いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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好きでいて

2019-10-27 03:33:31 | 日記
仕事の打ち合わせで都内のカフェに出向くと、その選手は先に席に着いていた。オレに気付くとすぐに立ち上がり挨拶をしてくれた。体育会出身特有の礼儀正しさがあった。

彼が以前に写っていたポスターやPRの動画などを見せてもらいながら話が進んでいく。仕事の話が一通り済むと、自然と世間話になっていった。見れば見るほど、とてつもなくいい男だなと思いながら会話を楽しんだ。

それから何度か仕事で会う機会があった。あくまで仕事での関係なのだから楽だった。昔であれば好きになっただろうし、女性に生まれていたらこの男と付き合えたかもしれないと妄想したはずだが、今はもうない。ノンケを好きにならないというのがスキルだとしたら自分は難関資格を手にしたようなものだと思う。手に入らないものは望まない、それが幸せになる為のスキルかもしれない。

車で送ってくれた時があった。悪いなと思ったが先方から言って下さったことなので遠慮なく送ってもらう事にした。恋愛の話などしてはいなかったが、こうして何人の女性が彼の助手席に座っただろうか。自分が女性に生まれていたとしても、こうして隣に座れたかどうかは分からない。むしろ男に生まれたから今こうして送ってもらえたのではないだろうか。信号が赤の間、缶コーヒーを飲みながら彼が何か話していた。近くにミンティアがちょっと置いてあったり、後ろの席に雑に着替えが置いてあったり、そういった情報の1つ1つに、いいなって思ったりしていた。

数か月間のうちに数日こうして会う機会があり、仕事としては終了した。連絡先は知っているが特に連絡することもない。こちらが会いたいと思えば何とでも理由をつけて会う事ができる立場ではあるが、そういう気もない。彼がゲイだったらいいなと思った事もない。彼と付き合ったらどんなだっただろうかと妄想する事もない。自分は、何かが枯れてしまったのかと一瞬心配したが、答えが分かった。年齢とともに自分を好きになったのだ。いい男ばかりに価値を置いてきたが、自分にもそれなりの価値があるのだという事だ。向こうがこちらと一緒にいたいと思う瞬間もあるはずで、美しい月を見上げるばかりではなくなったのかもしれない。

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