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安倍首相の靖国参拝に米国が異例の批判

2013年12月27日 10時51分52秒 | 新聞から
安倍首相の靖国参拝に米国が異例の批判  ウォールストリートジャーナル 日本版

 【東京】安倍晋三首相による突然の靖国神社参拝は、米国との関係を損なう恐れがあるだけでなく、就任から1年を迎えた安倍首相が経済再建に向けた取り組みからナショナリスト的な政策課題に焦点を移している可能性への懸念を生じさせた。

 安倍首相は26日に靖国神社を参拝。中国と韓国の強い反発を招いたほか、米国政府が異例の批判をする事態となった。米国は、領土問題や歴史認識で対立しているアジア諸国に対し、関係修復に向けた働きかけを行うよう繰り返し求めている。

 靖国神社には戦没者だけでなく、第2次世界大戦時に首相を務めていた東条英機元首相などのA級戦犯もまつられているため、戦中に日本軍の攻撃や侵略に苦しんだ周辺国から過去の軍国主義の象徴とみなされている。

 米国政府は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」との声明を在日米大使館のウェブサイトに掲載した。これまでにも多くの首相が靖国神社を参拝してきたが、それを受けて米国が公式な声明でこのような直接的な批判をすることは初めてとみられる。

 安倍首相は米軍の占領下で制定された憲法の改正を「ライフワーク」を呼ぶほどの保守派として知られているが、昨年12月に政権を奪還した後は、ナショナリスト的な政策よりも経済改革を優先してきた。

 安倍首相が打ち出した経済政策「アベノミクス」は、政府支出や金融刺激策を通じて消費を促進し、結果として日本経済は今年上期に先進国で最高の成長率を記録した。

 7-9月期には成長が減速したが、経済環境の改善を背景に安倍首相はここ10年で最も高い支持を得た首相の1人となっており、国民からの支持率はこの1年の大半を通して60%前後を維持している。

 中国の軍事増強を警戒し、アジア諸国間の緊張が実際の武力衝突に発展する可能性を懸念している米国にとって、こうした動きは安堵(あんど)をもたらした。米国はまた、首相が毎年のように入れ替わる日本政府への対応にもうんざりしていた。



 米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官は10月に来日した際、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ、献花した。これは、戦死者追悼には靖国神社以外にも訪問できる場所があることを安倍首相に暗示するための行動だったとみられている。



【オピニオン】安倍首相の靖国参拝、朴大統領の正当性を鮮明に
 安倍首相が就任後に靖国神社を参拝したのは26日が初めてだが、安倍内閣の一部閣僚は靖国神社を訪れており、その度に中韓両国から強い反発を受けている。現職の首相による参拝は7年ぶりで、近隣諸国は激しく非難した。

 中国外務省は日本の過去の軍国主義を美化する動きだと非難。同省の秦剛報道局長は声明で、「こうした状況において、日本の指導者は自制しようとしないだけでなく、再び歴史問題にかかわる事態を生み出し、日中関係の改善や発展を妨げる新たな政治的障害をつくり出して、関係を悪化させている」とし、「日本はここから生じる全ての結果に責任を負わなくてはならない」と述べた。

 韓国の報道官を務める劉震竜文化体育観光相も「近隣諸国と国際社会の懸念にかかわらず、安倍首相が靖国神社を参拝したことに対し、嘆きと憤怒を禁じ得ない」と強く反発した。

 アジアのアナリストらも、安倍首相による靖国参拝は中韓との関係悪化につながるとの見方をしている。上海交通大学の日本研究センター主任の王少普教授は深刻な展開だと懸念し、「すでに悪い日中関係をさらに悪化させる」と述べた。

 一方、安倍首相が近隣諸国との関係がすでに悪化している中で失うものはないと判断し、靖国参拝に踏み切ったとする向きもある。首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)の全加盟国を訪問したが、中国と韓国は訪問しておらず、両国首脳との正式な二国間会談も行っていない。

 PHP研究所の国際戦略研究センター長で主席研究員の金子将史氏は、将来的に中韓首脳との会談の実現可能性が薄いと思われる中で、首相は靖国神社を参拝してもそれほど大きな影響はないと判断したのではないか、との考えを示した。

 安倍首相はこれまで、2006年から07年の第1次内閣時代に参拝しなかったことは「痛恨の極み」だと述べていた。第2次政権の発足からちょうど1年にあたる26日の参拝は、同氏の信念の表れとみられている。参拝後には記者団に対し、「尊い命を犠牲にされたご英霊に尊崇の念を表し、御霊(みたま)安らかなれ、と手を合わせた」と語り、「中国と韓国の人々の気持ちを傷つける考えは毛頭ない」と強調した。

 安倍首相の側近によると、最も心配しているのは米国の反応だという。参拝計画を事前に把握していた政府高官の1人は、最大というよりも唯一の懸念は米国が何を言うかだ、と述べた。だが、オバマ米大統領は環太平洋連携協定(TPP)の合意調印やアジアでの米軍再編に向けて日本政府の助けを必要としていると指摘し、日米の友好関係が揺らぐことはないとの自信を示した。

 ある政府官僚は、安倍首相は景気回復を引き続き優先する意向だと述べ、経済政策の「第3の矢」である規制緩和措置が年明けから実行に移されるとした。そのうえで、アベノミクスを引き続き推進していくと強調した。

 しかし、アナリストからは安倍首相が米国の反応を読み違えた可能性を指摘する声が上がっている。同志社大学学長の村田晃嗣教授は、米国の反応は予想外だったとし、軍事同盟だけでなく、価値観を共有できるかが日米関係の強化に向けて焦点となっている中で、米国は歴史問題に固執している安倍首相に不満を抱いている可能性があると述べた。

 外交問題はこれまでビジネスにも影響を及ぼしてきた。昨年、民主党政権が尖閣諸島を国有化した後、中国では日本製品の不買運動が広がり、自動車メーカーなどの日本企業が大きな痛手を被った。

 一方、東京市場では26日、安倍首相の靖国参拝への反応がほぼみられず、株価は上昇して引けた。投資家らは、外交問題よりも円安など他の要因がより材料視されたと話した。

 投資家の多くは経済的な影響を懸念していないと述べたが、安倍首相の参拝理由を疑問視する声もあった。JPモルガン証券のシニアエコノミスト、足立正道氏は、経済と金融市場に注目する立場として首相がなぜ今参拝したのかという疑問が生じると述べた。

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