BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

世界のBSE,vCJD対策の方向を決めるOIEの問題点 公衆衛生・院内感染の学者不在

2006年03月19日 08時30分01秒 | 公衆衛生とBSE,vCJD
■世界のBSE,vCJD対策を決めるOIEの問題点・・・公衆衛生・院内感染対策の学者の不在

前書きの乱文

一部の、不勉強なリスク論学者が、
もはや国境のない、生産・加工・流通・消費のその後と表示の現場、人の移動などのtotalな諸問題・現実を無視して、
BSE問題を「たいした問題ではない」などとしているのが災いしていることもあり、
実のところ、行政の対策もまだまだ遅れているし、日本でも殆ど報道されないんだけれども、

狂牛病は、もはや「公衆衛生」や「院内感染」問題に、密接にかかわっている。

(私は輸血関係の行政担当者の方の発言を聞いて、そのリスク論学者の見解の、行政への影響をはっきりと目の当たりにした。)

イギリスやフランスでは、たった一人の狂牛病由来の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の方の潜伏期間中のご好意の献血が、
数年前に血液製剤に入ってしまったことが判明したことで、数千人に影響が出て、対策が必要になってしまったことは何度も触れてきた。

しかも、医療器具のプリオン病専用の厳密な滅菌消毒や廃棄などの、独特の対策以前に、
日本の院内感染対策の不備の問題、
いわゆる、歯科の滅菌消毒の不備や、内視鏡による院内感染問題や消毒の難しさ、
ヒト由来の輸血や血液製剤、その他の製剤の濫用という問題がある点についても、触れてきた。

つまり、その「不備」によって、薬害エイズ事件や、薬害ヤコブ病事件のように、プリオン病がヒトからヒトへの感染拡大に直結する可能性がある、という大問題があるにも関わらず、

そのことを満足に報道してくれているメディアは実に少ないし、リスク論学者の中には「ソレとコレとはカンケイない」なんて無責任なことを言っている人もいる。

現実的に、(感染しやすいとされる乳幼児に使用するワクチンも含めて)、アメリカ牛由来の一部の医薬品が最近も放置、輸入されていたりなどの問題があったり、自身の発言が行政に影響しているにも関わらずである。

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話は変わるけれども、

私はかつて、海外に本社のある企業の院内感染対策部門にいて、
院内感染対策について研修を受け、実験説明、製品紹介の傍ら、
当時の海外の最新の感染症情報や文献などを医療従事者にお知らせしたりなどの仕事に就いていた経験がある。

そのため、米国の病院の見学も含め、数多くの病院の、手術室や中央滅菌材料室、院内感染対策について、
普通にひとっところの病院に長く勤めておられるお医者さんや看護婦さんよりも、
院内感染対策の観点から、多くの病院を見、出入りの業者さんの「裏話」も聞き、
対策の現実の情報を入手する機会に恵まれたと思う。

そのときの経験を少し書こうと思う。

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その頃はまだ、日本にエイズ患者が蔓延するわけがない、と思われていた時代だった。

医療従事者ももちろん油断していた。

例えば肝炎、結核、梅毒などの、一部特定の感染症の検査のみで、
「HIVの検査」を「プライバシーの問題」云々で、していないのにも関わらず、
(医療従事者の保護の観点は無視されてたということでしょうか)

「一部特定の病原体が検出されなかった」=「この患者さんは感染症を持っていない」という扱いをしていたわけである。

(E型肝炎や寄生虫etc..の問題もあるのに、SPF無菌豚だから大丈夫、生で食べられるなんていってお客に出している料理屋があるのと一緒ですね。)

WHOが、世界に新興感染症が30種以上出現した、なんて声明を出したり、
「全ての血液、体液は汚染されているものとして考え、対策するべき」という
ユニバーサルプレコーション(標準予防策)などが海外で注目されていた頃だけれども、

日本にはまだまだそれら概念が浸透していなかった時代。

でも、日本にHIVが侵入、風俗ヤバス、などという話が、ポツポツ一部の週刊誌だけに出たころに、学生生活を送っていた私は、

そのころ、性に対しては、所謂、既存の日本の倫理観を持たぬ、多分に大らかな感覚の生活を送っていた某女子学生が、
検査をしてから学校にこなくなってしまったという話や、
彼女と関係する、ある学校の”複数の運動部”の学生が”こぞって”検査にいった話などの話を運動部メンバーから耳にしていた。

また、北方謙三や池波正太郎の影響もあるんだろうけれど、私は、卒業してからは洋酒やカクテル、日本酒などのお酒に凝りまして。。本当にまぁ、あちこちの店でよく飲んだんですね。。

そこで出会った、人生の酸いも甘いも噛み分けた、人生の裏も表も知っているような、魅力的な諸先輩方々や、医療関係の営業活動で知り合う方々から、
「世の中の、世界の現実」をいろいろ教えてもらって、私はかなり耳ダンボ(^^;になった方だと思う。

つまり、例えばHIVの件では、世間や医療現場が、情報がなく病気をなめまくっていた時代に、
その裏の現実の話を聞く機会に恵まれたということなのかも知れない。

現実はそれほど甘くない、裏があることを知った私が、
訪問する数々の病院のスタッフは、多くの方が油断されていた。

いちばん象徴的なのは、病気の感染源となる血液、体液がボタボタ落ちる中、
そして鋭利な手術器具が落ちる危険がある中でも、
日本の殆どの医療従事者が「裸足に、足の指の見えるつっかけサンダルで手術」を行っていた(いる)ってことじゃないかと思う。

(サンダルは共用が殆どで、一回一回洗浄していない病院ももちろんあった。私自身も血液の付着したサンダルを何度も目撃した)

実際に話を聞けば、当然、多くの従事者が「危険」と感じていたんだけれど、当時の「医療界の体質」の中では、(もしかしたら日本人の性質?)それを言い出せない雰囲気があった。

また、ハードな現場の、日々の、目の回るような忙しさで、それどころじゃなかったのかも知れない。
余談だけど、私の知っている婦長さんも、すごいいい女なのにも関わらず、独身が少なくなかったように思う。あれだけ忙しければ当然時間なんて取れないもの。

また、対策が取れなかったのは、「慣れ」の問題もあると思う。
他分野から来た人間のほうが「当たり前」が「当たり前でない」ことに気がつきやすいこともある。

コストの問題もある。資材課(用度課)との情報の差もある。
(余談だけれど、日本でも、もっと「寄付制度」が充実してくれるといいなと思う。
例えばトイレの手洗い水道の栓を手に触れないものに変更するための寄付を募集、とか。)

それから、「ある特定の専門分野のエキスパート」であることと、「院内感染のエキスパート」であることは違うし、

ある有名なお医者さんでも、輸血はともかくも、血液製剤や、特定生物由来製品を「感染源」として意識していなかったり、

必要のない部分での濫用はともかくも、「大手術」の前では、そういった問題は微々たること、というか意識されないことになってしまうのも現実だと思う。

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以前、「日本では裸足につっかけサンダルで手術の風習がある」話を、米国のある大病院の、院内感染対策部門の婦長さんにお話ししたことがある。

そしたら、彼女は天を仰いで、「Oh,My GOD!」と叫んだ。そのことがとても印象に残っている。

(米国では訴訟の問題も大きいのだろうけれども、その病院では、医療従事者が
「キャップ、アイガード(目の粘膜を保護するもの)、マスク、ガウン、二重手袋、シューカバー(サンダルなど足の保護が出来ない履物は当然論外)」を
着用しないで手術に臨んだらクビとのことだった。

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私はいま、狂牛病→変異型ヤコブ病対策の問題でも、当時と同じような匂いを感じている。

もはや、BSE問題は、「自己選択」「自己責任」の問題ではなく、「公衆衛生」「院内感染」に直結する問題なのである。

病気にならない人はまれだろうし、事故に遭う場合だってある。決して他人事ではない。
また、自分や家族やら、大切な人の身を守りたくても、こればっかりは自分でどうこうできる問題ではない。
例えば出産で、縫合の経験がある方は過去、現在も少なくないみたいだけれど、
過去、その糸は「牛の腸」由来だった可能性も、などということを指摘しているサイトもあるけれど、
そんな問題提起、知っている人のほうが少ないと思う。私も最近まで知らなかった。

豚の脳内接種による感受性のほか、昨年、不顕性感染に関する論文の話題が出た後に、
実は、投与されたヘパリンが牛やら豚の腸粘膜由来だったんだけど、担当の医師からはそんな話は一切聞いてなくて、
豚の産地はどこか、とか、牛の危険部位入り肉骨粉を食べまくってる豚が今も使われてないか、とか、
そんなことを思うのは、本当に「杞憂」なんだろうか?

患者だけでなく、医療従事者も、まず「自分の身を守らない」で、「他人の身を守れる」ものなんだろうか?

というところで、前置き駄文はこのあたりで終わり。

本題のOIEに関する更新は本日または明日中にする予定です。
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ところでですが、
日本脳神経科学会に所属するある病院が、BSE問題とヤコブ病について声明を出したそうだけれども、それが報道される様子がないんですね。
どなたか詳細をご存じな方がいらしたらお教えください。


【新検査その2】BSEの感度のよい新検査開発についてのご紹介

2006年03月11日 09時22分12秒 | 【最新】新検査情報
BSE(狂牛病)新検査ニュースの前に2つの重要な最新トピックを。。

★英国が潜在的なvCJD感染患者がもっといるのではないかと死後検査を強化する内容、
★現在のWHOの診断基準では患者見落としがあるので、基準を見直すべきというランセットの新論文です。

英国 一層の死後vCJD検査の審査へ---
公衆衛生リスクは検査拒否権を無視できるほどに高いか

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06030101.htm
日本研究者 WHOのvCJD診断基準見直しを提言 vCJD患者見逃しを防ぐため
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06031002.htm
これと、今後、OIEのコード改正についての問題点をUPする予定ですが、それより先に、BSE検査に関する、感度のよい新検査開発について、最近、3つほど報道されておりましたので、それを先にまとめてご紹介いたします。

■【検査】BSEの感度のよい新検査開発についての記事

◆その1:岡山大学 中西一弘氏チーム  
検査時間を10分の1に エライザ法、手順短縮 (感度も向上)
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20060221010039171.asp
 牛海綿状脳症(BSE)検査などに幅広く使われている免疫反応を利用した「エライザ法」での検査を従来の約10分の1の時間でできる方法を、中西一弘岡山大教授(生物工学)と日本学術振興会の熊田陽一博士研究員(同)が開発したと21日、発表した。
 中西教授は「速く、確実に診断できるので、BSE検査への応用を目指したい」と話している。
 エライザ法は、測定対象となる抗原と抗体との反応を酵素を利用して測定する。微量でも分析でき、環境汚染や食品の分析などに使われている。
 中西教授らは、検査に使うプレートの材質を工夫するなどして、従来は数段階に分けて進めた手順を1回の操作で終えるなど効率的な方法を考案した。インスリン濃度などの測定実験で、従来数時間から1日程度かかっていたのが大幅に短縮され、感度も上がったという。(共同通信社)


BSE:全頭検査の分析時間、10分の1に--岡山大教授らが開発
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/disease/news/20060222ddm003040097000c.html
 岡山大工学部の中西一弘教授(生物機能工学)らは21日、BSE(牛海綿状脳症)の全頭検査で異常プリオンの有無を調べる「エライザ法」について、分析時間を現在の約6時間から10分の1程度に短縮できる方法を開発したと発表した。
 中西教授によると、エライザ法は体内に侵入した異種たんぱく質に反応する抗原抗体反応を利用。BSEの場合、検査用プレートに固定した抗プリオン抗体に検体を結合させ、酵素の反応で発色させて異常プリオンの有無を判定する。新方式では、抗体などを固定するプレートを疎水性素材から親水性のものに変更。従来、親水性素材では固定できなかったが、アミノ酸が結合したペプチドを「のり」として間に挟むことで解決した。毎日新聞 2006年2月22日 東京朝刊


免疫測定法で新技術=「BSE検査簡略化も期待」-岡山大
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060221-00000184-jij-soci
(時事通信) 2006年02月21日23時10分(リンク切れちゃいましたね)

◆その2 北海道立畜産試験場
ホタルの酵素でBSE迅速検査 道立畜産試験場が開発 2006/02/20 北海道新聞
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1140413035/
 【新得】道立畜産試験場(十勝管内新得町)が、牛海綿状脳症(BSE)の
原因とされるタンパク質の一種の異常プリオンを、現行の検査より1時間以上
早く検出する方法を開発した。全頭検査の1次検査時間が短縮されればより
早く市場に食肉を出荷できる。米国産牛肉の輸入再開問題などで「食の安全」に
対する関心が高まっており、実用化が期待される。
 BSEは異常プリオンが脳や脊髄(せきずい)などに蓄積され、発症する。
現在一次検査として採用されているエライザ法(免疫生化学検査)は、
脳や脊髄を細胞破砕器で細かくした液に、酵素を加えてタンパク質を破壊。
この酵素で破壊されない異常プリオンを免疫反応で変色させて検出する。
一方、同畜試が開発した検査方法は、異常プリオンの検出に、近年、量産化
できるようになったホタルの発光酵素「ルシフェラーゼ」を利用したのが特徴だ。
 脳や脊髄を砕いた液にプリオンが付着する磁性粒子を加え、磁石でプリオンを
集め、プリオンの「純度」を高める。さらに、抗体を持たせて異常プリオンに
付着するようにしたルシフェラーゼを添加し、発光強度を測定して異常プリオンの有無を調べる。
 ルシフェラーゼは発光までの反応時間が従来の免疫反応による変色時間より
短いため、これまで2時間-3時間半かかっていた異常プリオンの検出時間が、
45分に短縮できる。粉砕などの前処理を合わせた検査時間は、従来の
4時間-4時間半から2時間45分になるという。
 また、ルシフェラーゼは感度が高いため、異常プリオンの量が少なくても反応する。
 牛肉は、全頭検査の結果が出るまで市場に出せないことから、検査時間の短縮で
食肉処理から流通までの流れが円滑になり、鮮度が質を左右する内臓などをより
早く出荷できるようになる。
 実用化するまでにはさらに、実際にBSEに感染した牛を使った実験を重ねる
必要があるが、同畜試遺伝子工学科の尾上貞雄科長は「食肉の処理がスムーズに
なるのはもちろん、検査の省力化にもつながる」と話している。

http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060220&j=0047&k=200602205934 (リンク切れ)

◆その3 北大創成科学共同研究機構と札幌、東京のバイオ関連などの企業

がん、BSEの早期診断に 微量の細胞からタンパク質検出 北大など新システム開発
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060226&j=0047&k=200602267500
2006/02/26 06:53
北大創成科学共同研究機構と札幌、東京のバイオ関連などの企業は二十五日までに、人間や動物の細胞中にあるタンパク質を微量でも検出できるシステムを開発した。細胞の特性を決めるタンパク質は現在、一億個以上の分子量がないと検出できないが、一万分の一の一万個単位で検出できるようになる。これによりわずかな量の細胞や血液、尿で病気の診断が可能になるほか、牛海綿状脳症(BSE)の検査や再生医療への応用も期待できるという。
 開発したのは、同機構の伊藤悦朗助教授と同大大学院薬学研究科、同理学研究科、北海道科学技術総合振興センター(札幌)、イムノバイオン(同)、ノバスジーン(東京)、成茂科学器械研究所(同)、日立計測器サービス(同)。
 伊藤助教授は、ヒトゲノムなど遺伝子解析がここ数年で大きく進歩する一方で、細胞の特性を決めるタンパク質の分子を検出する技術が高まっていないことに着目。二○○四年から分子の数が少なくても検出できるシステムの研究に着手した。
 タンパク質の検出はこれまで、測定対象の細胞に酵素を加え、タンパク質の分子を特定するための化学反応を観察していたが、反応で得られるシグナル(発色)が小さいため、一億個以上の分子量が必要だった。
 伊藤助教授らは反応のシグナルを増幅させるため、四種類の酵素の試薬セットを加えることを考案。これによりシグナルを加速度的に増やすことに成功し、検出に必要な分子量を一万個単位にまで下げた。一月に特許を申請し、数年内の試薬キット販売を目指している。
 細胞内のわずかなタンパク質を検出し、その特性を調べることができれば、理論的には、がんなどの病気やBSEなどの感染症の診断のほか、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を利用した再生医療にも応用できるという。
 今回の研究は、○五年度に経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業に選ばれ、八千万円の助成を受けた。伊藤助教授は「北海道発の技術を活用し関連分野の産業振興につなげたい」と話している。


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その他の感染予防に関する新装置や、最新装置導入報道

◆BSE感染予防へ新装置:電気刺激による「牛体不動化装置」&異常プリオン検出最新装置導入

飛騨牛、安全性も「特上」に BSE感染予防へ新装置
http://www.chunichi.co.jp/00/gif/20060208/lcl_____gif_____002.shtml
>全国で初めて電気刺激による「牛体不動化装置」を完全導入した。
>この装置は、気絶させた牛が、と畜するときに再び暴れないよう、電気ショックを与えて動きを止めておく装置。鼻や口などの粘膜に電極トングをつけて電流を流す。
>従来は、牛の頭部からグラスファイバーを通して脊髄(せきずい)を破壊する「ピッシング」処理で動きを止めていたが、脊髄はBSEの病原体がたまりやすい特定危険部位のため、作業による食肉や施設、人体への汚染の危険性が指摘されていた。


最高水準の検査機器導入 府中丹家畜保健衛生所 4月オープンへ
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006021100052&genre=O1&area=K50
>遺伝子レベルでウイルスを検出する検査機器を導入し、鳥インフルエンザの検査期間を従来の半分以下に短縮する。府によると、国と同レベルの検査能力を持つ施設は、自治体では初めてという。

>BSE対策として、原因物質となる異常プリオンを検出する最新の装置も導入する。府畜産課は「国の判定を待たなくても府で正確な判断ができる。早期の初動防疫態勢がとれることで、被害の拡大防止に期待できる」としている。


感度のいい新検査方法ということでしょうか?どこのでしょう?

過去に報道された新情報のまとめ

■【新検査その1】世界初、生体牛テスト開発News & 別件で感度10倍、費用1/10のテストも
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/e8e6ba03556f6bf1ad75cb8e6f408aeb

■余談:脊柱および背根神経節処理の現状ってどうなってるの?

以前、意見交換会で、脊柱の背根神経節処理がちゃんとなされていないという指摘がありましたが(末段参照)、この記事も気になりますね。現状をしっかり調査報告いただきたいものです。

単価据え置きへ 対象限度数量2万トン減 (十勝毎日新聞2006年3月9日版)
http://www.tokachi.co.jp/kachi/0603/03_09.htm
>食肉流通対策では、BSE(牛海綿状脳症)原因物質が蓄積しやすい特定危険部位に相当する牛せき柱に関し、食肉事業者の適正管理推進などを盛り込んだ。

◆参考4-2 東京 平成17年1月17日 P=75 21
○SRM除去について、と畜場において除去されているものについては、専門的な場所での除去ということで信頼しています。しかしながら、食肉販売業者などでせき柱を分別している業者について、背根神経節が完全に分別されているのか、甚だ疑問である。ある肉店店主に聞くと「せき柱(せきずい)はと畜場で除去しているから、うちの肉は大丈夫。背根神経節は知らない。保健所からの指導もないよ。」と聞いた。この話は決して作り話ではない。しかも複数店で確認しています。BSE検査を20ヶ月齢にしてもSRM除去が完全だからリスクは増えないというが、信じられない。現場での「背根神経節の除去」の実態調査を是非行っていただきたい。いづれ公開されることもあると思うから、その前に是非調査を!

BSEリスコミで出た意見2 SRM焼却や汚水の問題より
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/338738bacfc6f7c979d12fcad468fcee

米国産牛肉(挽肉!):JALグアム線の乳幼児用機内食に使用

2006年03月10日 21時16分53秒 | アメリカ牛は安全か?
■米国産牛肉(挽肉!):JALグアム線の乳幼児用機内食に使用

うわ~。やること、信じられませんね。”挽肉”ですよ。しかも乳幼児に。
まさか、中枢神経組織混入率が高率で問題になっているARM(先進的機械除肉)という肉じゃないでしょうね。
参考:米BSE:危険組織、機械解体の3割強から検出 2003.12.26 毎日新聞

そういえば、日本航空は米国産牛が輸入再開されたらすぐ使うとかいう方向性でしたね。

>日航は「周辺で牛海綿状脳症(BSE)は発生しておらず、危険性はない」としている。
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060311/mng_____sya_____003.shtml
はあ?米国が何頭しか検査していないのか、検査する牛の選択自体に問題があると報告書で指摘されているのを知ってての発言でしょうか?JALよ、大丈夫か?

感染疑い牛 3/4 は素通り 米農務省検査に重大欠陥
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-07-15/03_01.html
安全管理のずさんさ指摘 米監査機関、BSE対策で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060203-00000046-kyodo-int

この「日航の依頼を受けて検査した日本政府の食品安全委員会の委員を務める大学教授ら」っていうのはK氏だったりして?
はて? 何のどんな”検査”!をしたんですかね~?安全っていうなら何をもって安全だというのか、詳細と学者の実名を出さないと信用できんでしょう。

「肉骨粉は使っておらず」?
はぁ。牛肉骨粉入り鶏糞は?牛脂は?牛血粉は?サプリは?レストラン残渣は?

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米国産牛肉:JALグアム線の乳幼児用機内食に使用
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060311k0000m040048000c.html
 日本航空(JAL)は10日、グループ会社JALウェイズの米国グアム発日本着路線の乳幼児用機内食に輸入が禁止されている米国産牛肉(ひき肉)を使っていたと発表した。乗客の問い合わせで発覚し、昨年4月~今年1月に約5200食を提供していた。日航が依頼した専門家によると、製造工程に問題は見つからず、危険性はないという。日航は輸入が禁止された03年12月以降「米国産牛肉は使用していない」と説明していたが、米国の機内食製造会社が混入させていた。

 日航によると、この機内食は9カ月以上2歳未満の乳幼児を対象としたミートソーススパゲティ。グアムの「LSG社」が、米コロラド州デンバーの精肉会社のひき肉を使って調理した。精肉会社は肉骨粉を使っておらず、へたり牛についても検査官らが識別検査をし危険部位も除去。精肉工場周辺でも牛海綿状脳症(BSE)は発生していないという。

 日航の依頼を受けて検査した日本政府の食品安全委員会の委員を務める大学教授らは「発症の可能性は限りなくゼロに近い」と説明したという。

 日航は03年12月、契約している機内食製造約80社に米国産牛肉を使わないよう指示し、ホームページでも機内食に米国産牛肉を使用していないと表記していた。グアム線では豪州産牛肉に変える予定だったが、守られていなかった。

 1月末に成田に到着した乗客が「子供が食べた機内食の牛肉は米国産の可能性はないのか」とメールで問い合わせて発覚した。グアム線は成田、関西国際、中部国際空港に就航。このメニューは昨年4月に導入し、LSG社はグアム発のメニューのみを作っていた。

 日航は「深くおわびする。食事を注文した乗客には個別に謝罪する。他の機内食には問題はなかった」と話している。日航の問い合わせ窓口は0120・25・8600。【長谷川豊】


毎日新聞 2006年3月10日 19時24分

JALのHP
グアム発便でご案内と異なる幼児用機内食が提供された件について
http://www.jal.co.jp/other/info2006_0310.html
スウィフト社と書いてありますが。 しかし具体的な、詳細など全然書いてませんね~

米国産BSE感染牛に関するお知らせ
ttp://www.jal.co.jp/other/info2003_1225.html


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■昨年8月にFSISがSRM除去やHACCPの規則違反を報告したうち、日本輸出許可施設に該当する工場

2月15日に行われたBSEの国会予算予算委員会の集中質疑で、FSISによる1036件のSRM除去違反などの報告のうち、日本に輸出する施設がどれだけ該当するかの報告部分がありましたので、そこだけ聞き取りしてみました。(岡本議員)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.cfm?u_day=20060215

>「(川崎国務大臣)多いのは、グレーター・オマハ・パッキング・カンパニー、それからスウィフト・ビーフカンパニー、これが12件」
>「(岡本議員)十二件というのは、こまかな話はあれですけれども、SRM除去違反が12件、それ以外にも実は年齢確認違反がまだある」

>「(岡本議員)日本が行ったところではUSDAの施設番号960の960A,名前は言いませんけれども、ここが月齢確認違反が2件、そしてSRM違反が12件、日本が行ったなかではここは多い方の1つです。」

>「(岡本議員)逆に違反記録がなかった施設は?」
>「(川崎国務大臣)全くないのは二件であろうと思います」


議事録出来てますね。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001816420060215012.htm#p_honbun

BSE:狂牛病関連
【牛肉】米検査官労組の委員長「問題は氷山の一角」「検査する人手が足りていない」
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1140670659/

牛肉処理 米施設は違反常習 日本政府 記録原本見ず輸入再開
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-09/2006030901_02_0.html
米BSE危険指摘の審議隠し 委員の公開要求無視
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-08/2006030814_02_0.html
農水省、苦しい弁明 米BSE 危険隠し 本紙報道
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-08/2006030801_02_0.html
米牛肉 輸出再開にトリック 企業認証あれば製品条件満たす 日米政府とりきめ
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-02-04/2006020415_01_0.html
米産牛肉「立ち入り検査」なし 輸入再開で日米合意 カナダ産は実施明記
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-02-04/2006020401_01_0.html
↑なんで全国紙は無視するんだろーか。産経よ、読売よ、日経よ、どうしました?

ヤフーニュース:JAL
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/japan_air_line/?1142030005

農水省が米国BSEの危険隠す 感染確認1年前の報告書を非公開に、という記事

2006年03月05日 10時13分55秒 | アメリカ牛は安全か?
こういう記事がありましたのでご参考まで。

米BSEの危険隠す
感染確認1年前に報告書
農水省、非公開に
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-05/2006030501_01_0.html

米国初のBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認された二〇〇三年十二月の約一年前に、農水省が「米国でBSE発生の可能性がある」とする報告書を作成しながら、非公開にしていたことが四日、日本共産党の紙智子参院議員事務所の調査でわかりました。

「可能性ある」のに輸入継続
 日本では、〇一年九月にBSE感染牛が発見され、全頭検査や危険部位除去を始めていました。その約一年後の〇二年十一月、農水省は、米国牛の危険度を報告書にまとめながら、米国から背骨や脳などBSE感染の危険部位の輸入を続けていました。

 EU(欧州連合)は、日本より早い二〇〇〇年七月、米国産牛肉の危険度評価を公表し、BSE危険部位の輸入をやめていました。

 存在が明らかになったのは、農水省のBSE技術検討会がまとめた「米国の牛海綿状脳症(BSE)ステータス評価結果について」(案)と題する危険度評価報告書と検討会の議事録。

 同報告書は「BSEが米国内に侵入し、リサイクルされて牛に感染した可能性はある」と記述。検査の不十分さから感染牛が見つかっていないだけで、「アメリカで将来出ないという確証はない」「出る可能性があるが、それが高いか低いかということ」(同議事録)などと、BSE感染牛が米国内に存在する恐れのあることを指摘していました。

 同検討会は、〇二年十一月二十一日の会合で評価結果を米政府に通知し、公表することを決めましたが、結局、公表されませんでした。米国側への通知も行われませんでした。

 「公表手続きが手間取っている間に、翌年(〇三年)春、カナダでBSE(感染牛)が初めて見つかり、北米全体の危険度評価の前提がくずれた」(農水省動物衛生課)というのが理由です。

 カナダと米国は北米で、同一地域とみなしていたため、BSEを確認していないという前提での報告書は公表できなくなったというのです。しかし、公表手続きに「手間取った」というのはあまりに不自然です。

 この報告書や議事録は、非公開だったため、内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会での米国牛輸入再開問題の審議でも反映されませんでした。


 これらの文書は、紙事務所の小倉正行秘書が情報公開請求をしていたもの。情報公開・個人情報保護審査会が昨年末にBSE技術検討会の資料の一部開示の決定をしたことを受け、農水省が開示しました。


「食の安全」「自己責任」だけでは対応できないBSE・・医療による感染

2006年03月01日 08時10分58秒 | 公衆衛生とBSE,vCJD
BSEの問題は「食の安全」や「自己責任」だけの問題では語れず、その国の対策を放置しておけば、医療機関や医薬品などでも「ウシからヒト」、「ヒトからヒト」へ感染する「公衆衛生」の問題につながることは、過去のブログでも指摘していることですが、

薬害や院内感染に発展するそれら問題をいまだに理解されていないマスメディアの方や、リスク論学者、食品問題を指導される立場の方々が、「リスクは大したことない」だの、さらには、自己責任で選べる環境にもないにも関わらず「自己責任の問題だ」だの、あちこちで書き散らされておられるのを見て唖然としたので、最近のそれら「BSE、vCJDと医療問題」のニュースについてまとめてみました。

■いまだに米国牛の血しょう、骨髄原料由来の医薬品が輸入されている

先日の国会の予算委員会で明らかになった話ですが、
みなさんは、2年以上前にBSEが発生、飼料管理もムチャクチャ、危険部位除去違反も多数報告されている米国から、いまだに日本に「ウシの血清」や「ウシの骨髄」を原料にした医薬品が19品目も輸入されていること、その中には子供に接種するワクチンなども含まれていること、ご存じですか?

はたともこさん(現役薬剤師)がブログにまとめてくださっています。ぜひご確認ください。

[米国産ウシ由来の原材料が使用されている医薬品](2006.2.14現在)
http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826/e/82dd93a3b1791f082ccbf72b5dcaee1c
話題のタミフルも、日本の在庫分には米国牛の骨髄から作ったゼラチンカプセルのものがあるようですね。

ついでに、「自己責任」を主張される方々には、この状態で、どうやって消費者が「自己責任」で選択できるかも教えていただきたいですね。先日輸入された、脊髄どころではない「背骨まるごと付き肉」は、フォンドボーなどの肉エキスに加工される可能性があったようですが、そうしたら表示義務はありませんから。

企業利益が優先されるBSE 2月17日(輸入業者名の多くが非公開でOK)
http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826/e/9c67668a90f7b9edda7925f241944c7d
 余談だけれど、先日珍しく貧血を起こしたので、鉄のサプリなるものを使ってみようかと思って、なるべくゼラチンとか、添加物の少ないものを使おうと選んだ某大手健康食品メーカーの「ヘム鉄」なんですが、原料について一切書いていませんでした。よく考えてみたら「ヘム鉄」って動物由来みたいなんですよね。販売会社のサイトを見たらそんな感じのことが書いてある。
 まさか、輸入品のレバー(肝臓)から抽出されたもの(もしくは米国牛レバー由来で過去に作った”在庫分”)ではなかろうかと思って、今日問い合わせてみることにしましたが、なんで消費者がそこまで調べなければ情報が入手できないのか…これも「自己責任」?

ちなみに、これも余談ですけれど、私がお話をしたことのあるプリオン学者の某先生は「そもそも私は肝臓など毒素の溜まるところは、私は、まずプリオン云々以前に食べない」といわれてました。家畜に鶏糞や鶏舎のゴミを食べさせたり、たとえば米国のレンダリングに関する、肉骨粉のレシピなどのサイトを見ても、現実にレンダリング場が公開されておらず、真実か否かを確かめるすべがないなかでは、なんとか、よりまし・・・安全なものを食べたいと思いますね。また、炎症部位にはSRM以前にプリオンが蓄積するのではないかという論文もぼちぼち出てきているので、気になっています。

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■19品目の医薬品問題が指摘された国会議事録
 第164回国会 参議院 予算委員会 
 第2号 平成18年2月1日 議事録より抜粋(家西悟議員指摘)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html
「平成十三年、厚生労働省からいただいた資料なんですが、牛や、牛の内臓や骨などを原料とする医薬品、医薬部外品・化粧品並びに医療器具の一覧表です。厚生労働省は最近このような表は作っていないそうですが、これを使わせていただきます。ごらんのとおり、この中には、ドリンク剤などにも使われる肝臓エキス、五黄、それからインスリン、コラーゲン、カプセルなどに使われるゼラチンといった国民の方々が日常使用しているかなりメジャーな医薬品が含まれています。これらは実は牛の内臓や骨から作られているもの、臓器を含めて作られているものがあります。
 今、世間では、米国、アメリカ産牛肉に禁止された骨が入っていたということで大問題になっているわけですけれども、大々的に取り上げられているわけです、マスコミを含めて。BSEの危険性があるのは生肉だけではありません。この場で、牛から作られた医薬品などの危険性と、業界任せの厚生労働省の生ぬるい対応について問題提起させていただきたいと思います。」

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■BSEから発生する変異型ヤコブ病(vCJD)は、医療器具などによって感染拡大する恐れ

※上記、最近のものを中心にいくつかニュースをUPしてみます。字数の関係上、全ての内容をUPしませんが、リンク切れでアクセスできない場合はgoogleでタイトルを検索すると出てくると思います。

★ヤコブ病患者の手術器具、46例で適切処理せず再使用
http://www.asahi.com/health/news/TKY200602080489.html
2006年02月08日21時02分(朝日新聞)

★輸血で英3例目のヤコブ病 8年後に発症
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060210-00000021-kyodo-int
 【ロンドン9日共同】英保健当局は9日、牛海綿状脳症(BSE)が感染して起こるとされる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病の感染者から輸血を受けた患者が、同病に感染している可能性が高いと診断されたと発表した。輸血を通じた感染は英国で3例目という。 この患者は輸血から8年後に発症し、専門病院で治療を受けているという。血液を提供した感染者は献血の1年8カ月後に発症した。 ヤコブ病は、進行性の認知症や運動失調の症状が出て、全身衰弱などで死に至る。(略)

★輸血によるvCJD感染をめぐり6,000人に警告ー英国保健省
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04092201.htm

★ヤコブ病 22患者二次感染も
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060220ik05.htm
手術器具の滅菌不十分(2006年2月20日 読売新聞)
 国内の医療機関で脳神経外科手術を受けた患者2人が、手術後4か月以内にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と診断され、同じ器具を使って手術を受けた22人に二次感染の可能性があることがわかった。(略)
厚労省研究班が2003年に作成したCJDの感染予防指針には、脳神経外科手術に使う器具は使用後に特殊な消毒液で滅菌処理をすることが盛り込まれている。しかし、この医療機関は、患者2人の手術で使った器具を、通常の滅菌処理のみで別の患者の手術に使用していた。 22人の患者は、CJDに二次感染した可能性について病院から告知を受け、献血を控えることなどを指示されている。 04年にも同様の報告が1例あり、11人が追跡調査の対象となっている。 同省はこうした事例が相次いだことを受け、来年度にCJDの二次感染対策の検討会を設置し、診療指針の見直しなどを行う方針。


★ヤコブ病解剖費に公的補助 BSE感染の変異型対策
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060128-00000030-kyodo-soci
(略)ヤコブ病には変異型や原因不明の孤発性があり、変異型と確定するには、脳に沈着して病因となる異常プリオンタンパク質のタイプや集まり方を死後に解剖して調べる必要がある。 しかし、厚労省CJDサーベイランス委員会の調査では、孤発性として死亡した患者の脳の解剖率は18%で、欧州主要国の70%以上よりかなり低い。いったんは脳波などから孤発性と診断された男性が、脳の解剖で昨年2月に国内初の変異型と分かった例もある。 確定診断は感染の拡大防止にも重要だが、解剖が進まない要因として経費や設備面、感染への不安が挙げられている。 (共同通信) - 1月28日6時34分更新

★vCJD問題ともかかわる歯医者や内視鏡による院内感染に関わる情報
歯科はヤコブ病対策以前に、院内感染対策自体に問題があることは過去にも触れましたが、
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/7258e2b1bb9c44d331a0a62b2616a83f

内視鏡による院内感染事件報道を時折耳にします。ピロリ菌やO-157、耐性緑膿菌などの大学病院などでの感染ニュースを記憶されている方も少なくないと思います。その院内感染対策は、ヤコブ病対策以前に、まだまだ問題があるようです。参考までに今年の学会発表のタイトルを。
http://www.ask.ne.jp/~jgets/prog56.html
平成18年5月14日(日) 第56回日本消化器内視鏡技師研究会
23 内視鏡洗浄・消毒ガイドラインの遵守率はなぜ低いのか?
   -内視鏡感染管理の問題点とその対策-


プリオン対策を考える担当の方々は、現場のこの現実を知ってるんですかね?縦割りで「担当が違う」から知らないのかも?

■ヒト由来の血液製剤のvCJD対策

現実的な血液製剤への対策では、以下の方法があるようですが、完璧なものはまだ販売されていないようです。
※BSE対策がずさんで、各地でCJDの集団発生問題が心配されている米国からも大量に血液製剤が輸入されています。

1 エタノール分画
2 PEG分画
3 グリシン分画
4 イオンクロマト処理
5 ナノフィルトレーション
6 アフィニティークロマト


川崎厚生労働大臣が先日国会で「血液製剤は(vCJD問題において)安全が確保されている」みたいなテキトーな発言したのにはぎょっとしましたが、そんな感覚だから米国のBSEやvCJD対策を放置して見てられるんだということですね。

英国では、潜伏期間中のvCJD患者さんの献血が血液製剤に加工され、その製剤を使用した数千人に警告がでました。内容は、病院や歯科、検査などを受診するときに前もって病院にその旨を通知することです。つまり、その数千人の方々の感染の心配が出てきて、医療器具などから他のヒトに院内感染する可能性があるため、使用後の器具について、専用のプリオン対策の滅菌消毒※が必要だからです。輸出入のグローバル化が進み海外との交流が盛んな日本でも対岸の火事ではありません。

※表1.プリオン対策の消毒法は下記サイト
クロイツフェルト・ヤコブ病感染予防ガイドライン(2003年3月版) 表1参照
http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r7/

■過去の厚生労働省の対策から今のBSE→変異型ヤコブ病問題を考える
<日本で濫用されている血液製剤:薬害事件から>


C型肝炎の患者は日本に200~300万人いると推定されています。血液製剤や輸血などによる薬害によるものが少なくないようです。プリオンは今現在、スクリーニングおよび有効な失活方法がないため、同様の問題に発展する可能性があります。参考までに過去記事を。

◆「アルブミン」は、かつて世界の消費量の3分の1を日本が使っていた。
朝日新聞2005年7月17日社説から
「血漿(けっしょう)に含まれるたんぱく質「アルブミン」は、かつて世界の消費量の3分の1を日本が使っていた。本来はやけど治療などに使われるのに、栄養剤としても使われてきたからだ。 使うほど病院などの収入が増えることから、必要以上に消費する傾向も指摘されている。」

◆薬害肝炎の厚労省最終報告書、旧厚生省の責任触れず
 血液製剤「フィブリノゲン」をめぐる薬害肝炎問題で、米国が1977年に同製剤の製造を禁止した後、日本では約10年間も対策が取られなかったことについて、旧厚生省の対応を検証してきた厚生労働省の最終調査報告書案の全容が27日、明らかになった。海外での医薬品の安全情報を収集する体制が不十分だったとする一方で、「当時は肝炎発症例が極めて少なかった」などとして、旧厚生省が対策を講じなかった責任については問題ないとの見解に終始し、被害者らから批判の声が上がりそうだ。
 調査報告書案によると、米国が製造禁止としたことを、旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)は78年に把握。旧厚生省の試験研究機関の幹部職員も79年には把握していた。しかし、旧厚生省が把握したのは84年になってからで、把握後も、87年4月に青森県で非加熱製剤によるC型肝炎ウイルス(HCV)の集団感染が発覚するまで対策が講じられなかった。
 これについて報告書案では、〈1〉当時は製薬企業や試験研究機関から、海外での医薬品の安全情報を報告させる制度がなかった〈2〉旧厚生省にも自ら情報を収集する仕組みがなかった――として、「情報収集体制が不十分だった」とした。
 しかし、米国の措置を把握した後の対応については、〈1〉肝炎発症例は極めて少なかった〈2〉肝炎感染のリスクより(止血剤としての)有用性の方が高く評価されていた――などの理由から「対策を講ずべきとの判断に立つ状況にはなかった」と結論。同省が当時、同製剤の危険性を判断するための議論さえしていなかったことには言及していない。(2002年8月28日読売新聞)


責任を取らない厚生労働省のページから 
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1209-1/index.html
平成16年12月9日
C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ
(フィブリノゲン製剤納入先医療機関名の公表について)
フィブリノゲン製剤の投与を受けた可能性のあると思われる方は、
一度血液検査を受けて下さい。

 フィブリノゲン製剤は、人の血液の成分を原料とした医薬品の一種で、かつては大量出血時の止血等の目的で、特に昭和63年6月以前は多くの医療機関で用いられていました(昭和63年7月以降、フィブリノゲン製剤は、基本的に「やむを得ない場合に必要最小限量を使用すること」とされたため、販売数量は激減したと報告されています。)。しかし、その当時、フィブリノゲン製剤の原料に混入した肝炎ウイルスを不活性化するための技術が十分でなかったことから、平成6年*以前に同製剤を投与された方々は、肝炎ウイルスに感染している可能性が一般の方より高いと考えられます。そのため、厚生労働省では、フィブリノゲン製剤の納入先とされている医療機関を公表し、これら医療機関の協力を得て、同製剤を投与された可能性のある方々に対し肝炎ウイルス検査の呼びかけを行うこととしました。
 次に該当する方々については、C型肝炎ウイルス検査を受診されることをおすすめします。C型肝炎ウイルス検査は、多くの保健所、市町村等で検査を安く受けられるよう、体制の整備に努めているほか、医療機関などで受けることができます。(略)対象者など詳細は以下参照
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1209-1/index.html

※血液製剤や輸血は保険点数が高いため、病院にて、本当に必要かと思われる治療にまで使用されてきた現実があるようです。今現在、その体制は変わっているのでしょうか?病院にかかるときは、それを使うことが本当に必要なのか、確認したほうがいいかも知れませんね。

<薬害エイズ事件から>
第5回血液行政の在り方に関する懇談会 議事録から抜粋
1.日 時平成9年4月23日(水)14時00分~16時00分
2.場 所厚生省共用第6会議室
(1)東京HIV訴訟原告団・弁護団及び東京HIV訴訟原告団・弁護団からの意見陳述
「(抜粋)私が18歳の春、激しい嘔吐で倒れ入院したとき、医師はB型肝炎の感染を告知しました。そして、血液製剤を使っている限り、これは仕方ないんだよ、と説明しました。さらにC型肝炎の感染を知り、本当に仕方がないのか、という疑問はぬぐいきれませんでした。そして、今度は最後にHIV感染。否、これがほんとに最後といえるのかどうか。現在の血液行政を変革しない限り、血友病の患者をはじめ、国民が未知の病原体の危険にさらされている現実には変わりありません。
いまこそ私たちは血液事業法の制定を望みます。うまみのある商品として大量に輸入、濫用される血漿分画製剤、薬価差益が生み出す営業優先の供給体制、輸入血漿に対するずさんな監視体制、エンドユーザーである患者に対して何人も責任を負うことがない無責任体質、これらを改革するために、この血液事業法においては、原料血漿の国内自給の確立、アルブミン・免疫グロブリン等の血漿分画製剤の適正使用、ユーザーである患者も参加した形の責任ある監視体制の確立、リコンビナントも含めたすべての血液製剤の供給一元化等を明文化する必要があると考えています。)」

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その他の「公衆衛生とBSE,vCJD」まとめ記事
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0