聞2005年3月3日)
牛肉輸入再開問題、米が追加データの提出拒否 (読売新聞2005年3月4日)
生後20か月以下の選別困難、全米牛肉協会幹部が示唆 (読売新聞2004/9/14)
米施設のBSE検査頭数、7週で288頭のみ(読売新聞2004/7/21/) 
BSE発生アイルランド羊肉、農水係官ミスで検疫通過(読売新聞2004/7/9)
ヤコブ病病原体となる異常プリオン、高率で人に感染か(読売新聞2004年5月22日)

これらニュースはなぜ読売の「BSE特集」に殆ど掲載されていないのでしょう。
http://www.yomiuri.co.jp/features/kgbs/
その他の重要情報は、ぜひここをご覧いただきたいものです。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/index.html

5月27日追伸:
■「リスクは僅少」とおっしゃる方へ
こちらをお読みください。今までのリスク計算に「公衆衛生のリスク」は含まれていたでしょうか?それと、新しい研究による潜伏期間中の患者さんの推計。
検証:普通の生活で、vCJD=人型BSE(狂牛病)が感染しないとは本当か?その1 歯科編
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/57316d5ea76dd6092e7c843c2e7d6403
オランダ、80年以後に輸血を受けた者の献血禁止へ、vCJD拡散予防措置
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04121302.htm
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/index.html
ヤコブ病病原体となる異常プリオン、高率で人に感染か(読売新聞2004年5月22日)

日本は米国から血液製剤を輸入しているはずです。これは一国の問題ではなく、グローバルに対策しなければならない問題のようです。

■「コスト比較」をなさられる方へ
平成14年度BSE関連対策の主要な施策 (対策費用内訳)
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20020730press_5.htm
上記、一番かかった費用をご覧ください。これがまた発生しないことが、一番コストを抑える方法だと思いますし、たとえば全頭検査を廃止することで発生するライン分離や消費者への通知トータルコストもお考えいただけましたら幸いです。コスト比較は、それ単体で見るのではなく、「社会的合理性」も含めて考える必要があるようです。

その他の反証はSpeak Easyさんのサイトをどうぞ。私のサイトよりたくさんの情報を頂いています。
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/23358833.html
http://blog.livedoor.jp/manasan/

6月27日、読売がまたトンチンカンな論説を出した模様。
◆記事:[米BSE2頭目]「輸入再開の議論は粛々と進めよ」(読売新聞社説)
http://dokudan.exblog.jp/3013771
読売新聞の社説にはさすがの僕もキレました
http://hero.livedoor.biz/archives/26428477.html
他の記者さんが本当に気の毒になってきました。