いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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イケメンノンケとブサイクゲイ

2019-12-31 19:47:34 | 日記
そのノンケは大学進学の為に東京に訪れた。入学式の為に一緒に来てくれていた両親と東京駅前で食事をして、どこかのカフェに移動した。段々と口数が減っていき、彼らの新幹線の時間があっという間にやって来た。笑顔で手を振ると母親は少し泣いていた。

ずっとモテてきた彼は大学に入るとよりモテた。都内のクラブに行ったり、コンパに顔を出せばその日にヤレる相手はすぐに調達できた。東京で彼女ができ、それとは別にSEXする相手も大勢いて、大学生活は本当に楽しかった。

大学にジムがある事を知り、特に興味もなかったが暇な時は通うようになった。

そのゲイは、仕事である男性と知り合った。打ち合わせの段階から割と気が合い、話が弾んだ。世の中には2種類の人間しかいない。気が合う人間と、気が合わない人間だ。目の前にいる男性は凄まじいイケメンだとは思うが、だからどうという事もなく、容姿の劣る自分でもこうして仲良くなっていくのだから人間というのは不思議なものだ。

「ぜひ、また。」

社交辞令ではなく挨拶を交わすと、スーツケースを1つ持ってあげて途中まで送った。

そのノンケは就職後も本格的にトレーニングを続けた。目標は特になく、カッコよくなりたいとかモテたいだとかそういう事も無かった。大学卒業後は実家に戻り、地方でこうしてのんびりとした生活を送っている。彼女とは疎遠になり別れてしまったが、仲間たちは時々連絡をくれる。旅行を兼ねて遊びに来いよと誘ってみると実際に何人かが遊びに来てくれて嬉しかった。大学時代の面々と会って話していると学生時代が遠い昔のように感じる。このメンツで都内のクラブに行ったものだった。自分は女関係は派手に遊んでいたとは思うが、東京の生活に馴染めなかったからこうして地元に就職したのだ。仕事関係で都内には時々行くが、新宿駅等を使う時はうんざりする。あのまま東京で就職していたら自分は幸せだっただろうか。そんな事を日々感じながら、アポイントが入っていた件で再び東京に向かう事になった。

「わざわざお越し頂いて申し訳ありません。」

先方が立ち上がり、挨拶をしてくれる。

「いえいえ、とんでもございません。」

スーツケースを2つ傍に置きながら頭を下げた。何かいい人そうだなと直感で思った。

そのゲイは駅まで送りながら、道行く女性が割と彼をちらちら見ている事に気が付いていた。確かにこの男は芸能人以上の容姿をしている。しかもスーツでいるから完璧なカッコ良さだ。聞くまでもなく実生活ではモテているだろう。自分はこうして当たり前に一緒に歩いているが、この男に恋した女性は何人いただろうか、とふと思った。

手頃な場所まで案内すると握手を求めてきた。
その後、彼は別の要件で東京に来た時も気軽に連絡をくれて東京駅でよくお茶をするようになった。
新幹線がくるまでの時間は長いようで短かった。

「さようなら、またいつか。」

「はい。」

笑顔で手を振ると、彼は手を振り返し階段を昇って行った。