BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

アメリカ牛輸入再開に関してのぼやき

2006年07月28日 16時57分40秒 | アメリカ牛は安全か?
アメリカ牛が輸入再開されることになりました。

実はヤバい国は他にもあって米国産牛だけの問題じゃないけれど、この、牛の大量生産/消費地である米国の対策の現状を(お粗末なヤコブ病サーベイランスの現状も含め)放置すること、そしてBSE・vCJD問題自体のコトの大きさを、担当者や報道陣はわかっているんだろうか?

BSE問題はもはや食の安全だけの問題じゃなくなっているわけです。英国で、つい最近、実のところ感染潜伏者は14000人はいるのではないか、潜伏期間が思ったよりもっともっと長いのじゃないか、とかいう論文が出たわけだけど、
これが何を意味するかっていうと、それがそのまま医療の安全を脅かすことにつながるわけです。

食べて感染した”感染潜伏者”が歯科を受診、その後に治療する人はどうなる?
さて、病院で採血をしました、採血は真空管を用いたけど器具(ホルダー)は使いまわしでした、とか、
盲腸の手術をするのはいいけど、盲腸ってプリオンがたまる危険部位だし、メスとか器具は使い捨てなのか、とか、他の手術も同様、
「海外旅行に行くから」「肺炎予防のため」とかいってワクチンを接種するのはいいけど、ワクチンの培養にヒト由来のものを使ってるのもあるし(子供のワクチンにもヒト由来のものはあります)

血液から感染するなら血液製剤だってヤバいでしょ(プリオンを完全に不活化することはムリ)血液製剤は米国からも大量に輸入しているよ、
鳥インフルエンザが問題になったときに「タミフルをgetしてるからダイジョブ!」なんていってた人もいたかもしれないけど、カプセルに米国牛由来成分を使わなくなったのって最近だし、備蓄分は米国牛由来のでしょうし、
あんまり勉強してない理容院や美容院はだいじょうぶか、とか、タトゥーのインクつぼだって使いまわしもあるみたいだし、
ヒト由来の胎盤注射にはまってるヒトが献血をするのも禁止されていない。

「消費者の選択」なんていってるけど、第一、アメリカ牛を解体、スライスした包丁やまな板は使い捨てにしてるわけじゃなし、
牛エキス、牛脂、外食、加工品のどこに産地、由来表示があるんですかね?
それと、解体したときのゴミはどうなるのさ?背根神経節なんかもちゃんと取ってあるものが輸入されるのかね?
ゴミは肥料化?肥料を撒いた土地にまさか、レンタカウ、オーガニック、有機、エコシステム、とかいって草取り放牧なんかしないでしょうね?!

昔、鶏糞を牛に食わせて「エコ」とか「オーガニック」なんていってた農場も日本にあったからね、オーガニックも内容を確認したほうがいいかも知れないよ。

「もったいない」運動とかいってコンビニの残りの弁当を飼料化したり、なかにはコンビニのパンを牛にやってるところもあるわけだけど、そのパンには動物油脂が入ってないか、惣菜パンだったりしないか、そこまで確認しているのか、ですよ。

なんていったって、ご飯に精米改良剤やらゼラチンをいれて炊いたりしてる時代ですよ。

昔、明治製菓がリサイクルとかいって工場のカールとかの残りクズを牛にやったりするのをHPに掲載してましたけど、カールにはビーフエキス入れたりしてるものもあったわけで、お客様相談室に電話してきいたら「微量だから」だって。「微量?牛はどのくらいそのクズを食べてるのさ?1mgの危険部位で感染するんだってよ。

ビーフエキスは危険部位が濃縮されている可能性が云々、って、現在専門調査会の委員をやってた委員も昔言ってましたわよ。まぁ、カールはともかく、コンビニのパンの仕分けをする人がどれだけ内容物をチェックしているのか、あたしはとっても疑問なわけです。

給食だって「牛肉は使わない」なんていっても動物油脂や肉エキスほかのチェックまでしてるのかはアレだし、リスク未評価のメキシコ産や中国産を使ってるのかも知れないし、EUとかでヤバいよ、って評価してる国の牛を使ってる場合だってある。

「牛肉」はチェックしてるけど「ソーセージ」やら「しゅうまい」などの「加工品」は使用してて原材料はチェックしてない、とか、結構ありそうじゃない?

てか、私は石川県の住人でなくて本当によかったと思う。石川県の人には気の毒だけど、石川県は教育委員会の委員長からして、「アメリカ牛を給食に使う」とかいってたんでしょ。冗談!だわよ。なにこの不勉強

なにより赤ちゃんの粉ミルクや、健康食品に入ってありがたがっている「タウリン」などのサプリの素材なんかだって、「牛の胆嚢」由来のものだってあるわけだし、

鉄分!とかいって喜んで購入してりゃ動物由来の鉄分だったりする場合もあるし、いや、まじめに「選択」なんてできませんわよ。

「今日は自宅でピザでも」、なんていっても、サラミに中国の牛タンが使われるこの時代、トッピングのペパロニはどこの何からできてるのか、とか、「この揚げ物の揚げ油は牛脂はいってないでしょうね?」までいちいち消費者がわざわざ聞いて、確認してられるかっつーわけです。

そしてなにより、1年半ほどの食品安全委員会の見学を通して、担当のおじさんおばさんの専門家面した”学者”とか”役人”たちが、いかに都合の悪い情報を切り捨てて、輸入再開に都合のいい結論をこねくり作り出してきたか、

そしてマスコミがいかに、専門家の委員の発言や審議内容とはかけ離れた世論操作につながるような報道をしてきたかを見てきたわけだけど、

感想としては、もはや消費者というか国民は自分で勉強して自衛するしかないということです。

「選択をする」には、ワクチン1つ接種するにも「これはヒトや動物由来でないか、使ってるとすればどこの国のか」とか病院で確認、採血も器具を全部使い捨てにしてるか確認、

手術器具はどうなのか、内視鏡の洗浄消毒はどうなってるのか、生物由来の製剤を気楽に使われてないか、

ファミレス行けば「このハンバーグの肉だけじゃなくてソースも含めすべての肉エキスと動物油脂など動物由来の調味料や添加物も含めての産地は?」と確認するとか、「アメリカ牛と国産牛を扱うときの調理器具は別にしてるか」とか、そこまで確認すべきだってことですよね。

コンビニでパンを買えば「動物油脂」って原材料表示に書いてあるけど、これはどこの何?!って確認。
コンタクトレンズ屋にいけばテストレンズが使い捨てでなく、使いまわしじゃないか、とか、
一番感染しやすい時期である幼児期、赤ん坊に飲ませてるミルクに入ってる横文字原料の由来や産地を全部確認するとか。

まぁ面倒ですから、加工品とか外食とか、表示しないもの、怪しいものは買わない、食べないのが一番楽かと思いますが、医療だけはねー。。。

種間のバリアもなく、”直接体内に注入”ですからねー、よっぽど確認しないとやられますよ。

時間がなくて専門外のことを勉強してないお医者さん少なくないですもん。SARSがいい例だけど、感染症対応がちゃんとできている病院だって少なかったでしょ。
患者が受診したらそこが「SARS対応病院」にならざるを得ないのに、みんな他の病院に押し付ける。

それと、薬害肝炎を思い出してください。日本にC型肝炎の患者さんは200~300万人って言われてるけど、その多くは注射のまわし打ちとか、知らない間に使われた接着剤のフィブリン糊とかの薬害でしょ。信用するもんじゃないです。ほんと。自分の身は自分で守るしかないわけで。


話は変わりますが、
「食品の裏側」という本
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4492222669/249-9214090-6446700?v=glance&n=465392
を貸してくださる方がいてたいへん面白く拝読しました。おすすめの本ですが、その中でひとつ気になる点があったのでご報告まで。

ドロドロのくず肉が30種類の添加物でミートボールに甦る
の章から抜粋

>「そのミートボールは、スーパーの特売用商品として、あるメーカーから依頼されて開発したものでした。
>発端はそのメーカーが「端肉」を安く大量に仕入れてきたことでした。端肉というのは、牛の骨から削り取る、肉とも言えない部分。現在ではペットフードに利用されているものです。」

>「本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉を、添加物を大量に投入して「食品」に仕立て上げた--それがこのミートボールだったのです。」

>「ヒットの理由は子どもと主婦に受けたこと。それは開発当時からの狙いでした。使った肉はまずくて食べられたものではないけれど、添加物を駆使して子供の大好きな味をつくり出したのです。
>軟らかさも子どもが2口、3口噛んだら飲み込めるようなソフトなものを狙ってつくりました。」

これは機械的に骨から肉をそぎとったもの(MRM)なんでしょうけれど、産地とか、さて、どこだったんでしょうね。私も発売当初、遠い遠い昔に食べたことがあったような。

以上、「米国牛再開ニ際シ思フ」でした。おわり

余談:
私が今回の件で唖然としたことは多数あるけれど、その中から1つ。見たひとも多いと思うけれど、
どこかのテレビ局が焼肉店経営者の女性にインタビューをしてて、
その女性曰く
「輸入再開してもらわないと本当に困る。早くしてほしい」「でも私は食べないけど」だって。自分も食べないものを客には提供するんだそうで。マックの藤田田社長も自社製品を一切食べなかった、それから販売戦略は子供をターゲットにしていたというのは有名な話ですが、まぁ、あんまり珍しい話でもないのかな。残念ながら。

米国牛、危険部位入り肉骨粉食べまくりじゃないですか

2006年07月14日 11時46分22秒 | 【最新】新検査情報
■米国牛、危険部位入り肉骨粉食べまくりじゃないですか

鶏糞飼料の問題どころでないこのニュース

米飼料企業 反芻動物蛋白質入り牛用飼料をリコール(農業情報研究所)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06062201.htm
渡航注意報を出すレベルの話じゃないかと思うけど。

この件でとてもわかりやすい虹屋さんの解説
米国で新たなBSE感染が起きている? 牛肉骨粉飼料のリコール
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/HATAKE/hatake_06/hatake_0626_BSE-recool.htm

なんでこんな重大なニュースをメディアは報道しないんだろう?神戸新聞の西井由比子さん、外食関係者の「米国牛は肉骨粉食べてない」なんていう発言をそのまま垂れ流してますもんね。新聞屋さん、大丈夫?
http://www.kobe-np.co.jp/news_now/news2-632.html

食品安全委員会と農水省、厚労省は反芻動物蛋白質を食べた感染潜伏してるかもしれない牛を国民に食べさせたいとしか思えないんですが。。

※参考 過去にもたくさんありますね。
★FDAの反芻動物に関する飼料違反企業への警告文書
”Animal Proteins Prohibited in Ruminant Feed”という言葉に注目
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/subject.cfm?FL=A
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/subject_archive.cfm?FL=A
http://www.accessdata.fda.gov/scripts/wlcfm/sindex.cfm

■血液中の異常プリオンたんぱく質を検出できる技術

ちなみに血液中の異常プリオンたんぱく質を検出できる技術が開発中らしいです。
ベニスの商人みたいな話になってきました。

BSE発症を血液で判断? 米大研究チーム発表
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200607080008a.nwc
【ワシントン=気仙英郎】米テキサス大の研究チームは6日、ハムスターを使った動物実験によって、BSE(牛海綿状脳症)の発症の有無を血液検査で判断できる可能性がある、とする研究結果を米科学誌のサイエンスに発表した。それによれば、損傷した脳細胞からBSEを引き起こすとされるタンパク質「プリオン」が放出されるため、血液検査によって、疾病の有無を判断できるのだという。現在のBSEの発症の判断は、脳などのプリオンが蓄積されやすい細胞組織のサンプルを採取することが必要だが、血液検査法が開発されれば、BSE感染牛が食肉になる前に確認することが可能になる。

笹山登生さんのより詳しい解説
「血液検査で、異常プリオン発見可能との研究」
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=619

でもって、もし血液中から検出されたら?
プリオン研究者の第一人者の北本先生は食品安全委員会でこう述べられてます。

16年11月16日のプリオン専門調査会
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai16/161116_dai16kai_prion_gijiroku.pdf
○北本専門委員 今後、感度を上げていったら、ありとあらゆる臓器で陽性になるはずでしょう。今は、この感度で、この臓器でということですね。最も大事なのは、潜伏期間の早期から陽性になるのかと。

○北本専門委員 そう言うと、皆さんは何かわかったような気になりますけれども、だけど何が一番大事なのかという一点は、そのデータを出した人、つまり、潜伏期間中に筋肉ないし末梢神経、何でもいいんですけれども、SRM以外のところで、異常なプリオンたんぱく、ないし感染性のデータが出ていったら、直ちに日本はそれをSRMの指定しなければいけない。それだけです。

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農水省:「北條精肉店」に是正勧告 交雑牛を和牛、ニセ個体識別番号で偽装 /栃木
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060701-00000015-mailo-l09

消費者は自衛あるのみですかね。

■歯医者情報

ところで歯科でこんな勧告がでたらしい。歯医者さんに行かれる人は歯医者さんにきいてみよう!

英国政府諮問委員会 歯科器具の使用は一回かぎりに vCJD伝達リスク排除のため

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06050901.htm

■感染者数に関する最新論文 最高で14000人の可能性 医療などでの感染拡大はどうなる?

隠れたvCJDがすべての遺伝子型の人に伝達、人→人感染根絶は困難ー新研究
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06032701.htm

VV型の人のvCJD感染確認 感染者数は予想以上、人→人感染のリスクも高まる
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06051901.htm

vCJD潜伏期間は50年を超えることも 最近の予測を大きく上回る発生の恐れー英国の研究
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06062301.htm

英国政府 14ヵ国に輸出血液製品によるvCJD感染リスクを警告ーガーディアン紙
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06050201.htm

日本は血液由来製品を米国からも多数輸入しているわけだけど、どうするんですかね厚労省?人由来ものはワクチンなんかにも使われているんですが。

米国牛輸入再開に関する質問主意書&政府答弁が出てました

2006年07月06日 11時38分24秒 | アメリカ牛は安全か?
第164回の国会において川内博史議員による米国牛輸入再開に関する政府答弁が出ておりましたので、ご報告いたします。

平成十八年六月十五日提出
質問第三七〇号
米国産牛肉の輸入再々開に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/164370.htm

この回(第164回国会)は質問主意書がたくさん出てて、ここで「牛」で検索すると4件ほどあります。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/kaiji164_l.htm

最近、vCJD(変異型ヤコブ病)感染潜伏者が思ったより多いとか、歯科器具による感染要注意とか、重要な論文が多数でてきて、頓珍漢なことを言っていた学者がやや影を潜め、また多くの科学者の発言も方向転換が見られてきたけれども、今すごく忙しくてまとめる時間がありません。

重要な論文の紹介は農業情報研究所の北林さまのサイトの4月、5月、6月欄のBSE記事をご参照のこと。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
取り急ぎ上記、情報提供まで。。。