いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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美しさ

2019-05-12 13:47:00 | 日記
カッコ良くなることは簡単だった。なれるかどうかは別として、方法だけは単純明快だった。自分が心の底から恋焦がれる男を模倣して、そうなるだけで良かったのだ。そう気付いてからの人生は、新しい人生となった。

大会に出る訳ではないので体作りは気が楽だった。ただただ大きくして部分部分をカスタマイズして、Tシャツがパンパンでケツがプリっとしていれば痩身の自分にとっては上出来だったからだ。元々が痩せやすいのだから食事制限などする必要もなく、ただ鍛えて、ただ食べて、デカくなっても腹筋さえ割れていれば良いとさえ思えた。脚が細いと思えば脚の日を増やし、腕が細いと思えばメニューを見直して、自分をデザインしていく作業はコンプレックスの強さの反動ゆえか堪らなく魅力的なものだった。あまりSEXに興味がなかったせいもあり、「やるためにエロい体にしよう」という事は思わなかったが、ピーク時には、スパッツ姿でロッカー内を歩いていれば後をつけられ、スウェットを腰履きして街を歩いていればAVに勧誘される日が続いた。とは言え、自分にとってのゴールは程遠く、いるのかさえ分からない理想の相手と出会う事も、まだなかった。

それから15年が経った。生活は何も変わっていないがトレーニングの強度は下がった。ジムで話す大学生達はマッチョなだけでなく肌もつやつやしていて眩しいほど輝いている。かたや自分はどうか。20代の時にピークを迎えた肉体は下降線を辿り、いまや型落ちした。若い人達と張り合って痛々しい振舞いをしたいとは思わないが、もう一手が必要ではないだろうか。もう少し強度を上げて、もう少し肌つやを取り戻す必要があるのではないか。ああ、かつての20代の時を思い出す。カッコよくなりたい、マッチョになりたい。そう切望したあの頃とまるで同じだ。

また新しい人生を歩んでいこうと思う。