来客していたのでストレート・ティーをホットで用意した。トレイに乗せて、紺のスーツ姿で運んでいると否が応でも人目についた。女性が手が空いていない時に進んでやる男性社員はいないから。
別の接客をしていた女性がやって来ると、一目見るなり、「随分薄くいれたのね。」と笑っていた。紅茶なんてこんなもんだろ。「これがフツーだけど。」と答えると、「うそばっかり!!飲んだら薄いわよ。」と言ってきた。これ以上濃かったら、真っ黒になっちゃうよ。そう笑いながらオレは紅茶を一口すすった。「別に薄くないよ。」
彼女はオレからカップを取り上げると、口に含んだ。「薄いわよ、コーヒーの味なんてしないじゃない。」
会社にはコーヒー用と紅茶用と、それぞれカップが用意されていたなんて知らなかった。だから、コーヒーカップに注いだ紅茶を、当然彼女はコーヒーだと思った。勤務中、2人して大笑いしてしまった。急いで作り直さなければ、と、持って来たカップを下げた時、オレが口を付けた箇所に重ねて彼女が口を付けた跡があった。
(mixi日記2006年02月22日より抜粋)