いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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欠片

2017-03-31 00:47:50 | 日記
原宿の駅に降り立つと、よく見た景色が広がっていた。大昔、自分はこの街にあるジムでよくトレーニングをしていたものだった。ちょっとカフェにでも寄ろうかとも思ったがすぐにジムに向かうことにした。

ここではパーソナルトレーナーを付けて本格的にトレーニングをしていた。かっこいいと思ったのが第一印象だったが、トレーニング以外でも一緒にいるうちに意外と普通だなと思っていた。彼の笑顔をまた見たいと思ったが、もういない事を思い出しすぐに考え直した。彼はもういない。このジムに、というより、この地球に。

自分がトレーニングを続ける理由はいろいろあるとは思うが、彼に教わったことが大きい。彼に教わったことを1つ1つ思い出しながら続けていく作業が、何か自分のライフワークのようなものになったのだ。それがトレーニングとも言える作業だっただけだが、他人には、「カッコよくなりたいから」とだけ説明している。

煌びやかなのは相変わらずだったが、もう誰一人知るスタッフがいなかった。厳密にいえば古株のスタッフとマネージャーは知っているが、その下に知る顔は1人もいない。よく話した深夜のスタッフやあの時に新人だったスタッフ達はどこに行ってしまったのだろう。聞けば分かることだが、そうはしないでレッグプレスに向かった。

見ようと積極的に見渡した訳ではないが、instagramで見かける顔があちこちにいた。本人だとすぐに分かる面々だったが、実物は普通だった。インスタグラムではマッチョな美青年にしか見えなかったが、割と背の低い男性や、思ったよりも年のいってそうな男性が鏡の前で肉体を誇示していた。自撮りというのは本当の姿とはかけ離れた他者に見せたい自分の姿。本当にかっこいい人達だとは思うが、自撮りを見させられてからの実物では、どうしてもこうした低い評価になるだろう。

美しいものというのは、儚いものでもある。すぐに壊れて消えてしまいそうなものを美しいと感じるのかもしれない。そうなのであればパーソナルトレーナーである彼を初めて見たときに感じた美しさはもう消えてしまった。その欠片を取り戻す作業が自分にとってのトレーニングなのかもしれない。

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