皆様こんばんは。
本日はフマキラー第6回囲碁マスターズカップ決勝戦が行われました。
結果は小林光一名誉棋聖が淡路修三九段に白番中押し勝ちを収め、通算60個目のタイトルを獲得しました。
それでは対局の模様を振り返って行きましょう。
黒1と凄い所に置き!
淡路九段のいきなりの仕掛けで、序盤から激しい展開になりました。
白2に黒3と連絡を目指し、白もそれは許さん!と切っていきました。
AとBが見合いで黒が困っているようですが・・・
黒1、3、5と曲芸のような粘りです。
黒1の石を抜かせても黒△と繋がろうとしています。
以下黒8までと進行しました。
次に白はAかB、どちらの種石を助けるかの分岐点です。
実はこの形は前例がありました。
手番と向きが違いますが、今年の十段戦第2局、井山挑戦者(黒)対伊田十段の対局に現れています。
井山挑戦者は黒1(前図B)と3子を助けました。
白は2とこちらの種石を取る事になり、穏やかな展開になっています。
ちなみに、私はこの形はほとんど研究していませんでした。
白は序盤から1線に石が並んでおり、この図で黒良しと思っていたからです。
しかし研究熱心な小林名誉棋聖は、分かりやすいこの図にも飽き足らなかったようでした。
白1、3とこちらの種石を助けました。
黒4と切られて、3子を取られるのは大きそうですが・・・
白1から5まで、簡単には取られないと主張しています。
小林名誉棋聖の事ですから、徹底的に研究した形でしょう。
黒は相当苦しいように見えましたが、淡路九段も正確に対応しました。
白△まで進んだ場面、下辺は追い落としの関係で6子か3子どちらかを取れる形になっています。
しかし中央の力関係でやや黒が劣っているため、形勢は白が少し良さそうです。
少し手順が進んだ場面です。
中央の白3子を閉じ込めて、黒盛り返したように見えましたが・・・。
白1を利かして白3のツケコシが鋭い!
的確に黒の弱点を衝いています。
以下白8まで、逆に黒2子を取ってしまいました。
もちろん大成功で、形勢も白大幅にリードしました。
黒は中央が危ないので、Aと繋がっていれば無事ですがそれでは勝ち目がありません。
そこで・・・。
黒1、3と強引に白を切断!
「ロッキー」と呼ばれた淡路九段らしい、迫力のある勝負手でした。
中央の白を狙っています。
ここで白はAと打つかと思いましたが・・・。
白1と打ったのが小林流の「決め打ち」です。
白1はいわゆる「ケイマの突き出し」と呼ばれており、黒を固めるので打ってはいけない手とされています。
しかしこう打っておくことで白3がAの取りを見て絶対の先手になります。
白3さえ利かす事が出来れば多少の悪手には目を瞑るという、割り切った発想でした。
この割り切りの良さで、小林名誉棋聖は数多くのタイトルを獲得して来ました。
黒1は絶対、そこで白2と突き出して行けば白良しという判断でした。
確かにその通りで、黒△が風前の灯火です。
黒Aと必死に助けましたが、白Bと「3目の頭」をハネられたのも強烈です。
結局右側も頑張っている間によりが戻り、黒大石はコウで凌ぐ羽目になりました。
白のコウ材は△、これを受けていてはきりがないので・・・。
黒1と手を入れましたが、白2、4と助けられてしまいました。
白勝勢です。
黒1と多少の利き筋を作ってから黒5、淡路九段の最後の勝負手です。
右辺の白を必死に追及しますが・・・。
白1が決め手になりました。
黒2からAと切断されましたが、周囲の黒の方が弱い事を見越しています。
白△となって攻め合い1手勝ちです。
小林名誉棋聖、最後も鮮やかに締めくくりました。
本局は小林名誉棋聖の読みが冴え、豪腕で鳴る淡路九段を圧倒しました。
会心の1局でしょう。
本日はフマキラー第6回囲碁マスターズカップ決勝戦が行われました。
結果は小林光一名誉棋聖が淡路修三九段に白番中押し勝ちを収め、通算60個目のタイトルを獲得しました。
それでは対局の模様を振り返って行きましょう。
黒1と凄い所に置き!
淡路九段のいきなりの仕掛けで、序盤から激しい展開になりました。
白2に黒3と連絡を目指し、白もそれは許さん!と切っていきました。
AとBが見合いで黒が困っているようですが・・・
黒1、3、5と曲芸のような粘りです。
黒1の石を抜かせても黒△と繋がろうとしています。
以下黒8までと進行しました。
次に白はAかB、どちらの種石を助けるかの分岐点です。
実はこの形は前例がありました。
手番と向きが違いますが、今年の十段戦第2局、井山挑戦者(黒)対伊田十段の対局に現れています。
井山挑戦者は黒1(前図B)と3子を助けました。
白は2とこちらの種石を取る事になり、穏やかな展開になっています。
ちなみに、私はこの形はほとんど研究していませんでした。
白は序盤から1線に石が並んでおり、この図で黒良しと思っていたからです。
しかし研究熱心な小林名誉棋聖は、分かりやすいこの図にも飽き足らなかったようでした。
白1、3とこちらの種石を助けました。
黒4と切られて、3子を取られるのは大きそうですが・・・
白1から5まで、簡単には取られないと主張しています。
小林名誉棋聖の事ですから、徹底的に研究した形でしょう。
黒は相当苦しいように見えましたが、淡路九段も正確に対応しました。
白△まで進んだ場面、下辺は追い落としの関係で6子か3子どちらかを取れる形になっています。
しかし中央の力関係でやや黒が劣っているため、形勢は白が少し良さそうです。
少し手順が進んだ場面です。
中央の白3子を閉じ込めて、黒盛り返したように見えましたが・・・。
白1を利かして白3のツケコシが鋭い!
的確に黒の弱点を衝いています。
以下白8まで、逆に黒2子を取ってしまいました。
もちろん大成功で、形勢も白大幅にリードしました。
黒は中央が危ないので、Aと繋がっていれば無事ですがそれでは勝ち目がありません。
そこで・・・。
黒1、3と強引に白を切断!
「ロッキー」と呼ばれた淡路九段らしい、迫力のある勝負手でした。
中央の白を狙っています。
ここで白はAと打つかと思いましたが・・・。
白1と打ったのが小林流の「決め打ち」です。
白1はいわゆる「ケイマの突き出し」と呼ばれており、黒を固めるので打ってはいけない手とされています。
しかしこう打っておくことで白3がAの取りを見て絶対の先手になります。
白3さえ利かす事が出来れば多少の悪手には目を瞑るという、割り切った発想でした。
この割り切りの良さで、小林名誉棋聖は数多くのタイトルを獲得して来ました。
黒1は絶対、そこで白2と突き出して行けば白良しという判断でした。
確かにその通りで、黒△が風前の灯火です。
黒Aと必死に助けましたが、白Bと「3目の頭」をハネられたのも強烈です。
結局右側も頑張っている間によりが戻り、黒大石はコウで凌ぐ羽目になりました。
白のコウ材は△、これを受けていてはきりがないので・・・。
黒1と手を入れましたが、白2、4と助けられてしまいました。
白勝勢です。
黒1と多少の利き筋を作ってから黒5、淡路九段の最後の勝負手です。
右辺の白を必死に追及しますが・・・。
白1が決め手になりました。
黒2からAと切断されましたが、周囲の黒の方が弱い事を見越しています。
白△となって攻め合い1手勝ちです。
小林名誉棋聖、最後も鮮やかに締めくくりました。
本局は小林名誉棋聖の読みが冴え、豪腕で鳴る淡路九段を圧倒しました。
会心の1局でしょう。